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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2010年8月
リネン日記:28
2010年08月31日
今月のプレゼントは、オーガニックリネンフェイスタオルHD生機2Mを2名さまにプレゼントいたします。GOTS認証を得たオーガニックリネンを使用しており、そのまま、水洗いしていただけますと4シーズンなストールになります。

薄手ながら高密度におってますので、フェイスタオル以外にも、ヘビーデューティなキッチンタオルとしても使用できますし、バスタオルも可能です。市販ではもちろんないクラスの林与オリジナルな素材です。シャトル織りで、一時間に1mの世界で織り上げる、本近江織麻布の逸品です。

もうすぐ、こちらのサイトでもキバタならびに、ストール、タオルを中心に小物商品として販売いたしますので、よろしくお願いいたします。何気に見える布ですが、リネンの世界で語れるスペックを持った素材です。


2010年08月30日
今日は、午後からひこね繊維シンポジウムの打ち合わせが産官学のコラボで彦根市役所でありました。シンポジウムまで残り3ヶ月ほどでどんどんと迫ってきております。

社内の書類関係が遅れておりまして、インターテキスタイルの申し込み関係など、バタバタと途中組合の事務局に立ち寄りFAXさせてもらったり、前に進めていかないといけないことは多くても時間がないのがネックです。
2010年08月29日
今日は、午前中、織の状況を確認しながら、インターテキスタイルの申し込み関係などの書類作成を行いました。午後からは、隣組会があり、そのあと、その組長が当たっていたので組長会というのがあり、夜には直会としてすき焼きを食べる会がありました。

その場所で私の家の歴史に関するいろいろな発見がありました。ヨジヨモン爺さんの姉妹が、近くの家に嫁いでそこも織物を始められたという話、北清水のおばあさんもヨジヨモン爺さんの姉妹であったこと、勘平じいさんと市郎衛門さんのところのお婆さんは与一爺さんの兄弟であったことなど。勘平じいさんがしっかりとして現場を守っておられたのも、お酒が非常に強く厳しかったといわれる与一じいさんの兄弟だったからということで謎解けました。林与の場合、林与の織物に携わる方みんなが自分のおじいさんおばあさん以上でたくさんおられるので織物で近すぎて親戚としての関係が良くわからなくなってしまうのです。

林与以上に、周囲の皆さんというのが林与の歴史を当たり前かのように良く知ってくださっております。私にとっては、子供のころから、家の工場でいつも働いてくださっていたので、おじいさんやおばあさんでしかみえない人たちですが、戦争の時代のみなさんが背負われていた運命みたいなものを感じました。他の家の家系のお話も聞かせていただき、3代遡ればご近所がどの家もが繋がるようなお話です。

万博の後の高度成長の時代というのは、ものがつくれば簡単に売れる時代だったそうです。今の中国のような感じだったのでしょうか。今、昔の林与を支えてこられた親類のおじいさん、おばあさんたちは亡くなってしまわれていたり、もう90歳近いご高齢で耳が遠くなっておられお話を聞くのも難しかったりするのですが、先代や勘一じいさんに聞いとけばと思った話を周囲のみなさんから教えていただけるというのはありがたい話です。

近江湖東産地で、何代も続けられていたところが織機を動かすことをやめられてしまった中で、東円堂の皆さんが林与の歴史的なものを良くご存知で応援してくださっている部分があるので、続けていられるのかなあとも思いました。
2010年08月28日
ビンテージアイリッシュリネンハンカチの淵かがりをどのように仕上げるか、今、検討中です。ミシンで高品位なものに仕上げるのが良いのか、ビンテージなアイリッシュリネンなので手作業で仕上げるのがよいのか、ご覧いただいた方に、ものの良さや、感動を与えるのはどちらなのか迷っています。

リネン生地というのは本当に不思議です。加工などで引っ張ってると伸びますが、何ヶ月もおいておくと、段々とサイズが自然に戻ってきています。106cmほどに仕上がっていたのが、110cmくらいまで戻ってきており、ハンカチの縦と横がちょうど良い感じになってきました。縦横ぴったりまで、あともう少しの我慢です。これが物性を安定させ、かつ、湿度を戻し風合いを良くするための、何ヶ月も放反する効果です。(反物としてしっかりと巻いてあるだけでも縦方向の力というのは縦横のバランスに影響を与えるのです。)

