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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2011年2月
リネン日記:28
2011年02月08日
今日は、昨日手配してもらった糸が届きました。同じラミー100%で、同じ設定のままで織ってみて一目瞭然の違いです。すべてが解決されます。それが糸を選ぶだけの理由なのです。結局のところ、糸の細い部分が打ち切れを起こしていたのではないかと考えます。今回のトラブルの原因が原材料なのか紡績なのかは分かりませんが、普通に流通しているものの品質が極端に落ちてきているので気をつけておかないとなりません。

今日、出機さんに行きまして、何十年も織ってくださっている職人さんも同じように糸のことを感じているのだなあということが分かりました。指定があり、一つの商品に普段使う糸と別のメーカーの糸というのを使ったのですが、織ったあとに苦情を述べられたのです。それが、まったく、私が自分の工場で自分が経験して持った感想と同じなので、この職人さんの判断も正しいということです。林与がその職人さんに言ったのは、一般に、機屋さんというのは、これが普通でリネンを織ってられるんですよ、ということです。結局、産地でも、麻を織られるところがなくなっていった背景というのもそのようなことも要因しているのではないかと思います。
2011年02月07日
今日は、いろいろなキバタをオーバーロックミシンで縫製して、キッチンタオルを作ってみました。本来は、三つ巻にして本縫いミシンでかがるべきなのでしょうが、オーバーロックミシンで簡易的にタオルを作るのもかわいいのではないかと思ったからです。

倉庫から6種類の布を探してきて、オーバーロックして布を加工して、明日の仕上がりを待ちます。実際には、タオルというよりもハンカチくらいの大きさなのですが、出来上がったもので実際にどのような機能性があるのかをテストしようと思います。

そのほか、今日は、依頼をいただいていました綿麻サンプルの準備をしたり、ラミー糸の手配を行ったり、外注工場さんにビームを持っていって見本つくりの段取りを済ませたり、こちらのショップ向けの生地在庫の確認や、依頼のあった生地探しを2件、請求書の依頼、企画の段取りなど、3時ころにはお客様があり、月曜日だなあという感じでした。


■緊急募集■
今、リネン糸で林与のリネン生地にクロスステッチをしてくださる方を探しております。林与が50cm四方のキバタ布とリネン糸をお送りしまして、そこに得意とされる柄をいくつかクロスステッチしていただき、ご返送いただくという作業です。ご協力くださる方おられましたら、お問い合わせからよろしくお願いいたします。(ささやかながら、キッチンタオルHDダブルラインキバタのお好きな色1Mを謝礼として予定しております。)
2011年02月06日
倉庫には、本麻60番手をコンニャク糊加工した糸が各色たくさん残っています。着物に使うのが一番よいのではないかといろいろな甚平や浴衣向けの先染柄を作ろうかと考えています。先染め着物のシリーズなんか面白いのではないかと思います。ストライプは多いですが、チェック柄の小幅織物でつくられた着物というのはかなり珍しいのです。

先染というのは、プリントよりも奥の深さがあるのと、中まで染料がしっかりと染まっているので、色が長持ちします。着物でも、プリント柄や先染柄などで、白地のあるものというのは、その白い部分が黄ばむことが多いので、長くお使いいただくことは難しいことが多いのです。白地が部分的にあるものの場合には、長く使える良いものを作ろうとすれば、本麻の場合、白い糸に関してはしっかりとした加工を施しておかないと駄目ではないかと考えます。ただし、白無地の場合には、晒ことが出来ますのでその限りではないかもしれません。

昔の着物で、長年の着用に耐えるのは、しっかりと染めたものがほとんどです。白ベースのものなどはどうしても黄変してしまうので、難しいのではないかと思います。リネンの場合には、オフ白や生成というのは、化学変化の度合いが染めたものに比べると比較的少ないので、天然繊維としての性質が残っていることになり、変化しやすいのです。しかしながら、染めた染料や染め方が悪いと糸が弱る原因となるので、染めの質が悪いと染めたことで糸のほうが弱くなっていたり、染料の中の物質が変化して色が変色して見えるケースも多々あります。

