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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2011年07月05日
ある工場さんに生地をもっていくと、受付のかたが技術的なことは私は分からないというようなお話で、事務処理に徹されて、社長や部長に聞いてほしいということなのです。他の方に聞くことはできるのですが、その若い方に技術的なことも理解してもらうということが大事ではないかと思うのですが、それをあきらめるところからのスタートというのが厳しいところです。

私自身はそれがその人の問題だとは思わず、人がころころと変わる今の時代の仕事の特徴だといえます。長く仕事をしてもらおうと思えば教え込んでいかないといけないのですが、それが成り立たないのが今の職場みたいなもので、教え込むほどの余裕がなくできる人を探すという形です。

一見、仕事ができるひとというのは仕事を知らずに仕事をしない人だったりします。そういう盲目な判断が、仕事をできる人を消していくのです。仕事のできないひとは他の人に仕事を頼むので仕事をしなくてすむのです。頼まれた人はもうちょっと力をつけて自分でやってほしいなあと思いながらもあきらめモードです。

プロの現場でも素人ほど強いのが今の時代、海外にものづくりで負けてしまうのもそんなマニュアル化されてしまった日本的な体質だと思うのです。
2011年07月04日
先日、京都五条の田中直染料店で、草木染め大全(箕輪直子著、成分堂新光社)を買いました。この本の中の染めサンプルをみて、シルクとウールを染めるのは簡単そうですが、コットンともなるとなかなか手ごわそうです。さらに、リネンやラミーとなると難しいであろうと簡単に想像できます。

明治以前の近江上布というのはほとんどが藍染のようです。麻をきれいに染める手法が限られていたのだと思います。明治になって、化学染料が手に入るようになって色華やかな近江上布が作られるようになりました。そのころの染色技術というのも今の色が美しく残っているので今以上に確立されたものがあったのではないかと思います。

先日、京都五条の田中直染料店で、草木染め大全(箕輪直子著、成分堂新光社)を買いました。この本の中の染めサンプルをみて、シルクとウールを染めるのは簡単そうですが、コットンともなるとなかなか手ごわそうなのが染め上がったサンプルの色から観ても分かります。さらに、リネンやラミーとなると難しいであろうと簡単に想像できます。

明治以前の近江上布というのはほとんどが藍染のようです。ヨーロッパのリネンもアンティーク物は染めてあるもののほとんどが藍染です。麻を濃くきれいに染める手法が限られていたのだと思います。明治になって、化学染料が手に入るようになって色華やかな近江上布が作られるようになりました。そのころの染色技術というのも今の色が美しく残っているので今と同じく確立されたものがあったのではないかと思います。

麻というものが、特に手績みであった時代には染めるのは藍以外には難しかったのではないかと思います。それゆえに、どうやって藍で濃く染めるかということにすべてを費やしたような時代が続いたのではないでしょうか。昔は農業にしても手作業がほとんどでしたので、自然の中でリスクの高い今の何倍も大変な仕事だったといえます。

今日は夕方彦根の組合で中国から来られた留学生の方と30分ほど雑談しておりました。今は留学生の中でも一番多いのが中国からの留学生になっているのではと思います。後に生きるような経験をつみたいと考えておられる方で、今の海外の留学生の方というのもだんだんと考え方が変わってきたのかと思います。

欧米からの語学留学生やALTの先生との交流などは昔の機会はたくさんありましたが、そういう方とは違う自国に帰ってから生きるようなものを日本で学んでおきたいというスタイルです。仕事であるとしても、お金と物の話ではなく、人の話であったりして、実際に仕事で大事なのは学校では学ぶこととは違う部分であるのかもしれません。
2011年07月03日
今日は、日曜日、日曜日というのは何をしようかというよりも、遅れ気味のことをするのに非常にありがたい時間です。回りが動いていないのがありがたいのです。

リネンをウエディングドレスに活用されたいといわれる方が2件ありまして並行動いています。ウエディングドレスというのは贅沢が許される世界ですので倉庫の生地も含めてよさそうなものをピックアップさせていただきました。

ヨーロッパではウエディングドレスもリネンで作られていたのです。そして、おばあさんや母親が来たウエディングドレスを仕立て直して使うというような、生地というのはファミリータイズを生み出すような役割もあったのです。

色は、やはりウェディングのコンセプトからして白系が多いようです。合成繊維やシルクだと純白のものがベースとなるのでしょうが、リネンなのでオフ白のものを探しました。純白のものもよいかも知れませんが、黄色く焼けてしまうので永くは持たないので、メモリアルとして残すためにも蛍光晒や本晒よりもオフ白がよいのかなあと思います。リネンらしいナチュラルっぽいテイストも少し含むことができます。

