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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2011年06月13日
林与は5月14日生まれで、今日が運転免許更新期限の前日でぎりぎりですが更新に行く時間を見つけていきました。教官は居眠りしている人を見逃さず、偉そうというよりも、今の厳しくすることを貫ける人が少なくなったながらも、こういう親身なひとが教官としてやっていないとわざわざ免許更新の講習に行っても意味がない気がします。しかも、更新手続きにこられておられる方というのは、ほとんどが自分よりもお若い方がほとんどなのに礼儀もわきまえられておられ立派です。ほんと今の時代に珍しい。

午後からは、染、加工、出荷の段取りを行って、夕方にはたくさんの電話をいただきまして、夜にはミーティングがあったので、いくつかお電話を掛けようとしてできない分がありました。今、頭の中のなかに二つの新商品があって、それらの実現に向けて前向きに進んでいます。どうせやるならリネン100%ものをとおもって、これらは完成しましたら海外に向けてのプレゼンテーションにも使いたいと思います。

夜には、ミーティングとは別件で、小幅で織った本麻の織物を見せていただき、それがもう生産できなくなってきているとかで、よく見させていただくと総カラミでうなずけるところです。織物の世界には、規格からしてもオンリーワン的な商品が多いので、売れなければ機自体も消えていく運命にあります。機が残っても織れる人がいなくなれば駄目で、人がいても、最終的にものづくりをする人を支えられるだけの力でコンスタントにものを流していくような流れづくりが必要になってきます。

今、震災などで思うのは、大手の自動車や半導体の工場が生産が比較的すぐに回復したことですが、これは被災地から他地域への代替が行われてしまって復興をしたとしても被災地での産業の復興は難しいのではないかと思います。放射能で汚染が心配される地域などにも、繊維関連の会社は多いとは思うのですが、ある1年、会社が仕事ができないとそこに戻ったとしても、特に特殊なものを企画していたとしたらそこに大きな穴が開いてしまって、代わりの企画で1年乗り越えられると、もうその会社に仕事はないという可能性は高いと思います。被災地での産業に対する被害というのはこれから見えてくるものも多いと思います。
2011年06月12日
昨日は土曜日だったので、工場の裏にテスト的に2年間放置してあった生成の糸を確認しました。リネンの生成の糸というのは、何もしなくても外に干しておくだけで漂白されるというのは真実でいわゆる自然での漂白です。これは特別なことではなく、藁なんかでもはじめは色がついていても、放置しておくと色が白っぽくなるのと同じ現象です。リネンというのが天然の植物から由来しているのを実感いたします。

生成の色はこのように、本来、太陽光に弱いものなのです。日の当たるところと当たらないところでは、色の変化が異なります。洗って干してあげることで、満遍なく太陽の光に当ててあげることで、全体が比較的均一に白くなっていきます。洗うときにも洗剤をあまり使わなくてもよいのがリネンの特徴で、フラックスの繊維は水にぬれると表面が滑らかになり汚れを吐き出しやすいのです。

晒というのは、白に染める(白い染料を使う)ということではありません。糸のなかの色素を抜いて白くすることなのです。生成の色にしましても畑が変わると色が違うといわれますので、畑の土(栄養)の色が繊維と繊維の間に付着しているような状態なのです。生成の色というのは一見一様に見えますが、生成の色というのは、顕微鏡でみるとまばらに色がついて汚れのように見えます。

昔、麻が高級品だったころは、百貨店ブランド向けなどは林与の場合、生成の色のロットごとのばらつきを押さえるために、また、耐光堅牢度をあげるために、生成のようなベージュ色に染めるということを行っておりました。最近ではそれも少なくなり、生成りのまま使うことが多くなってきています。

考えてみると、リネンの力というのは、徐々に変化していく部分にあるのではないかと思うところです。長い時間を掛けて変化することで自分が使った思い出なんかがそこに詰まるという部分が生まれてくるのかもしれません。変わらないものなら、また、買えばよいのですが使い込んだ良さをもつものというのは、新しくかって満足できるものではありません。
2011年06月11日
昨日、インターネットで生地加工に関して調べていて今までお取引のない、でもいつも業界紙でお名前を見かけていた大手の会社にお電話したところ非常に丁寧かつ積極的に対応いただいてありがたいなあという感じです。技術の部長さまがあとで折り返し電話をくださるということでしたが、私のほうが外出して不在のときにお電話いただいたみたいで留守番のものが電話を受けておりました。

夕方にその会社からお電話をいただき部長様がお電話くださったと思いきや話がまったく通じなくて、それが偶然にもリネン生地を探して動かれていて、林与のサイトを見つけられ、その会社の営業所の方が私の会社に同じに日お電話くださったという、何億円の宝くじの当たる以上の確率の出来事、きっと良い結果に結びつくのではないでしょうか。

また、以前ジャパンクリエーションでご挨拶させていただいた会社さんにも、やりたいことがありまして、この数日声を掛けさせていただいたところ早速サンプルを送ってくださいました。ものづくりされている企業というのはやはりすごいもので売れるものを作るためにいろいろな壁を越えて、どこまでできるのかできないのかというところをすでに把握しておられるケースが多いのです。ニーズに応えるようなためのものづくりではありますが、林与なりに別格のものができればありがたいなあと思うところです。