麻糸というのは糸が染まりにくいですので、麻専門の染屋さんの染でないと長持ちしにくいことが多いのです。長く使える良いものを作ろうとするときには、染めに関しても、実績のある染屋さんであることが大事と思うのもそういう理由です。倉庫の染糸を見ていて、同じ原糸を使用したとしても、染工場さんによって染の技術と品質の差というのはかなりあるのを感じます。やはり、麻を得意とする染工場さんの染だと麻糸が麻糸らしく綺麗に染まります。

これは、加工に関しても同じで、林与の倉庫に眠る昔の反物を見ましても、他産地で加工したものというのは、綿ライクであったり、ウールライクに仕上がることが多いのです。暖かい系に仕上がってしまうのです。皆さんお気づきになられた方もあるかと思いますが、海外のリネンというのはある工程が行われていないケースが多いので、もやもやと起毛したような感じであることが多いのです。林与も秋冬物のリネンを作るときにはその工程をスキップしますが、初夏物の場合にはその工程は非常に大事です。清涼感が足りずに、もっちゃいなあと思うときには、その工程が不完全なことが多いのです。

商談会で、林与のビンテージなリネンをご覧になられて、海外のあるインターナショナルブランドのバイヤーさまが、これは何?とお尋ねになられましたが、たぶん、糸がしなやかで綺麗過ぎてリネンに見えなかったのだと思います。リネンの糸というのも糸加工を丁寧に行えば糸もよりよい表情になり、織りあがった布というのも通常のリネンとは異なった顔になります。そういう高価な糸加工というのも世の中では受け入れられなくなりだんだんと消えていく運命にあるのです。

糸の表情が変わるほどの糸加工というのは、昔から原糸の値段よりも高いことが多いので、それを施すのにはなかなか覚悟が必要なものです。世の中で、リネンにおいては、生成やオフ白の生地、後染、プリント生地が多いのはそういう背景があります。リネンに老いても、高級アパレル向けは総先染が多く、カジュアル向けは生成やオフ白ベース、後染やプリントが多いのもそんな理由からです。もちろん、後染やプリントにも高価なものはたくさんありますので、一般論ではありますが…
2011年02月05日
ここ数日ようやく暖かくなってきました。冬の厳しい寒さも林与は好きだったりするのですが、この暖かさというのは、車で走っているだけでも気分がよくなる気がします。そんななか、キッチンタオルに関する楽しいお話が飛び込んでまいりました。詳細のほうは、夏前には明らかになりそうなお話だそうで、内緒での進行になると思うのですが、時期がきましたらご報告いたします。

さてさて、昨日から調節をしていますジャガードですが、ジャガードのほうば問題なく動くようになったのですが、本麻の糸が、レピアでも起こった同様の打ち切れを起こしてしまっており、対策を考えています。この何十年と問題なく使ってきた銘柄の糸で、一度といってもよいほどに発生のなかった打ち切れですが、今回は、1Mに小さなものがいくつも見られ本質的な問題として恒常化しているようです。打ち切れというのは海外紡績の糸では何度か経験をして、品質の違いを実感していますが、今回ジャガード織機で打ち切れが起こったことは、普通の織機だと打ち切れ無しには織ることはできないという結論に達します。糸を買うときにそういうアナウンスもなかったので、糸の紡績メーカーさんもこのような致命的な問題に気が付いておられない可能性が高いのです。

これを短期的にしのぐ改善策はあるのですが、それはまやかしに過ぎないので、それを根本的に改善するためにはやはり糸捜しになります。当面は、在庫の糸をつかってしのぐことにしましても、よい糸を探す必要が急務になってまいりました。国産の麻糸というのは、最終的には消えてしまう運命にあるのかなあと思ったりします。

