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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2022年4月
リネン日記:13
2022年04月30日
インテルのワークステーション用のCPUにXEONというシリーズがある。これは私が20代のころからのあこがれのハイエンドな世界のもの。2014年に発売されたシリーズで2CPUで合計72コアのデスクトップが中古で発売当時の10分の1以下くらいの手ごろな値段で出ていたので買ってみた。メモリも128GBで使い切れないだろう。ゲームに使う用のマシンのようであるが私はゲームはほとんどしないし、したとしても将棋くらいか。

テスト的に起動してみたけど、なんだかなあと思えるような普通のスピード。デスクトップマシンだとファンの音がうるさいのが普通なのに、すごく静かでそれはそれで良いと思う。パーツからすると、CPUも中古でも2個で6万円くらいはするだろうし、グラフィックボードも中古で3万円くらい、メモリも6万円くらいはするだろう、あとは電源やマザーボードと箱、これは5万円くらいなので、大体20万円くらいで買った値段と見合う。仕事で買う糸とかでも高い糸なら一箱24kgで10万円とかはしたりするので安いと言えば安い。というか、原材料である麻の糸がどれだけ高いなあと思う。そこに染とか糊付けとか手がはいってくると、ひと箱24kgが20万円近くになってしまうから、細番手の織る前の染糸の値段というのは、中古のワークステーションの値段と1kg当たりの価格はそうかわらない。

今時、デスクトップのコンピュータを買うなんてありえないと思っていたけども、なぜか、若いころのときめきみたいなものが舞い降りてきて、そういうのって年を取ると消えるものだったりするので、そういう欲みたいなものが年を取って消えることもよいだろうことだろうけど、消えないうちに夢の一つを手ごろに叶うレベルのことなら叶えて置くのもよいだろう。ノートパソコンでは画面が狭くてプログラミングの開発の限界を感じていたので、こういうマシンだと快適にプログラミングもできるだろう。

20代のころの正月休みに、先染めシミュレーションソフトを作ったのは懐かしい。それはWINDOWS2000用だったので、今はOSが進化して動かないから、WINDOWS10用に作り直せたら良いんじゃないかなあと思う。1週間くらい籠ればできるだろうと思う。たぶん、処理速度がノートパソコンの20倍くらい速いのを想定をしているけども、動かしてみるのが楽しみではある。

私の頭の中にもペンティアムプロセッサーが内蔵されていて、先染めシミュレーションソフトが動いている。テキスタイルデザイナーさんでもそういう人は少なかったりするので、柄のイメージなんかの話をしても、色のイメージがかみ合わないことが多い。経糸と横糸の色が重なるとその部分が濁って全く違う色に見えるのだけど、そういう混ざったときの色を想像できる人というのは珍しかったりする。それを一生懸命、口で説明しても理解してもらえないのが普通で、シミュレーションソフトでいろいろとシミュレーションして見せてあげることができるとつくられたいイメージ通りなのかどうかも分かるであろう。

シミュレーションと実物との違いはもちろんあるので、シミュレーションというのは参考程度なのだけども色柄を組む時にはすごく役に立つ。
2022年04月29日
昨日は、大阪からお二人の4日間お疲れのくら寿司。これから地道に自分の仕事を立ち上げるとかの人と同じ観点でいつも仕事をしているのが私だったりして、一つのプロジェクトを行うときには林与にしても誰もが同じなんだということ。私自身が多くの方の応援を得られるのは普通を超えた仕事をしているからというところで、そこに多くの仕事をしているプロの方や、生地を使っていただく方が生地そのものよりも林与の覚悟みたいなものを評価くださることで成り立っている。

お越しくださった4日間もほとんど寝ていない状況で、普通の人の2倍3倍動いて、私自身が自分に厳しく作業をすることで次から次へとモノが生まれてゆく作業が進む。憧れとかそんなのじゃなくて、誰かがそういう厳しい現実を受け止めて動かないと、世界的に見ても日本の時間から時間のサラリーマン感覚がまったく通用しなくなってしまっていたりするのが普通で、そういうのを軽く超えていないと立っていくのが難しいのが日本の繊維の世界。

私自身は、4日くらいは20時間以上徹夜モードで動き回って立ち仕事で普通の人の3倍くらいの仕事なので、それは普通の職人の1か月くらいの仕事に相当するような仕事量だったりもする。それでいて重いものを背負ってはきたけども、これだけやっているのだから普通に仕事が続けて食べていけたらなあというような感覚で仕事で儲けようとする意識すらないのがプロの方でも怖いところじゃないのかと思う。