夕方、彦根のショッピングセンターの本屋さんに立ち寄りました。雑誌掲載の依頼などの件で雑誌の確認を行いに行ったのです。「リネンで作る小物」も田舎の書店なので置いてあるのかなあと思いながら探しましたが、手芸コーナーの一番前の目立つところにディスプレイくださっててびっくりしました。
2011年07月02日
今の季節、川沿いには、赤苧や青苧がよく見かけられます。もともと、このような草から繊維が取られ麻織物が織られていたのです。着物というのは、いろいろな草の繊維を織ったものを総称して麻と呼んでいたのが昔の織物です。昔、裃などは大麻だということですが、普段着る着物用では厳しいところがあったと思います。昔はこういう草を見て雑草とは思わなかったのでしょうが、今の時代には雑草にしかみえません。

百年以上も使われなくても自生していてくれるというのが、麻がエコである象徴の一つです。そういうのを見ると日本の自然もまだまだ残っているなあと思います。これは、別に麻だけでなく、柿の木にしても、今はたわわに実をつけてもそれを人が取って食べることがなくなっても、翌年にはしっかりとまだ実をつけてくれているのです。柿の木をみると柿の成るのを楽しみにしていた昔の価値観そのものがエコなんだと思います。毎年、自分で実をつける柿を食べるだけでも、お店で売っている果物を食べものに掛かる輸送に使われたり、冷暖房に使われたり、廃棄処分される分のCO2削減に何倍も寄与できるのです。CO2削減を考えるよりも普通に見える無駄を削減することのほうが地球環境にとっては何倍もの意味があるのにと思うことが多くあります。

今の時代、お坊さんが着る袈裟なども、リネンが使われています。これは、お釈迦様の生まれたインドでもリネンが使われていることと関係しているのではないでしょうか。本来、日本の麻なら苧麻(らミー)が使われないといけないのですが、インドでは、イギリスの植民地であったこともありリネンが使われるのです。日本のお坊さんがリネンをお召しになられるというのも不思議な気分ではあります。

今日は梅雨が明けたかのような蒸し暑さの少ないさわやかな一日で、お昼前に加工工場さんにお邪魔しまして表で30分ほど立ち話です。本麻の小幅の織物を加工工場に何百メートルか投入しました。本麻の小幅織物というのは案外あるようでないのが今の時代です。小ロットの極みとなりつくろうとするとコストが高くなり百貨店などでも販売できる上代には収まらないのです。その分、綿麻とは違う世界をお楽しみいただける贅沢です。
2011年07月01日
7月になっても、サイレンとスプリングです。地球温暖化の問題を考える前に、この何十年かの間に加速したサイレンとスプリング現象を考えるべきでしょう。ちょう、せみ、くわがた、かぶとむし、赤とんぼ、すべてが何十分の1の世界で、それとともに生きるべき、魚類、鳥類なども消えてしまっています。

人間が意図的に魚を放流したり蛍を放流したりして楽しむバーチャルエコロジーは、残酷です。人の手が絶えれば、死滅してしまうのです。トキに関しても、トキだけを保護しても何の意味もないのです。トキが生きられる自然環境がないのですから、トキを自然界で繁殖させようとしても無理なことだったのです。

これは動物だけの問題ではありません、人間にも言えることです。今、たくさんの方が化学物質アレルギーや体質の問題で悩まれています。人間が普通に生きることのできない自然環境になってきてしまったということです。今日の夕方には、京都のお客様のところに伺い、その脚で、五条にある田中直染料店に伺いました。

学生時代に7年間住んでいたよいイメージのある京都の街ですらもコミコミしていて住みにくさを感じてしまうのは田舎ですらもが住みにくくなっているのでかもしれません。生活環境がコンクリート化してしまうと厳しいなあと思うのです。

失ってから気づくものも多いと思います。今日は、機料屋さんが来られていましたが、この15年で近江の産地でも機屋さんというのは廃業が続きました。これは、保険や金融商品などに力を入れる政治的な方針と表裏の関係で、片方を持ち上げれば、片方が締め付けられます。100年以上続いた企業さんが消えていく背景というのも、世界で一番安いものを作る繊維産業の中の戦いだけでなく、日本人全体のビジネスモラルや価値観の変遷によるところが大きいのです。

