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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2021年7月
リネン日記:8
2021年07月25日
今日は、エプロンの織機の立ち上げ。ドロッパーと飾りを500本分ほど増やす作業と、筬通し、織出しを行う。朝の7時くらいから作業に取り掛かり、3時くらいから織出しが始まったが、片方の耳が切れてしまいがちで仕方なく、本日の出荷を断念。

今日は日曜日でスタッフも休みだったので、母親に通した糸を取る役をやってもらったのだが、糸を受けるだけなのだけど私のスピードについてこれずになかなかそれが難しい。

作業というのはゆっくりやると疲れる。早くやるから疲れないというのが私のスタイル。畔から糸をとりわけ、ドロッパーを通して、飾りを通して相手に渡すのを一息で一気にやって前かがみになる時間を短くすることで疲れない。
2021年07月24日
今日は長栄座のキッチンクロス製作、もうすぐ織り終わりそうなのだけど、縫製も先に進めていく予定。林与の定番のミニキッチンクロスのダブルラインのタイプだけども、長栄座バージョンは、ベースの白は、オーガニックリネン糸を使用。

オーガニックの糸だけに、問題も多く、オレンジ色に見えるような晒せない異原子みたいなのがところどころ入ったりしていているのだが、オーガニックの糸というのは値段が高くても難しいなあと思う。普通の糸でこれほどに顕著なオレンジっぽい問題があることはほとんどないけども、これがオーガニックの証でもある。

オーガニックに正直というのはこういうことだろうと思う。オーガニックが品質が高いというのはあまり適切な表現ではなかろうと言えるのである。普通と異なる栽培方法で育てるんだから、安定した品質というのは難しくなる。同じ畑で作っていると連作障害みたいなものも出てくるから、年々品質が落ちてくる気がするのがオーガニックリネン。

オレンジ色にみえるような縦に線の入ったのは、よけてあるけど、オーガニックとしては当たりとして自分で愛用するか、普通に販売をさせて頂こうと思う。幸いだったのは、6年ほど前に買っておいた糸で、オーガニックなのにシャトルで耳までリネンで織れたこと、まだ糸が強くて助かった。一番心配していたのはそこだったから。
2021年07月23日
工場の前の街燈が、近くの電柱に雷が落ちてから点かなくなった。電球も飛んでしまって、センサースイッチも駄目になってしまったようで、電気工事の人がリフト車を持ち込んで交換しに来てくれた。

街燈の電気料金というのは、何時から何時まで使うからいくらという風に決まっているようで、LEDに交換してからは、安くなったとメンテくださってる集落の担当の方がおっしゃってた。LED電球が、すごく良い感じの大きなタイプ。

こういう街燈も、50年以上も昔から、集落の中の商売をしている家の道沿いにひとつづつ設置費用と電気代負担で、自主負担的なもので字の中の道を明るくするために続いている。今は町の管理の街路灯もかなり増えたので、存在価値は下がってはきたけども、昔、商売をしているとその余力で貢献するという栄えていた時代の名残。

実際に、この街燈が点かなくなってしまうと、道は本当に暗くなって、ご近所の方からも集落に問い合わせが届いている。あまり気にしてはいなかったけども、この街燈一本が、地域の人々の夜の安全のために役立っているんだなあと思え、価値を感じた。

私が子供のころは、まだ水銀灯だったので、その下に、夜、カブトムシやクワガタが集まったり、で、子供にとっては宝探しの場所であった。今はもう、夏になっても、カブトムシもクワガタも見かけることはほとんどなくなった。
2021年07月22日
フランスのブランドBICのオレンジボールペンが製造終了になるという話で、10年くらいは愛用していたので、なんか複雑な気持ち。テキスタイルの展示会で使っていると多くの方がそのペンに反応をして、このペンを使っている人が多いねという話になることが多い。

フランス製が中国製になりチュニジア製になったときに、それぞれ、書き味が大幅に変わった。キャップも付けずに何年放置しておいてもいつでも書くことができるボールペンだったのが、最後のほうは、そういうのも難しくなってきて、水性のジェルペンのほうが安定しているんではと思えるようになってきてしまった。

