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リネンや麻を織る日々をつづっています。
ホームリネン日記2014年6月
2014年6月
リネン日記:29
2014年06月30日
戦後は丁稚制度が禁止され、その代わりに作り上げられたのが日本的雇用制度と呼ばれる終身雇用制度、年功序列型賃金制度、企業内組合といわれる制度で、国の制度としても、国民健康保険、社会保険、や公的年金制度です。でも、すべてが破綻しかけており、今の世代や後の世代が後片付けをしないとならない負担の大きさを考えると、無責任に良い時代の名残をいつまで続けていていると、さらに後片付けしないとならない次の世代は気の毒です。

典型的な過疎化を感じるのがもともと賑わっていた集落で空家が目立ち、外に新興住宅が建ち始めていることで、昔からの集落というのは考え方も変わることは難しく、一つの世代とともに廃れてしまう流れにあるのではないかと思うのです。これは集落に住んでいる人の問題ばかりではないところもあって行政もそういう誘導をしてしまっているところもあり、気がついたときにはやはり田舎に人が残ることは難しいという問題に繋がりがちです。

私自身、織物というような古い仕事に携わっているものの、よほど新しい取り組みもしていないと昔ながらのことも続けることすらも難しいのを感じています。鎖国していた時代の日本なら日本の中の縛りだけで安定を保てたのでしょうが、経済だけでなく、文化というものは世界画一化の時代で、自分自身の文化発信が魅力的に思われなければ、ほかの文化に飲み込まれてしまうというのは、世界中にいきわたる商品がアップルのアイポッド、サムソンのギャラクシーであったりと、ものというのは世界中に流れていくので、ものづくりというのは世界を巻き込むほどのチャンスをつかまなければ生き残れない時代です。

日本の商品開発の理想はプロジェクトX的なものかもしれませんが、実際に日本では多くの壁があり、本来、人間関係があると協力的に働いて中で解決できて新しいものができるのが理想なのだが、行き詰まって、一つなにか新しいことをしようとすると人の関係も絶っていかないと新しいことができないというのもおかしな話なのだが現実的には多い。

難しいですね。小学生にパソコンや携帯を禁止する国が正しいのか、小学生にパソコンや携帯を推奨する国が正しいのか。林与のネットはするけど、テレビは一切に近いくらい見ない生活、正しいのか正しくないのかも似たようなものだと思います。正しい正しくないなんてのは力関係だけのことも多いので、自分自身の判断が大事だろうと思いますし、他と同じであることよりも、他と違う要素を積み重ねることこそが強みであるというの仕事でも実感します。
2014年06月29日
今日は近江上布プリント柄ストールの出荷の日。今は秋冬のストールのピークの時期に突入し、ぎりぎりながらも間に合って7月から百貨店でも販売開始です。今日も検針は地元の会社の友人が休みにも関わらず検針機を持って検針に来てくれました。初めてのこともあって、たとえば一つの記入方法でも、この書き方が正しいのかどうかとか迷うところもありますがとりあえずはじめてのときというのはそんなものだろうと思うのです。

夕方ぎりぎりに出荷が終わって、戻った後は、そのあと地元の着物関連の会社が夜お越し下さいました。社長が夜遅くまで動いて居られる会社というのは強いなあと思え、仕事を仕事とは思っていないあたりも強いものです。ご依頼いただいた内容なども普通だと本格的な話なのですが、頼まれごとということで自分のためというよりもほかの人のために精一杯動かれておられます。普段の仕事も、お話を聞いていても私と似たような仕事感もっておられます。仕事なんていくらでもあるというあたりも同じ考え方で、すべてを立ち回っておられ仕事を生み出す力とそれをこなされる力を持っておられるのが伝わってきます。

私自身、仕事の取り合いというのは好きではなくて新規にお話があるときにもすでにほかに麻の生地を扱っておられるところとお付き合いがあるなら、そことの仕事を大事にされたほうがよいのではないでしょうか、というようなお話からさせていただくことが多いのです。商売というのは、一回の仕事の勝った負けたじゃなくて、人との関係のほうが大事だろうと思うことも多く、考え方の合わない人と仕事をすると考え方の違いから問題ばかりが増えてくるもので、本来の仕事をするということ自体が難しくなってしまいます。

人というのはいろんな考え方があると思うので、考え方の似たもの同士が集まってものづくりをして、そういうグループがいくつも存在し、共栄共存というものが成り立つのがよいんじゃないかと思うのです。それを作り出すのが人の考えの違いだろうと思うのです。また、全体が一つで共栄共存というのは難しく、全体が一つのことをやろうとして考え方すらひとつにまとめることも難しく失敗するようなケースがほとんどだろうと思います。
2014年06月27日
昨日は、午後から彦根でシャツをつくられている方が麻の生地を見に来て下さいました。私自身、9月末くらいまですでに時間がなくなり一杯になり始めていて、在庫のものや通常に流れているもので対応させていただく流れとなりそうです。