7月、10月、そして、来年にも、海外の方に見ていただけるチャンスというのが沢山あります。実は、今、2月にはパリでの展示会に出展したいなあという目標もできあがり、狭き門なので出展できるかどうかは分かりませんが準備に取り掛かっています。今年も、リネンの世界で世界中の人に感動してもらえるようなものを提案できればと新たなプロジェクトがいくつも立ち上がっています。うれしいのは初対面であってもそれはできませんといわれないことで、親身になってベストを考えてくださるところで職人魂を感じます。

また、ジャパンクリエーションでスワッチ生地のご依頼をいただくのは、アパレルさまだけでなく、世界中に展開されています日本の大手の生地商社さまからのご依頼も多く、リネンの世界に向けてのトレンドの発信としては十分な機能を果たせているのではないかと思うところです。今回の展示会でも、探しておられるような生地が弊社の開発した素材の中にあったようで、昨年は3社しかスワッチ依頼のなかった生地が、同じ生地でも今年は10数社以上がスワッチのご依頼いただき、大手様にスワッチをお送りすることでリネン業界のトレンド的な部分が加速するのではないかと思います。

展示会などでも、市場にはあまりないのですが、このテイストのよさが分かる人はあるのかなあと入れておくハンガーもいくつかあって、最初は受け入れられませんがしばらくすると注目され始めるのです。リネンの100番手を超えるような細番手も確実にマーケットとして定着するのではないかと思っております。2年、3年掛けてのリネン業界に向けてのご提案が少しづつ国内でも浸透し始めています。

これにしましても、2005年くらいにないないといわれた糸を独自に捜し始めてからはもう6年くらいの道程になります。3年前にジャパンクリエーション2010SS展で提案しました125番手のギンガムリネンストールあたりが今でも市場では受け入れられがたいですが、林与の中では別格のものとして数年跡の今も光っていたりしまして、今ならようやく大丈夫なのかなあとも思っております。そういうのが世界をリードできる技術なのではないかと思います。

糸の入手がむつかしいだけでなく、そのストールを織るがために一か八かで機械を改造したりするところまでして技術的な壁をいくつも乗り越えて作り上げているようなものだったりいたします。林与の生地というのは定番的なものもありますが、特別な技術水準を要求されるものも、林与プロジェクトとして自社で動けるようなプロジェクトX的なところがあったりで、織物の素材開発や研究関連に携わっておられる方などからもご注目をいただくところです。
2011年06月10日
L40番手のオーガニックリネンの糸を扱っているときにいつもとは違う現象が起こっています。前回のオーガニックリネンでは起こっていなかったのですが、今回のオーガニックリネンの原材料の問題でしょうか、製造工程の問題でしょうか、チーズに糸が堅く巻けないのです。イメージからするとより藁っぽい巻け具合です。

これが原材料の問題だとすれば糸がしなやかでない、すなわち、畑が荒れ始めているということなのかもしれません。オーガニックリネンの取れる畑というのは限られているのですから、何年かすれば本来の栄養がなくなって取れるものは品質がまばらになってくるはずです。基本、同じ畑ならオーガニックリネン当初のものと今のものでは昔のもののほうが品質が高いのが当たり前だと思います。業界でオーガニックの糸の話をすると、オーガニックリネンの糸というのは、一般的な品質でみると品質が低いのが当たり前なので、これに改善を求めるのは野暮なのだと思います。

基本的なオーガニックのコンセプトとしては、結局、原始的な生産にどこまで近づけるかなので、理想郷としては、先進国的な農業から原始的な農法にもどるということで、突き詰めていけば、管理されていない野生に生息するものを取るのが一番オーガニックなのです。自然というより大きなスコープから考えれば、最終は人間の管理そのものがオーガニックのコンセプトに反するというような結論にすら達してしまいます。

取り扱いに関しましても、実際に塩素系の漂白が行われなければ、結局、毎回洗うときに黄ばみを押さえるために漂白剤を使ってしまっていれば、どちらがエコなのかという問題だったりします。家庭での塩素系の漂白剤や柔軟剤は最終下水や川に流れてしまいます。オーガニックウールなどは、結局、糸にしましても製品にしましても、虫がつきやすいので防虫剤を使用するのかどうか迷うところです。スーパーに並ぶ何日たってもつやつやの野菜よりも、農家から直接いただく野菜に近いという感覚です。

また、オーガニックリネンの糸にしましてもヨーロッパのものなどは飛行機で空輸されますのでジェット燃料でオゾン層すらも破壊するという理論につながります。これは、逆に普通の大量に生産されてもそれほど環境に影響を及ぼさない普通のリネン以上にエコでない側面もあったりするのです。これはジャストタイムな生産が、ひとつあたりに使うエネルギーはより増加し環境にとっては悪いというのと似ています。農作物でも、品質基準を上げていけば捨てる部分が多くなり、結局はトータルとしてエコではなくなるのです。昔は、ものが希少ですべてを使った時代ですが、管理社会になると管理がすべてになり、エコなコンセプトそのものが全体としては成り立たないものになってしまっています。箱が壊れているので返品するという部分も正しかったのかどうかが林与自身迷うところです。