リネンハンカチプロジェクトですが、最初は、アイリッシュリネンのリネン超細番手が織れれば自然と昔林与が手がけたような良い先染のリネンハンカチができると思っていたのです。でも、実際の工程を考えていくと最後ハンカチになったときに良い感じのものをということで、110番手クラスのオフ白でハンカチを最初にテスト的に縫製してみて、大きさを決めたり、その加工の風合いがハンカチとしてどうなのかを吟味することが大事なのに気がつきました。先染なので、リネンの色糸の収縮の問題なども染料と色の出の可能性から考え、ベストな手法を選んでおります。

風合いに関しても再度トライアルが必要という結論に達したのです。このビンテージの糸に合う加工が何なのかです。また、展示会で、リネン110番のハンカチを皆さんにプロジェクトのPRのためにお配りしたことにより、真っ白がよいのか、ナチュラルなオフ白が良いのかも非常に参考になりました。ほとんどの方が、ナチュラルなベージュ掛かったオフ白を選ばれます。これすらもが、本当にスキップして、白は真っ白と考えて作ってしまうと最終的な全てが台無しなのです。以後は、なるべく30年前の糸の色を尊重する形で白くは晒さない決意ができました。

そして、140番手での無地の加工のトライです。薄く繊細さを出したいという思いが強かったので、100番手と同じ規格に乗せてハンカチにしました。透けるようなハンカチの生地ができましたが、物性の面でスリップしてこれでは駄目だと、縦本数の再検討ならびに横の打ち込み本数の検討の必要性に迫られました。

縦本数が変わると、柄の本数も変わりますし、その計算は、本当に微妙なものです。加工した後でどれだけ縮むかというのは、また縦本数や横本数が異なれば微妙に変わってきますし、打ち込み本数なども、送りの状態によってあるいは織機によって、巻き取りローラーの形状などによっても、異なってきて、計算機で計算したものにその他の要素を足したり引いたりで、多分大丈夫かなあと思う程度の状態で、何ヶ月かかる機つくりや織の部分に突入していくのです。入手が困難な糸をテストで何キロも使って何ヶ月も掛けてテストするような本当に贅沢な話です。

縦横の比率を合わそうとすると、機を作り変えたり、筬から手配しないといけない話です。織るだけでも1日数メートルの世界ですが、その前の準備には、その何倍もの時間と覚悟が必要です。そのように何ヶ月も掛けて織った布を加工に出すのですが、どういう加工にするかだけで思ったような風合いに上がらないこともあり、全てが水の泡になるという危険と鉢合わせなのは分かっております。

出来上がったものは、リネンのハンカチや布というだけですが、糸、染、織、加工、そして最後のハンカチへの仕上げ、全てが揃わないと他とは違うものに見えないかと思ったりもいたします。
2010年08月27日
8月のリネンプレゼントを考えております。今、細番手オーガニックリネンのフェイスタオルを開発しておりますので、それをフェイスタオルの状態で、2名さまに1枚づつプレゼントしようかと計画しています。

オーガニックリネンの糸だけに、微妙な濃淡の糸の色斑による横段がみられるという現象が起こっておりますが、オーガニックなので仕方のないことなのかなあとも思い、おつくりしている林与自身もオーガニックリネンは特別であることを納得しながらのオーガニックリネンフェイスタオルの登場です。でも、風合いは、リネンと思えないくらい本当に良いですよ。林与独自の加工を施しております。このクラスならビンテージリネンの風合いに近く、リネンの高級ワンピース素材としてもよいかもです。

糸の問題では、中国紡績のリネンのトップ糸などの試織も開始いたしましたが、糸のトップ形状の濃淡が横段となって現れるなど、色によっては織りでの工夫が必要となりそうです。昔の糸を使ったトップ糸なども今年は人気で数社が取り上げて下さっております。トップ糸というのは、味があってよいのですが、通常の糸と比べますと糸の安定性というものが非常に微妙な色のバランスで成り立っているといえます。複数のトップ糸を扱う糸商さんもそのあたりの点の問題に関してすでに認識はあるようで、トップ糸の問題に触れられないところはありません。

現在、キッチンタオルの生機ほうが色によって、品切れ状態になってしまっており、各色を織っておる最中です。最長で5日程度出荷までお時間くださいませ。今までにご注文いただいた皆様の分は、月末到着予定での発送計画です。
2010年08月26日
今日から8月31日まで、全商品20%オフセールを行います。日常の業務なども絡みまして発送のほうが多少遅れるかもしれませんが、このチャンスをお見逃しなく。通常ありがちなクリアランスのセールではありません。林与にとっては年中、リネンと麻なのです。