繊維の業界で何百億円の方がこられても繊維業界の基本の話から、この話を出すのは申し訳ないけども、学校で手織りを教えておられるすごく有名な方にでも縦繋ぎを教えたりするのが私だったりして、その成功しておられる方が真面目に私の言うとおりに縦繋ぎを覚えてくださっているのをみて、また器用であって吸収力もあって、織物の基本を教えられるだけの力をもっているのを感じたりもする。その瞬間に覚えて活かして行くような力が必要で、私が生きてゆく間に私の持っている繊維力みたいなものや、日本の繊維はすごいみたなものを日本のものづくりの超えた力で残して行きたいとは思う。

実際に仕事をするとなると、繊維業界に対しての憧れを受ける側の世界で、自分がどれだけ繊維業界に対する憧れを受け入れられるのかの力とか適応力とか柔軟性とか忍耐力が大事で、すなわち生み出して行くような力が大事。歴史や経験とかに頼るではなく、自分自身が動いて生み出して行くを大事にすれば良いのではないかと思うし、自分が生み出す力で食べてゆくことを考えると、自分に与えられた環境の中でどうやって物事を成り立たせてゆくのかが大事なんだろうと思う。
2022年04月28日
ここ数日は、キッチンクロスの出荷案件でヘルプの二人の方や姉家族にも手伝ってもらってドタンバタン。最後のひと柄が4色使いなので織にくかったことと耳糸を切るのが大変だったことなどなかなか内容も濃く手ごわい仕事。昨年の6月くらいから企画が始まって8月くらいにビーカーが始まり年内でビーカーが確定、糸が年明けから染まり始めて実際の織は2月からの3か月。

経糸で3割ほどのロスを見ているけどもそれでもやっぱりギリギリくらいのロス量になった。300mの仕事なら400m織れる分の糸を用意、すなわちさらに2割増くらいの糸量を用意なので、結局織れて納める実際の糸の量の1.5倍の糸を染めて用意することになる。どれかが1色でも足りないと用意した他の糸が無駄になってしまう。

繊維のものづくくりの仕事というのはこんなことができたらすごいとかあるかもしれないけども、普通の仕事でもなかなか大変な辺り。糸をまいてくれるおじいさんも今年で引退されるということでさらにできないことが増えてくるだろう。一番当たり前に思えるような一つの作業ですらもが頼んだ時にいつでも安定的にやってもらえなくなると最後の納期みたいなものですらも見えなくなることが多くなる。

課題の一つとして内製化みたいなものがあって、林与自身、いろいろとできることは自分の中で抱えて解決するということで消えゆく部分を消さずに織物の仕事を続けているようなあたりがあって、サンプルつくりなんかも昔みたいにはできなくなった感がある。解決能力を持っていないといくつもの壁が常に待ち構えているようなことが普通で、そういう壁を乗り越えてゆけないと難しいだろうなあと思えるあたり。何時から何時までが仕事ですかみたいな感覚だと関わらないほうがマシな世界だったりする。
2022年04月24日
今日は大阪からパターンナーの友人の方が見えられて、手織りを新事業としてされているのでそのお話を聞いたりした。いろいろと手広く手織り関係も行われていて、糸をつむいだり染色したりといろいろとご自身で展開されるために学んで準備されている。小規模に物事をやるときには自分自身でなるべくいろんなことをすることが大事だなあと思ったりする。サンプルつくりも業者に頼んでやったりすると個人のお客さんがお店で商品を買う以上にサンプルコストは掛かってくる。自分自身で好きな色を染めてみたいなことができるとイメージ通りの最終的なものづくりがしやすくなる。

アパレルの仕事のほうは、やはりコロナで落ち込んでしまっているというような私と同じような認識があって、そういう時間があるときにこそうまく補助金などを活用して新しいことを伸ばしておくとそれが後々、本業の仕事にも生きてくるんじゃあないだろうかと思う。

