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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2009年12月12日
今日は、カメラマンの方が東京からお越しくださり、アイリッシュリネンハンカチのほうの撮影を行っていただきました。県立大学の研究所の方が今回の撮影をオーガナイズしてくださり、30年前のアイリッシュリネン糸をつかったこのプロジェクトのPRの最初ということで、ビンテージアイリッシュリネンがもつ糸そのものの価値を伝えられるような内容にしようと撮影を行っていただきました。

一番大事だったのは、淡い象牙色の1枚のアイリッシュリネンのショットだったのですが、それ以外にも、北アイルランド紡績なイメージを出さねばならないと、N.IRELANDとスタンプされた糸の箱なども使って撮影は進められていきました。未開封の元箱のほうには、輸入のためか、しっかりとMADE IN N.IRELANDの文字が書かれてあり、また、HERDMANS SION MILL TR12 LEA140などと印刷されたシールも年季が入って薄くなっているもののあったりするのですが、元箱のほうは大きすぎて、そちらの箱の全体画像は割愛です。

昨日は東京に出張しており、別件で発送しないといけない重用件などがありまして、私のほうは、午後からそちらも時間を取られており、少し撮影を見逃してしまった部分もあったのですが、夕方には、生地とハンカチ、上海にも持ち込んだストールなどのL140の撮影も完了して、夜には工場内のシャトル織機と整経機のショットも収めていただきました。

撮影のあと、夕飯などご一緒できるかと思っていたのですが、東京のほうに今日帰らないといけないということをお聞きしておりましたので、時間のほうも遅くなっておりましたので、片づけが済んだあとお見送りしまして一日の撮影が終了いたしました。皆様、お疲れ様でした。
2009年12月11日
今日は、東京の青山でジャパンクリエーションに関するシンポジウムが行われました。私が興味深く聞いたのは、布作りをしておられる方の言葉でした。布づくりは文化だといわれてました。リネンとは違いますが、綿デニムをやっておられる方、ニットマフラーをやっておられる方の生地に対する思いというものは、景気が良いとか悪いとかの問題ではなく、自分自身が作るという姿勢を一番大事にしているところで、それを抜きにしては、すべてにおいてものづくりが難しくなってきている日本で物を作る必要すらないだろうなあと思いました。

最後の質問コーナーで、韓国のメディア関係の方が、「昔は日本製と言えばよかったが、ここ10年ほどの日本製というのは良いものがない。なんでも、最近の日本製はすぐに壊れる。」ということを言われていました。ずばりだと思います。本当にものがよい悪いを判断できる本職の人がいなくなっているのも原因だと思います。日本のラミーにしても世界最高クラスを誇っていたのですが、国内紡績といわれているロットですら、昔から同じ銘柄の糸を使っていますが、最近のものはかなり質が落ちてしまっているのが実感でき、海外ものとの差が縮まってきています。

私の経験上シルクにしてもそうでした、カネボウシルクも、結局、上海やブラジルで紡績を始めて、国産よりもグレードが劣るということでしたが、それでも、世界トップクラスだったのですが、品質が完璧でなくなると中国の少し価格の安いものとの競争に巻き込まれ始めたのでした。日本産という砦を失ったときに、日本の文化的な産物ではなくなるのです。

糸を作る人はネップなどの数値で品質を見るので、実際の問題を経験しておられないことが多いです。染工程での問題、織工程での問題、加工工程での問題などが絡んで最終的な品質が決まるので、実績というのが非常に大事なのですが、ロングセラーの糸の品質が落ち始めたら要注意が必要ということです。不思議なことで、品質というのは上昇し途中から落ちてゆくものなのです。
2009年12月09日
今日は、夕方からストールの写真を撮影しました。撮影に使ったボディが着ているブラウス、パンツは、ジャパンクリエーション2010SSのときに、デザイナーのスズキタカユキさんが作ってくださったもので、林与の3種類の生地を使って作ってくださいました。ボタンなども貝ボタンを使用し、生地も紅茶で淡く染めていただくなど、デザイナーさん自身がいろいろな思い入れを、林与の布に託してくださったもので、スズキタカユキさんらしくナチュラル感もたっぷりです。

