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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

答えをしっていること

2021年11月25日

仕事をしていて答えを知って仕事をしているのと答えを知らないで仕事をしているのとでは判断が変わってくる。問題が発生したときなどに、判断が変わってくるのも、答えを知っているか知っていないかというあたりだろうと思う。私自身、今まで現場で問題が発生したときにも、他の人が作業をしていた場合に、その問題が発生したときの状況を知らないことが多く、それでもこうやってこうやってこうやったからこうなったんでしょう、という憶測をすることが多い。

そういう憶測をすることは本来は作業している人の問題を指摘することにつながり怖い話なのであるが、避けては通れないところ。仕事の中で、そういう指摘をする人というのは働いている人同士ではほぼありえないことというのが、昔からの現場だったりする。経験者の人にそういう指摘を若いころからしてきたが、問題の解決が大事なのに経験の長い人ほどプライドが勝ってしまって問題の原因が自分の作業にあるときにはその作業を改めようとはしないもので、結果、仕事の本質がいつまでも分からないままでいることが多い。

私がなぜ経験の長い現場の人よりも答えを知っていることが多いかというと経験者のもつ先入観がないからということがあって機械の問題をみるのではなくて作業している人の作業の問題を考えることができるから。普通はがんばって仕事をしている人に駄目出しをすることは仲間同士ではなかなかできないもので指摘した途端に人間関係が崩れるというようなことも多い。

昔、出機さんの方が私に糸の重さの紙に書いた計算式を教えてくれたことがあったのだけども、その方というのは普段その計算式をほとんど活用されていないのと、私がその出機さんに糸を用意する時にはすべてグラム単位で計算をしてロスをみて糸を渡していることを知っておられないから、そういう式があることを私に教えようとされる。最初に仕事を始めた時からまず糸の重さと長さの関係を知ることから始めているので、現場で働いておられる多くの人が一度もやったことのない、糸量の計算を一日に何十回と計算機を叩いてやってきた。経験の長さではなく、答えを知っているのかいないのかが大事だったりする。もちろん、経験者の人のほうが答えを知っておられることもあるけどもそういうのを私は自分の頭のなかで理解して吸収してしまうからすぐに追いついたり、ちょっと違うんじゃないかと感じたりできる。

糸の量の計算というのは、織り巾とか織る織機によっても糸ロスが変わってくる。また、糸の番手によって、同じ式が通用するとは限らず、理論値と現実値が存在してくる。織物の規格によって微調整が必要だったりする。織密度や縦のテンションが異なれば織縮みみたいなものに差が出てくるし、加工方法によって加工での縮み率が変わってくる。糸自体も染ロス、整経ロス、織ロス、の計算。私が必要糸量を計算する時にはそういうところの想像も含めての計算の世界なので、単なる横糸が何キロ必要かという計算ではなかったりする。グラム単位で計算をするけども、実際は1k単位くらいに落とし込んで糸を用意するので、それほど細かい計算が意味のあることでもないのだけども、細かいところまで計算できるということはそれぞれの工程とその工程での糸量のロスなどを分かって仕事していることになる。それが結局、残った少量になった糸をどう使おうかとかするときにも生きてきて、少量の糸で織物のサンプルや作りたいものをつくったりすることができる力につながる。


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