私も、2008年ころのデフレで高級アパレル向け素材の値段が崩れてしまったときに、先染織物を得意としていたのに、染めてないいろんな番手のリネン糸をシャトル織機で織ってみるプロジェクトを行ったりした。そういうのが今は生きていて、リネン3番手とか5番手から150番手までを織れたりするんで、織物のカバー範囲はアパレルだけでなく、小物や雑貨系なども得意分野となった。シャトル織機でおるだけでなく、シャトルの管に糸を巻くなどもそれなりに一苦労したりするので、数メートル織るのもたやすいことではないけども、いろんな種類の織物が生まれるような体制を持てていることがすごく大事だったりする。

設備があるからというよりも自分がそういうものを活かすために動く必要があるので最後は自分自身がやっていくということが出来るかできないかというあたりが大事なんだろうと思う。織るだけでなく、小ロットでのサンプルや小ロットの生産なんかができないと実用できな幅の広いモノづくりにはつながらないので、そのあたりもどうやって解決してゆくのかとかが大事だったりする。
2022年04月22日
ミニマムな生活を心掛けることは大事だろうと思う。なるべく買い替えずに長く使うとか、中古のモノを購入して使うとか。私場合は仕事の織機にしても引退された方のシャトル織機を使ってたりして、そのシャトル織機の電力なんかも1台あたりレピア織機の5分の1くらいとか。レピア耳を使うのがエコだとされている今の時代に、捨て耳のでないシャトル織機というのはその上を行く超のつくエコスタイルの一つだと思っている。

織れるスピードが遅いのでマイナスに思うかもしれないけども、それはそれで大量生産が難しいことにつながって無制限に作れるようなものでもない。人の働く限界のほうが浅い。糸が切れやすい麻織物をシャトルで織るというのはなかなか難しいことだったりする。生成なんかは色むらの問題があったりして余計に難しい。そういうのをクリアしてシャトル織のリネン織物が生まれる。よいんじゃないかい。

職人さんレベルでもシャトル織機の生産性の低さと糸の問題などで食べていくのが難しいところがあるので、つくるのには緊張感と覚悟と布を手直ししたりする根気が必要で、そういうのを乗り越えるとシャトル織のリネンが生まれる。自分だけの独りよがりかもしれないけども、耳までリネンとなるとさらに難度は高くなるから、そういうところがまたおかし。

織物というのは、織るだけでなく、糸、染、糊付、加工など他の要素が重要で、私の考えるのは基本より人々に愛されて来た加工方法。新しい加工もたくさんあったりするけども、麻織物の産地で、染や糊付、加工など麻に精通し生み出されて何十年も続いている加工方法は実績もあり安心できるのではないだろうか。今、定番のソフト仕上げシリーズは在庫少なくなってしまっていますがまた落ち着いたら作ります。

私の使っているノートパソコンも今のタイプは私が29歳の時に発売されたレッツノートのSX1シリーズ。今私は53歳なので、その後に発売されたSX4まで20年近く前のノートパソコンということになるが、メモリを増やしてハードディスクをSSDに交換して、今も現役で、壊れては中古を手に入れて使っているが、今の最新のノートパソコンとビジネスユーズや動画を見る程度では変わりない。作りがしっかりしていてキータッチや安定性なども含めて、しっかりよくできているのが当時のノートパソコンで、実際に20年近く使えているシリーズである。多分、私はずーっと使い続けるだろうと思う。若いころに一番最初若いころに20万円出して買った思い出があって、その時に買った記憶が残っている。そのときからノートパソコンがあまり進化していないように思うのは私だけだろうか、スマホはどんどんと進化してノートパソコンを取り込んだけども、ストロークのしっかりしたキータッチでキーを叩いて文章を打ちたい私のような人もいるんじゃないかなあ、これぞキーボード。20年前のパソコンが現役で動いているというのもパソコンよりも人間のほうのn能力の限界が浅いということだろうか。

ネット時代になって、テレビも新聞も雑誌も本も、国際電話も郵便も必要なくなって、メディアもインタラクティブ化した。家の中に世界があるみたいな今日。ちょこっとパソコン叩いて考えに躓くようなことがあればそれを頭で考えながら仕事しながら紐解いたり。

