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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

インタビュー

2011年03月22日

今日は、出版社で上島先生とのインタビューが午前中からありました。先生がコレクションされましたドイツ、フランス、イギリス、スウェーデンのアンティークリネンを見せていただきまして不思議不思議の連続です。ホームスパンの手で紡がれた糸を手織りした感じのリネンがありまして非常にソフトだったのが印象です。私の頭の中ではそのリネン生地の光沢感のある加工方法が謎でぐるぐるとめぐってしまいました。非常に良い風合いなのですが、なかなか今のリネンのものにはその加工方法をしたものがないのです。糸をほどいて見せていただいても、今のものとは違います。

インタビューの終わった後、皆さんと一緒させていただきました。夕方には、日本橋三越前の島根館で作品の展示ならびに販売をされておられます加藤さんにお会いしました。島根の隠岐の島という人口3500人の島で焼き物の釜を守っておられます。今は、その焼き物を作るのと同じ土で泥染と呼ばれる技法でリネン、綿、シルクなどの素材を染めて、かばん、ストール、洋服などを染めて販売を手がけておられます。お電話で何度かお話はさせていただき初めてお会いさせていただきました。百聞は一見にしかずで、今まで電話でご説明いただいていた作品のイメージというものが実際に作品を拝見させていただいたことでこのことなんだなあと実感できました。

その後も上島先生にお付き合いいただきまして。小雨のなか青山のお店を探してうろうろ、目的のお店には残念ながらたどり着けなかったのですが、別のリネン雑貨のショップを見つけましてそのお店に立ち寄りました。イタリアからのインポートリネンをはじめ、国内でのオリジナルのアイテム作りなどをされており、リネンなどは良いものがたくさんあるお店でした。スパイラルホールのカフェで、コーヒーをいただきながらリネンのお話をした後、先生とはお別れさせていただきました。

夜は、この春、大学を卒業されます方とお会いしましてお話を伺いながら、学生のうちにおつくりになられました作品をまとめた本を見せていただきました。作品一つ一つに思い入れがあるのが伝わってきまして、また、その本というもの1冊だけの手作りで手にしているだけで感動ものです。クリエーティブなものを追い求めるだけでなく、職人的な単純な繰り返しの作業すらも乗り越えることができるタイプの方なのではと感じました。

クリエーティブなものを生み出したり一つつくることができても、それと同じものを商品として必要なだけ必要なときに作るためには、頭の世界とは違う、現実的な問題に直面し、人の確保、材料などのものの確保、そしてそれを準備し流していけるだけのお金の確保という要素が最低限必要だったりするのです。そこが日本のものづくりで難しくなってきているところだというのを私自身もお話しながら再認識しました。

また、その3つの必要な要素の中でも、一番確保が難しいのが人という要素ではないかと思うところで、単に人の頭数の問題ではなくモーティベーションの高い人をどう集めるか、あるいは育てていくかということが、手間の掛かるような作業であればあるほど生産性を大きく左右するかと思います。日本のものと海外のものとの違いや差というのは、技術ではなく人という要素で生まれてくるのではないかと考えることも多いのです。

繊維の業界だけでなく、今日宿泊する有明のビジネスホテル、ツイン駐車場代込みで7000円。これはどうなんでしょう。ここには、非常なまでの経営努力があると思う一方で、それが常識として、「出来ている、やればできる」と考えてしまうのはどうかなあと思うところです。採算を度外視してまでも将来に希望をもって続けようとしておられるのではないかと感じるのが林与のものの見方です。お客の立場でありながらも泊めていただいて感謝の気持ちなのです。


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