原子力発電をクリーンエネルギーと呼ぶ日本的な体質もあったりするのでそのあたりは気をつけないとと思っています。24時間、日本全体で「海を炊く」ようなことを行っては、CO2の影響以上に北極の氷も解けて、ツバルは沈むでしょうし、北極の氷は解けて自然環境そのものの破壊ではないかと思うのです。原子力発電所の取水口に遠い遠い南のほうのくらげが処理できないほど大量に浮遊してきていることからも当たり前に気がつかないといけないことではあると思うのですが、利害関係が絡みますので難しい問題です。太陽光発電にしましても劣化すると買い換えないといけないようなものなので、太陽光発電のパネルを作るために使われる有毒なものの廃棄の問題が生じてくるので、日本全体がそれひとつに動くことは何十年か後に莫大なごみを残すので危険な気もいたします。エコを考えると、どれがエコとは言いがたいのです、ある物事の価値を感じて長く使うように分散しておくことが非常に大事だと思うのです。
2011年06月09日
今日は、ある方の依頼で、倉庫に糸を捜しに行きました。その糸とは関係がないのですが、ブルーの見慣れない箱を見つけました。箱には、LBのロゴ、フランスのLE BLAN社のリネン25番手の糸です。

ひとつの箱はガムテープで補強してありますが、まだ未開封の状態で、もうひとつの小さくされた箱には残糸の状態で糸が入っていました。中の糸を見ると非常に綺麗で、番手は太いですが非常にゴールドです。番手は太いのですが、色が素敵で宝物のような糸です。この糸はフランスで引かれた本物のフランス紡績の糸なのだと思います。

ルブラン社も最後はリニフィチオ社に吸収されたような形になっているようですが、私自身は、リニフィチオの糸は、グレーっぽい生成の糸しかみたことがありませんので、この糸というのはルブランの色なのだと思います。色味が非常にアイリッシュリネンに違いのは、アイリッシュリネンも末期には原料をフランスなどから輸入していたというストーリーと整合をします。

先日も倉庫で40番手のフランスの糸を見ましたが、その糸はゴールドではありませんでしたので、フランス紡績の糸でも紡績工場によって、使う原料のレッティング方法の違いで糸の色に大きな違いがあるのだと思います。今の時代にこんな色の糸が手に入るなら素敵だなあと思います。

他にも、今日は、色は茶系の生成のL40番手で、強い撚糸のかかった生成の糸を何十キロか見つけました。昔の糸ですので、くたっとした落ち感のあるソフトなリネン織物が出来上がるのではないかと想像しています。ガーゼ織物にすると面白いかもで、ストールを作ってみようかと思います。あと、これはハードマンズ社の生成の100番手が、別の倉庫にあるとのは別のときに輸入されたものらしいのが20kgほどでてきましたが、中は大丈夫な状態でうれしい驚きです。他にもゴールドな40番手の糸が箱に入れ替えてあるのが出てきました。これは箱が入れ替えられてしまっているので紡績メーカーなどをたどることは難しそうです。

リネンが丈夫な繊維であるというのは、昔の糸を見ても感じます。箱や中の糸を包んでいる紙なんかはぼろぼろになってきていますが、糸自体はしっかりとして今の糸以上に品があるのはさすがにリネンであるなあと実感いたします。長く使えるのが当たり前で、使えば使うほどに味が出てくるというのがリネンの良いところです。

生成のキバタを買って、それを洗いこんで大事に使うというのがひとつの贅沢なリネンの楽しみ方です。リネンタオルHDも半年ほど使ってますとよい感じにやわらかくなってきています。
2011年06月08日
今日は午前中、京都からお客様が起こしになられました。オーガニックなプレゼンテーションを考えておられベストなものを考えておられるので、オーガニックリネンの糸を使用しながらもいろいろなご提案ができるのではないかと思います。

企画を進むときにひとつをやろうとして壁にぶつかると最終的な完成度が低くなりすぎることがありますので、いくつものプロジェクトを平行に進めてその中で、使えそうな素材をメインにしていくという方法をとろうかと思っています。そして他のものはじっくりと煮詰めて完成に近づけていくという手法です。

新商品を開発するときには頭でっかちになるよりも、この方法が一番柔軟性があってよいのです。新商品なんて完璧に出来上がったとしても売れるか売れないかは分からないことも多く、そういうのが成果の上がらないプロジェクトの見本で、計画通りに作れたけども成果がないという、計画をやるためのあまり意味のない結果に終わります。とりあえず、自分がやっていないことをいろいろとやってみて、トータルな力をアップすることのほうが大事ではあろうかと思います。それぞれのプロジェクトで出来上がったものの完成度を高めていくには、より時間が必要であったりします。