暑い夏が続いています。日ごろからお会いしている方なのですが、先日突然、2年前に生地をお分けして甚平をおつくりになられて部屋着としてご愛用いただいている話をされました。15年振りくらいでしょうか、甚平用の生地を特別に3色各1反づつ3反おつくりさせていただき、お買い上げいただきました。

初めてお使いになられる麻の甚平でしたので、麻に対しての印象を決めてしまうだろうと思い、良い物をの思いでご提案させていただきました。良い麻のものというのは、その感触が忘れられずに暑いときに自然に着たくなるというものだと思います。

日本でも麻の着物を着るという機会は非常に少なくなっており、素材からして、本当に涼しい甚平を手に入れることは難しくなってきています。本麻の甚平でも、涼しいものと涼しくないものがあります。同じ麻100%でも、甚平に適した布、適していない布というのはありまして、毛羽感のあるもやもやっとしたものは、あまり涼しくはないです。
2010年08月25日
今日は、朝5時半起きで6時半のラジオ体操に参加してその後、自治会の青少年育成会の役員として子供会のそばの種撒きを手伝いました。そばの種というのは赤黒く三角形の形をしています。そばといえば、長野のそば道場を思い出します。

そば道場で自分でそばを打てば、美味しいそばが食べられるというのが売りの教室なのですが… 私は極太麺が美味しいだろうと考えて最後、蕎麦を2倍くらいの太さに切りました。ぶっかけそばのような感じで食べたのですが、お互いに美味しいねえとお互いのグループのそばを試食したときに、だれもが無言になるような、美味しくないものだったのです。材料が同じでも、味がまったくほど異なるということの発見です。これはリネンの布つくりにも共通しています。織り方や加工方法で、さまざまな表情にリネンが変わります。

そばの種を撒きその成長を見るだけでなく収穫し、最後には、子供たちのためにそば粉を挽き蕎麦を打ち、種から食べるまでを眺めるので、ものづくりに接する絶好のチャンスなのですが、全てが用意されすぎていて、子供たちは簡単だなあと思うに違いありません。こういう行事というのは主催している大人や高齢の皆さんのためにある行事なのではないかと思うところも大きいですが、子供たちの自主性を尊重することが必要で、子供たちには、物事の本質的なことを教えないと逆に駄目だろうなあと個人的には感じるところもあります。
2010年08月24日
今日は、以前、商工会さんのほうから旧豊郷小学校校舎でのおみやげ物に関するお問い合わせをいただいたこともあってお昼の時間に立ち寄りました。いつも彦根に行く途中で右手に見える校舎なのですが、昔は現役の小学校ということもあって立ち入ることはできませんでしたが、魅力的な建物だなあといつも思っておりました。

全国的に有名になったのは、この校舎が新校舎を建てるためになくなってしまうということで、地元を中心に保存運動が起きたことです。私自身、中をみたことが無かったので、長年の歴史のために中はボロボロなのかなあと思っていたのですが、今日、中に初めて入らせていただき、しっかりとした広い廊下があって、この校舎が全ての小学校の原型になったのではないかと思う感じがしました。

旧校舎の裏には、新しい校舎があるのですが、新しい校舎は何十年かで建て替えられるだろうと思いますが、旧校舎は何十年たってもまだ健在のように思います。私自身古いものがすべてよいとは思わないのですが、昔に作った本物クラスは、今作ることすら難しいのにそれを壊してしまうのはもったいない気がします。

時間がなかったので、ほんの10分ほど立ち寄って中を見せていただいただけですが、入り口玄関付近にあった温度計は32度をさしていました。新しい場所に新築のコミュニティセンターを作るよりも、何倍も価値があるなあと思う地元の資産ではないかと思います。木の階段なども磨り減っているのがとても良い感じなのです。

こういう場所を観光地化してしまうことは、その良さを損ねることになってしまうのではないかと思います。観光地なんてものは、本当にたくさん作られまくっていますが、その観光地というものがどこに行っても同じにしか思えないレベルなのです。この校舎もそのような観光地のひとつになってしまわないでほしいと願います。ひっそりと何十年もそのままの良さを保っていただきたいと思いました。
2010年08月23日
10月13日、14日、15日のジャパンクリエーションに向けては、秋冬向けっぽいリネンを検討しております。通気性を遮断したリネンの高密度織物などは、秋冬に適しておりますし、林与のリネンのソフト仕上は、春夏秋の3シーズンを意識した素材です。リネンのキッチンタオル素材なんかも一年を通じて台所で活躍すると思います。

