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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2010年2月
リネン日記:27
2010年02月07日
今日は、2月12日がデッドラインのインターテキスタイル北京向けのトレンド素材のフランスへの発送をようやく完了しました。夕方、バタバタと動いて、郵便局に5時半くらいについたのですが、時間外窓口も日曜日は4時までということで、どうしたらよいものかと考え、結局、京都中央郵便局の24時間窓口に持ち込みました。

北京の展示会も、現地の紡績会社や素材メーカーさんが、リネン関連の素材をたくさん並びます。わざわざ日本から行くのですから、差別化できるような商品を、提案していきたいなあと考えています。展示会でも、麻関連のものというのは資材系の流れを汲むメーカーが多いのでダルな色味や表情のものが多く、そのあたりを日本の本場近江の麻織物として光沢感のある涼しげなリネンやラミーで、違いを見せたいなあと思っています。

先染を中心に20種類ほどの布をセレクトしました。落ち着いた控えめのものよりも、大胆な感じの注目されやすそうなものをセレクトしています。前回の上海の時には、秋冬物ということで、あまり素材が出せなかったのですが、今回は春夏ものということで、世界のバイヤーさんたちの目にとまって、林与のブースへの呼び水になってくれればよいなあと思います。

ちなみに、パリまでのEMSでの送料は、800gで2600円です。ビジネスサンプルとしての、サンプル素材を送るためには、インボイスなども必要ですが、郵便局でもらえる簡単なレベルのものです。書類だけならインボイスは不要です。
2010年02月06日
出機さんが2月の終わりころから旅行に行かれるとのことで、それまでに織ってもらうわないといけない仕事があり、急いでもらっています。染めのほうもなんとか、その予定にあわせてもらってぎりぎりあがってきました。

企画も染も加工も織も縫製もすべてですが、急いでやると結局、丁寧な仕事が出来ないので、同じ工程をやっているというもののどうしても急いだときは、急いだなりのものしかできません。時間に追われて布を作っていても時間を掛けていないので愛着が沸かないせいでしょうか、気分的に量産のもの扱いと同じになってしまうのです。

流れ作業で、決まった工程を流すと生産性は上がるのですが、出来上がったものは組み合わせでできるようなものなので、トータルとしてバランスというのが良くないことが多いです。一人の人間がシャツを作ったときに、全体的なバランスがあるのに、流れ作業で作ったものは良い手と悪い手が混在してしまうので、悪いところが目立ってしまうのです。

同様に、布を作るときも林与の布としてのバランスみたいなものを常に注意しています。染、織、加工のどこかが弱いと私が見て駄目に見えてしまうからです。通常、市販されている布というのは同じリネンでもどちらかというと資材向けのリネンに近く、糸、染、加工などアパレル向けのリネンとは別物くらいに違います。染にしても綿やウールの産地の染で染まらないことはないですが、加工にしても最近は似たような加工を他産地でやるようになってきていますが、基本がウールだったり綿だったりすると染にしても加工にしても涼しい感じがしないのです。逆に、リネンの秋冬のものをやろうとするとき、他産地のほうが良いかなあと思うときがあります。他産地の加工のほうが秋冬っぽく上がるのです。

近江産の麻布が麻布の中でも特別に言われるのは、単に近江湖東産地で織るというだけでなく、近江湖東産地で織るからには本場物としての贅沢が詰め込まれているからで、それを詰め込まなければ、わざわざ近江で作っていても意味がないように思います。百貨店には高い洋服がずらっと並んでいますが、その中でも特別なものに見えないと駄目なのです。
2010年02月05日
今日は、社員と一緒にインターテキスタイル北京に出展する素材の準備をしておりました。4テーマあり、基調カラーなどが指定されているので、結局のところ時間がないので、今あるものの中からの提出になります。チェック柄物を中心に20種類くらい出せるかと考えています。

大きな規模の展示会の素材提出というのは、非常に時間が限られていて、相当前から準備しておかないと提出には間に合いません。今の時期、加工工場も染色工場も込んでいるときなので、新しいものを作るには実際に一番難しいときです。

展示会をサイドとしては、今あるものがすぐに出てくるというのが当たり前なのかもしれませんが、今ある素材に色を付けるだけなら、テーマカラーに染めてハイできました、と2週間もあれば出来てしまうのですが、本格的なものづくりとなると、どうしても、糸をそろえるだけで1ヶ月は掛かってしまい、新作をつくるには2ヶ月くらいの間さまざまな作業工程を経ることになります。

林与は、見本も中で作るのを基本にしているのですが、最近は、見本は見本屋さんに頼んで本生産は別のところでやるような流れが多くなってきています。この形だと、本職の方が何もわからずに本生産を担当されるようなかたちなので、技術の継承というのは難しいだろうなあと思います。