今日は、他に堅牢度検査の結果が返ってきました。チェック柄ですが黒の部分が当たり前ではありますが悪いようです。黒の無地と同じようなレベルの検査方法ですので、堅牢度の問題よりも毛羽移りの問題が起こっているのではないかと思っています。昨日、たまたま黒の堅牢度を上げるという問題も染工場の方とお話しておりましたので、それが解決方法に結びつくのではないかと考えていたりします。

JETROさんからは、7月に行われます欧米企業商談会のご案内が届きました。アメリカを中心にバイヤーさんが大阪にこられる予定ですので、今回も新しい雄出会いを期待しましてチャレンジしてみようかと思います。各ブランドのデザイナーやトップの方のお話を聞くことは非常に参考になります。
2011年06月07日
今日は、午後から染工場の方と染めに関する問題解決のための打ち合わせを行いました。染色の堅牢度に関することですが、色によっては、昔はしっかりと染まっていて今は染まらないという問題が増えすぎて困っている問題に糸口が見え始めました。

夕方前に彦根で所用を済ませて返る途中で、地場の社長さんからお電話をいただきまして、会社に戻るとすぐに、ご夫婦で生地を見に来てくださいました。ご夫婦でかなり好みが異なられているようで製品にされまして売れ行きとして結果がどう出ますことやらと思います。

おっしゃっておられたのが、綿麻のものよりも本麻のもののほうが確実に売れ行きがよいということで、素材の品質表示を見て買われているということが多いのにも消費者の方の判断基準というものに麻へのこだわり的な思考があるのを感じます。綿麻で肌触りのよいものよりは、リネンや本麻で少しざらついていても本物を感じるということでしょうか。

林与の素材の場合、綿麻のものでもほとんどの工程が共通していますので値段はほとんど変わらないのですが、量産するときのリスクの低さなどは綿麻の有利なところです。リネン100%のものに関しては、加工上がりの風合いが見本と違ったりすることが当たり前で時間とともに湿気を吸って風合いが良くなるなども多いのです。
2011年06月06日
新刊、『リネンでつくる小物』の発売にともない、お忙しい毎日を過ごされている上島佳代子先生から、『パリのアトリエ展』のお知らせを頂戴しました。

上島先生からのリネン日記をご覧の皆様によろしくお伝えくださいと、林与がお預かりしましたメールの内容は、『11日~13日のパリのアトリエ展にお越しの際は、ぜひお声をお掛け下さい。一緒にリネンのお話ができるのを楽しみにしています。』、とのことで、詳細は上島先生のブログ、http://blog.atelier-pelemele.com/をご確認くださいませ。会期中は、さまざまなハンドメイドワークショップも企画されておられるほか、新刊の『リネンとつくる小物』の中に登場いたしておりますピンストライプのキッチンクロスも会場では実物をご覧いただける予定でございます。

『パリのアトリエ展』
会場/カフェ&花屋 カフェ・ラ・プティフルール Tel.045-544-1173 (木曜定休)
(詳しくはカフェスタッフ、または上島HPにてご確認ください。)

また、リネンの季節到来に伴いまして、先生の6月から7月に掛けまして先生のイベントとしまして、『6月14日~7月10日/『東京のおうちアトリエ』出版記念イベント~青山にて』、「6月14日~7月14日/上島佳代子作品展part.2~大倉山にて』をかなりロングランで計画をされておられますのでお近くにお寄りの際にいかがでしょうか(こちらのイベントは展示販売のみで先生は会場にはおられないそうです)。
2011年06月05日
今日は日曜日、午後からは来客が2件あったりして出荷準備などしておりました。先日、菱沼氏からいただきましたオーガニックブランドのコンセプトブックの中では、人の健康というものに関しての考察が詰まっていてます。私自身も、衣服がどこまで健康に影響を与えるものであるのかを時々考えることがあります。というのも、アレルギーの体質でお困りで生地を求めて林与にたどり着いてくださる方も多いのです。

そういうときには、私自身が勉強不足で躊躇してしまうことも多いのですが、科学的な分析や解釈よりも、アパレルの時代になってからも、すでに何十年も販売実績を持ち、また、高価なアパレル向けなので何年もご愛用いただき続けてきたシリーズというのは普通のもの以上に実績の面で安心ではないかと思っています。

アレルギーの問題に関していえば、私自身も、運動誘発性の小麦アナキフィラシーという1万人に1人くらいの体質で、外国産小麦の使用が疑われるハンバーガーやアンパン、クリームパンには注意しています。アナキフィラシー症状は、非常に極端で、服が肌に接する部分に水ふくれが瞬時に出来上がるというようなもので、収まると数時間で水ふくれも消えるのですが、食べ物だけでなく、服とアレルギーとの間にも関係は存在すると思っています。パンはパンでも、コンビニなどのサンドイッチは毎日食べていても大丈夫ですので、同じパンであっても製造元の製品に使う原料や薬剤、工程などなどが要因しているものと感じています。