ストールですが、今回アップしましたのは、30年昔のビンテージアイリッシュリネンを蔵出しして織り上げましたアイリッシュリネンストールと、ハンカチに使われるクラスのリネン100番手を使用しましたシャンブレーストール、オーガニックリネン糸を使用して柄を組みましたオーガニックリネンストールです。どれも麻の老舗である林与がシャトル織機で織り上げている本近江織麻布です。

林与がお作りするのは、単なるリネンストールでなく、麻織物の老舗の布としての芸術作品としての要素を追求しており、置いておくだけでもオブジェとして素敵です。麻にこだわる林与が創り出す麻布の世界です。リネンストールのところに商品画像を並べてあります。リネンストールだけでなく、スズキタカユキさんによる一点物作品であるブラウスやパンツもご覧くださいませ。
2009年12月08日
今日は、彦根の組合の関係で、市役所で打ち合わせがありました。彦根市も地場産業としての縫製に力を入れてくださっており、市だけでなく、県単位でのプロモートに力を入れてくださっています。

その後、彦根市内の縫製の会社に伺い社長様のお話を伺いました。ブランド化ということが非常に大事で、「たねや」さんが成功しておられる話をしておられました。彦根地域においては縫製業が盛んですが、ブランド化というのはほとんどできていなかったといわれています。有名メーカーの下請けとして縫製業を営んでおり、差別化がはかれなかったそうです。

近江上布の機元の流れを汲む「林与」は、日本の麻のプロの業界の方ならご存知いただいていることが多いかと思いますが、一般の方に、麻生地のブランドとして認知してもらうには、これからではないかと思っております。彦根の縫製の大御所である社長さんと「林与」のロゴマークの話などお話してたら、今の何をやっても難しい時代に、「林与」さんは夢があってよいですねえとお褒めいただきました。みなさんも、来年の春の布の祭典、ジャパンクリエーションに「林与」のトレードマーク見に来てくださいね。
2009年12月07日
今日は、午後から大津県庁で、コラボ21しがやJETROさんなど公的な支援団体による貿易や海外パートナーとの連携に関する説明会があり、出席させていただきました。

いろいろな方の体験談などもあって、楽しく聞かせていただいていたのですが、JETROさんの説明で、繊維という産業が顕著な例で、繊維製品のほとんどが海外製になっているのをみても分かるようにと繊維を例にとられて海外で安く作ることのメリットを語られました。グローバルな時代なんですから海外でつくるほうが安くなるのだから海外でつくりなさいよ、といわれておられました。

日本企業が海外に進出することで、海外でつくったものが日本製であるかのような扱いで、より国内での生産が厳しくなるという悪循環が起こるのは目に見えており、紡績会社のなども国内の工場を順番に閉鎖され、商社化されていく傾向にあります。

実際にそうだとは思いますが、林与は、国内においても国産というだけでなく本場の麻織物ということを謳っているので、産地内での織りにこだわりたいなあと思っています。また、私も単に経営者というだけでなく、色柄をデザイン、規格し、織機を修理調整し、職人としての立場でもあります(林与の場合、代々が、職人以上に織物に精通していることが基本です)。そこが日本の麻織物文化を守る林与の特色です。
2009年12月06日
今日は、奈良のお客様がお越しくださいました。リネンの風合いのことなどに関しまして、いろいろとお話をいただき、今後の商品開発の参考にしていかねばと思うところも多かったです。ほかにも、リネンの風合いとシワになりやすさとのトレードオフな関係のことや、草木染のことなど、いろいろとお話して夕方には倉庫の生地を見てもらいました。

売れ筋の生地に関するお話も私のイメージとは違うものをお持ちで、私が知らないうちに時代が変わったのかなあと思ったりしました。私は生成がリネンでは売れ筋だと思っていたのですが、今は、あまり注目はされないということです。一番簡単に作れる生成などは、中国とかで作られる生地などがたくさん出回りすぎているのかも知れません。