ウクライナなんて、どうかんがえてもロシアが悪いようにしか思えないが、ロシアの年配の多くの人はロシアが正しいと考えている。ロシアの若い兵士たちの多くも戦いたくもないだろうにそれでも戦場に送り込まれる。ロシア国内ではかつてのソビエト連邦的な栄光への憧れが、ソビエト連邦時代を知っている人たちの中にはあるのではないかと思う。今の時代に、武力侵攻で平穏な生活を破壊されたり、若い兵士たちが戦いたくもないのに戦場に送り込まれ、相手を攻撃して殺さないとならず、また死んでゆく。むちゃくちゃなことが世界で起こっているが解決方法もないのがすごく不思議。
2022年04月21日
24年ぶりくらいの円安相場、今は日本も食品、雑貨、繊維製品に関しては輸入大国なので、物価上昇が伴う。昔は100円ショップなんてなかったので、今の方がモノ的にはあふれているような感じだろう。アジア諸国で作られる商品の品質が上がって、その国の人々の生活水準が日本と同じになってくると、当たり前に輸入している商品の価格も高くなってくる。

さらには、ウクライナ侵攻や上海のロックダウンなど、原油高、運輸関係なども巻き込んで国際経済的な要素も不安定に、でも、まあ少し我慢すれば日本の状況というのはそれほど悪いことでもないだろう。コロナも落ち着いているし普通の生活がある。阪神淡路大震災や東日本大震災のときは、本当に日本もすごい状況になって苦しんだ、また、コロナの最初のロックダウンでは経済が低迷し乗り越えるのが難しかったけども今はだいぶ落ち着いてきている。

ホテルや飲食関係は今なお厳しい状況が続いておられるのは感じる所で、昔のような状況にしばらくは回復しないのではなかろうかと思う。元気に拡大傾向だったフランチャイズの飲食店なども完全に縮小モードに入ってしまっている。なんの問題もないホテルやお店が閉じてゆくというのも本当に残念な話なのだけども適応しようとしても適応できないことも多いだろう。
2022年04月18日
4年ぶりくらいだろうか、東京からブランドデザイナーの方がお越し。3日ほど前に関西に来て今日は神戸から午後に滋賀県、倉庫で2時間ほど生地を探されて、私はその間、出荷作業。帰りは、能登川駅近くの近江ちゃんぽん。最初に来られた時のデザイナーさんたちの話なども出て懐かしいなあ。みなさん元気にされているだろうか。

先日、久しぶりに百貨店でのイベントの話がメールで届いた。まだ具体的には決まっていないので詳細は後日となるが、私も連日立つことは無理なので代役の方もお願いして出店させて頂きたい方向で動いている。

夕方、運送会社に電話すると私からの電話だと分かって担当の方が対応してくれて、京都への出荷時刻などを教えてくれる。夜中でもよいといわれ、夜中の出荷。もう一軒の出荷も愛知県だけど一緒に出荷する。
2022年04月17日
今日は京都から家具に使えるような厚手の布を探しに来られた、林与は基本的にアパレル向けなのであまり厚い生地というのは多くない。カバン用の布とかデニムの生地とかそういうものをいくつかお見せする。今、太番手の糸なんかも円安もあってかなり値段が高騰してしまって、数年前の2倍くらいになってしまっているものも多い。10年ほど昔につくったものは、今作ると10年前の1.5倍とか2倍の値段になってしまうこともありうる。

7歳の娘さんも同伴で来ていただいたが、大人しくいてくださって、私のしゃべっているのに目を向けて聞いておられるのに、将来有望じゃないのかとおもえたり、素質のある子は小さい時からその素質がみえるもの。7歳でミシンも使っているということでミシンが苦手な大人の人も多いので良いスタートだなあとは思うが、そういうのは親御さんの影響も大きいとは思う。



2022年04月16日
上海のロックダウンが長引いて、食べ物すらも手に入らないような危機状態にあるという。2週間以上にわたるロックダウンで、東京の2倍規模の人たちが自宅マンションからも出ることができにくい状況のようで、経済活動なんてものはほとんどといってよいほど機能していない。

昔は気軽に行けた中国がもう気軽に行けなくなって国際都市上海も本当に変わってしまった。次に中国に行くことのできるのはいつのことになるのだろうか、本当に落ち着いた時にはまた行ってみたい。

中国も覚悟がすごいというか、中国最大の国際都市を2週間もさらには1か月とか閉鎖するんだろうけど、貿易などは完全に止まってしまうだろうし、たとえば、繊維関連のシーズン物などの企画は難しいしリスクが大きすぎるだろう。日本の繊維関連の方は中国での企画をストップされているところも多く、国内での企画に変更されたりの感じである。