私の場合は起こるとしても2年に1回程度で、普段は普通の人以上にアレルギーを気にしない生活ですが、アレルギーで悩まれている方というのは、毎日の生活での素材の選択に悩まれているのを察します。アレルギーで着るものに困っておられるという方のお話も今まで何件かお聞きしましても、リネンや麻のものしか切ることができないという方もおられ、アレルギー体質の方にとっては洋服の素材とアレルギーとの間にも大きな相関関係が存在すると信じます。
2011年06月04日
昨日、ファッションデザイナーの菱沼良樹氏からお手紙がとどきました。中に、天野喜孝氏とのコラボで行われましたEVE展のカタログも入れてくださってまして、展示の写真は幻想的だったのですが実は写真だけでは理解できなかったのです。謎が残り、カタログを読んでその謎が解けました。Eve展には、ここ何十年の間に人間が物質的になりすぎたことを省みるような意味が込められているのだとわかり、見た目の美しさだけではなくそこに本当の美しさがあるのではないかと思います。

ミラノで展開されていますオーガニックのブランドコンセプトに関してのブックレットも拝見させていただき菱沼氏のもっておられる哲学的な部分を読ませていただきました。ブランドをお持ちで商品展開をされているのですが商品そのものの色形やパッケージも美しいですが、最終は哲学的な美しさの部分で菱沼氏のブランドというものが成り立っているのを感じます。近いうちにお会いする機会をいただけそうで楽しみです。

林与自身のものづくりもスピリチュアルなもので成り立っているところがあるので、出来上がった布としては同じに見えたとしても作り方によっては林与にとっては意味があったり意味がなかったりです。リネン日記にも以前書いたかもしれませんが、布には一つ一つ作ったときの思い出が詰まっています。その部分は、お客様には伝わりにくいかも知れませんが、案外、苦労したものほど外見が悪くて売れにくく残ることもあったりですがそういうものほど作った人にとっては思い出がいっぱいだったりします。

自分が良いとこだわる何かを貫くことが生地の見えない部分での支えになっていると思います。そこの部分がなくなってしまえば他との差がなくなってしまうことが多く、ものがあふれる時代にわざわざものを作る必要すらもなくなってしまいます。昔の布の一番良いところと評価するのは、それを作っていた人が作ることに本能的に没頭していたところではないでしょうか。

今日は、午後から彦根で会合がありました。私自身、バタバタすぎまして曜日の感覚がなくなっており今日が土曜日だと思っておらず、会合が終わってから染屋さんに糸を持っていこうと思ったのですが今日は染工場さんがお休みです。リネンギンガムパープルナチュラル仕上の在庫がなくなってしまいましたので再度生産に取り掛かり、糸の手配ができましたので染から始まっています。
2011年06月03日
昨日、オーガニックリネンの糸の代わりケースが届きました。同じ紡績工場の同じロットの糸ながらこの前のとは違うしっかりとした箱に入っています。箱を開けて糸を確認すると目で見てワラの混入などが確認できオーガニックリネンだなあと感じる要素があります。

ワラの混入など通常のアパレル向けのリネンとしては品質的に使えない状態のものではあるのですが、オーガニックであるということを考えると品質とは別の次元での価値判断になってくると思います。オーガニックリネンというのは斑があったり品質面では安定性を欠いてしまいがちですがそんなものだったりいたします。

昨日は、リネンの特殊な用途の生地が上がってまいりました。数年前から夢見ていたことで出来上がったものを見まして芸術的な美しさがあると思いました。最初にやるというのは失敗なども多くなかなか勇気の要ることなのですが、ありがたいことで失敗を恐れずに一緒に動いていただける得意先様がいてくださることで生地の状態までは完成となりつつあります。実際に製品となってお店に並びましたらご紹介させていただきたいと思います。楽しみですね。

午後からは大津で会合があって、高速道路は片面工事で帰ったら夕方になってしまっていました。
2011年06月02日
とうとう重い腰があがりまして、みなさんに以前、ご購入特典としましてプレゼントしましたゴールデンアイリッシュリネン80番手を使ったハンカチ生地を織り始めています。糸が本当にゴールド色で美しいです。

少し心配したのはこれも35年以上昔の糸ですのでうまく織れるかどうかということですが、今の糸以上に強くてきれいできれいなハンカチができるのではと思います。ハンカチというのは、ハンカチ用にわざわざ生地を作るケースと、生地があってハンカチにする場合とがあるのですが、今回は服地用よりも密度を落としてハンカチ用に織り上げています。

糸というものは織物にして価値が出るところもあるのですが、今ではもう手に入らない糸ですので、何十年も使わずに残してきた糸で、それで今どこまでのものが作れるのかは非常に楽しみであります。

並行して、厚めの素材もつくりたいと考えております。こちらもよいものが出来上がるのではないかと思います。10月には、インターテキスタイル上海を計画しておりますので、生地を見て感動していただけるようなリネンの世界を提案したいと思います。
2011年06月01日
6月に入りましたが、今日も雨がしとしとと降っています。この雨は6月らしい雨なのでよい感じではないでしょうか。一番湿気が増す季節になりまして、リネンの生地が湿気を含んでふんわりとなるチャンスです。

