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リネンや麻を織る日々をつづっています。
ホームリネン日記2023年9月
2023年9月
リネン日記:14
2023年09月30日
今日は、納品の途中で満腹ハンバーグダブルというのを食べた。この1週間ほども仕事に追われまくってたので、昨日の夜も、朝も食べてなくみたいな状態で、昼前に思いっきり食べたいなあと思って、思いっきり食べられそうなまんぷくハンバーグにした。

ミンチ肉だけでもたぶん普通のハンバーグ2個分X2くらいで、500g以上は使ってると思う。たれに刻みニンニクを入れて、無茶苦茶おいしかった。でも、なぜか1個食べたくらいで満腹になってしまって、えっとおもった。今までこんなことはないのが林与なのに、年取ったんだなあと。それでも、2個目も食べきって、出発。食べる前と比べるとすごく元気になった。食べた肉とニンニクのエネルギーが注入されたのだろう。

ニンニクも2か月ぶりくらいじゃないかなあ、思いっきり食べたの。疲れていたのを忘れることができたので、インターを降りてから手ごろなの食べようかどうか迷ったりもしていたが、ほんと食べて良かった。ごはんもおかわり自由とあったけども、結局、最初の大もりでお腹いっぱいになりそれを食べ切るだけでも、縫製用に調子だしして好調に動いていた15年使っていたミシンが壊れるなどドッタンバッタンでなんとか、JUKIのポータブル職業用ミシンを引っ張り出してきて縫ったんだけども、やっぱり、新品だと60万円以上する本縫いミシンの安定性というのは、15万円くらいのポータブル職業ミシンではまったく敵わないなあと感じ、そこそこは綺麗に縫えているのにミシン目の美しさを欲がでて、3時間以上も上糸と下糸の調整とか。新品に近いポータブル職業ミシンなので普通以上に綺麗に縫えているのに、そういうところが、本当の本縫いミシンの何時間も掛けて調子だし済みの縫い目の綺麗さに慣れてしまうと満足が出来ずに駄目だなあと思う。

林与に本縫いミシンが2台とオーバーロックミシンが入ったのは15年前、そこから小物なども自社内で作るようになって、いろんな広がりができてきた。子供のころに剣道を教えてくださった剣道の先生がミシン屋さんで修理もされていて、壊れても面倒見るから思いっきり使えみたいなことを言ってくださって、一度も修理に出す必要もなく15年、そういう本当のとことんの人間関係というのは、私が子供の時からの剣道の先生のボランティアで、なぜかそういうのが本当に世のどこを探してもなかなかありえない世界が、生まれ育った愛知川町にあったのをすごいことだなあと思う。
2023年09月25日
定番の生成を織るためには糸の色味が安定した生成糸が必要なわけですが、今の現状は糸の色味の安定したロットの糸を探しているような状況で、L25番手の生成在庫が残っている以外は、L40番手クラス、L66番手クラス生成の生産の目途が立っていない。今年手に入れた、安定した品質の銘柄ということで定評のあるL25番手の生成にしても5mから10m織るごとにかなりはっきりとしたオーガニック糸にときおりみられるような1cm程度の白い帯のようなものが見受けられ、昨年度取れた原料というものが生成に関してはかなり不安定であることを心配している。

今年度の作柄に期待して来年の紡績が始まり3月くらいの初物を待つのが良いのではなかろうかと思ったり、L40はハニカム生産用に数年前に確保した分が120kgほどあるので、その半分を定番用に回すこともできるけども、そのロットの糸もまだ色ムラなどの問題があるかどうかのテストが出来ていない状況。生成主体のアパレルさんなどは、どうやって今の状況を乗り越えられておられるのだろうか、糸商さん関係は、生成と謳わないで、生成りに近い色に染めて生成りっぽい生地で代用をされているところもあるようである。

糸値が高騰している中で、生産しても危険がともなうような状況で、一番くらいにベーシックなリネンの生成の生産が糸の問題で難しいというのも非常に困った話。ベーシックであるとは言いながらも、20年くらい前は普通だった生成の色の安定性というものは、今手に入る糸ではもう保証はされておらず、箱から出した糸をそのまま整経してしまうと縦の色ムラで全没になることも多く、同じ糸の生産ロットでも箱ごとに1ロットと考えて、整経も散らしながら使っていたりする。シャトル織機で使う横糸もシャトル織機では管ごとに色ムラになりやすいので、その問題を避けるために糸の管理を注意していたりする。

糸というのは紡績できればそれでよいというのではなくて織物にしたときに問題がないことが大事で、糸商さんにしてもこういう問題を糸が抱えてしまっているときにお客さんとの対応というのは大変なことだろうと思える。紡績工場においては同じ番手でもオフ白より生成のほうがやや値段が高いというのが普通だったりして、紡績工場においても普段から色味のコントロールに関しては苦戦もされているのだろう。

生成と呼ばれるものは匂いだと気に藁のようなにおいのする生成があるがそれが無漂白の生成。一般に生成と呼ばれるものはややマイルドな色味をしていて、その理由は8分の1晒と呼ばれる漂白が掛かっていることが普通。アパレル向けなどはそういう糸でないと藁っぽい匂いで使えない。たまにウォーターレッティングの糸なども匂うことがある。色がゴールド味で、藁のようなにおいがするなら、まったく晒を掛けていない生成りだろう。

そういえは廃番になったエジプトのウォーターレッティングの生成もたしか在庫がどこかに300kgほどあったはず、その糸も強度が普通よりも弱く、あと糸の色ムラが強烈なので、使う時には非常に注意が必要で、注意していても縦にややすじばった感じがみられるけど、もうそれはその糸の味としてとらえていただくしかない。糸自体が非常にナチュラルな作り方で品質を安定させきれていないんだろうけども、そういうコンセプトというのもよいことだろうとは思うがアパレル向けに使うとかは非常に厳しかった糸。でも、アパレル向けにシャトルで織ってその味を楽しんでもらいたいと思って糸の国内在庫の残りを買った。昔、ネスカフェゴールドブレンドのTVCMに山本寛斎さんだかがでてて、子供ながらにインスタントコーヒーのすごさを植え付けられて、今もインスタントコーヒーで十分で、しいての好みは、ブラックで飲むキリマンジャロの酸っぱい系のテイストが一番好きなので、結局林与のコーヒーのテイストにしても、今は本当に希少になったキリマンジャロが自分の口になじんでたとかは、一般の高級テイストと整合するように出来上がってはいる。