昨日の夕方は、地元のある会社の経営者の方とお話をしていて、やはりやる気をもっておられるので会社があるということおっしゃっておられ同感です。私自身できる人に頼まないと時間の無駄だと思っているので、気があってすることのできる権限と能力をもっている人に頼むしか仕事がスムーズにいくことはないだろうと考えています。

会社の経営者だと外と中の意味の違いは判っていて、経営者だと仕事を持っていくと大事に扱われるものですが現場の人だと面倒そうに扱われていたりで、そういうのも経営の問題じゃないのかと私の気のついたところも冗談交じりに突っ込ませてもらっておきましたが、アイロニーもわかってくださるようで人数が多いので大変なのですと笑いながらおっしゃっておられました。

一回り以上若い私にも常に丁寧に対応され、今まで一度でもいい加減な対応をされていないあたりも、人と人、会社と会社との付き合いというものを仕事以前に大事にされているなあと思えるところです。現場も遅くまで見守っておられるので、そういう気持ちがあるのとないのとでは大違いだろうといえます。
2014年06月26日
以前、ある業者さんに好きだからこの仕事をやっているんでしょう、といわれたことがあるけれど、仕事なんて好き嫌いでするものじゃないというのが、私の仕事に対する考え方。趣味が仕事になればそれほどよいことはないけれど、趣味というのは趣味で終わることのほうが多い。ほかの人がやりたくないと思うことをやってこそプロの世界だろうといえる。

この仕事をしていて、デザインや作業とかではなくて、一番困るのが、一緒に仕事をするときの仕事に対する意識の差。布の世界では、単純な仕事だけども布を形に出来る人が少ない。アパレルの世界にデザイナーさんは多いのだが、織物工場が次々と廃業していく流れの中で、その原因は実際に現場で作業ができる人が少ないということがある。

昨日は東京JETRO本部でミラノウニカの説明会。初めての経験なのでブースの設営などの案件で疑問点も多く、大事な説明会。朝一軒寄ってから午後2時丁度に説明会場に到着。ブースの設営の疑問点も解けて説明会に出席してよかった。山梨富士吉田の前田源商店のお兄さんとも出会えた。カゲヤマさん、福田織物さん、古橋織物さんも一緒にミラノウニカ。海外に向けて元気に動いておられる馴染みのテキスタイルメーカーさんたちも一緒で楽しい旅になりそう。イタリアで日本が好印象に思ってもらえ一つのチームとして成功させたい気持ちはみんな同じ。

私自身はイタリアの展示会は始めての経験でそれだけでも楽しみなのだ。展示会のレイアウトの問題など大きな問題ではなく、わかる人が見れば感動もあるだろう。初対面の人でも興味のあられる人がいれば30分でも話すれば、日本の織物に関してわかってくれる人も多いだろう。ヨーロッパというのは置き引きなども多くセキュリティの面でほかのどこよりも注意が必要ということらしい。パリのシャルルドゴール空港行きの列車も危険な感じだった。荷物は3個は厳しい、スーツケース2個にしよう。

その後夜は出荷の案件があって、急いで滋賀に戻るも家に着くと夜10時前、出荷はプリント工場の方が滋賀県まで上がった生地を持ち込んでくださり間に合った。自分が大阪まで仕上がりを待って取りに行こうとしていただけに同じ気持ちで動いて下さる外部の方がいてくださり、ありがたい。
2014年06月25日
東哲平氏より、楽しそうなイベントのご紹介がありました。ブランドとアーティストのタッグでの取り組み、25日は東京なのでオープニングセレモニーには参加できませんが、会場はすごい盛り上がっていそうで新幹線の中から応援しています。

以下は紹介文です==========================

6月25日(水)から7月1日(火)まで阪急百貨店うめだ本店10FうめだSOUQ中央街区にてRBTを中心とするブランドや作家さんのポップアップショップを開催します!

今回の企画は「ART meets FASHION」と銘打ってファッションブランドがアートと結びつく事で更新される新しいカタチと、アーティストがファッションブランドと結びつくことで更新される新しいカタチを模索する実験的なイベントです。

イベントの中では5組のブランドとアーティストがタッグを組み、その両者でこのイベントの為のアイテムを制作します。
「普通の毎日」にどこか疑問を持っている人や、少しでも普段の日常を楽しいモノにしていきたい人には何らしかのヒントになるイベントです。
ぜひ、大切なヒトをお誘い合わせの上お越しください〜