現在のファッション業界でのリネンのトレンド的な風合いというのは、必ずしもやわらかいものではなくなってきております。やわらかさよりもナチュラルさが重視される傾向が次第に強くなっており、リネンの糸そのものの良さや安全性に評価のポイントが移ってきていると思います。



2010年08月22日
布をおつくりしておりまして、林与は本当に恵まれていると感じております。有名ブランドさまにご利用いただくだけでなく、日本の伝統行事でありかつ皇室行事の新嘗祭に御献上いただく際に御献上酒を包んでいただくのが「林与」の麻布であったり、みのもんたさんのテレビに出演される際のシャツやプロゴルファーの福島晃子さんにも林与の生地で作られた洋服をご着用いただくなど、いろいろなご縁にも恵まれまして、良いものを作ろうという励みになっています。

ネットでお客様からお問い合わせをいただく際にも、林与の麻織物へのこだわりは、普通ではないことはご理解いただけるのではないかと感じます。今日は、京都の三十三間堂のお隣にありますハイアットホテルでの個展を開かれるということで、日本のものづくりの美学にこだわられるプロダクトデザイナー小林良一氏からも、林与のリネンが日本に観光で訪れられる世界各国の一流の方の目に触れるようなお話をいただきありがたく思っております。

一方で、こういう機会をいただくからには、他とは同じにならず本質的な部分を守り抜きなさいというご支持をいただいているのだと自戒の念に駆られます。それが安易に価格で妥協しないようなものづくりの厳しさを守ることにつながるのではないかと思います。近江の湖東産地で作り続けること自体が何十年も前から難しくなってしまっておりますので、せっかく作るからには良いものをという思いが強いです。
2010年08月21日
糸のロットの違いというのは、非常に大きいものです。ある商社さんから買う糸と別の商社さんから買う糸では同じ紡績メーカーの糸でも、問題があったり無かったりします。同じメーカーの糸でも商社さんの説明は異なることもあります。

仕事をしていて、値段を下げるために一工程減らすということが良く行われます。糸づくりの工程では糸の紡績メーカーは大事だと思ってやっていることでも、糸を使う側の機屋さんがそれをもったいないと判断すれば、だんだんとその工程が無駄な工程になっていってしまうのです。

同じメーカーの同じ銘柄のついた糸ですら、その品質が異なるというのは不思議なことですが、それほどまでに紡績メーカーのほうは柔軟に対応しているといえます。中国の紡績メーカーというのも、中国国内向け、資材系のインド向けなど、日本やヨーロッパ向けなど以外の価格重視の糸を作っているので、どれだけ良い糸を作ってもらうかは注文する側の責任でないかと思います。

フラックス原料にしても、ヨーロッパの大手のフラックス原料メーカーですらが、資材向けには中国やエジプトからの原料を使用しているのは当たり前のことですし、中国やエジプトにフラックス工場をもっていたベルギーの紡績工場が、ベルギー産リネン糸の顔みたいなご時世で、糸の良し悪しは本物を知る人間だけが判断できるのではないかといえます。

原料は原料の産地だけでなくそのグレード、紡績は紡績技術だけでなく経験値が大事です。リネン糸の世界でもほんとうに良いものが何なのか分からない時代だったりします。というのも、安いことが良いという一般消費者的な判断が、ものづくりの工程で行われてしまうことも一般的ではあるのです。

今の時代、オールマイティ的に無地に使える糸がなくなってしまっているのが実際のところです。何か糸に由来する問題があれば、使い方が悪いというような判断が多々なされるようになり、メーカーさんや商社さんによってその根本的な問題が解決すること自体放棄されているケースもほとんでです。