日本的なものづくりを守ろうとしたところほど日本的な重いものを背負っておられるのでこの15年ほどで消えていかれたように思います。人が国際的に標準化したということが日本の特色が薄れてしまう一番の部分ではないでしょうか。昔、日本は教科書どおりのステレオタイプで面白くないといわれた時代があったのですが、不思議なことに、そのころのものづくりのほうが本質的で他国にない特色にあふれていたような気がします。
2011年06月30日
この一ヶ月を振り返ると暑い日が多かったように思います。昨年は寒い日の多い6月でしたが、これは子供のころに経験したような暑い夏が戻ってきた感じです。しっかりと、体中に熱がこもるような感じで、こういう暑さというのも大事なんだと思います。

昨日は、本麻の手もみの白黒シャンブレーでメンズ用の半ズボンを作るということで、うえに同じく手もみの白い麻シャツを着るとかっこいいという提案をしました。それだけでも、むちゃくちゃ過ごしやすい夏になるのではないかと思います。Tシャツの暑さとGパンの重さというのは夏には耐えられないという方が多いのも事実です。単に麻素材というだけでなく、その軽量感こそが自由度なのです。

今日は、何点か新しい案件をいただいたのを前に進めました。やることがしっかりと決まっていると物事を進めるのは非常に簡単です。お仕事のお客様でも、ご注文される方に迷いがあるとよいものはできないと思います。林与の場合も作るときに迷いがあることは多いのですが、迷っていても結果は出てきません。

計画をいくら立ててもよいものができるとかできないとかものが売れる売れないというのは別の問題です。林与のオリジナルラインは自分が作っていく中でよりよくする要素を見つけていくので、ふつうなら2回3回試す覚悟が必要なのです。昔のものづくりというのは一回勝負ということは少なかったのですが、今のものづくりはだんだんと一回出たとこ勝負になり、作りこんでいくことができませんので、依頼される方の企画力ならびに販売される力次第のところがあります。
2011年06月29日
今日は、午前中、8月6日7日に行われます長栄座の周辺イベントといたしましてロビーで行われますブースでの展示に関する参加説明会が行われました。会社を出発前には、いろいろと今日の仕事の準備をしておって出掛けにお電話をいただいたり、また、お弁当屋さんのトラックで出発ができなかったり、今日の目的地に達するのはなかなか壁が多いなあという感じでした。

会場では、説明会が始まっており後ろのほうに座らせていただいたのですが、説明の重要部分は後のほうでして逃さずに助かりました。お世話になる運営の皆さんとご挨拶させていただきました。展示は会場のロビーで行われるのですが、オープンスペースなので、展示会のように小間みたいに囲って展示したほうが落ち着きそうです。

メインのイベントが古典芸能なので、お越しになられる皆様というのは、そういう歴史や文化的なものに興味のあられる方で年配の方が多いのではないかと思います。私も昔の近江上布なども展示して見ていただくのによい機会なのではないかと思います。他にも、リネンキッチンクロス、ストール、リネンシャツなども並べてみようかなあと思います。

終わってから生地を見に来られ、リネンの生地でつくられたステテコをはいておられました。ジーンズと比べると軽くて涼しいということで、ジーンズがもう履けないというくらいの心地だといっておられました。体感温度マイナス5度くらい違うと思います。
2011年06月28日
今日は、リネンの色糸の染め出しを行いました。今回の分は全部で20色以上あって、林与のカラーからいい感じの色をリネンの色として作ろうとしています。織物の色というのは、カジュアルカラーが一番リネンでも売りやすいのですが、実際に麻やリネンに合うのはワビサビの色じゃあないかと思うのです。特にオンリーワンなデザインのものを作るときには、わざわざ色を微妙にして自分好みの色の糸を作ります。

サンプルカラーを作るというのは、無料ではなく逆に高い費用が発生するのですが、オリジナルにこだわられるブランドさんなんかはそれを覚悟で色出しを行われます。色出しも一回勝負でよいなら簡単だったりします。色ブレを考える必要がないからです。見本に近い色を布という状態で再現しないといけないというのは非常に厳しいことが多いのです。特に多色使いの先染めとなると、ひとつの色のブレが案外気になるものです。

自分のつくりたいリネンをつくるのは本当に贅沢な世界だと思います。今回のリネン糸も、贅沢に120番手クラスと140番手クラスを染めてみました。リネンの細番手の先染の世界ってすごく珍しいのでインパクトがあるものなんですよ。染まってくるのが楽しみなだけでなく、それを使うのがまた楽しみです。そしてそれが加工からあがってきて、また、製品になっていくと色華やかな細番手のリネンの世界が生み出されます。

