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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

高級化

2016年01月11日

世界的にリネンの原料の高騰で高級化が始まり、いわゆる麻の再高級化が始まったということなのだろう。問題は、糸や原料、今期、織ることがどうしてもできないものが何点も出没。それを織れないから途中でやっぱりだめです、やめときましょうだ、と簡単なのだが、最善をつくして、寝る時間を惜しんでも普通だと一ヶ月かかっても無理なことを1週間で答えを見つける。

私が織れないものを織機をとっかえひっかえしながら、1ヶ月、2ヶ月、試行錯誤して、最後、1週間すべての織機の設定をほとんど寝ずに再調整しても無理なものは無理で仕方なかろうと思う。けども、そこまですれば、普通だとやらない方法で織れる答えが見つかるケースが半分以上ある。それで救われるお客さんがどれだけでもあればよいことだと思える。できないという答えだと大きな穴が開く最悪の話。麻のようなカプリシャスな素材では、触るとわかるのだが、すべて同じ工程のはずでも、触った糸の感触がまったく違うことが多い。たとえば、糸が整経のときに丈夫すぎると感じたりすると逆に黄色信号。

今日も撚糸工場の方と話をしていたら、3本の引き揃えがうまくできないというようなお話で、ロットが違うだけでテストもした同じ銘柄の糸で、この失敗というのは心配もしていただけに、起こりうることといえる。糸商さんとも話していたが、紡績メーカーも糸が高くなりすぎて売れなくなって苦しんでいるという話。よくわかる、高くなって品質が危ういというのは、2000年頃に同じ問題があったのだ。いくらお金を出してもよい糸が手に入らなくなり始め、つくると問題。実は糸の生産地などが移行している時期であった。現在でも、リネンといえばイメージはヨーロッパなのだが、実は中国とアフリカ、リトアニアも旧来のリトアニアリネンでは通用せず、イタリアの技術が入って凌いでいるということのようだ。ベルギーのリネンも細番手の高品位のものは実質中国紡績だったりする。幻想だけが一人歩きして、出来るところなんて限られているということを見失うとだめだろう。

紡績工場にしても、力のある問題を解決できる人がいないと壁にぶつかった時に、織れない糸が出回ることになる。新しく立ち上がったリネン紡績工場が最後それでいくつ消えていったか。そういう消えてゆく紡績工場の糸を手にした機屋が次に消えていく運命になる。2000年以降再び気をつけないとならないタイミングに差し掛かっているのだろう。


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