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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

連帯意識

2023年10月19日

繊維関係の海外視察で、ある経営者の一人の方が非常にリーダーシップを取ってくださって、経営者たちをまとめてくださっていい雰囲気の視察をできたことがあった。食事会などあって、普通に個々が好きなものを頼んでプライベートな旅行に終わるのじゃなくて、支払いなどは経営者たちで払おうと持って行ってくださって、6人くらいの経営者が30ドル程度の支払いで接待という気持ちもまったくなく、世話になっている主催の方々や他の参加者をもてなす程度。

その旅行に参加した方々というのは次の展示会の時には、ブースにまで会いに来てくださる方も多くて、参加させて頂いていろんな海外の現場のことも知れたし、地場産業じゃない世界レベルのものづくりという現場の現実も知ることができた。その経営者の方も日本の繊維業界をうまく引っ張って行こうと献身的にいてくださるのが伝わってくる。その方も今は社長になられたけども、何百人も従業員を抱えながら、能力もありながら一方で心優しく、林与にも旅行中もいつも声を掛けていてくださった。

次の展示会でもバタバタしてばかりだったけども視察に行った時よりももっとなんかみんなが仲間で連帯感があって、旅行中も世界で一番おいしいカレーとかも誘ってもらって食べておいて思い出の一つになったりもした。経営者ばかりの参加でもなく従業員の方の参加もあったけども、従業員の方とも仲良くなれて、他の繊維の分野の知識というものをいろいろと教えてもらえて、高いレベルのことをやられながらもすごく高いのでなかなか売るのは難しいといっておられ、真似もされやすいのでサンプルリクエストなども注意はしていると行っておられた。

林与も麻織物をやってて幸せだなあと思えたのがその時で、他の会社と比べるとシンプルなのにそれでも仕事が続けて居られること。日本の市場というものが恵まれていると感じたのもその旅行で、日本の消費者の方というのが他の国の消費者以上に日本製の生地なども評価してもらっているのを再認識できて、日本で織物を作っているならもっと出来ることがあるんじゃないかと感じたのもそこで、損得とか考えていたら日本製なんて難しいだろうし、ましてや小さな会社や林与じゃなくても個人レベルが損得を考えてやってても評価なんてされることもないだろう。本業に徹して思いっきりやろうと。

けども、思いっきりやろうとすると、作業でも、準備でも、お客さん対応でも、私にしか出来ないようなことも増えてしまって、織機なども調整が微妙になりがちで、調整にしても私にしかできなくなってしまったりとかも増えて、お客さんの需要というものは増えるのだけども、一つ一つが問題の壁が高くなりすぎて一つの壁を乗り越えられないことが雪崩式に命取りになるようなことも増え始めた。

2008年にリネンデニム生地を林与がそれなりに形にして発表で、今も続いている商品の一つだけども1時間に1mしか織れないような織物。作ろうと思っても簡単に作れないからよいんだろうし、真似をしようとしても同じ苦労があるだろうから、我慢比べかなあと思う。令和の時代の初めのころにレピアで綿のデニムが試しに織ったのだけどもそれほど難しくなく織れたのとくらべて、量産をしながらもリネンデニムは手ごわいなあとつくづく実感。

他の生地の企画などもギリギリのものが増えすぎて、この15年で、リネンの細番手の糸もだんだんと弱くなってきているのも実感で、無糊で100番手くらいならレピアででもアパレルクラスの生地を織っていたのに、それが同じ銘柄の糸を使っても完全に無理になってしまって糊付けもするのだけども、それでも手ごわく量産が難しいとか。林与の現行糸での超細番手企画はちょっと様子見中。

普通の60番手の生成の糸を織るのが難しくなってしまっていて、これも林与周辺の地球環境の変化だろうか、前回も糸のねちこさみたいのはあって、ももけてきれてキズになったりもあったが、オーガニックの原糸を購入してからかなり時間も経っているので、フィブリル化みたいなものが若干進んで桃け度合いが端のほうはどうしても緩みやすい加減で、今回は難しいのかとかで、在庫がなくなったオーガニックリネンソフト仕上げの生成の生産も様子見中。