日本的なリネンを作ろうとするときに、糸が細いというだけでなく、日本人の色柄に対する感性なんかも、日本人である林与が吹き込めたらと思うのです。
2011年06月26日
今日は日曜日会社は休みでしたが、東京からのお客様が起こしになられました。今日は夏らしい一日だったので朝から事務所の建物は熱気で満ちています。林与のリネン生地でオリジナルシャツの企画の試みを考えておられます。

お客様だったので普段使わないエアコンを少し使いました。エアコンを使わないなら窓を開けて涼しくするのに、エアコンを使うためには窓を閉める、これは子供のころからの不思議で、答えは分かっていても不思議は不思議なのです。

午後から、長浜のDENさんにお客様をお送りしました。DENさんは、夏の間だけの木、金、土の晩に、木ノ本町の北山クロージングの縫製工場でビヤガーデンをされているのですが、もう20年になるそうです。一度、2年前の夏に、お招きいただいたときにはロッジ風の縫製工場のデッキでゆっくりさせていただきました。

今日は、本当に夏らしい暑い一日でした、会社に戻ってからは、溜まっている書類関係を進めました。昔のように、28度までに抑えることで十分15%ほどの節電になるとは思うのです。実際に、林与の工場でも冷房設備を動かすだけで機械を動かすのと同等の電力の消費で自然をコントロールすためには莫大なエネルギーが必要なのです。

逆に言えば、人が感じる暑さすらも自然の偉大なエネルギーでそれを否定してはならないのです。夏は暑くて当たり前、冬は寒くて当たり前、それとどう付き合うかなのです。近江湖東の産地は、日本でも一番くらいに麻織物に適した気候風土として言われています。私自身はそのことには懐疑的な部分もありますが、実際に、麻織物に携わってきた人の物事の独特な考え方までも自然に由来していると含めるとそれもそうなのかなあと思います。
2011年06月25日
昨夜は、2時間ほどのあいだ、1、2秒ごとくらいに空全体が調子が悪い蛍光灯が点こうとしているかのように、点滅し続けていました。夜なのに空が明るくて赤く焼けているような感じです。雲というよりも電界の層が出来上がっていて、それが、オーロラのように見えていました。こんな空を日本で見たのは生まれて始めて位の体験でした。

午前1時前でしたでしょうか、大粒の雨が10分ほど降って、すべてが何事もなかったかのように終わりすごく静かになりました。実は、これが異常気象というよりも自然なのかもしれません。滋賀県から見ると北のほうの空が集中的に光り続けていましたので、空気中の電界的な要素が極端に異常化されてしまっていたのが、昨夜の異常に思える現象で正常化されたのではないかと思います。昨日の午後なんかは気持ちのよい一日だったので、少し驚きではあります。夜の空に飛ぶ鳥も逃げ惑うような感じで飛んでおりました。

日本らしくない現象が自然界でも起こり始めているような感じですが、これが自然なのだと思います。自然というものはひずみを、自然の力が一晩で正常化してくれるようなものではないのかと思います。昨夜の地獄絵のような出来事は、自然を変えようとしても自然は自然に戻る力があるのだという証ではないでしょうか。

砂漠気候というと棲み難いかと思えば、雨が降らず、毎日晴れていて基本的に天気の心配もせずにすみやすいのです。カリフォルニアのアーバイン周辺は世界で一番気候のよい場所といわれるところで、夏でも天然のクーラーが利いていて、雨が降らないので本来は草木も生えないのですが、スプリンクラーで水を供給して緑を保っています。

砂漠というと悪いイメージがあるようですが、実際には、虫すらもいないような人にとっては住みやすい環境なのです。ポップコーンが1週間湿らずに食べ続けられるようなのも砂漠気候の特徴です。最近の日本は、ダムなど作って砂漠化することで人が住みやすい環境を作り上げてきたのだと思います。大事な要素というのは水で、水が自然の基礎なのですが、人が快適に住むためには水を自然に循環させないことを望みます。