十数年前に、ある糸商さん経由でのヨーロッパ紡績のリネンがまったく織れないという事態がありました、再度、同じ銘柄の違うロットの糸を送ってもらうと、同じ設定で問題なく織れるのです。そのことに糸商さん自体が責任を感じておられず、糸を扱っておられる方が糸のことを分からなくなってしまっておられるのは実感するところです。長年使い続けたヨーロッパの糸の信頼性というものが1回の出来事で崩れてしまうのは悲しいことで、実際に、それは一回のことではなく、ヨーロッパ以外の他国の糸に抜かれていくような結果につながってしまうような前触れだったのだといえます。
2010年08月20日
来年に向けてのリネンのトレンドのひとつが、トップ糸の流れではないかと思います。トップ糸というのは、フラックスファイバーをステーブルの状態で染めて混ぜ合わせた霜降り調の糸のことです。トップ糸が今まで出てこなかった背景というのは、その製造工程でのロスの問題やロットごとの色ぶれの問題があります。全体的なファッショントレンドのカジュアル化の流れの中で、トップ糸の普及も加速すると考えます。

弊社は、一方で、何十年も昔の国産のトップの麻糸も大事に残しておりますが、それらは味わいのある色味をしており、糸作りにもワビサビの日本人のセンスが輝いていた時代の遺産です。使い切ればなくなってしまいます。現在、リネンのほうも中国で紡績された各社からのトップ糸が出揃いました。

トップ糸を使うときの問題はその製造に伴う供給背景です。ロットごとの色ブレの問題や小ロットでの手配ができるのか、また、色が廃盤になってしまわないのかなど、ものを作る部分よりも、本番を想定した準備をサンプルを作るときから考えておかないとなりません。
2010年08月19日
彦根青年会議所さんが地域資源をプロモートするような献身的な活動をくださり、高宮麻布のPRに力を入れておられます。近江湖東地域のウォークイベントの一連の行事の一つとして、この9月26日に中山道の宿場町高宮の宿で、彦根の文化の一つである高宮麻布のPRイベントを計画されておられます。滋賀の湖東地域にお住まいの方には地域の歴史や文化に触れる絶好の機会ではないかと思います。

地域活性化のために伝統的な地場産業に直接関わっておられないみなさんが、地域の住民ために動いてくださるその心意気というところを見るときに、伝統産業や地場産業というのは、別に誰のものでもないという結論に達するのかと思います。動かなければみんなの意識の中から消え去っていくであるおし、誰か一人でも動くことでその精神自体が残っていくのではないかと思います。

今日は、午後から県立大学の学生の方が弊社にお越しくださいました。学校の中で学ばれる知識的な部分以外の、現場を見ていただくような機会というのは、地場産業に携わる自分たちが提供しなければ他の方には難しいのではないかと思うのです。実際の現場というのは、クリエイティブなコストの掛からない部分は、評価されにくいことを知ってもらうのも大事ですし、クリエイティブなものをつくれば売れる世界ではないことを知ってもらうのも大事かと個人的には思うのです。

私自身が地場産業に関わるものづくりをしていて、ものづくりというのは損得の世界ではないことを実感しています。自分で作るより、日本で一番安いところ、世界で一番安いところで作ることこそが損得で考えるときにはベストであるのは王道的です。地場でものづくりを続けるからには、ものが高い安いの比較の世界ではなくなるのです。これは実際には、ハンドメイドされる方の精神的なものごとを尊重する世界に近いかと思います。そこに意味を感じていただけるのが非常に日本的な世界ではないかと思うのです。
2010年08月18日
先染の織物を作っていて、一番やっかいなのが色の問題です。色を与えられたところから選ぶのではなく、自分の頭の中に良いイメージの布の柄があって、その柄をつくるために色を合わせていく感じです。

ブランドのアパレルさんなども同じような流れでのものづくりをされる形になりますが、自分が思う色の色糸が売っているわけではありませんので、リネンの糸を染めるて一つ一つくみ上げていくところから始まります。ハンドメイドな皆さんも洗濯機で染められるような染料で布を染め上げられたこともあるかと思いますが、アパレル向けのリネンの染というのは非常に本格的な世界です。

というのもリネンは中まで色が染まりにくいので、科学染料を持ってしても中まで綺麗に染めることはなかなか難しいのです。この性質があるからこそ、リネンが昔からベッドシーツに使われたり、また、キッチンタオルなどに使われて、洗えば汚れが簡単に落ちるというリネンの清潔感を生み出しているといえます。
2010年08月17日
今日、午前中に来客があり、午後からもお友達の方がこられ、リネンのキッチンタオルをフランスでパティシェとコックさんをしているご友人のご夫婦にプレゼントするということで買いに来てくださいました。

ヨーロッパでのリネンも日本での本麻も、高級なものでありながらも必需品としての需要があったのですが、それが、他の布に置き換えられるだけでなく、歩かなくてもよい自動車の普及、エアコンという家電製品で、その機能性自体もがだんだんと不要になり始めてきたのです。