安くを求めて製造する国が変わると、価格は同じでも品質は落ちてゆく普通の流れ、安い物を値上げすれば受け入れてもらうことは難しいメーカーの事情もあるだろう。20本買えば、1本30円ほどのBICのオレンジボールペン、もともと安すぎてそれなりに独占的に愛用者を増やしたけども、チュニジアでつくっても価格の維持が難しくなってきたのだろう。

いつでも書くことができるボールペンがあることは安心ができた。だんだんとそういうのも難しくなっていくのだろう。もしかするとボールペンの油性の薬品が使用禁止になったとかなんだろうか。地球環境問題からすると、ボールペンの油性インクすらも今まで使えてきたものが駄目といわれ変更を求められることも多い。オレンジボールペンのインクは特殊な気がしてはいた。
2021年07月20日
シャトル織機の1台が、今日の暑さでモーターがオーバーヒート。この1台、この数か月動かしすぎで、ほぼつねにモーターは回っている。あまりにモーターが暑くなるので、ビニール袋に水をいれた水枕をモーターに当てて冷まそうとするけども、その水も今日の気温では50度以上になってしまって役を果たさない。

モーターというのは熱が上がるとまともには動きにくくなる。たぶん、内部は80度以上とかにまで上がってしまっているだろう。運転に入れた時にモーターに負荷がかかってオーバーヒートしてしまっていると、モーターが負荷に負けてしまって、初速が付かずにシャトルを挟んでしまう。こういうのも案外原因不明的な問題で、モーターの問題だと気が付かないと、調子よく動いている織機に、間違った調整を加えてしまって、織機の調子が崩れる原因になる。

シャトル織機のモーターは、レピア織機のモーターと比べると、5分の1くらいの電力消費で環境にも優しいのではないかと思う。レピア織機の場合には、力があるので空回りするのを強制的に止めるためにまた電気を使ってブレーキを掛ける。シャトル織機の場合には、クラッチを外すことで回転の伝わりがなくなり摩擦ブレーキで織機が止まる。
2021年07月11日
10年ほど前に面識のない機屋さんから連絡があって、織機のことを教えてほしいという話だった。もう10年経ってしまっているから機屋を続けておられるのかどうかは不明である。タイイングマシーンを探しておられた。私よりも10歳、20歳上の方だろうかと思う。

使っておられるタイイングマシーンがメーカーは同じでも、林与のタイプよりも古くて、タイイングマシーンの刃が製造中止になっていて手に入らなくて困っているというお話だった。林与にはタイイングマシーンが4台あるけども、もうタイイングマシーンも40年選手なので、何台も持っていた方が安心は安心である。

探しておられるものがピンポイントなので、それそのものがないとなかなか難しい。林与の持っているタイプのタイイングマシーンに買い替えるのも中古なら、本体、台、刃など含めて、何十万円で手に入るのでそれもお勧めはしたが、多分、ひとつ前のタイプに慣れておられるので、買い替えはされないだろうと思う。

仕事というのは作業だけでなく、仕事する環境から作っていかないといけないのだが、そのあたりが大変なことで、注文があったら問題なくつくれるのかというとそれも材料の安定性の問題もあって確実でないことも多くなってきている。

リネンの生成なんかも、色の安定度などは劇崩れで、同じロットでも色の変化の度合いは大きくなってきていて、昔はこんなことはなかったのにと、仕事すれば自分に何の問題がなくても結局失敗する可能性も何割か高まって来ている。

シャトル織機で織っていても織ることが難しい問題の度合いも上がってきている。量産できる規格のぎりぎりのあたりを規格にしている織物も多いので、そういう問題が毎回の問題のように起こる。どこの誰がやっても同じように問題は起こるだろうから自分だけの問題じゃないと思って、そういう壁は高ければ高いほど解決できるものにとっては悪い話ではないんだろうなあと思う。

解決できなければ仕事を受ければ地獄そのもの、良い時代の方々が今の仕事を受けてもこなせることはほとんどなく、今の繊維業界というのは実際に仕事の問題をつくるでなく解決できるひとしか残ってゆけない、解決してやっと仕事みたいなところがあって、解決できないと注文を受ければ受けるほど問題が増えて終わりな話。