*イベントをみなさんにも盛り上げて頂きたいです!沢山のシェア拡散ご協力ください。よろしくお願いします。

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阪急百貨店うめだ本店10階SOUQ
6月25日(水)>7月1日(火)
10時〜20時(金・土21時閉店)
最終日は17時閉店となります。
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RBT x WallRAG*
Knittingbird x 多分絶対
YAGA x KITAMURAKANA
nigatsu x cicci
monolisu+++ x 虹の心


RBT_http://www.rbtxco.com/
WallRAG*_http://rbt-co.ocnk.net/product-list/26
Knittingbird_http://knittingbird.com/
多分絶対_http://tabunzettai.web.fc2.com/
YAGA_http://www.yagamade.jp/home
KITAMURAKANA_http://kanakitamura-cancan.blogspot.jp/
nigatsu_www.nigatsu.jp
cicci_http://www.digmeout.net/members/artist3.html
monolisu+++_http://rbt-co.ocnk.net/product-group/26
山ぐるみ_http://www.ac.auone-net.jp/~asahiko/works/
2014年06月24日
夜、工場の外に出ると、涼しくて気持ちがよい。日本の夏というのは蒸し暑くって不快指数が高いけども、こういう夜露の気持ちよさというものを特別に感じ、体の暑さを冷ますことができるのは、充実感そのもの。

日本の服飾文化が高度なのは、やはり四季があるから。日本の着物の世界なんてものは、世界的に見ても一番くらいの豪華な世界なのである。なぜ、日本でこれほどまでに着物にお金をつぎ込むような文化が出来上がったのかというと、農家だと、どの家でも織物が織られていて織物というものに基本的に興味を示していたということがあろうかといえることと、また、農家が作る織物というのは一般的には素朴だったので特別の織物に対して憧れをもっていたということがあろうと思う。

朝3時、外があまりに気持ちがいいので、5分ほど散歩。源氏蛍だろうか、昔は地元では見かけなかったくらい縦横それぞれ2倍ほどの巨大な蛍が一匹だけ、水路の縁で、歩きにくそうに歩いている。たぶん、サナギから孵ったばかりの蛍なのだろう。お尻は強烈にイエローグリンの明るい光りを放っている。

それほど蛍も見かけないのは、やはり農薬の影響があるのだろうと思う。よく聞くのが農協が農薬を買わないと米を買取しないとか、小さな虫がいなくなることは、次には、スズメやツバメなどの鳥類などがいなくなることに繋がる。4月5月にはモンシロチョウやアゲハチョウが待っていたのだが今は田んぼに囲まれた田舎でも見かけることはほとんどない。そういえば蚊もかなり少なくなった。春に花は咲くが、訪問者のない春というのも春らしくない。ツバメもほとんど見かけない。
2014年06月23日
今朝から状況が一転して、余裕があったはずが月末までぎりぎりのぎりぎりのスケジュールとなって、今週は仕事の合間に2度のとんぼ返りで東京の予定。ものづくりが成功してものが流れる状況が生まれても生産というのは別の大きな要素で、それが成り立たないとすべてが水の泡。やれるだけのことをやってみないと悔いが残るものですし、次も同じこと。月末までの一週間が完全に埋まって厳しい状況ながらできるかぎりの取り組み。

昨晩は、2台縦糸3080本をそれぞれタイングマシンでつなぎました。最初の一台は、ラミーの100番にリネンの100番を繋ぐのですが、これが難しい。ラミーは切れやすく、繋いでいる途中で何度も確認作業。緊張の続く5時間コース。そのあと、綿のビームを巻取りし、綿どうしを繋ぐ作業非常に簡単で2時間で終える。もう一本繋ぐ仕事が残っている。

織り出しを確認してひと休みして朝には別件の加工出しの準備、織物作業のすべてが仕事。糸をタイイングマシンで繋ぐも私にとっては単純作業ながらも、なかなかそういう仕事も出来る人というのは少ない。繋いで繋ぎ違いが多くボロボロで織れないということも多いので、急ぐときほど私自身が作業をしたほうが確実ということもある。

繋いだ2台は順調に動き出した、それが幸い。繋いでも糊の加減や糸の良し悪しで、うまく織れないことも多く、それを解決するのが織の現場の仕事だったりすることが多く、そのためには織機を何時間も掛けて調整したり、どうしても、糸切れが納まらないときには横糸切れ縦糸切れを何百回と乗り越えながら織り進まないといけないときもある。

