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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

機屋の廃業

2015年12月16日

織物関連の組合さんなんかでも廃業されているのは機を動かしておられた機屋がほとんどで、この15年でも産地で10件ほど消えられてしまった。機業以外の会社さんというのはほとんど廃業の道を辿られることはない。機場という製造業の部分のがヒトモノカネという3要素どれにおいても負荷が高いかというところであろう。大きくなればなるほど苦しいとされるが、その理由は大きくなると全体的なレベルは量産型となり、ものづくりが新興国との競争に陥るから、成り立ち難いのだろう。

製造工程で何か問題が起きたときに、その責任が機屋に降りかかる。今の日本、薬剤が廃番になったとかありがちで、染料の一つ、糊剤一つ、仕上げ剤一つ、変わると今までどおりには行かず、テストから必要。そういう費用やリスクまでもが機屋に被ってくる。検査などでも、通常の検査は2万円程度だが、徹底したものはサンプルの1マークで5万円から10万円ほど掛かるケースがある。本生産を入れると10万円から20万円コース。10万円の粗利を上げるには100万円ほどの仕事が通常必要だろうから、見本コストなども含めると、何百万円単位の仕事が機屋としては普通の仕事でないと難しい。

今、危惧するのは日本の百貨店の品質基準を小さなアパレルさんが満たすことができるのかというあたり、何百万円の仕事なら検査報告など取れる費用が見込めるが、通常は販売する商品を検査する費用も、費用的に抽出が難しいというのが現状だろう。特にデザイナーさんというのは、定番を嫌われる傾向があるが、デザインちっくなものというのは、物性面でのリスクは大きいというところ、売り場も共通しての認識をもっていただきたい。デザインの世界でたとえばイタリアンなところを求めると、物性面では危ないものが多くなってくる。

私自身はそういうところまで考慮してのものづくりで、合成繊維を基準とした検査において、天然繊維の中でも一番不安定な麻素材の場合には常に物性などの危うさなどがあることは当たり前に感じているが、すべてにおいてアクセルとブレーキを掛けながら自分は利益を上げたいというタイプの方だと、基本的な部分の無理ということで値段のことや品質の安定性、納期問題など合成繊維をお勧めすることもあったりするのもその方が結局のところは結論として合成繊維を理想とされているからである。

何十年、業界におられる方でも、品質偽装や産地偽装の壁を踏み越えられてしまわれる方が多いもので、その壁を越えられることで利益を生み出されている業者さんも大手などには多かったりする。生地においても海外で織って国産という謳われかたが百貨店商品でも大量に出回ってしまっているのも、無名有実なところで、それを国産の基準にしていただくと、本当の産地さんや国産が値段が高いということで悪者にされてしまうことが多い。プロの世界では到底無理な話がなぜか信用を重んじる百貨店などのアイテムとして出回ることも多いものだ。


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