先染かなあといわれていた布というのを見せていただきました。興味深かったのは、先染風にしてあったところです。フチに違う色のラインが入っていたのですが、たぶん、ラインにはポリエステルの糸を使用してあり、それが染まらないことを使って、反応染料で後染にして、先染風にしてあるのです。

先染っぽく見せる技法として、2浴染などもあります。リネン100%では難しいのですが、リネンポリエステルなどでは、2種類の染料を使って後染めで先染ライクに見せることができるのです。コストを抑えるための手法なので、今は、中国などが非常に得意としています。
2009年12月05日
今日も小雨がぱらついて、肌寒い一日でした。みんなには、「12月なのに雪が降らないだけましだよと、励ましました」。今日は、近くの縫製工場に行って、試作品を製作いたしましたが、思ったような仕上りにならずに、どのように改良したらよいのか、夜考えていました。
2009年12月04日
林与では、リネンに関するいろいろなことに取り組んでおりますが、その一つにウォッシャブルリネンというのがあります。綿麻や本麻というのは、アパレル向けでも手もみ加工などでは家庭洗濯を前提にしたシャツ地などを何年も前から手掛けており、ご好評いただいております。

リネンにおいても手もみ加工やナチュラルワッシャー加工においては、ほぼ家庭洗濯が可能な水準になっておりますというか、家庭洗濯を想定して布つくりしています。また、リネンでは人気のタンブラー加工を施した柔らかなタイプのものも、家庭洗濯できる水準にしています。

リネンというのは糸、織の規格、染、加工のどれかが悪いと、洗うたびに縮むという問題が起こりがちで、裁断前に水通しなども必要だったりするケースが多いのです。こんなに手間の掛かるリネンという素材がハンドメイドでなぜ人気なのかは不思議といえば不思議です。ハンドメイドで、手を掛けてやらないといけないところこそが、語るに値し布として付き合っていくのに値するという意味なのかもしれません。
2009年12月03日
今日は、肌着関連の縫製で、金属アレルギーの方にも使ってもらえるような樹脂ホックを探して動いていたのですが、なかなか、近くの資材屋さんには置いていないようで、縫製資材の商社さんに問い合わせして、サンプル用にお願いしているところです。

最近ではリネンのパジャマが人気ですが、リネンというのは、昔からヨーロッパで肌着に使われていた素材なので、ランジェリーという言葉ももともとリネンから来ています。最初のランジェリーがリネンで作られたという証なのでしょう。クラッシックな薄手のリネンというのは本当に高級に見えます。

通常の林与のリネンというのは、単にフランスやベルギーフラックス原料を使用しているだけでなくエコテックス規格100の認定を受けた中国の紡績工場の糸を使用しています。エコテックス規格100に関しては、http://www.oeko-tex.com/oekotex100_public/index.asp?cls=20をご覧ください。私自身は、素材品質の面で肌着などにも安心して使用できる糸を使用しているのではないかという気持ちでおります。

紡績工程、染色工程、製織工程、加工工程においても、さまざまな薬品が使われるため、実際には、生地の安全性の面では、フラックス原料の産地以上に、紡績、染色、製織、加工というのはかなり重要ではないかと思うのです。中国紡績糸や中国製生地が輸入され、アイリッシュリネンと謳われて大量に流通している時代なのです。

でも、これは中国の紡績会社の問題であるとは思えません、輸入の際には原産地証明が通常必要で中国紡績糸や中国製生地であると明らかに書かれているわけですから、日本国内の流通の過程で大量のアイリッシュリネンが生み出されいるのです。でも、裏返せば、中国紡績糸や中国生地でも、世界最高峰といわれたアイリッシュリネンとして信じられるほど中国糸の紡績水準というのが高くなってきたということなのではありますが…
2009年12月02日
今日は、夕方、カバンメーカーにカバンの生地をもって行きました。1週間タイとベトナムに旅行に行かれたそうで、いろいろと楽しい話を聞かせていただきました。ベトナムには縫製工場以外に織物工場もあって、すごく大きなシャトル織機が動いていたそうです。