夏に涼しさを楽しめるのが細番手の麻織物の特色ですが、海外紡績のラミーもテスト的にはトライアルをしていますが、糸が織れる織れないの問題だけではなく、仕上がりの綺麗さや光沢感が海外紡績のラミーというのは、国内紡績のラミーには及ばないのです。肌が感じる清涼感も、同じ加工を施しても、加工から上がった布を触っていて明らかに国内紡績ラミーのほうが上だと感じます。

一方で、お客様においても、長年見続けられた方というのは、そのものを感覚的に知っているので、その違いに気が付かれますが、今、よい糸がなくなった時代に始めて麻というものに触れられる方にとっては大きな違いではないかとも思います。
2011年02月04日
リネンテスターという言葉をご存知ですか? リネンをテストする機械があるのかと思われるかもしれませんが、生地を見るための3つ折にできるインチ拡大鏡のことです。プロの人が使うものなのですが、昔からあるものなので見られた方は多いと思います。

何をするときに使うかというと、リネンの場合はそれほど高密度な織物であるということは少ないですし、高密度の場合には逆に拡大率が低すぎるので役に立ちません。リネンテスターで一生懸命に組織を眺めている人をみると大変だなあと思います。リネンテスターは、ほとんどの場合ちょうどインチの四角ですので、縦横の密度を計算するため縦横の本数を数えるのです。

リネンテスターという道具は、ほとんど形が変わることなく、たぶん100年以上使われてきている道具ではないでしょうか。子供のころは、すごくかっこよい道具に見えたものです。リネンの織物を拡大して覗くと万華鏡のようにきれいだなあと思うことがあります。リネン糸の一本一本がキラキラとしています。糸というのがまっすぐではなく、地撚りというものが掛かっているのも確認できるかと思います。地撚りというのは糸を紡績するときに掛ける撚りのことで、リネンの番手くらいの撚りが1M辺りに掛かっていることが多いようです。撚り方向は、Z方向とS方向があり、通常の糸はZ方向です。

昔は、リネンの糸もS方向の撚りも必要に応じて手配したこともありました。といいますのは、縦に綿などのS撚りの双糸を使うと、横方向は、S撚りのものを使うほうが、布がくるくると回るカーリングという現象がおきにくいのです。(加工してしまえば非常に微妙なものなので無視できる範囲ではあったと思います。)今では、S撚りのリネンを手に入れることはほとんどできないと思います。

林与には、リネンテスター以外に、普段使う道具としてオリンパスの拡大鏡が1つだけあります。今は手に入れることのできない特別な拡大鏡です。30倍くらいの倍率のもので、ルーペというよりも顕微鏡に属するものなのです。バックライト着きの200倍とか、400倍の顕微鏡もありますが、そこまで行くと逆に使いづらくなります。
2011年02月03日
古代エジプトではリネン織物というのは、WOVEN MOONLIGHT(織り上げられた月光)と称されることもあり、月光を織り上げたような美しさをもっていたと思われます。何千年も昔というのは、漂白技術も加工技術も化学的な部分に関しましては、今よりも劣っていたはずです。ですが、そのように称される背景には、何千年も昔のリネンには、今のリネンにはない、そう呼べるだけの光沢があったのではないかと思うのです。

私自身は、自然のリネンやラミーが持つ本来の光沢というのはシルクに迫るあるいは、シルクを超えるものと考えています。リネンというのは、これほど細くて長い繊維が取れる植物はないと言われます。麻業界では、一般に、ラミーのほうがリネンよりも繊維長が長いので紡績がしやすいといわれていますが、取り出せる繊維の細さと長さは似ています。

単に細いだけではなく、そのような糸というのは光を反射することで、この世のものとは思えない光沢があったと考えるのです。リネンというのは丁寧に加工してあげれば、科学的に漂白をせずしても自然の力で不純物を取り除いて上げれば色が落ち透明になるものなのです。光沢感を出すということは透明にしていくということなのです。それが、1本1本の糸が光を放つ月光を思わせる世界だったりいたします。