何百回何千回糸切れをしても正しく直せる人というのは強いもので、その基本があって、高度な織物が生まれてくるといえる。案外、そういう丁寧な仕事や根気の部分でほかに真似のできない新しいモノづくりができるものだ。口が長けている人というのは地道な仕事に向かない人が多い。どうしようと決断を迷っているよりは、10仕事して、1つでも答えを出していく方向に向かうべきだろう。よりよい答えや方法が見つかったときには、積み重ねたものをすべて台無しにしてもよいと思うが、何事をするにも積み重ねるという作業が一番大事。
2014年06月22日
昨年1月から本生産をおり始めて、ようやくゴールにたどり着いた仕事があります。くらしものさしプロジェクト③のリネンハニカムキッチンクロスです。林与自身が、360枚を6ヶ月ほど掛かって織り進め、昨日ようやく織り終りました。伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越の3店舗のキッチン雑貨売り場に並んでいますので、ぜひ、売り場で手にとってご覧くださいね。

今月はじめの阪急うめだ本店のテキスタイルマルシェでも、林与の定番のリネンキッチンクロスの残布を縫製したものが人気で、トータルで300枚以上は持っていったのですが最終日になる前にL25タイプは完売でした。さまざまなテキスタイルが集うような場所で、平織のシンプルなキッチンクロスが人気というのもリネン人気の表れだと思います。弊社だけでなく、平山繊維さんの木綿のガーゼふきんも大人気で数日目には完売になっていました。
2014年06月21日
昨日はキッチンクロスを織るのに集中しようとするのですが、途中、お電話をいくつもいただいて、途中中断。途中中断すると、再開するときに失敗が多く、こういう作業は、現場のものがやらないと駄目なのですが、仕事というのはできないと思い込むとできないものでできるものではありません。私自身も、無心の集中そのものの領域に入るのに昔と比べると時間がかかるものです。

これは内も外も同じで、同じ仕事でも気持ちしだいで、2倍3倍スピードも変わってきますし、仕事の質も変わってくるものです。技術云々ではなく、精神面での差というものが力の差となって現れる部分こそ根本的な力の差の部分だろうといえます。

私自身もできないことはまずないという気持ちでできないのは、やろうとしないだけのことという考え方でいますので、いろいろなことに挑戦ができるのだろうと思います。よくいわれるのですが、商売というのが普通に成り立たなくなったときに、実際に気持ちから切り替えていかないと駄目で、それが実際に行動に繋がらないと、現状打破というものは難しいものです。

仕事があるときに、うまくいく流れをつくるのか、うまくいかない流れをつくるのかで同じ仕事でも答えというのは大きく違ってくるもので、麻を今まで扱ったことのない、産地や海外のほうが次々と新しいものを生み出してこられるというのも、従来の仕事がなりたたなくなって彼らにとっては麻という新しい素材と真剣に取り組まれるようになったからだろうといえます。

ある方のご紹介で、ほかの産地の機屋さんが麻を織りたいということで私に麻の織りかたを教えてほしいと相談いただいたことがありますが、自分自身でいろいろな準備をされてやってみられてうまくいかない。従来の仕事プラスアルファで、会社を残そうとがんばられていて、まだ、苦戦をされていると聞いてはいますが、そういう覚悟を決めた気持ちがあれば本業の綿織物にしても高度なものが生まれてくると思います。
2014年06月20日
林与ジャパンプロジェクトですが、今年から順調にさまざまなチャンネル経由で広がりはじめた感じで喜んでいます。リネンのストールも3シーズンをベースにさらに柔らかくしておりますので、春や秋にとくによい感じではなかろうかと思っております。

日本中のいろいろなところで、與一じいさんの頃の色柄の世界をみていただけるというのは本当にうれしいことですね。先日のテキスタイルマルシェでも、潜まった感じでディスプレイしていましたが、見つけてくださって素敵ねえと色柄を褒めて下さる方は多かったです。

今の楽しみはこれを海外の皆さんにみていただくこと、ミラノウニカ、インテキ上海を含め、織物を通じていろいろな人との出会いが生まれる楽しみがあります。織物に感動するという、本来、織物が持っていた特性的な部分、それは織物そのものじゃなく、ものづくりのスタイルであったり、ストーリーの部分も大きいのではないかと思うのです。
2014年06月19日
今日、糸商さんに糸を注文しようとしたら糸がないということで、人頼みということは一寸先は闇ということを感じる。仕事の案件で話が確定してしまう前なので、まだ大丈夫だったのだけども、話が進んでいて、糸が手に入らないでは、もし、一つの会社の中の失敗だと大きなポカである。糸の背景が不安定な話で最初から進めていてよかったといえる。糸にしてもリスク回避の手段は必要ということを感じ、一部は糸商から一部は自分で手配ということで、自分自身でも1年くらいは回せるくらいの在庫をある程度持って糸の手配を考えることが一番だろうなあと思える。