県内にあるカバン屋さんで、どうせなら近江の特産品としてのこだわりの商品をつくりたいということで、林与の生地を使ったリネンのカバンを考えてくださっています。近江湖東産地で織られたリネン100%あるいは麻100%の生地であることを証明する近江麻織保存会の「近江織麻布」認定の表示ができないのかという相談もあり、商品のほうに近江麻織保存会の認定の証のラベルタグを付けて販売いただく形になりそうです。

県内の袱紗で有名なメーカーさんも近江へのこだわりということで、長浜のちりめんや高島のクレープ、そして近江湖東産麻布の使用を考えてくださっています。高級麻織物の産地として知られる近江湖東地域で織られる麻布というのが希少価値を増す中、産地においても100年以上麻にこだわり織り続けている他にない存在ではあり、今、どうやって、産地での麻を織るという伝統を残していこうかという問題に取り組んでいます。産地においても、中国をはじめとする輸入生地や多産地産の生地がほとんどとなる中で、伝統の近江湖東産麻布を謳える麻布にこだわる林与の姿勢に注目してくださるメーカーさんも増えてきています。

中国からはリネン生地などが十分の1くらいの値段で入ってくるので、それを買って売れば安く皆さんにリネン生地を提供できるとは思うのではありますが、また、「近江」と謳われていてもそのほとんどが中国や他産地で織られた生地だったりする時代になっていますが、麻の老舗の林与が売るからには本物の近江産であると信じて買われるとおもいますので、買われるかたの期待を裏切らないよう林与は産地で麻布を織ったものを手掛けることを大事にしています。
2009年12月01日
今日は、午前にお一人、午後からお一人来客があり、その合間を縫って仕事をしました。比較的、スムーズに流れてはいます。夜には、リネンデニムの開発の続きをやりました。

加工しておいたものが仕上がったので、仕上がりを見ると素敵です。JC2010AW展に出したものからかなり進化しました。105cm幅で1mが500gという規格で洗いを掛けてもとてもヘビーでしっかりとしています。麻織の林与だから織りにこだわりました。予想通り、しわも目立ちません。よい感じです。

縫製に入ろうとして細かく見ると横に段がところどころできていました。これは、本番を生産するときには大きな問題になるなあと思いながら、その原因を考えました。解決方法としては、機械の調整を行い大丈夫だろうと思ってい、調整後、今、織り進めています。

ものづくりというのは、自分でやらないとわからないことが多いので、極力自分で取り組むことにしています。これだけ、厚いと縫製のほうの家庭用のミシンではできないという問題もでてくるのではないかと思ってます。とりあえず、林与社内で、ジーンズのプロトタイプを縫製してみて、どんな感じに仕上がるのか見てみようと思っています。

昨日は、夜、頭が痛かったのですが、それも直って大満足な一日でした。
2009年11月30日
アイリッシュリネンプロジェクトのほうが、進んでいます。今、ネットで流れているアイリッシュリネンとうたわれているもののほとんどが中国などでの紡績だったりするのに比べ、本当のアイリッシュリネンを使っているということで、上海の展示会でも、ヨーロッパ人からも注目を浴びました。今は、染めないでそのままのアイボリーで織ろうと機を作っています。

ヨーロッパの人でも、もう、本物のアイリッシュリネン糸を織ったものを手に入れることはできない時代です。アイルランドで織られた織物という意味でアイリッシュリネンと呼ばれるケースがあったりすることもあったりするのですが、今では中国紡績糸やイタリア紡績の糸などが使われています。日本では量販系で安く、”アイリッシュリネン”と謳われていますが、いまやデッドストックの本物のアイリッシュリネンは入手がほぼ不可能になって、中国紡績糸やイタリア紡績糸が使われています。(北アイルランド紡績糸の情報をお持ちの方おられましたら情報お待ちしております。)