今朝は、オーガニックリネンの糸が届きました。リニフィチオ社の糸なのですが、ここ数年でジニアゴのテイストが強くなってきたように思います。箱にもジニアゴのロゴが描かれています。届いたオーガニックリネンの箱がかなりダメージを受けていて、コーナーがパカッと裂けて、上も一度開封されたものをガムテープ止めしてある感じで、残念ながら交換をお願いいたしました。ジニアゴの箱というのは昔から箱が弱くて四角の形状を保っていないのでそれがジニアゴらしいのかもしれません。

夕方には、韓国のお客様が産地見学ということでお越しになられました。初対面だと思っておりましたが、以前から、弊社に来たいといってくださっていた方が偶然にお越しいただくことになりましたのでお会いできて私自身が驚きでした。非常にお忙しいスケジュールを組まれておりましたので1時間ほどのお出会いでしたが、帰りにキッチンクロスの本をプレゼントいたしました。アパレルの方にとってはそういうリネンは非常に新鮮ではないかと思います。
2011年05月31日
昨日の夜は台風の去った後で肌寒い感じです。昨年も後半は長く暑い夏でしたが昨年の4月から7月は底冷えするような冷夏でしたのでそれを思い出させるような寒さです。雨の中倉庫に行きまして、北アイルランドで紡績されたリネン40番手の糸をとってきました。糸の巻いてある紙の管にはDERRY Sと印刷されたタブがついています。サイオンミルで紡績されたものには、SION MILLと印刷されたタブがついていたりするのでこれはDERRYで紡績された糸なのだと思います。

北アイルランドから輸入された元の箱に入っているので箱にはMADE IN N.IRELANDの文字があり、どこかに日付を確認できるものがないのかと探してみましたがないようです。この40番手ですが、15年ほど前につかっていたハードマンズ社のブルーの箱の糸と比べると箱からして違いますのでより古いものであるのがわかります。

今日は午前中立会いがありました。帰ってきてから昨日の夜に撮影したリネン60番手のシリーズをアップしています。60番手クラスの細番手の素材ながらもふっくらとした風合いになっています。これは昨晩が雨だったせいなのかもしれませんが、チェック柄などは薄いながらも透け感が少なくワンピースなどによい感じの素材です。
2011年05月30日
今日は朝7時半から自治会のゴミ拾いに参加しました。村の周辺のゴミを拾うのですが梅雨の雨というより台風の雨の影響が出ているようです。30分ほどで拾ったゴミは少しでした。普段から田んぼの畦などの大き目のゴミなどは農家の方が拾ってくださっているようです。

会社に戻ってから探し物です。展示会で会社を留守にしているときに荷物が届いたようで会社の中を探しました。午後からはアパレルさんの服を100着くらいの出荷です。ネットの生地屋さんからは注文を先週いただいたので追加での生産の準備に入ります。

京都のお店からもプリントで上がってきたリネンが届きまして、これを加工工場へ持ち込んで仕上げを掛けます。新たなジャンルへの挑戦です。こういうのがうまくいくと、近江上布柄をリネンにプリントするようなことも可能になってくるのではないかと思います。

今の時期というのは来年に向けて、当たりを見るための試作品を作るのには一番よい時期なのです。7月くらいまでに試作品を仕上げて8月までに店頭に並べてお客様の評判を聞いてみたり、小ロット生産で製品を作って製品を実売しお客様のフィードバックをもとに、来年に向けての企画を練るという方法で手ごたえを確かめていただくのです。

林与自身も、麻生地に関しては、どの生地を皆さんが探して織られたりどんなカラーが売れやすいという情報は展示会やサイトでの販売で他社さまよりも調査は進んでおりますので、それ一辺倒のものづくりをするわけではありませんが、商品構成の中でトレンド的に挿し色としてものづくりに生かしていくことも多いのです。

林与がサイトで販売しています生成のストール生地やビッグチェックなどはアパレル向けのハイグレードなリネンを使用しておりますが、その半端な糸を有効に活用するためにロットの半端でできてしまった数キロの糸を使用して作るので一回に作れる数量は100m程度だったりします。アパレルの厳しいロットの均一性を守るために、その裏では大量のロスが生じてしまうので、そんなロスを活用して生み出されるのが林与サイトで販売している一部の生機アイテムだったりいたします。

大おばあさんと呼んでいた曾おばあさんは、手績みの糸でもないのに、数十センチの半端の糸を継ぎ足して長い糸にするのを時間のあるときには部屋でしておりました。ものを大事にするという気持ち云々ではなく、それが当たり前だった時代に育ち、捨てるものというのがほとんどなかった時代です。ゴミにしましても各家でお風呂を炊くことに最後は使われ今の時代と比べると何倍も上手にすべてが活用されていました。

今の時代のリサイクル的な概念は、逆にゴミを大量に生み出すノンエコな発想が多いようです。リサイクル法によって逆に物の価値が完全になくなり、日本では使えるテレビや自転車が回収される時代です。これがものづくりに反映され数年で使えなくなるようなものばかりしかこれからは作られなくなってしまいます。今は国を挙げてリサイクルがビジネスとしての方向に動いてしまっていますので、エコロジーというよりはエコノミーでしかないと思えるようなエコばかりが目立ちます。