日本の山形の蔵王スキー場ですらも、積雪が1.5mほどといわれるほど、温暖化は進みました。実は、日本で砂漠化が進んだのはこの何十年のことなのです。子供のころには滋賀でもしっかりと雪が降っていたことを考えると、原子力の力というのは自然に対する挑戦だったと思います。世界の中で、自然を変えることに日本が一番熱を上げてしまったのも日本人の国民性ではあるといえ、世界で一番、原子力発電を推進した日本で世界の中で一番くらいに温暖化が進んでいるというのもよく考えないといけない事実だと思います。焼畑すらもが地球温暖化の要因に上げつられ、一方で原子力が地球環境を守るなどといって、この問題が起こってからも、放射能は体によいという学者さえもたくさん出てきてしまいました。今時の日本らしいのです。

自然環境によいということで、天然繊維を使わないで、合成繊維を推進するのと似ているのです。何十年もつづいてきたことを、新興のビジネス推進のために法律などつくって代替し始めれば、人が共存してきた自然由来の環境すらも取り戻せないくらいに破壊されてしまいます。学者たちもようやく放射能の自然界に対する危険性に気がつき始めたようではありますが、推進してきた人間ならそのくらいのことは最初から分かっていないと欲に目のくらんだ素人のごときで駄目なことでしょう。人の欲というものは強いもので自然すらも人間の都合のよいようにコントロールしようとするほどの欲の大きさなのです。人間が折れて、自然に合わせて過ごすということも大事ではないでしょうか。
2011年06月24日
上島佳代子先生から、主婦の友社から発売されました「東京のおうちアトリエ」という本をいただきました。東京の女性アーティスト17人の中の一人としまして上島先生も紹介されていて、林与がコラボさせていただいて織っていますピンストライプのキッチンクロスも登場しています。

本の中は、カラフルな写真ばかりで、それが、活動の空間ということです。なんか、きれいな空間で皆さん仕事されてましてうらやましいですね。林与もカラフルな空間で仕事をしていますが、それらは糸や布が作り上げています。織ったものをほとんど捨てることはなく大事にしています。
2011年06月23日
今日は、午前中、彦根の組合で取材がありました。私自身は、取材そのものよりも取材の後にお聞きしたお話に興味がありました。記者の方は彦根の昭和をよくご存知で、彦根に来るのが楽しみなんだといってくださっています。彦根の先代の方々とのよき時代のお話も飛び出して、今の地場産業にとっては厳しい時代も重々に理解したうえで、日本に残して行きましょう、と応援の気持ちが伝わってきました。
2011年06月22日
今日は、朝6時起きで大阪、9時に大阪のホテルで夕方までの講習を受けました。大阪で大阪のお客さんと電話で話すと不思議な気分です。別にお会いする予定もないのですが、大阪にいることを言わないのが失礼な気持ちさえ起こさせます。

もし、林与が、東京や大阪にあったら、多くのお客様と近くて便利だろうにと思うこともありますが、流れに流されてしまって、作り方はもちろん、作るものというのも変わってしまうと思います。

林与の家では、曾おじいさんの前というのも織物をもちろんやっていたと思うのですが、曾おじいさんのときに、自分で織物を企画する機元としての創業があったことが、今の多くの賃機屋さんと違うところで、着物の時代が終わってもアパレル向けの広い幅の織機に入れ替えてものを作り続けることができたのです。

生地なんて、いつでも作れるものと思っていると、いつの間にか作れなくなってしまう時代がくるというのは、林与の場合、おじいさんのころから感じていた感覚です。倉庫にオイルショックのときのマルセル石鹸が今もたくさんの残っていて、糸というだけでなく、生産に使う道具まですべてを守っていかないとならない厳しさをもってものづくりを続けていたのを感じます。

在庫の布などを見て、助けるお気持ちでだと思うのですが、これが全部売れればよいのになあといわれることがあるのですが、林与は昔の近江上布の反物を今も残しているように売れてなくなればよいと考えてものづくりをしているのではありません。これは売らないで残すという選択もあったりするのです。
2011年06月21日
今日は、念を押してカット不可の要返却で貸し出して見本のいくつかがカットされて戻ってきました。ものを流すときにやはり価格の話をしっかりして本当に買っていただけるものだけを見ていただくのが一番で、自分自身でものを流していくことの重要性再認識するような出来事です。

林与の布から林与のものであることをなくしてしまうと価値は落ちてしまいます。麻業界の歴史のたどれる布であることが大事で、それがノーブランドになってしまうのであれば、海外の安価なものとの比較になるだけで、オリジナルであることが消えてしまう意味のなさなのです。

価格で勝負する布という世界もあるかもしれませんが、わざわざ日本で作るようなものは価格を下げて流そうとすると海外のものに近づいていくだけのものづくりで、ものを作る力すらも海外に負けてしまいます。ものづくりをする人間が価値を感じないといけないですし、使われる方に、うまくその価値が伝わらないといけないのです。気持ちが離れてしまいますので、出来上がったものは単にものの世界になります。