もう10年以上前になるだろうか、リネンバードさんの10周年記念のトーションのグリンのストライプの生成部分はその特別な生成を使い、ネイビーストライプの生成りはグレーの通常のデゥーレッティングの生成を使わせていただいた。グリンのほうが織るの何倍も大変だった。でもそういう特別なシチュエーションに使っていただくようなものは他ではやらないような発想の特に苦労するような布が良いと思って、糸ももう残っているだけで次の予定はないということを聞き、残りの糸はとりあえず買っておいた。
2023年09月24日
10月からインボイス制度が始まるのと、1月から電子帳簿。

インボイス制度というのはやはり、大きな負担になるだろうと思う。一つ一つの消耗品にしても、相手先の番号などを意識しないといけないので、事務負担的なものが無茶苦茶複雑になってしまうと思う。なぜこんなのだけすぐに決まって数年で実施されてしまうのだろうか、林与は株式会社なので、消費税は納めているけども、仕入れ先が年商1000万円以下の個人事業者の場合にはインボイス番号がないから、仕入れ消費税を控除できないことで、今は減免措置もあるけども将来的には仕入れに対する消費税分を余分に納める形になってしまう。仕入れ先との話し合いをしないといけない問題と、うやむやな答えしか用意されていない問題がある。制度自体こんなうやむやな形でよいんだろうかと思うスタート。

インボイス制度で、申告を断念した人たちが仕事をやめたりもあるだろうし、相手から仕事を切られてしまうケースもあるだろうし、処理が面倒すぎるので商品の購入自体をやめることもあるだろう。10月以降、経済や消費が落ち込むんじゃないだろうか。多く増えた宅配業者や食べ物のデリバリー業者なども、消費税の計算などの申告が個人レベルでは難しく辞められる所は増えてくるだろう。大手の企業が消費税を肩代わりすることもなく、関係を切ってしまうだけのことだろう。大手宅配業者でも3万人とのメール便などの委託契約が終わるなどインボイス制度に絡む、サービス提供の終焉は多く起こるだろう。個人では絶対に難しい日本の税務申告、日本の内職さんレベルが支えてきた大手のサービスの末端の世界を崩壊させてしまうだろう。

電子帳簿というのも、データをUSBに保存とからしいけど、SSDに保存しても、USBに保存しても飛んでしまうことは多い。電子保存したところで、それに何の意味があるのかというと、電子保存も可くらいにしておいた方がよいのではないかと思う。全部電子保存にしてしまうリスクというのは無茶苦茶危険で、消えた年金記録みたいなことを国でもやらかす。USBが認識不能になるって普通にあり得ることだし。SSDにしてもハードディスクよりはクラッシュしにくいけども寿命はあるから。今はレッツノートでシステムが起動できなくなることはほとんどないけども、DELL使ってた時にはシステムが立ち上がらなくなり再インストールとか頻繁に必要だった。デスクトップパソコンが安心かというと実は、デスクトップパソコンは電源の寿命が案外短くて、電源がいってしまったときに、同時にデータも行ってしまうというようなこともありがちで。ノートパソコンはノートパソコンで衝撃が加わりやすいし、レッツノートでも不安。

紙媒体を使わないのでそれがエコにはつながる可能性はあるけども、一個一個ファイルを開いて中身を確認しないといけない手間というのは相当な苦労。紙媒体だとパラパラとめくって探しやすいのが利点。あと紙媒体は感熱紙でもなければ半永久的にデータは残る。
2023年09月24日
お客様のオリジナルの1枚のパネル柄のキッチンクロスがサンプル縫製まで完成した。途中、他の仕事と並行しながら長い道のりだった、まずは2色の色ビーカーから始まってそれが1か月ほど掛かって、糸は特別の良い糸を使ったが、その糸のサイズがばらばらで、一つ1kgに巻くのに何日も掛かってしまい、糸の染も染工場さんの予定を狂わせてしまい、8月終わりころに染まりあがって来て、糸をまくおじいさんも目の手術で糸は自分で巻いて、整経して織ったが、タイイングマシーンが不調で、油洗したりして、ハンドルの回転が軽くなって快調かとおもいきや、最後のほう300本くらいが結べてなかったりで、手で糸を拾って結ぶ作業を2日とか、織りあがって加工も投入予定が遅れてしまって、加工工場さんにも急いでもらうために迷惑かけて、昨日上がってきた反物、それを昨日縫製して、今日、先方に届いて、ごらんいただいて満足してもらえたので、若干の変更などはあるかもしれないけども、ひとまず安心。

一番心配していたのは、きっちりと大きさがデザインされたものなので、それの大きさと異ならずにつくれるか、うっかりの計算ミスとか、加工での縮率計算などがどこまで再現性があるのかなど、多分大丈夫だろうと思っていても最後の最後の確認で、違うところがあったりしたら大失敗ということになる。この仕事は、糸の染色と加工以外の、織物をつくる工程は、ほとんど私一人で作業しているので、途中で何度も何度も確認をする。ひと縦125m分の整経を2本織ったのだけども、115mくらいは織れるんじゃないかと思ったが、110mくらいしか織れなくて、大きな白のタイプが若干少なめになったくらいだろうか、失敗といえば失敗は。