これは中国企業やイタリア企業が悪いというわけではありません。中国企業にしてもイタリアの企業にしてもアイルランドの紡績糸は手に入らないことを知っているので、そんなあからさまな偽装はしません。流通過程で、”アイリッシュリネン”に化けるようです。イタリア紡績の糸を”アイリッシュリネン”と呼ぶかたもあるようですが、実際のところではありません。

林与も使用しているフランスやベルギーのフラックスを使った中国紡績糸などは、量販系では、アイリッシュリネン、フランスリネンやベルギーリネン、ヨーロピアンリネンと呼ばれていますが、量販や資材系からするとプレミアクラスのリネンに相当するのかも知れませんが、服飾系では当たり前のことで、リネン業界のプロたちは、昔有ったような、超良質のリネン糸が手に入らなくなってリネンの質の低下を嘆いているところです。今の中国紡績も世界トップクラスでヨーロッパの紡績を凌ぐほどになり決して悪いわけではありませんが、原料の質に関してはフランス原料やベルギー原料であっても、昔ほどの良い原料は手に入りません。

本物のアイリッシュリネンというのは、量販クラスで言われるところの”いわゆるアイリッシュリネン”とは違って、原料の質から違うので本当に良いものです。展示会で見ていただいたリネンの目利きの方ほど、その違いを実感されていました。日本の昔の麻の良さと共通したものがあります。

けど、このことは、アイリッシュリネンだけにいえるのではなく、たとえば、西陣織や大島紬に関しても、韓国や中国から安いものがたくさん入ってきています。この前も、70歳を超えられる呉服商さんが引退されるということでご挨拶にきていただいたのですが、呉服に関する海外製品の産地偽装で呉服産地が壊滅的な状況に陥ったという話をされていました。どうも、産地で織れない量のものが安い価格で産地で出回っていることから、韓国からの商品のエンドを切って日本製のラベルを付けて売っているようだということです。近江上布に関してもネットでは安いものが出てきていますが???で、本当に近江湖東産なのかというレベルのものです。

なぜ、今、林与が産地での織りにこだわるのかというと、近江湖東の麻の産地でも今では麻を織られているところがほとんどないのです。高齢化も進んで織機があってもほとんど動いていません。麻織物の産地ながら輸入生地、キバタや他産地での織布になって、本当の産地の織物ではなくなってきているのです。織職人さんがいなくなり、織りの技術というものが消滅していく過程にあり、夏の麻織物の最高峰を誇った近江上布の流れを汲み、日本の高級麻織物の本場の近江産ですが、”近江”を語れども実際の近江湖東産地で織られたものというのは1割にも満たないと思います。アイリッシュリネンと同じ過去の産物としての道をたどりつつあるのではないかと危惧しています。そんな気持ちで、取り組んでいるのが、近江の湖東産地で、世界最高峰と謳われる本物のアイリッシュリネン糸の超細番手を織ろうというアイリッシュリネンハンカチプロジェクトなのです。
2009年11月29日
今日は、日曜日で休みだったので、じっくりリネンデニムの細かなところを煮詰めています。今回で3回目のトライになるほど、リネンデニムというのは奥が深いです。今までも麻関係のかた、ジーンズ関係のかたがリネンのデニムには取り組まれてきましたが今ひとつといった感じが否めません。

林与は、リネンの通年化企画の一環としましてジャパンクリエーションならびにインターテキスタイルイン上海でリネンデニムを提案いたしました。生地からジーンズの縫製まで林与の中でやって、ジーンズの形で展示したために非常に目新しさがあって好評でした。

履いた私自身は、見た目の高級感とコットンと違う履き心地に満足しています。縫製もリネンなので綿よりも硬く、何重にもなる部分は、業務用のミシンですらしんどい感じで手作業に近い縫製でした。