どうでもよい仕事が繊維の世界にあるのかというと、ない話で、働く人もそういうものを求めていては仕事が難しい話で、目の前の仕事一つ一つを地道に取り組んでいくしかないという覚悟が必要だろうとは思う。

織った布を織るよりも時間が掛かる縫って直す作業。まだ、そういうことが出来る人だと残って行ける地力みたいなものがあって、そういうのが出来るうちはレベルも高い。良い時代の人たちが、そういうのが絶対に無理な話から始まる。

自分自身が他の人よりも仕事が上手じゃないと仕事なんて成り立たないのだけども、なかなかその辺りの話から食い違いも多く、仕事というのはやっぱりやる気をもった人がやっていないと、仕事の意味すらも見えてこないだろうと思うのは、林与の家の中の問題とも被る話。

2021年07月02日
時間の経つのが早すぎて、1週間がというよりも1か月、1年が経つのが早い。けども、毎日やっていることというのはたくさんでいろいろやっているから時間が経つのが早いのだろうと思う。いろいろやっているといっても、一つのことをやろうとするときに、どこまで良い状態に持っていくかは時間との戦いで、キズ一つ直すのをあきらめるのかあきらめないのかで、30分、1時間が変わってくる。30分、1時間使っても直らないと結局キズとして扱うことになる。

キズを直そうとする人というのは、織るときにも上手に織るものだけども、キズを直せない人というのは織るのも上手ではないことが多く、結局、織物を織ることができるかどうかよりも、結局最後は、問題のない織物を作れるか作れないかに関係してくる。織物の仕事は年を取ると仕事が難しくなってくるのもそのあたりだろうと思う。

昨日は織機の問題で、シャトルの杼箱の高さが杼台からずれている?おかしな現象。杼箱の高さを調整するネジの取り付け方がおかしい状態で、なぜその織機だけそんな風に取り付けられてしまっていたのかが不思議で、それが原因でネジが緩んで杼箱が下がってしまっていた。

今日は、リネンデニムの立ち上げをやって比較的短時間でうまく織れ出したのだが、途中やっぱりいろいろと問題があって、そういうのを当たり前に乗り越えてゆかないと、そこでリネンデニムも織れなくなって生産ができない話になる。原糸から選んでの生産で糸のチョイスが違えば、同じ規格でも転んでしまう話。原糸のチョイスを失敗すれば織れなくなる織物の一つ。織る人にもかわいそうだけど、こうやってこうやってこうやって織ってみたいな手順を守って織ってもらうことが多く、言われたとおりにできない人には織ってもらえない仕事。

今、林与が、先代のころには織れなかったような織物が織れるようになったのも、いろいろな私の持っている手順を守って仕事を進めるからで、そういう手順を理解して守れないとやったら失敗する仕事になる。材料や設備だけでなく仕事を一緒にする人も大事で、すべてが揃って、正しく動ける前提があって、昔織れなかったような超高密度や超細番手、リネンデニムなんかが織れる。織れない原因や問題の原因が、織機や材料ではなく、人の問題であることが多く、作業する人の素直さというのは一番に大事なことだなあと思うのである。
2021年07月01日
7月は、涼しく始まる。工場の中の作業、ありがたい一日、スタッフも暑さを気にすることなく経糸をつないでいてくれる。3600本ほどの経糸を一本一本手で繋いでゆく。だいぶ慣れてくれて途中ばてることなく、一日中糸をつないでくれている。

タイイングマシーンで繋ぐよりも手で繋ぐ方が切れやすい麻糸の場合には楽かもしれない。今回3600本ほどを1日ちょっとかけてつないでくれたので、今度からは3600本は手で繋ぐことになりそうか。まあ、それでも良いだろう。

手織りの着尺が1000本前後なので、その3倍以上になってビームも重くなるけども、基本は同じだが、淡々と3000本をつなげる人というのはそう多くはないだろう。そういうのが出来る人というのはやっぱりすごいなあと思う。

新人のスタッフも3か月たって慣れてきたのを感じる。慣れると作業が空気みたいな感じになって感覚的に仕事ができるようになるし、感覚的にやった仕事を頭を使って確認して極力間違いや失敗を減らせるかが大事になってくる。慣れて頭を使わなくなると大きな失敗につながったり、新しいことや高度なことができなくなってしまったり。