色を抜く際にも化学薬品を使わないので、出来上がった糸の色を、生成と呼ぶのか、晒と呼ぶのか、どう呼んでよいのか分かりません。WOVEN MOONLIGHTにちなんで、その色をムーンライトとでも呼びましょう。その糸というのは、普通のリネン糸とは、あまりに違いすぎてリネンと呼ぶことすら難しいのです。そのあたりが、「ITS VERY SINGULAR BEAUTY(その類まれなる美しさ)」と形容される部分じゃあないでしょうか。

以上のような解釈は一般的な解釈とは乖離した、経験や資料、手元の糸をベースに林与の考えるところなのですが、日本の麻織物の世界でも同じ世界があり、麻といえどもいろいろで、きぬあさと呼ばれるほどの糸の世界が日本にもあって、それは普通の糸とは別次元のものとされていたので、リネンの世界においても細い番手を極めていくときに、光沢と透明感が生み出されたのだと考えています。

月光を織り上げたと思ってもらえるような類まれなる美しさを持ったリネンを織ることができればよいなあと、幻のリネンプロジェクトは始まっています。ロマンを求めて、ゆっくり、ゆっくりと進行中です。
2011年02月02日
昨日、倉庫に行って、メンズのシャツ地向けに綿麻の生地サンプルをお客様に頼まれていたので適当なものがないかと探していたのですが、下のほうから、なぜかマグロを思わせる紺色の反物が出てきました。なぜ、こんなところにサブロク(91cm幅)の反物があるのかと思ってみると、それが、マグロのように黒光りしていたのも、きぬあさと呼ばれる着物用の麻糸を使用した織物だったのです。

完全に妥協のないつくりで、これが本麻かと思うと麻の価値というものを本当に感じることができる一品です。林与が和装から洋装に転換しはじめた、昭和40年ころの作だとおもうのですが、見た目は光沢感があって未来の織物のような感じがします。糸使いが異なるだけでなく、密度なども今、林与が作る織物の世界の1.5倍以上のスペックのものです。

誰が見ても価値がわかる簡単に売れるはずのものが、そのまま林与に残っていているというのは、林与特有のものづくりに思い入れが強すぎて売らずにとっておいたのだと思います。江戸時代なら大名が着るような素材だと思います。
2011年02月01日
遅ればせながらですが、ジャパンクリエーションやインターテキスタイル上海などで、お披露目いたしましたハードマンズ社サイオンミル紡績140番手のリネン糸を使用しましたアイリッシュリネンハンカチ生地とハンカチの一部の画像を「究極のリネン」のページにアップしました。

ベースは淡いアイボリーなオフ生成でゴールドな輝きを持っています。ラインには、きれいな色に染めた同じ糸を使用し、染めの色にもこだわっています。ハンカチなので特に堅牢度の高い染めに仕上げています。(実際にハンカチとして使われることのないものだとは思いますが…)

今は生地に仕上げたものだけの画像をアップしましたが、ハンカチとしてできあがり、縁取りの始末は、職人さんによる手かがりのハンドロールドヘム仕上げです。完璧な仕上げを目指した林与の考える究極のリネンハンカチです。

今は、初年度は、本当に35年前の糸が蘇るのか?というところからのトライアルで、無事織り上げ喜ぶだけでなく、何度も試織と加工テストを繰り返し、ハンカチとしての規格と風合いまでにこだわり、林与も見たことのないような別格の生地に仕上がりました。ビンテージアイリッシュリネンプロジェクトも、2年目に突入しまして、さらに進化を遂げさせたいと考えております。

ジャパンクリエーション2011SS展でのお披露目においては、ジャパンクリエーション全体の中でも一番くらいに注目いただけるような試みと評価いただきました。 http://www.japancreation.com/2011ss/news/20100423/index.html