一人で作業をしていたのでまだ途中での問題なども比較的に乗り越えやすかった。織ってくれる人がいたとしても、織ってくれるだけの部分なので、織物としての規格設計は私でパンチカードなども私がつくる、そして織る人が別だと織る人というのは与えられたまま用意されたままを織るだけなので、なにが正しいのかとか分からないままに作業が普通。そういうのって、ほんとうによくないのこと。普通の織物に見えても、縦にキッチンクロスをふたつ取りするようにデザインされた織物なので、内容的には非常に高度な織物の部類に入る。そういうのを一回勝負ですべての作業を自分でやって完成させることができる人というのは、手織りだとまだ織られても、工業的な生産で私以外では本当に珍しいだろうと思う。

ここまでできると大変は大変なのだけども、そういうのが全部できると織物の作業のことがすべてくらいに見えて、自分が間違いなく作業ができれば正しい織物が織りあがって来るという、すべての結果は自分次第という責任感というか覚悟も備わると思う。デザイナーさんの規格書をみて、それを織物に居りあげるまでの一連の作業を1度でも全部自分でやってみるというのはすごく大変だろうけどすごく良い経験だと思うのである。林与が麻織物の1から10まで知っているだけでなく、その作業全般ができ、その作業全般の機械の調整や修理などもできるというのは、今は業界でも本当に珍しいことだろうと思うが、昔は、一人親方的な織物工場だとそういう人はおられたりもしたと思う。

サンプルの縫製は生地のあがりが遅れたということで林与がサンプル分の縫製することに、色の合いそうなミシン糸を手配してタグも届いて、仕様書に従って縫い付けてみたものをデザイン事務所にお送りして、ファーストサンプルの確認が取れた。作業中に気が付いたこととして仕上がった反物の風合いがすごくソフトで良い感じ。今作った生地だけども、昔の生地にあるようなよい生地の風合いと光沢感をしている。
2023年09月23日
林与はコロナ禍においては、アパレル向けの生地生産をかなり減らした。コロナが明けてアパレル向けの生地生産ろうとしても、アパレル向けの生地生産に戻ることが難しい事情が、いろいろとあって、アパレル向けの生地生産は非常に限定的に留まっている。一つの要因として、林与の中での生産キャパ不足、リネン価格がかつてないほどの高騰で糸の入手すらもが不安定気味であることが一つ、また、染色工場さんが非常に仕事が詰まっておられ多色の急ぎの染色することが難しいこと、加工方法によっては加工の納期が見通しにくいこともあり、5年以上前まで海外対応もしていたようなアパレル向けの短納期対応が難しい状況で、展示会受注形式のアパレル生産への対応は、基本的に受けると協力工場さんにも負担が掛かるので半年以上の余裕がある場合や使用する色数が少なかったり納期の読める加工の場合を除いてはお受けできないような状況が続いている。

繊維関係の製造業の現場を抱えておられる工場さんというのは、かつてないような負担が強いられてしまっていて、例えばインボイス制度の導入なども、林与は、適格事業者の登録はすませているものの、個人レベルの方というのは免税業者扱いで消費税を取っておられても、工賃を支払う林与がその分の消費税に関しても負担しないといけない可能性がでてくるとか、国が自分で消費税の徴収をすることなく企業に消費税の徴収をさせていたような今までの状況だけでなく、インボイス制度の導入においてもさらに不透明な要因をつくっていい加減な形でのインボイス制度の導入。零細な事業者に事業者登録は強いませんよといいながら、登録しなければ登録していない事業者に支払った分の消費税は仕入れ控除できずにその分は仕入れた側の業者が消費税をもう一度払う形になる。それを避けるためには仕入れ先が登録していない場合には消費税を取るなとは言えないので、消費税分を値引きしてもらうようなへんな形しか解決方法がなかったりとか、あきらかに問題がややこしくなるような導入の方法。1回が、一つ1000円の作業工賃であってもその処理が付きまとうのでそれは事務処理的にも本当にややこしい話。国は企業に生産効率を上げろとかいろんなことをいうのだけども、このようにいい加減すぎる導入をやって、いままで以上に企業が対応を迫られるみたいなおかしな形。もっとシンプルな形の消費税でないと消費税処理一つが、自分じゃなく取引先が適格事業者がどうかで消費税の処理が変わってきてしまうとか、本当に複雑になりすぎ。

さらに消費税の一番の問題は、消費税というのは輸出消費税還付というのがあって、輸出大企業の場合には、みんなが払った消費税を輸出した企業が売り上げの輸出割合に応じて還付してもらえるような制度があって、そちらのほうが消費税が上がれば上がるほど、輸出企業が消費税を納めることなく、仕入れ消費税までも雑収入?として企業収益としてしまうような構造で、最終的に利益があがれば法人税は払うのだけども、そういうからくりで一般の人や企業が消費税負担が当り前なのに輸出大企業は消費税が上がれば仕入れ消費税分を自分のものにすることができる。経団連が消費税を一生懸命に上げようとしてるのもそういう意図で、自分たちの腹が痛くないどころか消費税還付で儲かるからで、そういうのって日本の財界人のどうしようもないところで、国民に負担しろで自分たちは消費税を国のように取ってしまう。せめて、黙っているか、一般の国民の方の負担分が増えたり、仕入れ企業の払った消費税分まで自分たちが還付を受けてもらえるから、消費税を上げたいんだと正直に言ってもらいたい。昔から日本は、経済1流、政治5流といわれることが多かったが、今は、経済人も国民のことや全体のことを考えることも無くなった気がする。
2023年09月21日
林与が麻生地をみるときに自分自身の価値観を持っている。良いなあと思える布は、作った人の感性の凄さが怖さみたいなもので伝わってきたりする。それが素敵にかわいく見える布だったとしても、単にかわいいだけじゃなく自分が届かない世界の人が作ったのではないかと思えるような、作られた方の仕事へのとことんな姿勢のみたいなものが感じられる。