以前、糸を直接仕入れる話を聞きつけたお付き合いのある糸商さんが、その特別の糸を自分から買ってほしいと言われたのだが、自分自身で仕入れる方法を選んだことは正解であったと思う。その後も、通常の糸はその糸商さん経由で買うことを続けていたのに通常の糸すらも供給不安をたびたび経験するのだ。日本企業の金融が引き締められていると売れないと仕入れないので、ジャストインタイム的で理想にみえるが、実際の製造というのは1ヶ月ほどのタイムラグで糸が入ってきても成り立たない。糸を買って、糸商にもってもらっていても危ない。自分が買った糸を勝手にほかに売ってしまって、別の糸が入ってくるのを待たされたりする。聞いたら驚くことだろうけれども、そんなことが糸の世界ではよくある。

昔、面白かった話がある銘柄の糸がないという説明を受けて、ほかの銘柄を薦められて、今は急いでないので要らないと断ると、手のひらを返したように、最初の銘柄の糸があったという話になる。売りたい糸というのはゴミの糸で、糸が必要という状況がわかると足元を見るような姑息なことをする業者もあるので、糸に関する説明というは信じてはいけないことが多い。別の銘柄に箱を詰め替えてというのも笑える話だが実際に箱を詰め替えているだけと説明を受けたこともある。

なぜ、繊維を取り巻く状況はこれほどに不安定なのだろうか。䧅
2014年06月18日
プラスアルファの新事業というのは、本業とは別にディベロップしていかないとならないと思うのですが、実際には本業以上にこちらのほうが力を必要とするものだろうと思います。

新しいことをやっても10のうちに1つ2つ売り上げに繋がれば大成功だと私は考えます。残りの、8とか9の日の目を見ない我慢できるかどうかが、仕事の地力があるかないかの部分だと思うのです。
2014年06月17日
若い頃につくった自分が作ったサンプルを見て、先代には糸がもったいないから作るなといわれたけれども、やはり、自分が作りたいものを作りたいときに作っておいて良かったと思う。今見ても、数点ある若い頃の作品というのは充実感が詰まっている。

今までやっていた仕事がだんだん苦しくなるという局面があると思うが、そのままのものづくりではどんどんと苦しくなるだけで、それと並行して、新しいことをやって従来の仕事も守る必要があろうかといえる。

長いこと仕事をしている人というのは、過去に溺れてしまい、新しいことをしようとするのを嫌うもので、協力できないだけでなく邪魔することもある。従来の仕事やりながらプラスアルファの仕事をしないといけないので、仕事が二つになるが、従来の仕事だけに固執して、新しい仕事を馬鹿にしどんどんと小さくなってしまうのだ。また、新しい形が見え始めたときにも最初に新しいことを馬鹿にしてしまっているので能力的にも追いつくこともできないこともある。

また、同じ仕事でも誰がやるかで、結果がまったく逆になることももちろんあろうから、何をやるのが正しいということは言い切れないものだ。私が、新しいことをやろうとするときも、壁を乗り越えられなければそれは大きな問題にぶつかって出来なかったということで終わる。壁を乗り越えて形にまで到達すれば最初売れなくても、売れるタイミングというのも来るだろう。

新事業は本業としてやっては失敗したときに会社が傾くので、従来の仕事をしながらプラスアルファとして持ち出しながら育んで行けるような精神が大事だろう。そういうのが自分の仕事は自分で作り上げていくということだろうといえる。日本で新しいものをつくるのが難しいのは新しいものをつくってもすぐに真似たものが安い値段で出てくること。昔ながらの高コストな産地が新しいものを作ってもほかの人にものづくりのヒントをあげるだけに終わってしまうことが多いことだろう。ものづくりする以外にそういうところでの情報合戦にも勝たないと自分のオリジナリティを主張すら出来ないものだ。
2014年06月16日
そろそろ、ミラノウニカとインテキ上海の飛行機の手配などの準備を始めないとと思って、飛行機を物色。ミラノウニカのスケジュールではHISで見ていると、結局、中国国際航空しかチョイスがなさそうなので、北京経由でマルペンサ空港行きを取る。

会場周辺にはホテルがあまりないので、イタリア通の久山さんに相談したら、メトロマップにどの駅の周辺のホテルを取ればよいのかをアドバイス貰った。ついでに通訳も友人の方をお願いできて、イタリア現地の方が弊社の展示に興味を示されても話が盛り上がりそう。

ホテルは、なぜか今回だけは、値段重視ではなく、場所重視にして、5泊で7万5千円くらいか?シングルルーム一泊が1万5千円というのは、林与的には贅沢すぎるのだが、ミラノ市内ではそのくらいでも安いくらいようだ。最後の晩餐所蔵の教会の近くのホテルということで、名画ではあるが「最後の晩餐」という響きよいのかどうか迷うところ。夜、市内を散策できるロケーションなので、元気があれば夜のミラノを見て歩きたい。

