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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2012年7月
リネン日記:31
2012年07月11日
今日は、京都のプリント工場さんが、近江上布絣柄のプリントの染料と顔料で試作の仕上がったものを弊社まで持ってきてくださいました。イメージ的には非常に良い感じで、本麻に乗せたものは改良が必要ですが、リネンに乗せたものはそれなりに柄としては良い感じです。

ぼんやりとした感じにプリントするほうが和柄っぽいですが、メリハリをつけて、出したほうが柄のインパクトがあるので良い気もします。オフ白と生成に乗せることで同じ色を乗せても2タイプできますのでよいですね。定番のリネン素材に乗せたものも良い感じで、早速、1反の長さでのテストをお願いしました。

柄を生かす観点からすれば、柄がしっかりと出たほうが斬新な感じで良かろうと思います。このシリーズは、10月のインターテキスタイル上海で、林与のプリントシリーズとして日本の色柄を海外に向けて情報発信していきたいと考えております。

同じ柄でも色味の違いだけで、海外向けのイメージになったり、ワビサビのイメージになったり、カジュアルなイメージになったりと、いろいろな展開の可能性が広がり面白いですね。ネットでの販売も計画をしておりますのでお楽しみにしてください。
2012年07月10日
今日は、県から資料が届いて、しが新事業応援ファンドを事業化したものに対する販路開拓のための助成金の案内でした。チャンスそのものなのですが、不確定な要素がひとつでもあると、卵が先か鶏が先かで、迷うことも多いのです。

私の場合、ヨーロッパの展示会に出展をしたいと考えているのでそれに活用できればと思いますが、もし、応募して、展示会への出展がクオリファイされなければ、助成金のほうの計画が倒れてしまうことになります。チャンスがあるときに同じやるなら、安全な軒並みなことをやるよりも、逆にリスクを伴う難しいことに挑戦をしたいなあと思います。

日本の田舎の農村で、おっさんががんばってるのが、世界的に見ても、案外目新しくていい感じだったりするんじゃあないかとうぬぼれてみる。ほんと個性ってそんなもので、オンリーワンな世界というのは他の影響をあまり受けないほうが作り上げやすいもので、風合いがよいとか悪いとかよりも独自のテイストを守っていること自体が高い評価を受けることも多いものです。それって、結局は作っている人の強さみたいなところにつながっていくもので、それを周りが評価してくださるようになるんじゃあないかと思います。

今は田圃はやっていませんが、林与の家にしましても機元として本業化する前は、麻織物を農業のB面の女性の仕事として何百年もしかすると千年を超えて織りつづけていた家で、それって別に珍しいことでもなく、単なる田舎の農家で、お茶の葉を摘むのも梅干を作るのも織物を作るのも同じ農家の仕事だったところから始まっていますので、そのあたりにいつでも戻れる覚悟があるくらいが良いんじゃあなかろうかと思います。昔の人ができて今の人ができないことが多すぎるのは不思議すぎて、それって、案外メンタリティなところが壁になっているんだと思います。
2012年07月09日
今日は、午後から京都の草木染の染工場さんが起こしになられました。今進行中の案件のほかに、新規に何か取り組みができないものかと考えてはおります。自分の頭の中には作りたいもののイメージがあるので、それが技術的に実現が可能なのかどうかというところをいろいろと聞いてみたりしました。

草木染というのは色味が限られてしまうところがあって、私の頭にあるブルーの色を作りたいに関しては藍染を使わないと難しいようで、グリンというのも藍との掛け合わせ出ないと難しいということ、また強い赤を出すためにはコチニールあるいはログウッドが必要ということで、どうやって自分の思うところの色を草木染で表現するべきなのだろうかと迷うところです。

色の強弱そのものが自然の色の強弱であり、自然の中にはすべてがないということ、また、色によってその入手で気安さが異なるのは、天然繊維の種類ごとに価格がまちまちなのと似ています。たとえば、コンピュータの画面ではほぼ無限の色が手に入りますが、逆にその色には価値がないのと似ています。

草木染とは違いますが、インクジェットプリントなども布にプリントする話を検討するときにいつもインクの高さに驚かされるもので、そこまで高くなっても色を忠実に再現したいという欲望というものは、あきらめてはいけないことの一つなのかもしれません。昔はきっと使うことのできるきれいな色を組み合わせることで、数色の色使いながらも感じの良い色柄というものを生み出していったのが染の世界です。それは、色数が限られる先染織物と似ているかも知れませんし、目を広げれば、100手から200手ほどで常に決まる将棋の世界と似ているかもしれません。