今回のトライは、やり始めてからすでに1週間以上経っています。織りに関する問題をどうクリアするのかが焦点で、並行してシャトル織機も活用して2段構えで進行しています。前回はうまくいったのに今回はうまく行かないというようなことが起こりうるのがリネンです。いろいろなカラーを展開できるように色のテストなども並行して進めています。
2009年11月28日
今日は、彦根市の井伊直弼と開国150年祭にちなんだ市民創生事業で、近江上布のルーツに関する講演会が彦根市のビバシティというところでありました。会場には、近江上布のファンの人がたくさん詰め掛けられ座る場所を見つけるのも難しい状況でした。

講演会の先生は、近江上布麻布史という本を書かれたもう90歳近い方で、お坊さんであり、いろいろな学校の先生をしながらいろいろな地域の歴史に関する書物を書かれた方です。紙に立方体を書いたときに、一つの角が90度か120度かという話をされながら話を進められていました。120度に見えるものでも90度だと書いても丸なんだという見方で、話を進められていたところには、現実的な柔軟な思想をもたれた方だなあと思いました。

文献を中心とした研究だったのですが、織物を作る側からすると蚊帳と近江上布は起源を同じにしているのかというと実際には、???だったりするところがあります。蚊帳機屋というのは蚊帳機屋で近江上布の機屋というのは近江上布の機屋ではないかと思ったりするのです。織物は織物でも使う糸、織る人もまったくちがったのではないかと思います。

今の時代においても昔の紡績メーカーさんや糸商さんとかはリネンといっても主に資材として太い糸扱われておられ、服地というのは呉服の流れを持つ機屋が作っているのです。歴史の一番最初が、エジプトのミイラの包帯の布からはじまっているので、麻織物全体のルーツまでたどられたと考えるべきなのでしょう。

林与でも近江上布絣を織っておられた親戚のおばあさんというのはもう一人しか残っておられません。そのおばあさんにしても話をきくと昔のことはほとんどよく覚えられていないというようなことですので、歴史というのは後から調べるのは難しいのだなあと実感します。
2009年11月27日
新しい加工の素材ができました。加工だけで10日ほど掛けており肉厚な感じに仕上がっていると思います。生成でナチュラルな麻の感じがよいですね。加工が織るよりも何倍も手間がかかってますので、つくり続けても一日に平均20mほどしかできません。

両方とも厚手ですが、若干薄いタイプと、密度の高いタイプの2種類ができました。見た目はカジュアルですが、ナチュラルなハイグレードとしまして価値の分かる方向けのシリーズです。リネンボトムなどを作られるのによいかと思います。

これをつくっているときにも、新たなリネンに関する私だけの発見がありました。自分で布づくりをするというのは発見の宝庫です。
2009年11月25日
今日は、JETROに問い合わせしまして、中国への商品輸出に関しましていろいろと話を聞きました。日本人が海外からものを購入するときに消費税と関税を払うのと同様に、輸入する企業は増地税と関税などを受け取りの時に支払う必要があるとのことで、相手企業さまにその辺りのことが十分理解していただけるかという点で交渉担当の中国の弊社の通訳とも相談しています。

ストールが1日でも早くほしいという熱意はもってくださっており、ものをつくるだけでなく、手続きの面も相手企業さまにも十分理解をしてもらった上で仕事を前に進めています。中国での銀行口座の開設に関しても現地法人を持つことが前提となってくるとのことで、中国企業と直接話をするときには決済面でスムーズに話が流れるよう現地での決済口座を開設し現地法人を持つことが大事だなあと実感しています。

考えてみると私自身でも海外から物を購入するときに海外送金となると手数料や諸経費などに関しても不透明部分が多く、中国のアパレルさんの担当者も日本に送金するとなるとそれ自体が大仕事で、まして初めての取引の相手に対して前振込みしないといけないプレッシャーも大きいとは思っています。今回の取引を乗り越えてもらいたいなあと思っています。

