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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

自分のできることの中から

2018年10月16日

今まで、林与が自分自身の中で生み出してきたものとして、超細番手リネンストール、やわらかなリネンストール、ハニカムキッチンクロス、リネンデニム、藍染リネンなど。他を真似るでなく、自分自身がこんなものがあればよいなあと自分の試行錯誤の中で作りたいなあと思うものを生み出してきた、出来上がったものに面白さを感じるような流れのものづくりこれは織機を動かす中で生地が生まれて、それが世の中に出て他に影響を及ぼし麻やリネンのトレンドとなる。最初につくるので乗り越えないといけない壁は大きいけども、自分の目標を達成し世の中にないものを生み出してゆく実感はあるので充実感がある。まあ、私は外を見て回らないのですでに世の中に存在する可能性はあるが、いろんな麻を見て麻を扱っておられるお客様に提案しても他でみたことがないという方が多いので、世の中への提案としても林与が自分で考え生み出した生地の新鮮度は高く、トレンドにもなりやすい。

リネンの細番手プロジェクトも、糸が入手困難なときから、糸探しから初めてのトライアルで、量産のために糸を確保するところまでの思い切りなども乗り越えてきた。林与の場合、超細番手のカシミヤや綿、その他新素材にも手を出したりもするが、他の素材に挑戦するのが織れないといわれるときに、自分が織ってみたいと思って手を出してみるとか。それも織物を織ることへの挑戦なのである。麻の紡績工場にもっと細い番手を作って欲しいと頼むことが多いが、なかなかそれが叶うことはないのである。織れるか織れないかわからないようなレベルの糸を作ったところで沢山の人が買って使うことはないだろうから。

昨日はまた、細い糸が手に入った。良い糸への憧れは半端ではなく、何十万円というお金を原材料に費やし将来のいつの日にか形にするために在庫したりする。何十年に一回しか手に入らない糸というのもあるだろうから、でもそういう糸が常に織れる糸だとも限らないし、私は自分で糸を料理する自信を持っているから、よさそうな糸は自分の織物の腕を試せる絶好の材料なのである。この糸も相場が、1kg1万円ほどの糸なので、染めたりもして密度を高く織ると反物で普通のバルク生産でも1mが1万円くらいクラスの生地になるだろう。そういうものを追い求めてみたい。ただ、材料費が高いじゃけじゃなく、仕上がりがどんな風にみえるのか、大期待なのである。業者さんに扱ってもらうのは難しいけど、麻に憧れをもっておられる方とか麻を求めて世界中を巡っているような人に提案できればと思う。

本業で本質的な良いものを求めるのは、売って儲けるためでなく、見てもらうだけでもよいというアーティストの自己表現に近い感覚。通常の仕事でそれを求めるから、そういう部隊では、評価される人に出会える機会は少ないけども、アーティストの方に感銘してもらえることは多かったりする。自分が良いと思う麻布が、良い麻布でという自分の中にある麻布に対する価値観は、他の人が作った布に特別なものを感じたときには素直にそれを評価できるものでないと価値観として本物だと思えない。たとえば、自分がつくろうとしているものを他の人がつくったときにすごいなあと思えるとか。自分の求めている風合いをほかの人が実現したら良い風合いだなあと思えるとか。一方で、他の人がすごいといっていても、自分が普通だと思うものは普通だという判断でよいと思う。


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