自分自身の作った布だと林与の小さなダブルラインのミニハンカチみたいなものも、仕上がり36CM角ぐらいの他愛のない他にもありそうなハンカチだったりもするけども、あのハンカチというのはどこにもっていっても好評で、私も自分が作ったものながらもお気に入り。シャトル織機の特性を生かした着尺幅のリネン織物の上下を三巻で仕上げるビンテージテイストのハンカチ。それがほぼ正方形に収まるようにライン2本づつを上下と左右に配置する。

一般的には、ナチュラル仕上げで仕上げたものが素朴ながらもなんか懐かしいような昔の生地の世界を彷彿させる。お店ではあまり見かけないタイプのリネンハンカチ。1Mで3枚も作れてしまうから織物としてはそんなにも難しいものでもないけども、そんな織物が素敵なハンカチに仕上がるところが素敵で林与自身が良いなあと思うところ。このシリーズもたまにしかつくらないけども、今までに何千枚も作って多くの方に使ってもらったシリーズの一つ。ダブルラインの他にも、ヘアライン、ウィンドウペン、キッチンチェックを、赤、青、グリンの3色で展開。

作り始めた当時はそれ専用にリネン40番手の糸を何百キロか確保しておいた。良い年の作柄の糸で白度が高く、洗い上げた時に真っ白なハンカチに仕上がりやすい。シリーズなので、追加で作るときに、色柄ごとにベースの糸の白度のブレが以前のものとないように、ある程度の糸を確保していたというのが理由。ダブルラインのキッチンクロスなんかもそういうのを考慮してベースの生成りの色などがぶれないようなモノづくりでスタートする。

生地なんていつでもつくれると思われるカモしれないけども、良い糸が手に入って問題なく織れるときになるべくたくさん作っておくのが林与的にはベストのものづくり。同じものをつくろうとしても糸から手に入らないこともあるし、糸が手に入っても同じような仕上がりにならないこともある、掛ける織機が異なれば微妙に完成度というものが劣ることも多く、調子のよい時に織ったものというのは無理なく織れているので美しい。

ミニハンカチは、レピアで広幅で横に3枚取り出来たりもするんだけども、まあ、そういう効率を求めないのもこだわりのものづくりで、昔ながらのシャトル織機でがっちゃんがっちゃんとものづくり、林与の自社製品としてはそういう作り方もありだろうと思う。お客様の仕事とは別途に、織機が空いて、手に余裕が出来た時に、こういうものなら多くの方が欲しいと思ってくださるから作って積んでおこうみたいな、たくさん作ると売れてなくなるのに7年8年掛かることもある。新しい人が織る練習をするのにも、お客さんの仕事だと失敗やロスが許されないので、こういう自社製品向けの生地を織っている織機で最初の練習してもらうことが多い。
2023年09月18日
弟が明日東京に戻るというので、今日のうちにと弟に正月前に購入したテーブルソーの組み立てを手伝ってもらう。買ったときにはすぐに使えるものと思っていたけども、かなり組み立てが必要で、体力も使うので、私が織機などを動かしながらも、弟は外で組み立て作業をやっててくれる。夕方近くになると蚊に襲われはじめ、まだまだ蚊は一杯いるんだなあと実感した。

工場の中に持ち込んで最終動作の確認で、小さな木を厚さ1cm幅5cm長さ60cm位の角棒を斜め30度くらいに尖った裁断してみると、相当の回転の力があるのか、木の断面はかなり綺麗に切れて、丸のこで今まで苦戦していたのとは大違いな感じ。晴れて、手織り機の木工の部分も安定して出来そうに思える。工場の中で作業すると木くずが収拾つかなくなるので、明日朝外で作業をしてみよう。プロが使う何百キロもあるテーブルソーとは精度なども違うけども基本的なことはいろいろと出来そうだから、木工の試作に関してはこれからははかどりそうな話になる。組み立てるタイミングをみつけることができず買ってから9か月10か月ぶりに弟の助けもかりてやっと組み立てることができた。
2023年09月16日
昨日、久しぶりに立派な入道雲が鈴鹿山脈から湧き上がっているのが見えた。ほんと9月なのに。9月といえば子供のころはそれには至るところに赤とんぼ、今は、一匹も飛んでいない。水中の虫なども全部死んじゃったんだろうなあと思える。昆虫系に良く効く農薬が多用されていてアウトなんだろうなあ。

蒸し暑くても、雨が降らないから、蒸し暑いまま。9月の半ばの夜なのに30度近いとか、今年も暖冬予想で、もしかすると今までで一番の暖冬ということになる可能性も高い。工場でもまだ夜でも暑いくらいで、細い切れやすい麻を織るためには雪に閉ざされたような環境がベストなのに、暖冬化は、湖東産地でも麻を織ることが難しくなってきた理由の一つだろう。

もう一つの問題は原料の問題で、リネンの原料のフラックスはヨーロッパの涼しい気候が必要と言われているのだけども、温暖化で原料の発育環境すらもが昔とは異なって来ていて、ナチュラル感はあっても、昔の糸に感じられるような均一性的な良質感を求めることは難しくなってきた。ラミーの世界がまだ、糸の均一性が保たれているが、昔はリネンもラミーに近いような糸の均一性があった。

地元の染工場さんが忙しくされていてコロナが明けて景気回復で忙しくされている部分もあるだろうが、他の産地の染工場が廃業されたそうで、その仕事が回って来て忙しいのだと言われてて、業界全体としてはコロナが明けて逆に廃業という流れもあるよう。また、別の工場さんがいっておられたことに、昔のようには、同じ量の仕事があっても昔のようには回せないというようなことをいってられた。一人で二人分三人分も仕事を回せるような人が少なくなったということだろう。

飲食関係だと、盛り付けなんかでもすべてがまったく同じ必要もなく、目玉焼きにしても、目玉の位置が完全に真ん中である必要もないし、コーヒーの量が多少多くても少なくても問題ないが、繊維業界というのはそれ以上に厳しい基準で指摘が入ったりする。高い品質というのは外に求めるのではなく自分の中で生み出していくような努力も必要だろうなあと思うし、そういう努力があると他では使えないような特別な素材が活用出来たりもする。