キッチン周りにしても、フキンというものが必需であったのに、織機乾燥機や快適な水周り環境のおかげで、カビなども生えにくくなり、布も何年も使うというよりも汚れれば捨てるという消耗品となり始めたので、重点を置くところが次第に布ではなくなってきたというところがあります。

今の時代にまだ布に意味を感じてくださるかたというのは、本当にわずかな違いを分かられる方かもしれないなあと思います。アレルギー体質の方が、天然素材をもとめて探される中で弊社のリネンにたどり着いてくださったケースも過去に何度もございます。リネンや麻という素材は、昔から長く人々に愛されてきたもので、人々に優しい素材です。

ライフスタイルが変わり、エアコンが発達した今、人間の体質がより弱くなってきているなかで、体に優しい素材をもとめる傾向は高まっているといえますし、エアコンというのが地球に優しくないということで、ライフスタイルを自然なスタイルに戻そうとするときに、昔からの世界で愛されてきた麻やリネンという素材に注目がもどってきているのではないかと思います。
2010年08月16日
朝一番で、染工場に糸を10kほど持っていきました。工場はまだ休みだというのに、社長がお一人で、事務所で作業をされておられました。企業というのは、人を雇いながらも最後はその人の分まで仕事を生み出している社長の意識に掛かっているんだなあと感じます。

まだ、お盆の最中の方も多いとは思いますが、行政関係は今日から動いておられるということで、打ち合わせに参ってきました。仕事ではなく、シンポジウム関連の書類の提出の打ち合わせです。

夕方には、近くの縫製工場に立ち寄り、そこでも、工場は休みだというのに、社長が一人、ネットで販売されているTシャツを畳んで、袋詰めされていました。たまたま、和装で有名な縫製工場の社長さんも居られ、私が和装関連の縫製のことを訪ねると非常に親切に教えてくださいました。一度、20人ほどの商工会議所主催の研修旅行で一緒させていただいたときに、その社長さんは私のことを覚えてくださっておりありがたい話です。休み中の社員というのはその部分は誰一人知らない影で会社を支えるために一人で、社員のために会社の将来性をさぐり、裏方としても動いておられるのは染工場さんの社長さんとも共通です。

日本の企業のスタイルというのは特別です。だから、世界で一番製造コストが高いといわれる日本でものづくりを裏で支えているのが、会社や社員の面倒をみようとする社長さんたちの影の献身なんだと思います。それを表に見せても今の世の中では通用しないので黙って当たり前のように自分の時間を単純な作業に費やされている姿をみると、この社長のいる会社というのはお付き合いさせていただくうえでも安心できるなあと実感いたします。このお盆に一人で会社を動かしておられる社長さんの姿こそが、地場産業を支えている表に見えない本質の部分です。
2010年08月15日
今日は、夕方クロネコでの出荷が終わってから、夏物の動向を見ておこうと近江八幡のショッピングモールに1時間ほど寄りました。婦人服関係を中心に眺めたのですが、リネンのシンプルなものもちらほらありました。

ハンドメイドテイストな手作りショップや手芸店も眺めましたが、コットンベースやコットンリネンのものが多い中で、リネン100%ものというのは触るだけで実感が出来て、林与の布でないながらもリネン100%ものですから、これをみなさん買ってくださいねとお勧めしたい気分になります。

盆と正月といいますが、駅前のショッピングセンターなのに、夜の7時頃なのにほんとうにお客さんがまばらで、さびしい感じがいたしました。今の時代というのが、店頭でものを買う時代ではなくなってきているというのを実感いたしますし、店頭に置かれているものが特別なものでなくなり始めているのを実感します。

イタリア製のリネンのランダムなマルチカラーストライプのストールが目に止まりました。40番手クラスでやや固めですが、色が原色の多色使いでイタリアっぽく、リネンらしく売り場でも非常に目立っていました。
2010年08月14日
今日は、朝7時から盆踊りの準備に評議員として出て、早く準備が終わったので午後4時からの再度集合ということになりました。この盆踊り大会というのは明治、大正から行われているのではないかという話でした。江州音頭というスタイルの踊りになりますが、近江商人の礼儀から来ているという話も今日の準備の際に聞きました。ということは、この地方では、どこもがすでに盆踊りをやめられている中で、伝統的な江州音頭の盆踊りとしてはかなり本格的なものであるということでしょう。