上海も爆発的な感染なので抑え込まないといけないのだが、食料だけはいきわたり人々の命がまもられることはすごく大事なことだろうと思う。食料のいきわたらない人には連帯感みたいなものがあるようで、チップ制度のデリバリーサービスでチップを受け取らない配達員もいたりするそうで、また、余った食料を家の前に置いて余ったので周囲の人に自由に提供するような人もいるとか。上海の方には苦境を乗り越えてもらいたい。

蘇州のほうまでロックダウンの可能性がではじめているようで、地下鉄や汽車、新幹線など含めて交通なども非常時体制になってしまっているだろう。人が自由に行き来でき、多くの人々が集まる都市ほど、コロナ禍では逆に脆く難しい場所に。上海を含む観光都市はホテルなんかも経営は成り立たなくなっているだろうし、店舗経営なども成り立たない状況ではあるだろう。
2022年04月13日
昨日ようやく、一つの試作案件の加工出しが終わった、織れない状態のまま試作が終わっても本生産が成り立たないとダメだろうと思って、最後の最後まで、織れる形も模索した、加工工場に行くと私自身ドタバタでボロボロな感じだったろうけども、しっかりと説明を聞いていただけ加工のほうは宜しくお願いします、と晴れ晴れとした気分。すごく時間の掛かった案件なのでなんとかうまく加工も行ってほしいと願っていたら、依頼主の方から電話が入って加工の相談の話、私の分かる限りではあるが説明はさせて頂いた。試作で初めてのことなので、縦も半分は残して、万が一失敗したときにも、織りなおせる旨も伝える。

今日は、午後から仕事とは関係のない案件で会議があって、朝早く起きて風呂に入ってから資料つくり、この1年ちょっとのメモと記憶をたどって自分の考えをまとめる。最初は口頭で説明しようかと思ったけども、経移が長いこともあって、他の方が会われたこともない登場人物も出てくるので、一回の説明では初めて聞かれる方にとっては意味不明なことも多いだろうから読み返してもらえるように、資料を作って皆さんにも配って読みあげる形に、エクセルファイルで作ったので、プリントアウトしてみると1行が長すぎてプリントがうまくできていなかったりと印刷のやり直しとかで、肝心な文面の再確認も十分にはできないままぎりぎりに会議の場に。案件に関して初めて全員が揃う場で今までの経緯を伝えられた。

家に帰って仕事に戻る。出荷の案件があったのでそれの準備、最近は納品書伝票なども置いて忘れることも多くなった、納品書伝票を探すだけに30分も1時間も使うことがある。行動範囲が広いので、自分の動いた範囲を思い出して倉庫に行ったり、自分の家の部屋や工場や事務所の中の2階とか3階とか、車の中とか、私の動線から外れたところに誰かがおいてしまったり片付けたりすると永遠に見つからないパターン。
2022年04月06日
織れるようにした織機を他の人に渡すと織れなくなってしまうことが多く、結局は織れるようになった織機でも問題なく織れるためにはそれなりにピリピリと緊張していろんなところをコントロールしているから織れているだけなんだと思えたりする。整経なんかは顕著で、整経自体の作業の意味を理解するのは簡単なんだけども、糸をなるべく一本も抜けた場所がないように最後まで荒巻きして、巻き取りの時にも一本の糸もなるべく切れないように巻き取るとなると、なかなかそれは難しい。巻き取りの幅を測るだけでも、私の測り方と他の人の測り方は1cmほど異なったりするので、1mm2mmは許されても、5mm違うと巻き取りが大変になってくるし、巻き取りで失敗すると今度は織るのが大変になってくる。

整経の巻き取りも耳の部分など緩くなってしまうと織るときに糸が前に引っ張られるので、緩いと糸が食い込んでしまって織れなくなる。理屈が飲み込めなくても言われたことを言われたとおりにやってみることは大事で、やっているうちにその意味がわかってくるのが普通だったりする。言われたことと違うことをやってしまうと大きな悲劇が起こることが多い、大きく巻いた経糸が結局織れなくなってしまって、糸ももったいないのでなんとか苦労して織ろうとするけども、1m織るのにも何時間も掛かったり、織ったものもキズが多くなる、そうなるとまったく仕事としては成り立たない。