今、SDGsの流れでアパレルロスがいわれるけども、アパレルというのは、1反50mに5か所以上のキズでB反として使えないとかいうのが普通でやってきた。そういう業界が使える部分をうまく使ってのものづくりに変われるのかどうかが、SDGs的にみても使えるものをうまく使う力がないという問題。今、SDGsがブームになって、残反を使うとかが良いことのような風潮になり始めるとアパレルも動き始めたけども、アパレルの人自体が布に価値を感じていなかったりして、キズのある布でも使えると使ってくれるのは腕のあるアトリエを運営されているような方とか、自分で裁断してが当り前みたいな方だとそういうのそんなに大きな問題でもない。



林与のアイリッシュリネンハンカチにしても正真正銘の50年以上前の昔の糸を使っていて、前回の整経には、半年以上の時間を使った。その意味は、1台の整経機は半年間、アイリッシュリネンの整経以外には使わなかったということ。そうでもしないと、そんな特別な糸を中途半端にノーチェックで整経してしまったら、糸のフシなどを取り除けなくもったいない話になるから。私が時間のあるときに整経しながら出来る限り節を取り除いて整経した。

出来上がった生地にしても、良い部分はアパレル用に、ハンカチとして糸フシなど気にしながら使える部分はハンカチサイズに裁断。残った生地も大事に残しておいて、少し小さめのハンカチに再度検品しながら裁断して林与の友人の娘さんの結婚式の引き出物に使っていただいた。アイリッシュリネンの歴史的は有名だけどもその歴史の語り部のような糸が今も林与には1トンくらいは残っていたりする。2000年くらいにはもう幻といわれたアイリッシュリネンが、林与にはまだ使える糸の状態で残っていたりして、それを形にする力も残っている。

あと、昭和の中頃に時代にもう手に入らないと言われた苧麻の手績みの糸も、1トンくらいは使える状態で残っていたりして、戦前に績まれた糸で、対戦中に麻が禁止になったときに林与が糸商からまとめて引き受けて、それを昭和27年に糊付けしたものだろうと思っている。きぬあさと呼ばれる近江上布の世界を当時の与一爺さんが残そうとして買ったんだろう。当時でももう途絶えかけていた手績みの糸の世界、今はまた、組合さんなどで手績みの糸を績んで着尺をおることが復活してる。商業や工業的に残していくというのは手間の掛かりすぎる世界なので難しい話なのかもしれない。

戦後の近江上布の世界も林与は一番くらいにやってたのだが、琵琶湖をもつ滋賀県ということで、昭和40年代に粉せっけん運動が盛んになり、今の染色工場の染料の使用と比べても染料の使用は何千分の1とか本当に小規模だったのに捺染が規制されて、そこで捺染をやめたすなわち林与が近江上布の生産をやめたということがある。林与も豊国村の2代目の村長だった家なので、近江上布の生産が主産業だった豊国村という村として残っていたら話はべつだっただろう。寝装関係の麻産業が主体だった愛知川町に吸収合併する方向に同意したのもヨジヨモン爺さんだったけども、合併後は町の行政の指導で、国内でも超一級とされた林与の近江上布ですらも単なる工業生産品として扱われ規制され断念せざるおえなかったといういきさつがある。行政の家だったので行政に後ろめたいことはするなというヨジヨモン爺さんがそういう自分で自決するような覚悟が林与の家訓的な部分としてはあったりもして、行政をつかさどるなら物事を分かってやってもらわないと、いい加減に偉そうにするだけだと、やっているものごとの価値の深さもわからずに日本や世界に誇るべき大事なものを失うだけのこと。

琵琶湖の水を守るというが、それは京都や大阪の飲み水のため。一方で京都で染が盛んで今も染工業が普通に営めるのもあるいみ都会的な普通に気にせず処理もせずに垂れ流しが可能だからというだけの理由。都会の下水環境との兼ね合いで、京都だといくらでも可能なことが、京都を守るために滋賀県が配慮して規制され、地場産業も難しいというパラドックスがあったりもする。

今の原発問題と同じで、いくら薄めたとしても、環境というレベルになると全体的な染料や薬剤の使用量が結局はポイントで、それは薄くて基準をクリアしても着実に環境に影響を与えてゆく。薄めて処理すればだいじょうぶとういう感覚をなくさないと駄目なのだけども、薄めて基準クリアで何が悪いんだという世界が蔓延ってるから地球環境が当たり前に破壊されてしまう。トンボが消えるのもそのあたりだけどそういう積み重ねがトンボを消して行く。

大量生産大量消費に傾倒して、自然環境だけでなく、地球環境、階級社会的な奴隷制度の助長は、すごく日本の政治にみられるような特徴で、産業界がそれに従ってしまうと、今まで日本人が守ってきた人間の価値観が失われる。自己犠牲を強いながら、自分たちは自己犠牲を食い物にするような日本社会にありがちな階級的な考え方。本当の平等意識もなく、法の下の平等とかいう人たち、奴隷制度も法なら平等で江戸時代の武士気取りが多いのが日本の政治の特徴だとは思う。江戸時代的な正論の身分社会、階級社会が当り前の悪質な現代政治では駄目だろう。宗教と政治が一番くらいに金儲け主義的で人々の生きてゆく苦しみも分からずやぱいというのも日本の特徴。もちろん、本来の政治や宗教の気持ちを持っておられる方もいて話するとすぐに本物か偽物か分かるけども、偽者を排除することが本当に難しいのが法律。