私自身、イタリアにはプライベートで行きたい気持ちはあるが今回は展示会オンリーなスケジュール。9月7日の夜に到着し、8日が準備日で、9、10、11日と展示会で、12日の昼の飛行機に乗って、13日に帰国。最短のスケジュールではあると思う。次にイタリアに訪れる機会を見つけることができれば、学生時代に訪れたフィレンツェに行きたい気持ちがある。

私の好きな映画に、「あなたが寝ている間に」(while you are sleeping)という映画があって、サンドラブロック主演なのだが、なぜか、映画の中の彼女もフィレンツェに行きたいという。私自身もフィレンツェでは、学生時代に感動したヨーロッパの文化との出会いがあった。それ以来、じっくりと数日、フィレンツェに滞在したいと思っている。

インテキ上海の飛行機は、10月19日の便でその日の午後に準備、そして、20、21、22、23日の夜の便で帰国する。こちらも最短の日程。国際航空は午後3時着しかないので難しく、荷物が多そうなので、東方航空は持込が1個なので止めて、名古屋発の機内預かり荷物が2個まで大丈夫な南方航空を選んだ。値段だけではなく諸条件が重要。

上海のホテルは2年から見つけて使っているホテル以外のホテルを経験してみたい気持ちもあるけど、タイトなスケジュールなので、無難に昨年と同じホテルにしようかとも思う。そのホテルの周りもそれほど観光地というわけでもないが、15分ほどあるけば、おいしい料理を食べることのできるレストランがいくつもある。そういうのが楽しみで、高級でなくても良いので現地の味を味わいたい。
2014年06月15日
今日は運転免許の更新、免許更新に行くことが出来ず更新期限ぎりぎりの日曜日。講習内容で感じたのは、私は自転車はほとんと乗らないのでよいけど、自転車に乗る人の立場が非常に厳しくなったという気がする。

田舎と都会では、生活習慣が違う。田舎で歩道を歩いている人はほとんど見かけず自転車が弱者的な立場の主たる交通手段となっている。速度の遅い自転車が、車の多い車道を走るというのは危険な気がする。都市部では電車や地下鉄を中心とした交通手段が発達し歩くことが多く、自転車が少ないからだろうが自転車を車から守る必要はあろうかと思う。

交通事情からみてやむおえないと判断した場合、歩道を走ってよいとされている余地はあるが、この改正が死亡事故に繋がるような重大事故を増やさないかが心配だ。ビデオで取り上げられている滋賀県の死亡事故事例も高齢者が歩道がある国道で車道の側道を走って後ろから追突されて死亡したので、ドライバーは注意しましょうということなのだが、このようなことは今後より起こる可能性は高くなる。たぶん、免許センターの教官たちも今回の自転車に対する法改正でこのような死亡事故が起こる可能性が高くなるということを感じて免許更新のビデオに使っているのだろう。今回の自転車に関する改正、田舎と都会では違う事情があるのだから違う対応が必要だろうと思う。

高速道路での緊急停止では、車を停止した後ガードレールの外に逃げなさいというような指導で人命を守ろうとするが、自転車というのも側道で停止したらそれ以上に当たり前に危ない状況だろうといえるが、それにも同じような人命に対する配慮があってもよいといえる。今までは片方が歩道でそこを自転車が走っていたケースもあるが、これからは左側通行が義務化されることで、電柱や草がはみ出ている危ない側道を自転車が危険とにらめっこで走ることが正しいとされるというのも、本当に正しいのかというあたり、田舎の道路状況なども加味しないとならないと思う。

冬場なんかは雪のほとんど降らない東京大阪とは違って、滋賀県でも雪が少し降るだけでも田舎の側道などは雪があり危ない、中学、高校生などの自転車通学もリスクが高いだろう。死亡事故が増えてからでは遅いのだが、死亡事故が増えるような場合には、人命のほうが大事なのだから法律が一人歩きしないように配慮をしていただきたい。
2014年06月14日
今日は朝から急ぎの織機のドビーフレームがこじれてしまっている。確か後ろのほうのフレームは動かさないようにしていたのだが、新しいカードを使ったがために、後ろのほうのフレームが動いて、ややこしくなったようだ。

朝のうち取り組んだが解決には至らず、お昼をゆっくり取りながら対策を考え、午後から本格的に修理に入った。途中、出荷関連を済ませて、夜の7時過ぎから修理再開で夜の11時にようやく織機が調子よく動き始めた。ようやく仕事を始めることができる。

仕事が暇なときに、織機をばらして、細部を掃除したり消耗したものを交換したりするということをすればよいのだが、この6年ほどその時間がないままに織機を使い続けている感じ、こういうトラブルが起こるのは予期できているけれども、織機のオーバーホールも、下手にやると部品をつけ間違えたりで大きなトラブルに繋がるので、ほかの人に気軽に頼める仕事ではない。
2014年06月13日
今日は朝はちょっと遅め、11時に大阪からのアパレルのお客様。継続してのお取引のある会社で、新しい担当の方が始めて会社に起こしになられる。アパレルの方にも、実際の織物の世界がどんなものであるのかというあたり、雑談も交えながら。また、私自身も、セレクトショップで以前働いておられた話なども興味深くお聞きする。