私も今までに何千本かは整経をやっているとは思うけども、失敗することもあって、そういうときのリカバー力みたいなものって大事だったりして、そういう懸命に自分の失敗を受け入れてなんとか織れるようにするとか、整経途中や巻き取り途中で失敗があっても、少しでもダメージを減らせるように頭を使って考えるとか、10回、20回に1回くらいは失敗することもあるので、設定間違いなどでも早めに気が付けばキズは浅いしやり直せる、そのために作業中に何度もいろんな確認を無駄に行ったりしてることが多い。そういう無駄な確認作業をできる人って少なくてそういう無駄な確認作業が常にできたりしていると、すべての作業において失敗が少なくなる。

失敗したときに自分でリカバーできる人が結局は残ってゆくんだろうなあと思う。昔、経糸が1回シャトルを挟むだけで500本とか切れたりしたのを淡々と私に付き合って5時間6時間かかって直す作業を手伝えるような人というのは他の何をやってもこなしてくれる。また挟んでも、また淡々と5時間6時間の作業。そういうのを経験して当たり前だと普通に織物を織るくらいは何のこともない話。

先日、手伝に来てくれた女性も初めてで何百本か縦繋ぎをうまくこなしてくれた。最初だと手にも体にも力が入って、姿勢も前かがみなので10本繋ぐのでも苦痛だろうけども、何百本も最初から当たり前につなげる人というのは我慢強い珍しい人である。次の日に肩が凝って死にそうになってられなかったらよいけど。なかなか習得の難しい人も多いので、そういうのはそれまでの手を使う作業経験の差だったりもして、自分の手ながら自分の思い通りにはなかなか動かないというあたりも。最初から呑み込みの早い人というのは結局作業量も多いので、慣れてスピードも速く、それが作業経験を積むことにつながって一つのことだけでなく、他の作業をしても同じで広がりにつながることが多い。林与に来て一番の難関は糸をはさみで切れるかどうか。切れにくいハサミも多くあるけども、私が使うとどのハサミでも同じように糸は切れるが初めての人にとってはそれが不思議に思え、こんなに切れないハサミを使っているのかとびっくりかもしれないが、何千回何万回と糸を切ると切りにくくなるのも当たり前でそのくらいが安全で便利なハサミだったりもする。
2022年04月05日
私は職人さんとは違って織機には慣れていなかったりするので織機の問題が見えることが多い。昔、シャトル織機を他の工場から移設したときに織機10台の内9台がまったく織れなかった、1台まともに動いたのでその織機の動かない原因をたまたま見つけることができた。9台にはまったく織れない原因があった。

また別の場所からシャトル織機2台を入れて、職人さんに1か月以上くらい専属で調整してもらうも動かないので、もう時間がないので夜私が見ることにすると30分ほどで原因が見つかる。あとで、織機を譲ってくれた工場のおばあさんに聞くと、その織機は中古で入れてから一度も動かなかったということで、その工場でも動かすことができなかったようである。ということは、その工場の前の工場でもまだ新しいのに動かなかったから手放したということだろう。まったく織れない原因があった。

また、他の場所にあった織機も1年以上動かないので見てほしいということで、いくら調整を加えてもおかしいのでありえない話だけども、想像でここに部品が付いていなかったかみたいな尋ねるとついていたそうで見つけてきてもらって付けると動いた。まったく織れない原因があった。

どれも共通するあたりが、織機はあっても織れない現場という大きな問題。工場まるごと動かない話なので普通会社だとつぶれてしまう。慣れで仕事をする職人というのは、新しい織機は本当に苦手だし、自分の力が及ばないときにはこの織機は織れない織機だと決めつけてしまう。私の場合には、これは絶対に織れる織機だが何かがおかしいと思い込んで調整を掛ける。

調整しても無理な時には、なぜ無理なのかを考えて、ここにこういう部品があれば動くのにたどり着く。そこで、想定外のことまで考える。ここにこういう機能をする部品があれば、うまく動いて織れるのにというあたりにたどり着くかたどり着かないかは大事なことで、織機としては問題のない織機を織っていても糸が引っかかったりするときには、糸が引っかからないように細工をしたりすることがある。そういう細工をしないと引っかかって糸が吊れたりのまま織物が織れたりするので、いろいろと細工することは大事なのだけども、織機として問題のない織機にプラスアルファを加えて改善するというのは多くの人が苦手で、逆に織機についている部品を邪魔だと経験から外してしまうタイプの職人さんも何人も見て来た。そしてそれが仕事の仇になることが多かったりする。外した部品を捨ててしまう人も多い、そうなると後戻りできなくなる。

