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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2015年12月
リネン日記:26
2015年12月06日
野麦峠というと残酷なイメージがあるようだが、現実的にはまったく逆の世界で長時間労働になっていたところがある。一年働けば当時100円という工賃がもらえ、田舎なら家が買えるというような高待遇で、農家の娘たちの憧れの職場なのである。今のサラリーマン社会で残業しても、1年の給料で家が買えるなんてことはほとんどなく、今のほうが野麦峠よりも厳しいという現実もあろう。

産業がないときに人々に産業をもたらして、農業では貧困で食べていけない人々を救って、悪者扱いされている繊維産業というのも気の毒なところがあるが、比較するなら、単純作業で長時間くらいは、たぶん、現代中学生高校生の受験競争のほうが難しいし、新しいことを次々と覚えないとならず厳しいだろう。それでいて大学を出ても使い物にならないといわれ仕事がないのだからどうしようもない。一生単純作業で生きていけるというのは幸せな時代そのものでそういうことですら罪悪視して潰してしまっては成り立つものも成り立たないだろう。可哀想とも思っていないものに可哀想という感覚を植えつけても、そういうもともと恵まれない立場の人のチャンスを奪うだけに終わるのではないかと思う。

今の子供のほうが大人よりも仕事の吸収力がある。小学生は初めてミシンをさわっても、ほとんどの子が1時間でカバンがつくれるが、大人が同じようにできるのかというとたぶん難しい。子供は、新しいことでもやらないといけないという覚悟がすぐにできるものだ。
2015年12月05日
ほんと、暖冬だなあと思える。12月に入って、もうすぐ年末なのにこの暖かさ。日本のアパレル業界にとっては、暖冬というのはマイナス要因だろう。日本は季節があるから、春夏の服が売れて、秋冬の服が売れる。

日本も雪が降らなくなると日本らしい文化が衰退するのじゃないかと思えるのは、雪深い地域で織物のような忍耐の必要な作業が行われたこと。かつての近江湖東地域も田園には恵まれたものの冬場は雪に包まれて、村からもでることが難しい状況。

一般に琵琶湖があって湿度が高いことが近江湖東産地の麻織物が盛んである理由といわれるが、湖岸では資材系の荒い織物、細い番手のものというのは山側で織られたということからしても、雪深かったことと関係があるのではないかと思える。それと地理的な要因よりも、さらには人という要素や歴史的要素が相当大きいものだろうと思える。

東円堂という場所も、古代から奈良の寺領という土地柄で、律令制度から逃れて裕福な土地柄であったというのも普通とは違う織物を育むのには適していただろうし、また、神仏とあいまって母屋の先祖代々の仏壇や田畑を守るというようなことが何をもっても一番大事というようなあたりも、母屋を安泰的に存えさせる要因となった。織物もその流れの中に存在し、代々受け継がれていたのだろうと考えられる。
2015年12月04日
東京からは今朝帰って、工場の中の進捗状況を確認するとやはりあまり進んでいない。本来は折り始めているはずのものがまだ糸もつなぎ始めの状態で放ってある。

午後3時過ぎから大阪府の方+数名の有志で、午前に岐阜のガラ紡見学のあと、林与に立ち寄ってくださる。新しく移設したシャトル織機などもご覧いただく。相当キャパは増えたので、仕事も捗るはずなのだが、移設した食器のシャトルなども今手配中で、当面は従来の織機での生産が続く。
2015年12月03日
京都発の始発のノゾミで、東京に向かう。サンプルのストールを手渡しする件もあって、新横浜で降りて各駅停車に乗り換えようとするも、八王子方面の列車が運行停止で11時くらいまで再開に時間がかかるというので、待ち合わせ場所を新宿に変えてストールを渡すことができ、会場に向かう。

ストールを渡す新宿駅で、プチハプニング。待ち合わせ場所に急いで向かっていくと足元にピンクの折りたたんだような布切れが落ちている??? 一旦通り過ぎて20mほど行った後、やはり気になって戻って拾い上げるとPASPOの定期が入っている。女性の方が落とされたようで、6万円以上もする最近買われたばかりの定期券。インフォメーションに届けた、落とし主の方に届けばと願う。置忘れなどで逆の立場で善意の方に救われたことが私も何度もある。

展示会の会場につくと、10時にアポイントをとって下さっていたお客様が待っていて下さる。事前に遅れそうだったので主催の方にお客様が来場されたら林与が少し遅れますとお伝え下さいと連絡をいれておいたので、落ち着いて会場に向かえた。機屋をやっていて一匹狼なのかというと、いろいろな皆さんに支えられていて、新しい出会いなどもいろんなところでいただいて、そういう出会いに支えられて新しい取り組みに恵まれることも多い。

本当は常に新鮮でなければならないのだろうと思う。慣れてしまうと新鮮味がなくなって、ひとつひとつのお出会いを大事にできないことも多くなってくる。ひとつの展示会で一日に30人以上の方とお話しすることなどもあって、誰と何を話したのかなども時間がたつとあやふやになる。今回はできるだけ早く対応させていただこうと考えている。

今回のハーベスト展はすごく時間のたつのが早く思えた。会場の片付けも皆さん手っ取り早く30分ほどで片付いてそれぞれが帰路に。
2015年12月02日
今日からハーベスト展、9時半に、恵比寿の会場に入ると一番入り口の場所に林与の場所。くじ運がよかったと皆さんに言われるも、いつもバタバタなので、展示会準備もちゃんとできないのと、春夏向けの商材なので、目立たない奥のほうでとリクエストをさせていただいいておいたのだが。

ほかの出展者の皆さんは、前日から準備されており、10時の開始に準備を間に合わせる。いつも10分くらいで準備を済ませるので、そういうところが林与らしいのだけども、全体の準備をお手伝いできないことなど考えるとこのままではいかんなあと。

初日のお客様は全体的に少なめな感じで、その分、ゆっくりとお客様とお話がさせていただけた。お客様の途切れた合間には、会社に連絡したり、発送、スワッチの準備をしたりと、あっという間の夕方で、夜の出展者の打ち上げの飲み会を楽しみにしているのだが、今回は、事情あって滋賀県に戻る。

会社に戻ると、やはり、これもまだあれもまだで、まず急ぎの出荷を済ませて。そのあとサンプルを織る。1時間半ほど仮眠して、ストールサンプルを織る。本当なら、横糸の柄をセッティングしてあるので織れないとならないのだけど、カードの正転と逆転の調整が足りずに、手動で目で柄を数えながら一枚、一枚のストールを織りおえる。

ぎりぎりの4時過ぎに織り終え、出発で、車で京都駅に向かう。京都から始発のノゾミで東京。

2015年12月01日
東京出発の準備をしないとならないと思って、ゴールデンラックに並べるものは? アイリッシュリネン140番手の高密度タイプのストールと、ラミーの超細番手のストールをピックアップ。ラミーの超細番手は、昨年、白いタイプをゴールデンラックに置かせてもらったので、今回も同じでは駄目で藍染にしたタイプを並べようと考え、藍染作業に取り掛かる。

午後4時頃から始めて午後5時には染まりあがって、思った以上に綺麗に染まったので至極の思いに浸る。大判のストールなのに超細番手使用なので軽いのだ。140番手のアイリッシュリネンのほうが高く見えるべきなのだが、超細番手ラミーのほうが高級に見えてしまう。