林与の布が他の布と比べて何倍も高いのにご評価をいただくのも、ひとつの布がどうこうではなく、トータルとして林与のコンセプトこそが大事ですので、それが崩れてしまうと林与が作る意味すらもなくなります。今のファストブランド的なものづくりとはまったく逆のスタイルですので、よく驚かれることもありますが、時代に流されない昔ながらのものづくりの価値観を守る厳しさではあります。
2011年06月19日
今日は、会社は休みでしたが自分仕事してまして夕方に発送を完了しました。リネン糸を双糸するのを頼む目処が立ちましたので、同時に刺繍用の糸なども作ろうかと考え、その糸の準備もしました。ほかに、先週こられたお客様用のサンプルなども手配をいたしました。

発送を完了した脚で、半年振りに近くのショッピングセンターに行きました。行く前から予想が立っていたのですが、以前は580円でジーンズを販売されていて、同じものかどうかはわかりませんが、一番安いのが850円になっていました。580円で販売されていたときでもお買い得という感覚はありませんでしたが、今、850円のジーンズというのは、現地で販売されている価格よりも安く、品質も良いのではないかと思います。

洋服にしても突拍子もないものが流行するということは少ないし流行を追うようなタイプではないので、どうしても洋服の形よりも素材のほうに目が行ってしまうのですが、リネン100というものはメンズで2つありましたが、一見見劣りしているのです。基本、麻のものは大手の量販店では売れにくいという結論になるのではないでしょうか。というのも、周りに合繊のものがたくさん置いてあると、麻の物というのは相当思い切ったことをしない限り無地などでは見劣りしてしまうのです。クオリティが高い売り場においてあると逆に味の面が引き出されるのですが、売り場全体の雰囲気が非常に大事だと感じます。

そういう理由からしても売り場の人などが普段から良いものを眺めていないと、なかなか麻が良さというものはわからないと思います。合繊や綿のものなら安くてきれいであって、フシやネップがあるというようなものが高いとう、一見矛盾する部分を評価できる目というのは普通だと難しいのです。弊社の素材ではありませんが、無地の後染めのものはしわが目立っていましたし、シャンブレーのものもネップが目立っていました。しかしながら、カジュアルなリネンながらも全体的な品というのはほかの素材に比べて勝っているというのが総評です。

今は合繊の安いものの方が見栄えがするのが普通です。昔の着物の麻というのは、非常なまでの贅沢が施されていて、見た目でも合繊に負けることはなかったのです。林与の使っていた昔の麻糸というのは本格的な世界で、ストーリーからしても海島綿やカシミヤの世界を超えるようなのが当たり前でした。今は糸からしまして、情報すらもが薄い時代になってしまいました。紡績会社の方に聞いても担当の方であってもしっかりとした知識がなく、糸商さんに尋ねて検討してほしいとのことで、日本企業もどこまで手を抜くものづくりが続けられるのかというところに差し掛かっていると思います。実質は海外企業になってしまっているところと、国内的なものづくりをされているところとの差が大きく出始めていて、当面は商社的になられたところが勝る時代が続きますが、最終的には商社化してしまうと売ることが大事になってきますので売れなくなれば終わりです。

今の時代、海外のフラックス工場や紡績メーカーの方のほうが正直なところでの話ができたりします。それは日本の企業以上にものづくりをされていて自分たちのやっていることにプライドをもたれているからで嘘をつく必要がないのです。逆に、日本の糸商さんが違うメーカーの箱に入れ替えただけと普通に言われる時代ですので、国内で流通するものへの信用という言葉は過去のものになってしまった感すらもあります。
2011年06月18日
林与は琵琶湖の東側の湖東産地にありまして、琵琶湖の反対側に高島という綿織物の産地があります。今日は朝から高島にお邪魔しました。高島織物工業協同組合さんにサイジングの機械を見せていただきにあがったのです。

サイジングというのは縦糸に糊をつける工程で、綿の単糸の場合、織機で高速で糸同士が上下運動をすると糸がももけて通常は糸切れを起こします。毛羽を押さえるために糸に糊をつけておいてあげると、縦糸が織るときにももけてしまう現象が軽減されます。綿の細い番手の単糸を縦に使った林与が考える特別な織物を作りたくって、糊をつけてもらえる工場を探していました。