人が新しいものを生み出そうと動く姿勢というのは美しいものだと思う。先日もあるアパレルの方がシャツが出来たので東京に来るときにも会社に立ち寄ってほしいといわれ、喜んで下さっていることが嬉しいし、自分が費やした苦労が形になったということ喜べる。

あるアパレルさんで、ある方が1年かけてつくられた布が滑脱だかの問題で、お金は払われたもののすべて使われないことになったそうで、現実というものはそういうこともありえるもので、新しい取り組みが正しい結果となるということも奇跡的なことなのだろうと思える。私自身、昨年は3つの新しい取り組みの案件がトラブルことになり、そのトラブルの部分は織物とは違うほかの方の専門のところなのだが、そういうのも機屋である自分が解決していかないとならないことも含め、機屋というのは、工賃仕事の加工業とは違ってリスクをまるかぶりしないといけない高い仕事だなあと思える。

今日もアパレルの方に、ボツとなった布と元のサンプルを見せると濃さがまったく違いますねと、一言なのだが、その仕事をした工場の人というのはその違いというのは許容範囲だと納得がいかない様子。外から見てまったく駄目なのだが、仕事した人にとっては仕事したのだからお客が満足しなくてもお金を貰って当たり前ということのほうが多い。そういうのを解決していくのも機屋の仕事だったりと機屋が織るだけの仕事ではないので、自分以外のほかの力が落ちてくると一番に潰れてしまう。


2014年06月12日
今日は午後から、「クリエーターX伝統産業」という講習会が草津でありました。講師の先生が、手で作るというところを重視し、その背景的なところを軽んじたがため、伝統産業が衰退したというお話を聞いて、トキの保護や絶滅を思い出します。周囲の環境をボロボロにしながら一方でそういうものを保護しようなんて不可能というあたり国もわからないと駄目です。日本独特のものなんて独特の自然や文化があるから成り立っている微妙なもので、それを理解しないと存続は難しいのです。

また、達成するぞという気持ちが大事だというようなことを強調されていて、今の人の少ない時代に適合した考えをお持ちであると思いました。また、いつまでもやらないひとというのは、「しようと思っている」とか「考えている」とかの語尾。「これをやった、あれをやった」とやったことを言える人間にならないと駄目だということ実感します。私もとりあえず最初の一歩を進めてみることが大事だと思っている派で、やらないで頭の中だけで考えているだけでは何もしていないのと同じことです。

伝統産業で普通にやっていることを応用して新たな形に変えるというアプローチは、販路も含め持ち得ないとなかなか現実的には実現をしないものです。講師の先生は、販路開拓にも長けておられ、手がけた商品をシアトルの町に売り込みにいくなど行動力は抜群の方です。そういう数個からのチャンスを大事に育んで行く気持ちのある職人ならコラボは成果となると思います。まあ、伝統産業の人というのは過去の栄誉に縋り、仕事があるのが当たり前の気分でいて、一つの仕事や一つの成功を喜べるほど謙虚じゃないことも多いものです。

また、日本市場は人口がどんどん減り高齢化が進む傾向にあるのだから、とくに高齢者向けのアイテムでない場合には日本の市場規模はさらに小さくなるということ。こういうのって、現実問題として正解で、小ロット対応しているものづくりが、何十年かあとには、さらに半分の量での生産に対応しないとならないということに対しての準備は必要です。今でも苦しいといわれるものづくり産業がどう考えても超えることは無理だろうといえる壁が待ち構えているというところで、ものづくり企業の廃業は加速するだろうといえます。

日本の商慣習に関してもいわれていていました。講師の先生の考えておられることと私の考えていることというか、考え方が非常に似ていて、断片的にいろんな日本の中で仕事をする上での壁があるところ、自分で超えていかないと新しいものづくりはできないに結びついていくものです。私自身は、ものづくりで難しいところは需要はうまれても、生産や供給を成り立たせることの難しさだろうと思います。

夕方会社に戻って、東京から「セコリ荘」の宮浦さんがお越し下さいました。東京では若い方が、自分で道を切り開いておられるのを感じ、私自身も道を切り開いて産地での麻織というものが続いていて、ゼロやマイナスからでも組み上げていく、人の力というものがやはり大事だなあと感じます。私が話したのは、織る部分以外での失敗談や苦労話がほとんどそれが織物の仕事で、幸せなのは自分の作った布をよいと思って買ってくれる人がいること。
2014年06月11日
地場産業での大きな問題は高齢化というところ。これはテキスタイルマルシェのほかの企業さんとお話していても同じ悩み。先代がいるうちは次の世代が力をもって動けないという、家の中の問題が零細的な地場産業企業の活動の中にもある。若い者の力を最大限に伸ばして年寄りがそれを支えるというのが理想的な世代交代の形だろう。