中国の展示会で、多くの現地企業さんが、「上海にお店がありませんか」ということを尋ねられていたのもそのあたりなのだと切に感じますが、その部分をどうやってクリアしていくかが大事だなあと感じています。日本から中国にFAXをお送りしましたら返事が来まして、FAXで契約書のほうが届いたという電話があったことを通訳のものに電話してきてくれたということで、中国向けはFAX回線も今ひとつ安定していないので、FAXを送った私自身がうまく送れたかどうか心配していたのですがひとまず安心しました。
2009年11月24日
今日は朝から、昨日お客さんに約束したスワッチを送る準備をしていました。そのお客さんのことは鮮明に記憶していたので覚えていたのですが、大きなサイズのスワッチが複数枚ほしいということで後回しになってしまっていたのでした。

生地のほうをカットして、各生地の説明などを英語で書いて、「林与」のロゴをあしらったパターンシートに貼り付けて、9マークを3セットつくり、2セットを上海、1セットをフランス向けに封筒に入れ終わり明日の朝発送できる状態になりました。さらに、上海の2セットのうちの1セットはニューヨークに向かうらしいです。

展示会後、スワッチ見本を送ったことで、展示会のときブースの壁に貼ったのと同じ、パターンシートにあしらわれている「林与」のロゴマークを世界のいろいろな国の人が眺めてくれるというのも楽しい気がします。たぶん、漢字を知らない国の人がみたら単なるロゴマークに見えるでしょうが、なぜか忘れられないマークになるのではないでしょうか。

中国市場開拓の件は、本格的に収益を上げていくには、やはり決済のほうで中国現地法人の設立が必要となってくるのかなあと思っています。今はストールや生地のテスト的な販売で利益はそれほど重要ではないのですが、増地税の問題などいろいろと自分やって壁にぶつかってみないと何が壁なのかすら分からないままではないかと思っています。あと、中国の服飾会社が積極的に弊社と取引したがってくれているのですが日本からの送料の件でどうしようという状態で、関税を払うなどの概念を当たり前に持っていてくれるかどうかも心配です。展示会においては、FOBよりCIF価格での取引をしたほうが無難だったかもしれません。

夜には、組合の理事会などがありまして彦根に向かいました。組合の新規事業のほうも開国150年祭と並行して順調に進んでいるようで、複数年にわたる計画で広がっていきそうです。
2009年11月23日
今日は、休みだったのですが、夜に企画ごとの糸量の計算などをエクセルを使ってしていました。

上海の展示会のスワッチサンプルをお送りするのが、希望のサンプルのサイズと枚数の加減で出来ていないかったお客様からスワッチ送付の依頼があって、明日手配を約束しメールなどしていました。
2009年11月22日
林与では、新しいリネンの加工に取り組んでいます。味のある厚地のリネンをつくろうと手間暇掛けた加工を試しています。まだ、1週間くらいは掛かりそうですが、出来上がると味があるものになると思っています。

この加工をベースにしたリネンの新しいシリーズを作り出します。素朴な素材に手間暇を掛けて味を出したシリーズで、リネンのナチュラルな良い味を出したいと取り組んでいます。
2009年11月20日
上海の展示会の成果で、ストールが中国企業向けに売れたので、英文契約書の作成に入っています。中国の企業でも日本の企業との取引を行いたいところは多いようで、非常に意欲的に、ストールの購入を進めてくれています。

今年、ヨーロッパ向けにストールを輸出したときには、信用取引に近い状態での流れだったのですが、今回は決済の難しいといわれる中国ということもあって、契約書を作成してからの生産という形を取ります。

現在の中国企業が信用面で不安が多いかというと、中国企業は大企業が多いので、逆に、日本企業に騙されるのを心配しているくらいです。中国の繊維関係の企業もたくさんヨーロッパ向けに輸出してヨーロッパ企業が支払いを滞らせることが多くなって、輸出する取引相手に対して警戒を始めているのです。

ヨーロッパに関して、産地、混率や品質面でかなり本当かどうかわからないというものが多くなっているのもヨーロッパの企業体質に表れているのではないかと思っています。材料として買ってものをつくるのが心配な時代になってきました。
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