お休みにもかかわらず工場長さんからサイジングの工程を教えていただきました。部分整経するのと似たような整経機が3台ありまして、それぞれに使う糸で使い分けているなど役目が違うということです。ひとつの整経をするのに荒巻するのにビームを何本も使って、最後にサイザーで糊をつけて、全体の糸を一本の織物用のビームに巻き取るという工程です。私の思っていたサイジングは、織物用のビームに巻いたものを別の織物用のビームに糊をつけながら巻き取るという形をイメージしていたのですが、荒巻用のビームを何本も使うという工程が分かって見本からお願いするのが申し訳ない気分です。

工場長さんとお話しさせていただいて職人さんだなあと感じるのです。林与のお願いする糸が通常されている綿の糸の半分くらいの細さで、さまざまな問題が予想されるということで、お話を聞かせていただいてその問題もよく分かります。ご自身が手間が掛かりそうなことよりも、うまくいかないときのことや糊をつけてみても織れない心配を一番して下さっていてありがたいのです。こういう方とのお出会いというのは非常に少なく、知識や経験云々ではなく、温かい人が生み出されるものというのは、ものにそれを作った人の要素が詰まっていてよいものであることが多いのです。

技術的に高い織物などはひとつの技術に依存することなく、いろいろなぎりぎりへの挑戦が積み重なって海外では見かけることのないような織物を生み出すことができるのだと思います。お昼すぎ帰ろうとしましたところ161号線が非常に混雑していまして、何十分も車が前に進まない状態で、琵琶湖大橋をわたって帰らずに引き返して琵琶湖の北側を回って帰ることにしました。帰ったら夜になってしまっていました。

リネンの細番手織物でもそうなのですが、細い番手に挑戦を繰り返してようやくアパレル市場も、リネン100番手以上の細番手なども、世界から興味を示していただけるようになりました。25番手40番手あたりが価格面でも手ごろ感があって主流で、その辺りがリネンのイメージを引っ張っている感じがあったのですが、海外の展示会などでも、きれいな表情のリネンをたびたび提案することで、世界のトレンドも日本が昔、麻の世界に憧れをもって作り上げていた世界に近づいてきています。

細番手のアイリッシュリネン糸に関しましては、単に本物というだけでなく、その見た目の別格な存在感は、リネンへのこだわり派の方ですらも魅了するのではないでしょうか。日本らしいものづくりを残していくためには、林与が考える難しいなあと思う布を作る世界があってもそれはそれでよいのではないかと思うのです。また、単にスペックで上回るだけでなく、全体的な商品に流れる感性を林与らしいものに落とし込みたいと考えています。
2011年06月17日
今日は午後からお客様がお二人おいでになられました。選ばれるものというのは、昔のしっかりとしたものづくりのものが多いので、目がお高いなあと感じるのです。国内市場での高いゾーンのものづくりですらもが安い工程で似たものをという要望が増えています。林与の考えるベストな麻のものづくりのラインと販売のラインは自社独自に構築して残していく必要を感じるところです。

林与の生地をお探しのかたで、林与のサイトにお越しの方というのはどこにもよい麻の生地がないということで、見つけていただいた方が多いのです。お客様の要望と作り手である林与のものづくりのコンセプトが合うとものに対するご評価も高くて、ときには、林与が通常によいものと考える以上のものを探しに来てくださるケースもあります。

そういう高くて良い物への需要はあっても、そういうものは流通をしていくのは難しくなっていますので、糸、染、織、加工などすべての技術が安い代替的な技術に置き換えられ消えて、海外の生地との格差はどんどんと狭まってきています。

一度安いほうに動くと自分のなかの価値観が変わってしまい逆戻りはなかなかできないので、林与の全体的な商品構成が高いものがほとんどであるのも、共通してよい材料、よい工程を貫こうとしているが故で、ひとつの生地をみて優劣の世界ではなく、日本の麻織物の高級な路線を維持していくため、何十年も昔から、流通や販売の方とは価値観が食い違うことも多いので、林与らしい独自の路線が守れているのではないかと思っています。

考え方の違いこそが大事で普通の考えだと高級なものというのは残せないのです。どこでもだれでもつくれるといわれることが多いですが、ものづくりを守るときに人の考えからはじまりますので、ものの価値観においては、ものそのものじゃないところが大事なのです。合成繊維が天然繊維以上に安くて優れていても、天然繊維に価値を感じるというのも人の価値判断であったりします。
2011年06月16日
今日は午前中、ひこねの組合から市役所と商工会議所にご挨拶に行きました。会社に戻ってからは、書類関連をやりまして、夕方前に野洲にある藍染の紺九さんにお邪魔させていただきました。森芳範氏から藍染めに関するご説明などをいただきまして、持参しましたビンテージアイリッシュリネン140番手のハンカチ生地が染められるのかどうかご相談させていただきました。

