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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

ものを売ること

2020年01月24日

麻布というのは非常に売りやすいテーマの一つ、というのも、自然で体に良いとかの要素があって、合成繊維に比べると、売り方ひとつで売れる可能性がある。ポリエステルは今、世界中から敵視されているけども、安価で大量に使われていて、皺になりにくく、英語でコンパクトリネンと呼ばれるものはポリエステルだろうと思う(私がコンパクトリネンという言葉の意味が分からなくて、他の人からたぶんポリエステルのことだろうと聞いた)。

自分がポリエステルの会社の社長だったら何を考えるだろうか、ニーズ的なものだろうと思う。たとえば、皺になりやすいリネンをだれもが使いたいとは思わないだろう。イージーメンテナンスな素材で安価でセールスポイントは多いのである。ファッション性などをメインに打ち出せば需要はあるだろう。スポーツ選手のユニフォームなど、転写式のインクジェットプリントで自由自在のデザインが作れるとか魅力ではある。すごくコンパクトなシステムで思い通りのものができるのは大掛かりにならない分、小ロット生産においてはエコだといえる。

今は、コットンまでもが諸悪の根源視されるようになった。枯葉剤というだけでなく、水を大量に消費するというところ。コットンはそんなに悪者か?コットンやめてリネンを着ましょうとか、私はリネン業界にいるけども、天然繊維の大きな部分はコットンが支えてきて廉価で誰でもが買えるインフラの一つなのである。コットンを着て良いと思う人がいればそれは一つの選択だろう。すべてをオーガニックにみたいなことを言っていると普通の物にオーガニックとつけただけになって、本来のオーガニックがあるべき自然農法的なものから遠い、どんどんビニールハウス栽培的なオーガニックになってしまう。まさに虫やカビなどの存在しない砂漠の中でのオーガニック。

オーガニックというのは余力でやるべきだろうなあと思うのはそこ、普通の物で利益を上げてその利益をオーガニックに注いで理想のオーガニックを一部でも続けていく。そうでないと、レギュレーションするもののさじ加減でオーガニックにポリエステルが入ったりとか、繊維の世界の人の概念からすると、天然繊維100%でもないものを平気でオーガニックと偽装する神経が怖い。まさに、商売のためのオーガニックだと思う。食品の世界でも偽装は多いけども、消費者を欺くような表記は駄目だろう。消費者というのは信じて買うのだから裏切らないようにしないと、利益を得るためにやっていても意図的に消費者を騙して金儲けするような方向になっては地道な繊維の世界の価値観を壊してしまう。

いろんな偽装が途上国からという風に思われるかもしれないが、案外、国内の業者さんが現地で1000円で仕入れたカシミヤのストールを何万円で売られていることがある。プロなら本物かどうか判断しないといけないのだが、売る人がカシミヤといってるからでは消費者レベル。そんな悪徳業者は日本の呉服の世界でも五万といて、よくいわれるのに、1のものを11にして売るのが呉服の商売であると。だから、本物の産地のものを自分の足で運んで売る行商の業者なんかが逆に成功をしたのである。もう一つ日本人の問題は、間違いはあるということをどこまでも追い詰める癖。基調が偽装ならどうしようもないが、必死に正しくやろうとしてもできないこともあるし、間違いもある。それを鬼の首を取ったかのように追い詰める癖があったりする。

日本の牛は全頭検査させて、輸入牛は目視検査とか、だらしない役人の内弁慶では、海外に日本の牛農家が市場を奪われるのは当たり前。日本のケアラベル表記にしても本来は日本人の選択方法に適したものが一番で、旧のラベルのほうが適切だったが、日本の業者が海外で生産して海外に売るようになって海外ラベルに統一する流れなんだろう。でも、繊維とはかけ離れ売るだけの人が管理しだして、日本の繊維もどんどんと薄っぺらくなってゆく気がしてならない。家庭洗濯といっても日本の洗濯機ではなく、コインランドリー洗濯みたいなものがベースのラベルなのである。日本の洗濯事情に合うはずもない。だから、シンプルなマークの下に、日本語の小さな文字でデメリット表示や注意書きがいくつも並ぶ羽目になる。

日本は四季があって服飾文化が栄えたところがある、それが海外に基準を合わせてゆくと、服飾文化というのは薄れてゆくだけのこと。それを業界自身がそっちの方向向いていたら単なる海外製品の輸入業者、すべてその感覚で縛ってしまうようなことはやめていただきたいなあと思う。日本のマークのほうが絵心があって分かりやすくてよいと思う。一番の問題は、消費者のこと考えていないのじゃないかと思う。


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