世界的に、織物の技術を継承してものづくりをするというスタイルよりも、いかに安く作れるところでものづくりをするかという流れで、日本での生産が中国に流れ、中国でも高いということでベトナムやアフリカに流れるような傾向があります。アイルランドや日本の高級な織物というのは、過去の頂点に達した技術基盤があるがゆえにそれが有利に働くよりは、それをイミテイトしいた安いものに淘汰されてしまう運命にあるのだと思います。

今日も、倉庫で昔のものを眺めていると、今じゃあ作るだけでも大変だなあと思うものがたくさんありました。染の色から深さが違うところにリネンの美しさみたいなものを感じます。今の時代のリネンというのは、色が浅いことが多く、それをどこまで深く染めるかということも、林与にとっては課題です。

深く色を染めると加工工程での色落ちなどの心配が出てきて、ひとつ品質を追求するともう一方でも特別な処理が必要になる、また、検査なども増えるなど、普通に流れないガチガチのものづくりになってしまうのですが、そうやってでもしないと特別なものは作れません。

先日、アパレルの方が見えられて米沢のシルクの染について話しておられました。昔のものというのは、10年以上かけて染めたそうです。何度も染めることで、今でも色あせしないようなものを生み出したので、日本人が織物に掛ける情熱というのは、近江上布のような麻の世界以外でも当たり前にすごいものだったんだなあと思います。
2010年02月04日
今日、また、京都のビブレという若者層の集うファッションのスポットが閉店するというニュースを読みました。これを考えると、お互いに競争しながらも百貨店や繁華街というのもある意味そこであれば売ることが簡単だという産地としての存在だったんだなあと思います。自らが情報を発信して、そこに人を呼び集めることで、地域全体を活性化するという働きがあります。

北アイルランドの織物業界も厳しい状況が続いており、今、アイルランドで残る機屋さんにしても、アイリッシュリネン糸を使うことができなくなり、中国をはじめとする糸を使っている状況で、糸に関しては10年ほど前から特別なものではなくなってきました。特別なものとするためには、織のほうでの伝統が必要ということで、アイリッシュリネンファブリックというのは中国糸をはじめとする糸などを使いながらも伝統的なリネン機屋を守るかたちで、織や加工のほうで立ち上がっておられます。

北アイルランドは、リネン糸の産地としては消えてしまったものの、織物の産地としての生き残りを掛けておられるわけですが、中国やほかの産地で作られるものに淘汰される運命にあるのではないかと思います。日本は偽装問題に関して一番厳しい国なのですがリネンに関しては偽装が蔓延している状況なので、ヨーロッパというのは偽装や品質に関してさらに甘いところがありますので、アジア産ファブリックがヨーロッパの業者の手を経てアイリッシュリネンファブリックとして日本に入ってくるようなことのないようしっかりとした統制をしていただきたいものです。

でも、そのあたりがヨーロッパ企業にとって一番難しいところだと思います。北アイルランドの紡績が無くなった今も、箱にはアイリッシュリネンの文字とマークが付いていて、日本ではアイリッシュリネン糸のであるかのように見せかけて売られているのが現状ですから… 実際には、糸を作っている中国企業にしても自分たちの作っている糸がアイリッシュリネンに化けているのですからびっくりだと思います。

アイリッシュリネン糸やアイリッシュリネンファブリックの現状の説明に関しては、アイリッシュリネンと謳いながらも実際にどこの国で紡績したかも語れず、端折って誤魔化しっぽくなっているのはその辺りです。産地偽装に世界で一番厳しいはずの日本なので、産地というものが強力なセールスポイントとなっているのだと思います。

ここ数年アイリッシュリネン糸を使用と謳ったものが大量に日本で販売されている件は、リネン業界も偽装問題の拡大に驚いています。リネンをネットで販売できる時代にはなったものの、リネンに関する間違った現状の説明を消費者に与えるのはよくないですし、特別のものだと信じて買われた方が気の毒です。
2010年02月03日
今日は、2月3日節分です。節分の思いでは、京都に高校生時代下宿していたときに西のほうを向いて食べた恵方巻きです。下宿のおばあさんが毎年作ってくれました。京都の人というのは大事なものを持っておられるんだなあと節分で豆を撒くしか知らなかった若かった頃の思い出です。

最近は、レトロなものが流行っているのをご存知でしょうか?ステテコや褌で、リネンを肌着に使っていただくケースが多くなってきており、お買い上げいただきましたお客様からも、今回、特別にプロモートしておりますオーガニックリネンで、もっこ褌をつくりましたとご連絡いただきました。リネンで、ペチコートやキャミを作ったりもいたしておりますが、繊細な細番手のリネンで作ると肌触りは格別です。