例年は、お盆の前の週に行われる盆踊り大会ですが、今年は始めて位にお盆と重ねられました。帰省される方が来られることを期待してのことでしょう。そういう方のための飲み物も用意されました。村づくり委員の方が、バザーで食べ物を用意され、子供たちは踊ることよりもそちらが楽しみかもなのです。弊社からは私も含めて6人が踊りました。夜、10時頃には、運動場いっぱいの人が踊っている状態でクライマックスを迎えました。

こういう大きな成功に終わる行事でも、来年もやるべきなのか、sどこかでやめるべきなのかという問題がつねに付きまとっています。こういう行事というのは「人々の幸せ」という本来の意味を失ってしまっては続けていても無意味ではないかと思うのが林与の考え方です。

こういう伝統的な村にも新しい住宅地区ができていますが、その地区の代表のかたも遅くまで片づけを手伝ってくださってただけでなく、前向きなお言葉を私にも掛けてくださっておられました。地域の人々の幸せのために善意でやっていることが伝われば、新しく参加される方にも理解が深まるのではないかと思います。

人々が気持ちで動けるというのが一番大事ではないかと思います。立場、建前や損得よりも、こういう日本的かつ献身的な行事を長く続けていくためには、本質的なものが最終的には大事ではないかと思います。
2010年08月11日
今日は、午後から京都の紋紙屋さんに行きました。弊社担当の方のほか、会長さまがおられ、ご無沙汰してますということで、近況報告を兼ねた仕事以外での長話をさせていただきました。京都の町屋を改造した会社はいつ行かせていただいてもステキだなあと思います。明日からはお盆休みということです。

紋紙の紙は、日本の業者さんが製造の継続が難しくなって来たということで、スイスからの輸入紙に戻ったそうです。日本国内での一級のものというのは段々と手に入りにくくなり始めています。海外のものと国内のものを比べると国内のもののほうが品質が一定で供給も安定しているという要素が今まであったのですが、それ自体を維持するのが難しくなり、海外のものにシフトして行かざる終えないところに差し掛かっているものと思います。自分が品質を信じて何十年も安定して使い続けてきたものを変えることは、自分自身の品質を守れなくなるのではないかという危惧すら伴います。

紋紙屋さんにしても、スイスの紙だからといって特別に評価する訳はなく、日本の今までの安定した製品と比べて、どの程度まで許容の範囲なのかを確かめられながらご自身での判断をもたれております。リネン糸の場合と同じく、何か問題があれば、結果として、今までの紙の特性を熟知している私自身も、そのスイスの紙の問題点があるなし判断に加わらせていただくことになってきます。

糸や織物云々だけでなく、織機のことや織機の部品、修理、ジャガード織機の紋紙の品質面での話なども知識を持っておくことが布づくりしていく上では大事だったりいたします。そういうのって経営者っぽくなく、職人っぽいと思うんです。価値観の違うところでのものづくりを生み出すのは、そういう知識の裏づけではないかと思います。

会社に帰ったら、加工工場から反物が上がってきていました。一部は盆明けになるとの連絡があったとのことです。何日も掛けて織って加工から上がるのを待っているので、加工から上がってくる商品を見るのは待ち遠しい気分なのです。
2010年08月09日
今日は、午後からひこね繊維シンポジウムの県立大学との打ち合わせに立ち合わせていただきました。大学生の皆さんにアイデアから新しい作品を生み出そうという試みです。大学生の皆さんも夏休みながらアルバイトなどでお忙しい中を産学のコラボに協力いただいています。

作ろうとする作品3点は絞られてきており、いくつかの作品には、素材に締め付けの少ない布帛や天然素材を使うような作品を考えていこうとすることも考えておられます。デザインという面では、作品に自由な色柄を乗せてみたいというところが学生の皆さんらしい発想だと思いました。

学生の皆さんが、作りたい物に対して、しっかりと話をされる姿が非常に好感をもてます。一度、私の会社にもお越しいただいて、素材を見ていただいたり、ファッションの実際の現場というものやものづくりの現場を実感してもらいたいなあと思います。

キッチンタオルですが、大判なので夏のエアコンの聞いた部屋でのひざ掛けにも良い感じです。普通のタオルにはちょっとゴツすぎて厳しいかなあと思いながらも、膝元に置いたらすごく良い感じでした。通常の大きさのリネンタオルも開発中ですので今しばらくお待ちくださいませ。