ビンテージアイリッシュリネンプロジェクトも、一生で一度は経験しておきたいなあみたいなプロジェクトだったし、昔の良い時代のものづくりを現代に復活するようなプロジェクト。他にも世界的にもリネンの広幅絣プロジェクトというのも、近江上布の横絣技法を応用した織物で、林与のシャトル織機の技術を活用したという意味では、応用的な可能性が広がるプロジェクト。それが今、手織りで再現するほうが簡単かと広幅の手織り織機を自作するような計画にも進化。

林与だけの問題じゃないと思える。今手に入るリネンの糸も高値ながら希少になりつつあって、従来の継続番手がどんどんと消えて行ってしまっていて、16/2の糸などは2年分くらい買っておいて本当によかったが、従来やっていた20/2の糸などは久しく手に入らない状況とかで、昔、量産していたものも今は作れなくなってしまってる状況。

今まで麻織物を横糸に扱われていた工場さんでも、どこか安く麻糸が手に入りませんかという相談を受けたりもするけども、国内ではリネン糸自体の入手自体が難しくなりつつあって、糸は過去最高値を更新中。ラミーやヘンプ糸も同様に上がって、企画の話をするときにも、その都度に糸の入手の話からそのときの価格での見積もりが必要な状況がコロナが明けた後から続いている。

受注生産形式のやり方ができたのが、糸の入手すらも難しいとなると無理だし。他に地元の染色工場さんも手いっぱいになられていて、染めるのもがんばってくださっててもキャパ的に難しくなってきている。加工工場さんも昔のようなペースでは仕事が回っていないとおっしゃられていたりで、縫製工場さんがおっしゃっておられるにも生地が上がってくるまでに半年かかるのが普通にとかの状況らしい。

でも、世の中をみわたせば、ウクライナでの問題やパレスチナのような状況が現代でも普通に起こっていたりと、いくら豊かになっても殺し合うことすらもなくならないのが人の世界で、まだ、地道にいろんなことを前向きに考え作業していられるのが幸せで良いことなんだろうと思えたりもする。種を撒いて育むようなことが出来たらなあと思うのがあって、自分で織物を織るような手織り体験をさせていただいていて、手織りをやってみたかったとか、やってみたいと思ってくれるお子さんが多くて、そういう機会すらも今はなかなか難しくて、簡単な織り方だけを最初に1分ほどお教えしてあとは自由に好きなだけ織ってみてと黒子に徹してサポート、そういう場を提供させて頂けるのが一番にありがたいことで喜んでいただけるのが幸せ。自分がやろうとしてできた充実感を味わい楽しみと自信をつけてもらう。教科書みたいなマニュアルもなく、いきなりの実践で見よう見まねでやってみて覚える、とか、そういう学び方もよいんじゃないだろうか。

考えや価値観が違うもの同士が交わるということは非常に難しく、他のものに頼みたいじゃなく、他のものを支配したいような考えをもつものがいるかぎりは難しいことで、お互いを認め合うような精神が大事で、林与の中では、人が階級的な意識を持つというのは一番駄目なことだろうと思う。上の立場の意識を持つならそれはそれなりに責任を背負うべきで、逆に面倒を見てもらいたいならいうことを聞かないといけないのも仕方ないことというのもバランスとしてはあるだろう。無責任な逃げてばかりの政治家みたいなのは一番駄目な典型で、そういうのを見逃したり正当化するような法律も駄目で、みんなが同じような条件で成り立たないと民主的な基本すらもが揺らいでしまう。最悪なのは美しいことを言って選ばれたのにそれを裏切って選んだものの責任だとかいう政治家とか、そこまで落ちてしまうと詐欺と同じレベルで駄目すぎるとおもうけども今の日本はそういうのが普通になってしまっているような気がする。


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