企業が高齢化してしまい、業界においても年配になるほど仕事もできなくなる一方で今までやってきたということで先輩面というのも多くなり、これは駄目、あれは駄目で、会社全体もなりたたなくなるもの。失敗の経験を若いうちに積ませ、自分でその尻を拭くような経験を仕事で持っていないと、いつまで経っても通用する力というものは生まれない。

地場産業なんて昔と比べると仕事の大変さは同じかそれ以上でも、流れている量というのは10分の1とか20分の1とか、経験者ほどそういうことに疎く、勘違いも多く自分が作ったらみんなが喜んで買うのが当たり前みたいな横柄さ。現場もそういう人が増えると、経験は長くてもまともなものが作れないとか新しいものがつくれないとか。

本来は地場産業というのは優位な立場にあったもので、それを食いつぶしてしまうような驕りがどの地場産業にもあろうかと。親の七光りというのが、70歳、80歳の職人の先生クラスの方と話をさせてもらっていても多く、そういう驕りのない他産地の業者さんの懸命な商品開発のほうが上を行ってしまうのを多く見かける。

産地のものにしても実際に市場に流れているほとんどが産地で織らずに他産地や海外で織ったものというのは、西陣織にも似た状況で、産地の機の音というのは消えかかっている。厳しいといえば厳しい話だが、現場で仕事をする人が、当たり前の厳しさについていけないという厳しさは日々、内外で感じる。

商店街なんかでもお客さんが来てくれないので留守番するのが仕事みたいな状況。これじゃあ、一日いくつか売れるだけでお店をやっていても成り立たない。やるからには販売ということで、いろんな集客をしないと駄目だろうと思う。普通だと新聞の折り込み広告なんかだろうけども、コストがかさむのでブログで情報発信でよいと思う。あきらめていては人の魅力までなくなり、商品が安く溢れるのに、それで何を評価しどうやって買ってもらおうというのだろうとなる。ものづくりも同じだろう。

効果がなくても、やっているということが大事ということに気がつかないとならないと思うし、自分が食べていくためには種を蒔くことをしないと駄目だろうと思う。仕事も同じで、一人も見ていなくても続ける、そういう努力ができることが別のことをするときに成功するチャンスにつながるもので、長いスパンで考えると仕事があるないは普通で、その仕事のないときに自分で仕事を生み出し続けられるかが産業としての可能性を残すためにも大事だろうと思う。
2014年06月10日
今日は午前中、大学の同級生の女性の方が林与が阪急うめだにいるということで会いにきてくれ20年ぶりでしょうか。会計事務所で働きながら、ご主人の実家の仕事の手伝いをされているということで、引き継いだ自営業の大変さも背負われているような似ている境遇も持っておられ、まあ、何よりも会いに来てくださったこと嬉しかったです。

大学でも教室で学んだことは現実には通用しない無意味なことが多く、人間関係などはサークル活動などの先輩後輩関係などからかと思います。大学当時に卒業された先輩が久々に京都にこられることがあって、マージャンをしようということになってその先輩はマージャンのルールもしらないくらいで弱いので、当たり前に負けて、電車賃もないというのを後輩たちは笑っていましたが、朝に牛丼屋に行って、勝った後輩たちは朝になって牛丼を先輩に奢ろうとするのですが、先輩の靴下から隠していた1万円札が出てきてマージャンで負けても、牛丼も先輩らしく後輩に奢るということを当たり前にされるのです。自分たちが子供だなあと思える瞬間で、先輩というのはやはり先輩らしいなあと感じるものです。人に対する優しさというのは、自分に対する厳しさなのだろうと。

テキスタイルマルシェの最終日ですが、今日も3件仕事の関係での打ち合わせ的なお出会いもあって、生地の即売に留まらないプラスアルファな広がりもあります。産地直売のメリットというのは、作り手としては、自分がお勧めのものを直接消費者に見てもらえることや、どの生地が人気なのかがよくわかることです。買い手からすると、本物を買えると言うことが大きな意味で、なかなか産地物を謳っていても、他産地や海外生地だったりすることが多く本物にめぐり合えることが少ないなか、実際に作っている現場の人から話を聞きながら買える確かさは無比だといえます。

主催の方も今回はたくさんのお客様にお越しいただいて、やっていることに手ごたえを感じたといっておられました。次回はまだ計画中のようですが、9月の中ごろから後半にも同じ会場で行われるような流れになりそうです。また、みなさん楽しみに見に来て下さいね。