昔のヨーロッパのリネンなどが藍染が多いことなどに関してもお話を伺うことができ、ヨーロッパでは昔、アブラナ科の植物で染めておられたそうだという話で、それがインド藍に置き換わってしまって、ヨーロッパでは現在は、昔ながらの藍染の技術が途絶えてしまった状態だということだそうです。

こういう独自の世界というものを家族で守っておられるということは大変だろうなあと思います。昔ながらの方法を貫くということが当たり前の世界で、桶や銅釜、ムシロなどの道具すらも守っていかねばならないお話は、売れる売れないとか、売れるものをつくろうとするという考えすらもが大事ではない世界です。

こだわりとかいう言葉を使うことすらもこだわらないケースがあることを前提にの話があるのでこだわりという言葉すらもが使えないような。適切なのは昔のやりかたのままでやっておられるという文化財や国宝級のものというのは、理想的な環境つくりを育まれるところから始まるのだなあと実感します。

染めに関するお話などは興味深く聞かせていただいたのですが、やっていただくことというのはお任せしてやっていただいて、紺九さんがよいと思われる形で数点染めていただくのが一番私の求めるものだったりいたします。
2011年06月15日
人はそれぞれでさまざまな尺度があって、人それぞれも毎日のメンタリティというのは幅があり、さまざまな分散で正規分布しているイメージなのかなあと思います。物事を頼みやすいのは分散が少ないタイプの人です。一貫した作業を行って品質のものを作ってもらえます。

素人の人というのは品質水準も平均して低いですが、一つ一つ作るものというものの品質がまばらなのです。これはものづくりだけでなく、物流で企画されている方にも共通することで、素人の方だと全体的な要求水準も低いですが、価格を安くしてほしいといわれながらも相反する品質面を同時に要求されるというのが多いのです。

林与自身は、品質水準を上の方に保って、分散を小さくするように心がけているのですが、それと同じようなタイプのブランドさんとのお出会いというのが一番スムーズなものづくりになります。あまりそれがずれていると価値観の共有部分が少なくて、双方にとって居心地の悪いコラボレーションとなり、また、出来上がるものもアクセルを踏みながらブレーキを掛けるというようなちぐはぐなものになってしまいます。

何十年も布を扱っておられる方にでも、糸の違いや、糸を染める価値とか、糊をつける価値、織ときの問題、加工の価値など、また、見本をつくる作業の説明など、ハンドメイドの趣味でやられている方以上に理解がないケースがほとんどです。
2011年06月14日
今日はリネン日記の誕生日です。2年続きました。2年を振り返ると、リネン日記のおかげでいろいろな皆様とのお出会いすることができたと思います(実際にばたばたでお会いできるケースは少なくなっていますが、サイトを見て電話をいただいたというケースや展示会でお会いしたときに林与をよくご存知の方も多いものです)。

お昼過ぎに、和歌山県からキッチンクロス関係でお客様がお越しくださいました。綿のクロスを主体で企画販売されているのですが、リネンのクロスもこれからのラインナップで考えておられるとのことです。和歌山というのは生活雑貨関係が地場産業であるそうで、昔、弘法大師が棕櫚の木を唐から日本に持ち込んだことに起源があるとかで壮大なスケールの話です。

夕方には、滋賀県のコラボしがの担当の方がファンドの説明に来てくださいました。しが応援ファンドを受けておられる企業さんも、海外からの情報収集や海外に目を向けてPRされているところが多いそうです。世界中の人が集まるような場所こそ、地域性や歴史や伝統が評価されやすいとは思います。

8月6日、7日に明治の芝居小屋を再現する長栄座復活事業というのが、滋賀県立文化産業交流会館で行われます。明治になって、日本が西洋文化の波に押されて古来の文化が消えていくことを憂い、全国で芝居小屋がたくさん作られたそうです。

周辺イベントとしまして、会場ロビーに展示コーナーが設けられ、林与のほか、北川織物工場(ファブリカ村)さん、シルクライフジャパン(株)さん、井上仏壇店さん、明山陶業(株)さんなど滋賀県の地場産業企業が小物商品などを展示などする予定です。
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