コピー機で新しい紙が一回の会議のために一人分何十枚と刷られ、使える自転車やテレビがゴミのように捨てられる時代となってしまっては、昔のような糸を継ぎ足して残しておくということが微力すぎることとは思いますが、まずはエコに関しての本質を考えないと駄目だろうなあと思います。
2011年05月29日
上島佳代子先生の新刊アマゾンさんでのリネンで作る小物へのリンク画像が張れました。初版限定となりますが、林与のリネンキッチンクロスも読者アンケートプレゼントとなっております。こちらのサイトでも5月20日から8月末日まで、10000円以上のお買い上げで1冊プレゼントいたします。

昨日は大阪からお客様で、来春に向けてのリネンの企画です。大阪駅伊勢丹さんにも新たにショップを展開されてまして、ヨーロッパから生地の調達の調達もされています。ハリスウールのお話をお聞きしました。ハリス島では、島で育てた羊から取れる糸を半手織して生地を作っているそうです。世界中のブランドさまからの注目らしいですが、これは残らんと駄目な織物だと感じまして、同じ織物産業にいるのでそういう本物は一生懸命プロモートしてあげて下さいな気分です。本物の形のままで続くことは本当に大変なことだと思います。

関西地方も梅雨入りをしたというお話も聞き、昨日今日と続く雨の中、雨も必要だなあと感じます。といいますのも、愛知川の川というのは普段水が流れていないのです。子供のころは夏でもいつも川に水があったのに、最近は普段水が流れずに、川にすむ魚屋や小動物は死滅してしまいます。最近、スズメも見なくなったのは、そういう水環境がこの何十年かの間に大きく変わったからではないかと思います。子供のころは晴れた日には朝7時ころになるとチュンチュンとスズメが庭で鳴く声で目が覚めたものです。今はスズメを見かけることすら稀です。

日本でも、コンビニチックならびにチェーンストア的な都市開発が進むとファミリーオリエンティッドなビジネスというのは死滅してしまいます。今は、農業ですらもがビジネスライクになりすぎて農薬からの産物でしかないという味気ないものでは駄目だろうと思います。麻というのは本来農作物であり、手作業から生まれるものであるというのを手績みの糸をみて感じます。何十年も昔の繊維でありながら今も非常に強く、何百年も着ることのできるものであるのを感じる次第です。

良質の麻というのは何十年前のもののほうがしっかりとしていたりします。弊社が20年以上前につくりました女性もののゴールデンアイリッシュリネンのスーツは、20年前のものながらも今のもの以上に隙がなく輝いています。何十年も変わらぬ価値観というのを感じるところです。今はなかなかそういうものを作るのが難しくなっていますが、特に高級ゾーンのものに関しては変わらぬ価値観のものを守り続ける努力をしたいところです。
2011年05月28日
昔のラミー糸を使ったハンカチが3ケースありました。昔、トスコさんからいただいたものだと思います。国産のラミーを極めたフラグシップ的なハンカチで糸が細く細くきれいなのです。各箱には3枚つづハンカチが入っています。トスコさんのロイヤルラミーのマークがついていますのでラミー糸です。今では想像できないほど細いクラスですので、200番手を超えるクラスではないかと思います。今、そういうものが織れるかというと難しいと思います。それだけの糸の原料、紡績、糊付、織の技術が残っていないからです。

ヨーロッパのアンティークと同じクラスのハンカチの世界があり、日本の昔の技術というのもさすがだなあとは思います。技術というのはどんどんと進化していくのではありますが進化しすぎるとそこで限界に達して終わりを迎えます。進化するということは付加価値がマスのですが、安定した技術というのはわずかな違いを生み出すために大きなコストの差が出てくるものです。

糸が細いということは1本の糸が切れやすくなるだけでなく、織る密度も必然的に高くなってしまいますので、縦にしても横にしてもキズが出る確率が同じ1Mでも織るための時間と手間が何倍も増えてきます。

ジャパンアズナンバーワン的なものづくりができた時代が日本の過去にはあったのを懐かしく思うとともに、それが韓国に移り、そして今中国に移り始めています。産業として大量に生産することから生まれる余力を、技術を結集して何かに注ぎ込むことができた時代というのはさすがです。日本の昔のものがよかったのは番手的な規格だけでなく全体的な完成度の高さが高かったことにあると思います。細いなら細いなりによりよい工程を選び、よりよいものができたところがよいところなのだと思います。

一度、トスコさんのその当時のことを知っておられる方にお見せしてその当時の紡績のことを聞かせていただきたいなあと思いますが、もう会社には残っておられないでしょうから人づてにお話をお聞きするしかありません。
2011年05月27日
今日は午前中は、ひこねの組合の用事で作業を行っていました。気の毒なハプニングもあって凹む一日ですが、器量のある方というのはさすがに強いなあと感じます。会社に戻ってからは、製品の修正に目を通したり、数件の納期の調整に追われ、3時過ぎから長浜のDENさんに生地をとりに、また、一つ8月の件でお願いにうかがいました。