夕方には、海外向けの運送業者さんが起こしになられ、海外向けの荷物を輸送することに関していろいろとお話をいたしました。自分の作りたい布を作ったときに、それは国内のブランドさんがピックアップくださるかもしれないし、海外のブランドさんがピックアップくださるチャンスもあるので、サンプルなどでも手元に届いて確認をしてもらいやすい方法が必要だと思います。発送部分なんて別に後から考えればよいんじゃあないかと思われるかもしれませんが、発送自体も不透明な要素が多い海外の取引では発送のことを煮詰めておくことも非常に重要な仕事の要素だったりします。

夜には、バタバタと出荷を行いました。ナチュラルな仕上げのものなので、巻き上げるだけでも一苦労ですが、それがこの布の表情があって良いところなんじゃあないかと思います。海外からメールが届いてリネン150番手が発送されるとのこと、頼んでからも半年以上待って手に入れることができる糸、本当に楽しみです。一生のうちの何十分の1かを待っても手に入れてものづくりしたい、そんな無駄とも思えることがものをつくる側の世界にあっても良いものです。
2012年07月08日
出張中は、良いものを食べ過ぎて普段の仕事のリズムに戻すには、まず、体を動かさないといけない感じで、倉庫で出荷などの手配を行い、仕事をするモードに戻ってまいりました。

物事を淡々と前に進めていると、時間の経つのもすごく早いのです。時間と競いながら仕事を進めていくのですが、いつも夜中ということも多いものです。出荷といっても、反物を巻いたりするだけでも何時間も掛かるケースも多いものです。

時には、1反の反物を巻くときに何時間も掛けることもあります。それは、糸の斑などが多いと、1本の糸を修正したり差し替えたり、織るよりも時間の掛かることも多いものです。

リネンの場合は、最近はフシが多いのが前提になってきましたので比較的問題がすくないですが、以前は、リネンでも糸がきれいなことが当たり前でしたので逆にそのことが問題を増やしていました。ラミーの糸というのは一般的に糸が均一なので余計に、数箇所のムラが目立ってしまうことも多いものです。
2012年07月07日
昨日は、中国のシャトル織機の動く工場を見学しました。100台以上の同じタイプのシャトル織機が全力で動いている感じです。織っているものもすべてが同じタイプのストライプの柄の綿の平の織物で、横は1色のものです。工場の社長に聞くと、糸がほとんど切れない綿の織物ですので、1台が一日40m織れるということです。回転数も、弊社の2倍くらいはあるかと思います。林与と同じようなヒガエのあるタイプの織機があるのかと探しましたがどれもがヒガエのないタイプの織機でシンプルです。

横糸がなくなるまでほとんどとまることがないので、働いている人も余裕があって暇そうです。分業が進んでいて自分はこれをする人と決まっているようで、古い工場ながらも仕事の流れは日本の大きな工場を連想させるシステムです。

日本国内でも、綿の世界でのヒガエのないシャトル織機はデニムや高密度織物に使われるなど、麻織の世界とはまったく違う世界。中国の工場も徹底的に生産性を追及するので、無地に近いものづくりがほとんどなのだろうなあと思います。聞くところによると、この工場もレピア織機の導入を始めていて、この100台以上稼動しているシャトル織機も数年のうちにはレピア織機に変わっていく計画だそうです。

夜は上海浦東国際空港近くのホテルに泊まって快適に帰国の予定で空港に無事チェックイン、あまり時間がないのでなるべく早く帰国できる朝の早い便にしたところ空港のゲートに着いたらチェックインカウンターも長蛇の列。何とかぎりぎりに搭乗時刻に搭乗口に着いたと思いきや、強烈なディスターバンス。中国東方航空の対応も悪く搭乗口が喧騒な感じ。

飛行機もどちらかといえば、自然の影響を大きく受けるものなので、1日遅れることもあるし、気長に待つしかないと思う。飛行機なんてバスに羽が生えたようなものが飛んでいると考えれば、あまり、せって乗る必要もない。締め付けて縮むほうばかりに行ってしまう、最初からやることすらもが無理であきらめないといけないことも多いもので、多様性のためには、いろいろなレベルのサービスが存在してもよいのかと思う。

日本に帰ってきてからも関西方面では大雨が続いていたようで、線路の土砂が漏れ出して、はるかが運休になっていました。別ルートで帰ることになりまして、結局家に帰ったのは午後7時半です。スケジュールで管理される世界というものは、狂い始めると建て直しが難しいものだなあとつくづく思います。
2012年07月06日
昨日は、上海のヤオハンのレディースフロアで、今の上海の百貨店の動向をウィンドウショッピングしました。6年ほど前にも上海の南京路の百貨店を見学したことがあったのですが、日本の高級有名ブランドさんが非常にベーシックな高級ラインのお店を構えておられそれが他と比べ非常に地味な感じがし、中国で地味なものは売るのは難しいのだなあと感じていたのですが、この6年で中国の店頭のテイストというものは相当変わったようで、原色ではなく、ベージュなどのナチュラルカラーを取り入れたテイストというものが大半をしめ、派手なプリント柄なんかもありますが、指し色的に見える程度です。