なんちゃらコットン協会の理事長を10年やってられた方と電話で話したときにもうほんと、この人が諸悪の根源みたいな人で、地道に仕事している人間からしたらアウトそのもの。エシカルなことが面倒だとか、国際会議でなまった英語効いてると眠いんですよとか、理事長やめたくても他に人がいないからやってるだけなんですとか、それが日本で一番大きかったオーガニックを謳う世界の裏側。自分が責任もって成り立たせる覚悟もなく、無責任にやってだけの話には疲れる。そこまでいい加減なことばかり言ってるなら、いわないほうがましだし、いないほうがマシだよというのが林与。セミナーをありがたく聞いてるばかりじゃなく、本気なら他にそういうの感じて、当たり前のこという人いてほしいと思う。でも、この人はある意味正直だともおもう、聞いてびっくりするような、自分たちが謳ってることすべてが面倒みたいな話を正直に私に言われるから。そういひとが日本のエシカルのトップだったというのもすごく日本の繊維業界が問題だと思える話で、オーガニックの世界がブラックボックスで本当か嘘なのかも分からないのを作り上げる原因になってしまっている。ほんと普通の天然繊維業界のまともな感覚もない人が素人の業者さんたちを集めてみたいな広がり方。他にだれもやってくれる人がいないからやってるだけなんですよ、とかいわれて気持ち悪すぎた。それならやめといたら似非的な害も広がらないやん。
2023年09月13日
おおさか手作りフェアで、半年ぶりとか1年ぶりくらいにお会いできた出展者の方が多かった。クマムレースの谷本さんとは3年ぶりくらいにお会いできただろうか、林与の手織りプロジェクトが子供たちに好評でスタートできたきっかけが、林与にある麻の糸は太いと言ってもそれほど太くないので、かわいい太い糸を麻でなくてもよいので、手織り用に分けてほしいとテキスタイルマルシェで知り合いだった谷本さんに頼んだのがきっかけ。

分けてもらった糸はモールのようなピンクやブルー、イエローの色味の糸だったが、相当太くて5mmくらいはあったと思う、使うのがもったいないくらいの糸で、その糸を横糸に織るとすごくかわいい織物が織りあがる。たぶん、糸としてもすごく価値のある糸。今は、引き揃えた糸などをそれなりに太い感じにして織ったり、レリアン網の毛糸を織ったり。

本格的に手織りをやっておられる方とかからすると、あまりにも、初めての人向けの織物なのだけども。それで楽しいで織ってもらえばよいと思っている。そういう考えに至ったのも、谷本さんがそういう糸を林与に分けてくださったことがきっかけで、今はそのくらいの太い糸を手織り用に用意したりして、子供たちでも簡単に手織りが体験できるように心がけている。

4歳5歳くらいの足が届きにくい子供でも、少し足踏みを手づだって上げると、手は一生懸命に横糸を入れて、框を叩いて織って、夢中になって織ってくれるのが、本能的なものを感じる。親に無理やりやらせられているとかじゃなく、自分がやってみたいと思ってやってみて楽しいと感じてもっと織りたいとなり、一度体験してくれた子が、もう一度織りたいと後で来てくれたり、また次の日に楽しかったからまた織りたいと来てくれたり、子供たちにとっては、案外、手織り体験というのは、1日のなかで一番楽しかったイベントに思ってもらえることが多い。

林与は最初少し教えてあとは自分で好きなように織ってもらって、うまく織るのが難しそうなときだけ少し助ける程度。子供の場合には何十本も織り進んでくれることが多く、大人の人の場合には10本くらいで終られる方が多い。時間が許すだけ、好きなだけ織ってもらってかまわないが、子供の場合には、手織り織機の見た目の難しさにも関わらず、手織り織機をみて織りたいと思ってくれて、また、はじめてでも織出したら簡単で楽しくて、織物を織るのが本能的なことのように当たり前に織ってくれる。

無料体験イベントなので、気軽にやってもらえるし、織りたいと思ったお子さんがお父さんお母さんにもやってみたいと相談しやすく、親御さんも手織りを子供が体験するということを喜んでくださるのでありがたい。林与手織り体験用に小型の足踏み式の手織り織機を10台以上持っていて、こういう織物にふれる最初のきっかけをつくるような活動が広がればよいのになあと思っている。そういうきっかけが若い子供のうちにあると将来、織物の勉強をしたいとか、織物の仕事というのも少しくらいは、候補になるだろう。もし、織物を一度も織ったことがなかったら、織物を自分で織るなんてイメージは湧かないだろう。

手織りの織機もたくさん持っていても、やはり経糸の準備が大変なので、そのあたりは、林与が得意とするところなので、手織り織機にもさらに改良を加えて、50mとか100mの経糸を準備してたくさんの人に織ってもらえるように考えたりで、織機自体も、なかなか市販品の入手が難しい金属製のラチェットギアと爪を自分で自作できる目途が立ったので、綜絖などはシャトル織機のものを流用して、自由な織り巾の手織り機も作れたら、最初から経糸の供給メカニズムなど林与っぽい仕組みにできるので、よいだろうなあと思っている。

超かんたん手織り体験は、米原でのイベントでも好評だったし、今回のおおさかの手づくりフェアでも好評だったので、繊維関係のイベントに来られた方で、特にご家族で参加されて小さな子供たちが楽しめるようなことがあればいいのになあと林与は思うし、本能的に手織りなんかも馴染んでもらいやすい子供のころに経験してもらうというのも他にはあまりない機会だろうから、手織りをはじめる切っ掛けや織物を織ってみる切っ掛けを提供したいなあと思う。
2023年09月13日
若いころからだけども、林与は音が聞き取りにくい。特に店頭などまわりがザワザワしているときに、面と向かって話をしていても女性の話される高い目の音がほとんど聞き取れないことが多い。これは学生のころからなので改善は難しいことだろうとおもったりしている。周りが静かだと大丈夫なのだけども。

まあ、お年寄りと話をしていると、よく聞こえていないのだなあと感じることがあるだろうけども、林与と話をしたときに反応が鈍ければ、音が聞き取れていないということだと思ってほしい。先日のイベントでもなんどか尋ね直したけども、お客さんになんども聞き返すということはよくなかったりもするので、2度聞いて言葉が聞き取れないときには、それ以上は尋ねないことにしている。しっかりとした低音気味の声だと大丈夫なのだけども。高音の音はなにか脳みそに事情があってシャットアウトしているんだろうと思う。聞き取れない言葉というのは日本語なのに何度聞き返しても聞き取れないことが多いから不思議だ。