安く作ろうとすれば海外やほかの産地で作ればよいのだから、日本の麻の本場の産地で作る以上はいろいろな方とのつながりを大事にして品質を考えたものづくりを基本にしていかなければならないと思っております。それは誰かに買っていただくものであっても、自分で手がけるのだから手を抜きたくないというのがあって、ついつい、普通だったら出来ません言えばよいのに諦めることをせずに無理してやってしまうことが多いからものづくりが今も続いているのだと思います。

今日は、昼過ぎに柄組をしました単純なチェック柄でしたので10柄各5配色くらいできました。夕方、たねやさんでお菓子を買って、お友達ご夫婦のところにお礼に行きました。東京のほうでは、ギフトショーが始まったようです。私の展示会もだんだんと近づいてリネンの準備が必要になってきています。北京の展示会も、ジャパンクリエーションのSSも楽しみです。

近江の湖東地方は、私の頭の中では毎年3回雪が降るというのが決まりです。クリスマス、年明け、そして、節分、今日も、太陽が照って暖かいのに、夕方、車で走っていると雪が降りました。もう、これは春の訪れを告げる雪ですね。
2010年02月02日
今日は、彦根で社員研修を行いました。その待ち時間を利用して、2月に行われます、ひこね繊維ものがたりの準備的な打ち合わせを行いました。研修が終わってから、事務局で配布用のポスターを受け取ったので、帰りに愛荘町の役場と商工会さんのほうで、掲示していただけるようお願いにあがり、快く引き受けていただけ、彦根だけでなく近隣市町村の皆さんにも来ていただけるのではないかと思っております。

講師で来ていただくのは、昭和30年代頃の彦根のファンデーション産業の買い手であった村田氏と作り手側の馬場氏、そして、トークアンドトークの講師として、ファブリカ村主催の北川陽子さんで、彦根繊維の磯島理事長とざっくばらんなお話を予定しております。
2010年02月01日
今日、新聞社の方とお話をしていたら京都の四条河原町阪急が閉店となるというニュースを聞きました。高校、大学時代京都に住んでいたので待ち合わせによく使った馴染みが深い場所です。人を集める待ち合わせの場所ですら、売り上げが落ち込んでいるとのことです。

昔、京都の駅前には歩いて5分ほどのところに近鉄百貨店というのがありましたが、京都駅ビル自体に伊勢丹さんがオープンされてからは、近鉄百貨店さんへのお客さんの流れが止まってしまったようで、近鉄百貨店さんも閉じられてしまいました。

百貨店というと普遍的なものかと思いきや、今の時代、スクラップアンドビルトの形で、あっさりと閉店されてしまうような感があります。林与のリネンにしても、最終は、百貨店ブランドの商品として洋服として販売されておりますので、百貨店のバイヤーさんのリネンの品質や産地へのこだわりに対する要求というものが高ければ高いほどありがたく、良い物を求めて百貨店に来られるニーズにこたえられる形になるのではないかと思います。

百貨店さんやブランドさんにとっては、今の時代にありがちな産地偽装問題は致命的な要素ですので、生地の産地やリネンの原産地に関しての適切なアドバイスもできるのが林与の強みです。ブランドさんにしても産地にしても、セールス文句が一人歩きして、間違った方向でセールスしてしまうと訂正も難しいですし、全国的に新聞記事になってしまうようなリコール問題につながるので、しっかりとした産地の説明や表記が必要かと思います。

売り文句を信じて、特別のリネンをわざわざ購入されたと思っているほとんどの消費者が、リネンの誤った産地表記を信じておられるのをみると商品の良し悪しは別にして気の毒に思います。手にされたリネンや製品が実際にどういう経路で作られたものなのか、よいイメージだけを一人歩きさせようとして、今の時代のリネン業界の正しい情報が消費者に伝わっていないのです。

実際のところ、売っておられる方は、そこまでのリネンのことを知っておられない可能性が高いです。ブランドの方もリネンのお話をすると、アイリッシュリネン、フレンチリネン、ベルギーリネンをやってますとか、いわれるケースが多いのですが、私が、それは中国で紡績された糸で珍しいことではありませんよ、リネン業界では当たり前の話をすると、私の話を聞くまでは完全に北アイルランド、フランス、ベルギーで紡績され糸で作られている特別の生地を製品にしていると信じておられたようで驚かれることが多いです。

生地の産地にしても、本場近江湖東産地で織られる麻生地というのは本当に少なくなっており、驚かれることが多いのです。本格的なものを守り続けるということはそれほど難しくなってきているということで、実際に産地でものづくりをしている人間からすると、危ない橋を渡っておられるなあというのが印象です。