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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

12月末で

2020年12月04日

今、アパレルを中心とした繊維業界というのはかなり厳しい状況を迎えているけども、これはコロナだからというわけでもなく、コロナ前の11月とかでもかなりアパレル関連は落ち込んでいたから、逆に、コロナで雇用調整などの助成金が繊維業界を救った感がある。

林与は小さな会社なのでやらないといけないことに追われていて休むどころではないけども、多くの繊維の現場が仕事が少なく、企業の多くが雇用調整の助成金を使ってこの半年ほど半分休みにしているようなところが多い。それもこの12月末で助成金が終わることで、本当の厳しさに直面することになるだろう。

昨年の11月に大阪でのイベントに参加したときに、京都の企業さんが、この1年で、京都の整理工場の半分がつぶれるだろうと言われておられた。コロナ前の話である。オリンピック前で地価も上がっていた京都でその話。今はコロナで廃業を決意されたところも多いだろう、高級なものほど売るのが難しいような状況。

廃業を決意されるのには、例えば1m100円の加工の値段を10円上げるのに同意も頂けないというようなことで、10円値上げしたところで経営が大きく改善するわけでもなかろうけども、その10円の値上げすらもお客さんが認めず、廃業を決意されつたえると、お客さんが急に値上げしても良いので続けてほしいということを言い出され、辞める決意が固まったとおっしゃってられた。

また、近くの撚糸屋さんが廃業されたときにも、仕事が少なく廃業しなければならないとお客さんのところに相談にいったときに、そうですか、と言われて終わってしまって、一生懸命にやってたのが馬鹿に思えたとおっしゃってられた。

林与も昔は別の撚糸屋さんにいろいろと撚糸を頼んでいたけども、撚糸屋さんから合繊の撚糸が忙しく手間が掛かってしまう麻の撚糸はやめますといわれ、無理してやってもらうのも気の毒で撚糸物をやめた背景がある。その時はまだ糸なんかも良かったけど、今の糸だと撚糸も以前にまして難しいだろうと思うので正解な判断だったように思っていた。その後、小ロットで他の撚糸屋さんに頼んだ時も苦戦されていて、その工場も普通の撚糸設備は出されてしまったようだ。

昔は、リネンを撚糸すると落ち感が出てソフトで柔らかくなったのに、今は、落ち感が出ずジャリジャリ感が出てしまう。リネンの糸質の変化も含め、昔出来たことがどんどんとできなくなっている。5年10年が早いと思うのは、当たり前にやってたことでも、5年10年後にはできなくなることが多いから。よほど無理してやっていないと特色のある世界というのは保てないということだろう。そして一度消えたものはもう戻ることはほとんどないし戻ったとしてもまったく違う形だろう。


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