基本、ざわついたところは苦手で、静かなところが好きなのだけども。織物工場の中はほんとうるさいくらいに機械の音が聞こえてくるので、本来は織物工場の中にいるだけで苦痛であったりもする。
2023年09月13日
最近、無理やりながら、疲れている足をさらに酷使したらその違和感がなくなった感じのここ3日ほど。治る前には足がすごく疲れてそれでも無理やり動きまくったのですごく足が熱くなった感じで、それが血行やリンパの流れを復活させたのかもしれない。この状態が続くとよいなあと思う。立ってばかりいたので、足を指先まで伸ばすことをずーっとしていなかったので、数日前に、寝た状態で足首から下を足の指先までを思いっきり力を入れて伸ばしたり縮めたりした。数年ぶりのことだろう。それも足の復活には役立ったのかもしれない、そのあとすぐに足首から下が楽になった。

昔、若いころに肩が凝って仕方なかったときがあって、神社の祭りがあって、真鍮製の重いカネを竹で担ぎながら村の中を回ったことがあった、肩がすごく痛かったのだけども、次の日には肩がすごくほぐれてて、肩こりがなくなったことがある。林与の肩というのは道具の一部になっているので、100kgのビームとかを肩に担いでも痛くない。普通の人がそれをやると思いというよりも痛さに耐えられないだろうけど。

昔の人というのは肩で重いものを担いでいたけども、今のサラリーマン社会になってからは重いものは担ぐことがなくなり、年配の方たちでもそういう経験が少なくなっているので、私が重いものを当たり前に肩で担ぐのに驚かれたりする。ビームを肩で担ぐときに一番大変なのが、立ち上がるとき、足の筋力が必要で、立ち上がれないことも多くなってきた。私も若いころにそんなに重いものを自分で担ぐというのは無理に思えたけども、やってみると出来たりもするが、普通だとやろうとは思わない。100kgを超えるものを肩で担いでいても、一旦肩に担いでしまえば、バランスの問題だけで、階段を上り下りしたりはそれほど難しくなかったりする。

農業関係の方たちも重いものを運ぶのは得意で、年配の方でも重い物を扱われていることが多い。一俵といえば60kgあるから、それが肩に担いで運べないと昔の農家だと仕事にもならないということだろう。年配の出機さんが、ビームをトラックの荷台から下に落として下ろしているのとかをみると、高齢になるともう織物の仕事は難しいなあと思ったりもすることはあった。それを見て、ビームをとりに来てもらうよりも、なるべく自分が運んで、織機に設置までするようにした。

2023年09月09日
今回、マイドーム大阪での2日間のイベントが終わった。現場の仕事が詰まってしまっている中でのイベントで、協力しようと準備してくださってた方もコロナ感染が判明して今回は断念してもらう形に、一方でお客さんとしてフェスタを見に来ておられた顔なじみの方が、初日に、急遽林与のピンチを手伝ってくださることになり、その方も手織りの経験をお持ちの方で、林与のキッチンクロスやストールも使ってくださってる方なので、手織り体験もキッチンクロスの販売なども助けてくださって、2日目も予定があると行っておられたのに手伝いに来てくださって、申し訳なかったが、ありがたかった。

手織り体験も体験を希望してくださる方がほとんどいつも続いて盛り上がったし、会社にあるキッチンクロスを探して持って行った8割9割が売れ、今回のフェスタのお客さんの数の凄さだと、対応しきれない様な状況だった。今回は、すごく良い場所をいただいて、手織り体験は気軽に体験していただけたと思う。初日は平日で大人の方がほとんどで、2日目はお子さんが7割以上だった。合計で、多分、100人くらいの方が経験を下さったと思う。

てづくりフェスタというイベントはハンドメイドの方たちのためのイベントなので、手織り織機なども非常に興味を持ってもらえて、無料で手織りが体験できるということで、手織り織機で、初めての手織り体験。手織り織機をみると難しそうに見えるし、他の人が織っているのをみていると難しそうにみえるけども、自分が実際に織ってみると、手織りはたのしく簡単だということを知ってもらうためのイベント。手織りを通じて織物がどのように作られていくのかをご自身で体験していただくことで、織物が目の前で自分の手で織られていくのが楽しく体験できる。

今日も、お子さんたちが、手織り体験をすごく楽しいといってもっと織りたいと思ってもらえたのが、本当にうれしくて。大人の皆さんも今まで織ったことがないといっておられ、それならぜひ織ってみてくださいと織ってもらうと手織りするということの理屈も分かって、おもしろいというのも分かってもらえる。3分もあれば、初めてでもだれでも手織りするという意味がわかるので、興味が少しでもあられるなら体験してもらいたいなあと思う。ただ、織るということを体験して楽しんでもらいたい。

一番最後に織ってくださったお子さんも、その数時間前に始めて織ってみて、もう一度織りたいと思って、おかあさんといっしょにまた織りに戻ってきてくださった。お母さん曰く、そのあとほかもいろいろみてたけども、お子さんにとって手織りが一番楽しかったそうで、もう一度織りたいということで最後に20cmほど織ってもらって、その織った織物をお土産に持って帰ってもらった。

織物を織っている林与なので、織物を織るのが楽しいとかもっと織りたいとか思ってもらえるだけでうれしくて、私自身もこういうイベントを年に4回ほどさせてもらう機会ができてきたけども、お子さんたちが集まるような場所を持っておられるような方に、手織り織機をお貸しして手織り体験できるような場所を増やしていければと思うプロジェクトを計画と進行中で、まずは、自分がイベントとして、体験してくださったみなさんが楽しんでもらえるのを実感があるのでいろんなところで広がってゆけばという思いがある。
2023年09月06日
昨日はしゃがんだ姿勢からの屈伸するような作業が続いたので、今朝は階段を上るのにも両脚が痛む。普段使っていない筋肉を使いすぎたのだろう、体が本当に大事な仕事だなあと思う。