DENマスター北山さんの娘さんにお会いしまして北山さんが見た以上に中身を積んでおられるのを感じました。今日は、縫製をしておられる女性の方と初顔合わせで私の名前をご存知でリネン日記を見てくださっていて「もっと静かな人だと思っていました」と率直な感想をいただきました。

オールドファッションの間中社長からもお電話をいただきまして本麻や綿麻をお客様にご提案いただけるようなお話です。また、他にも先日のプレミアムテキスタイルジャパンの場で、JETRO主催のビジネスマッチングでお会いしました海外のバイヤーさんからも積極的なメールをいただき前向きに検討を進めたいと思っています。

参加させていただいたプレミアムテキスタイルジャパンが非常に熱くって、メイドインジャパンを海外にPRし、理念日記を読んでくださっているみなさまとのお出会いもたくさんいただきました。ありがたいお話です。小さな会社で手一杯なところもありまして、来年に向けましたじっくりとお付き合いをいただきたいと思います。

今日はほかに生地屋さんからも2件お電話をいただきまして動かせていただいております。ネットショップでお買い上げいただいた皆様からはお電話をいただいたり、メールをいただいたり、相変わらずバタバタな毎日を過ごさせていただいておりますが、ものをみる目だけは濁らないように気をつけたいと思うところです。
2011年05月26日
先日、機械屋さんが来られたときにある織機に関しての私自身の認識が間違っているといけないので織機には私以上に精通されている方なのでお尋ねしました。やはり認識は共通しており、ごく一般的で織機自体は特別のものではないということで一致してしまいます。

要は、その織機の特性を謳えるような織物をどのように生み出して謳うかという部分ではないかと思うのです。織機の特性をよく理解してその織機に一番あった織物を織ってあげるという部分をPRしてあげれば、その織機も脚光を浴びこれからも活躍することになると思います。

織の現場では、計算だけでは予測や説明しにくい面白いことがたくさん見えてくるものです。レピア織機に関する考察に関しては機械屋さんと私の考察は面白いことですが異なりましたので、今度、一度実証してみる必要があるかと思います。織りあがった風合いに関しての議論で非常に余裕のある話なので面白いですね。

今日は、京都のMONDOさんがお越しくださいました。プレミアムテキスタイルジャパンでも会場でお会いしましてどんな感じでしたかとお互いの感想を交換しました。今日来ていただいたのは、リネンの特別な糸が出来上がってきたのでした。林与のオリジナルなリネン生地が出来上がるものと思いテスト用に糸を手配していただきました。高価な糸ですので部分使いになるかとは思いますが上手に使っていけたらと思います。

リネン100%で、今までとは違う面白いものができるのではないかと思いますが、すでに2012のSSには間に合いそうにありませんので、2013向けの新商品開発に使おうと考えております。私自身は面白いものになるのではないかと頭の中で生地つくりを楽しんでおります。
2011年05月25日
最近、生地をスキャナーで撮ることに嵌っています。案外、きれいに取れるのでびっくりです。今、考えているのは今作っている生地をアップするのも良いのですが、林与の近江上布のコレクション数千点をライブラリー化しようと考えています。そこには、日本の草花をモチーフとしたワビサビの世界が広がっています。

いろいろな奥の深い生地の世界をご覧になられてこられた方でも、林与の近江上布のコレクションをご覧になられますとそのデザイン性というだけでなく、一つ一つが絣織で一本一本を織り上げて織物に仕上がっているということを数が多すぎて忘れてしまいそうになられます。絵を描くよりも何十倍も時間のかかる作業であり、一つ一つが芸術的作品だといえます。昔の人の絵心というのは独特で、すべてに日本らしさが漂うのも、その当時の人の生き方そのものが日本的だったのだと思います。何をやっても日本的なものが生まれてくるというそんな時代だったのではないでしょうか。

日本人の織物への価値観というのがしっかりと詰まってますので、今の時代にやっていることの無力さというのを感じます。一方で、伝統工芸というのが商売として成り立ち得ないというのも感じるところです。技術が、どんどんと進化して究極の手の込んだものを生み出しても最後に終わりが来てしまうのです。

私自身が感じるのは、始まりのあるものというのはすべて終わりがあるということです。哲学的になりますが、終わりがないものというのは始まりがなく存在しないということです。産業というのは、全体的なピークを過ぎると希少性が出てくるまでは価値のないものとして急速に衰退するものなのです。麻関連の産業というのは30年周期で動いているような気がします。1代に1回の好機があるのが普通で、それは一世代のうちに同じものを良いとは思わないということだと思うのです。たとえば、昔、ベルボトムが流行って履いた人が、またブームが来たからといって履くかというと、昔くさくって履けないと思うのです。そういうのを知らない新しい世代が、一世代前に流行ったことをブームにするから、また、始まって終わっていくという流れがあるのではないでしょうか。

話はもどりますが、昭和40年代にもなるとヨーロッパのブランドが日本にも流入し、和装の世界で手の込んだものを生み出しても商売としては成り立たないような時代になってまいりました。でも、林与もそうですが、今のそういうのを忘れてしまった世代にとっては、昔のものというのはすごく新鮮であったりいたします。
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