私は織機には慣れていないから案外、新しい織機の問題でも解決出来たりするということだろうと思う。慣れている部分としたら、織機の正しく動いている音を聞き分けることができるというあたり。壊れる前の織機が苦しそうに動いている音とか壊れる前に分かるので、壊してしまってから直すよりも壊れる前に調整して直すほうが織っている布にもキズができないから良いのである。
2022年04月04日
林与のリネンを使ったウェディング衣装をまとった写真を送っていただいた。アパレル向けなので透け感や厚みなどが合うのかなあと心配していたところも自分の中にはあったのだけども、ほんと綺麗な仕上がりでまとめていただいていた。私の知り合いの方の紹介で林与にたどり着いてくださって、その時に、たまたま、L43の白い生地が在庫に残っていたので良かった。

林与のシャトル織機もそれなりにパーツやシャトルなどもあとあと動かせるように手配をしているので、あと20年くらいは動かせそうだけども、リネンを織るだけでなく、織物工場という環境を維持していく上で織機を動かせる環境というのは、戦後のひと世代前の方々が引退のあとも、織機だけがあっても無理でたまたま私が当たり前に調整とかするのでなんとかなっているところがある。

織機があるだけでは駄目で、動かす技術があるだけでも駄目で、織ったものを買ってもらえないと駄目、すなわち仕事が回っていないと、生地をつくるだけでなく売れないと駄目というところ。今はサステイナブルな流れで、ファッション業界もサステイナブルな考え方が受け入れられ始め、ブランドさんが上から目線のものづくりはなくなりつつある。

たとえば300mの注文で、300mぴったり作れるのかというと、330mくらいは綺麗に生産する予定で、材料は400m弱分くらいを投入するとか、350mくらいが織れて、加工から上がって来て問題の多い部分や加工ロスなどで短くなって、300mちょっとの納品となるのが理想。ジャストインタイムシステムは、表に出せない無駄を想定してつくることで成り立つ。

たとえば、サンプルと量産とではどちらが時間が掛かるのかというと、サンプルを作るときの方が量産よりも時間を掛けることが多い。最終規格を決めるために、いろいろと何パターンか織ったりすることが多く、加工も一発で決まるとは限らないので加工がうまくいかなかったときのために余分にもう一回加工に出せるように生機を加工に出さずに残しておくとか、いろいろと試行錯誤に伴うロスはいっぱいあって、機屋というのが織物を織るだけでなく、布という部分は結局、商品となったときに、それが洋服であろうが小物や資材であろうが、商品のイメージを決める主要な部分となるので、デザイナーさんたちがお客様なので布のクリエイターとしての染や加工、また縫製とかも含めて、物性や、最終商品までの理解がないと、企画の話に対応できないことも多かったりする。

機屋が、そういう部分でお腹いっぱいになって仕事した気分になっても仕方ないのでそれは仕事外の部分として、地道な織物の作業の部分に落とし込んでゆく。何種類ものサンプルを試したときには何種類ものデータができてそれを管理しながら本生産の一つに決める。データだけでなく、途中作った布などが残ってそれらはゴミなのかというとゴミではなくて自分にとっては大事な資料となる。頭でこうしたらどうなるああなるでなく、実際にやってみてこういう結果になるという実体が手元に残るのである。それをやった人にだけしか見えない結果、実際のやってみた経験が自分の中に残るのであって、それが案外、新しい企画の話をするときにも空論で終わらないから失敗のリスクを減らすのにも役立ち、その差は大きい。

私が自分でやってみて自分で結果を知るのが大事だと思うのはそのあたり、織機なんかでも構造を理解しているかどうかよりも実際に織機を手を使って調整できるかできないかの問題で、頭で分かっていてこうすればよいああすればよいというのは簡単でも、実際にその作業を現実問題としてやってみることができるかできないか、やって駄目だったら1日掛かってやってみたことを今度は1日掛かってもとに戻して、別の解決方法を探さないと行けなかったりである。無駄に2日捨てられるかどうか、捨てられる人が強くって、捨てられない人というのはいつまでもそこで止まっている。2日とかいたけど、それが2週間かもしれないし、2か月かもしれない、半年1年、ときには、数年、そのくらい長い試行錯誤はあったりして、その間その織機は動かないで止まっていたりする。