普通の会社だと、慣れた仕事をやってもらうのが仕事みたいなところがあるのだろうけども、私自身は私自身が作業のコツの積み重ね的なところで成り立っているというあたりがある。今日は、本縫いミシンを初めて使う女の子に縫ってもらったのだけども、自分でも思うが、うるさいほどにここはこうしないと駄目、ここも駄目、ここも注意みたいな話になる。基本、一回勝負で答えを出さないといけない仕事なので、そういう緊張感での経験を積み重ねて、考えなくても、問題のないものを安定して同じように速く縫えるようになることが大事だと思う。

長くやっていれば速くうまく縫えるようになるのかというと、毎回毎回1枚を失敗しないできれいに速く縫えるようになるように心がけることが大事で、それは自分との戦い。市販のものというのはそれなりに隙のないものが多いのは、縫っている人たちというのはやはり当たり前にプロだなあと思う。織物の会社なのに、縫製とかに関しても量産のものというのは普通にパートの人が縫ったりしているのだから同じ設備があるなら、普通に働いている人のレベルは超えたいなあと思う。

自分が縫製のことも知っていると、織物を製品にするときに何が可能なのかがよく分かったりして、縫製工場の人とも始末の仕方とか話がしやすく、生地を作るときに、縫製工場で失敗が起こらないようにどこまで生地の縫製時の注意書きなどが必要なのかが分かったりする。よくありがちなのは裏表というだけでなく、柄がある場合には天地と上下左右の問題。

縫製工場でも、裏表くらいしか気にされない縫製工場もあって、ブランドによっては、チェック柄などでも柄合わせもしないモノづくりブランドもあれば、柄合わせして完成度を高めるのが当り前のブランドもある。基本、綾などは右上がりが一般的な綾目方向で、左上がりに出来上がっている服などをみると違和感を感じたりもす綾目

林与のほとんどの無地ライク生地は、両面同じ加工を施してあり、裏表の区別なく綺麗な方向を表として使える。でも、本来は織機の織前での表が表で、それが加工も通じて表として加工されて、林与の場合は紙管に内巻きが表の状態でということになる。基本、検反面が表で内巻きに巻かれる。織機で織っているときの表が表でないといけない理由には、布を巻き取るシリンダーには布が滑らないように鮫肌やペーパーが巻いてあるので、裏面というのはダメージを受けることになる。だから、織前での表を表とするのが正しい。

でも、麻織物の場合には、それほど糸のダメージは気にする必要がないので、ドビーの動きなども加味して、ドビーに負担が掛からないように、3/1の綾などは、1枚しか上がらないように裏側を織機上での表として織ることが多かったりすることも多かったりする。こういうのは、誰も教えてくれることのないことで、自分が経験をしながら問題にぶつかりながら問題を回避するために、方法を見出して行くもので、ストールを織るときにも、スチール製の鮫肌は糸にダメージが残りやすいので、サンドペーパーに変えたり、鮫肌の上にテープを巻いたりしてダメージをやわらげたりすることで、問題なく織れるようにしたりとか。いろいろやってみて正しい答えができる方法が正解ということも多い、でも、織機に掛かる負荷や織機の正しい使い方の意味なども検討しながら、例外的な織機の使い方は検討してゆくべきだと思う。織る織物によって、織り方の正解は変わって来る。

シルクの織物工場で、シルクを織るときに、テンプルを使っておられないのをみて、シルクの表面がダメージを受けるからテンプルなしで織っておられるんだなあと感じたり、それもシルク工場の工夫の一つである。地元の工場に置いてあった昔のシャトル織機にもテンプルがついていなかったのはやや謎で、その代わりに太い紐を織の最前線あたりに左右に渡して織前を下げているような工夫であるとか、ベルト式シャトル織機の時代には、真鍮製のテンプルは、まだ、なかったんだろうか。

2023年09月04日
ようやく、暑さが落ち着いて作業がしやすくなった。ありがたい。この夏は暑すぎて体調もあまりよくなかって夜に作業をしていることが多かったが復活か。麻がなかなか織りにくいのも地球温暖化の影響だと言われていたりして、今まで原料の栽培地だったところの気候が、昔とはがらりと変わってしまって、原料の栽培もむつかしくなってしまっているとか言われている。麻織の本場といわれてきた近江湖東産地だけども、子供のころはまだ雪が相当積もるほどに毎年振っていたし、夏場には毎日ほど夕立が降っていた、今は、雪もあまり振らないし、雨も少ない、水の循環が本当に限られてしまっていて、ダムができてからは、水路の水の量も少なくなり水路の幅も狭くなった。

体調があまりすぐれないのが続いているのは別として、昨日、久しぶりに指の皮が捲れるけがをした、毎度のことだが、水で傷口をよく洗って、ティシュで血を拭いて、出荷の養生テープで傷口を巻くとすぐに痛みはなくなり、仕事も続けられる。そして、半日あとには傷口もくっついて養生テープをはがして今度はマスキングテープで傷口をカバーし糸を触る作業に戻った。去年の冬から織れないものが多くなっていろいろとやらないといけないことだらけになってしまっていて、楽しみにしていた8日9日のおおさか手づくりフェアも準備をほとんどできずに、ホテルも予約していたけども毎日通いでの出展になりそう。

糸をまいてくれるおじいさんも、目の手術をされて、今回は本当に引退なのかなあ、シルクなどは掛けるとそのまま回り続けるけど、麻は綛の糸が切れると目が良くないとなかなか作業も難しいだろう、現場の人たちはみんな年を取り始めていて頼めたとしても昔の何分の1が普通になっている。麻織物の仕事も経験の長さよりも若い時の精神的、身体的な強さみたいなものが大事で、スポーツと同じに思える。