お店自体も活気付いており、どのお店もお客さんが二人三人はいる感じで、地価の駐車場なんかも止める場所を見つけるのが難しいほどです。平日のお昼すぎにこれだけ活気があるのですから、週末なんかはいっぱいだろうなあと思います。

お取引のあるブランドさんの店頭で、ブランドさんのつくられるアイテムの形やカラーイメージなんかをしっかりと確認できましたので、それは次の提案に生かせると思っています。レディースのフロアにあるブランドさんの販売価格なども全体的にみると日本の百貨店の店頭よりもかなり高いのではないかと思います。カジュアルな感じのシャツが2万円を超えているのが当たり前など昔の日本の百貨店のイメージです。
2012年07月05日
今日から、また海外出張で7月7日に日本に帰国します。出荷など27日以降になりますが、よろしくお願いいたします。

今回は中国で上海のヤオハン百貨店で、お取引のあるブランドさんのショップなどを見学し、この夏に扱われたものなどのイメージを吸収するなどの予定も入っております。今回、徐福村にも行きたかったのですが、かなり遠いということで断念です。

次回行く予定が、インターテキスタイル上海になっています。インターテキスタイル上海は、10月22日から25日まで、初日はVIPバイヤーのみの入場可能日になっております。

空港に行く途中で、インターテキスタイル上海の航空券も予約をしました。CAやMUなど中国向けの機内持込手荷物が5kgなどとなっているようで、これって、ノートパソコンも持ち込むのがぎりぎりくらいの重さです。展示会なので今回もスーツケースを二つ持ち込むことになりそうで、軽いスーツケースを探そうかなあと考えています。

ハンガーサンプルって結構重いもので、いつも大体200点くらいかと思いますが、いつも何十キロにもなってしまいます。林与のリネンストールはお披露目してからもう4年目になりますが、デザイナーさんやバイヤーの皆さんから常に注目をいただいており、インターテキスタイル上海に向けて新しい柄なんかを作れればよいかなあと思っております。
2012年07月04日
ファッションとアートとは同じような視覚や感性に訴える部分が多いものですが、かなり違う概念だといえます。ファッションは買うことを考えますが、アートは買うことは別問題です。アートは値段がついていなくてもかまわないのです。

昔、映画館で映画をみることが非常に贅沢に思えた時代がありました。ビデオなら何回もみられるのです。でも、それって映画館で映画を見るのとビデオでみるのとでは別物だったりすると思います。

本物の花火を見るのには価値があっても、テレビで花火大会をみたほうがくつろげるのにと思うこともありますが、人というのは頭で吸収したら駄目で体を動かしてこそ、本物の価値を評価できるのだと思います。

今の時代というのは生活が楽になっているので、洋服にしても破れたりするのは稀です。昔は洋服が、居と食の部分を兼ねていたものです。寒ければ暖かい服を着る、でも、今は寒ければ、エアコンとか暖かいものを食べようなり、服をもっと着ようという流れにはなりにくいものです。

本来の服のもつ根本的な価値が見直されるようになったのも原発というものの本性があらわになったからではありますが、家というものは本来通気性が重視されたものですが、今の時代の家というものすら断熱性が高すぎてエアコンなしでは生きていけない構造です。
2012年07月03日
今日は雨がしとしとと降っています。フェイスブックでアメリカの大学院時代の台湾の友達が私を見つけて友達リクエストくれました。カリフォルニアにいたときは、雨が一年に3回ほどしか降らず、降るとなえればスコールです。夏は毎日天気が良いのが当たり前で、雲ひとつない空の下、週末ともなればテニスしていました。

みんなが素人だったので、暑い暑いキャンパスのテニスコートで球拾い運動をしているというイメージが適切かもしれませんが、そういうのもどこどこでおいしいものを食べたとかよりもよい思い出です。カリフォルニアの場合は、蒸し暑さというよりもドライな暑さで、みんながペットボトルを持ち歩いていてあれも文化だなあと思います。

もし、ペットボトルを持ち歩くのを禁止したなら禁止したで、それはカリフォルニアの文化を大きく変えることにつながるかもしれません。ペットボトルを持ち歩くことで外で過ごすことが多くなる。また、授業中でも自由に飲み物を口にする権利があるのもカリフォルニアの特徴でした。飲み物ひとつに対する捕らえ方ですらもが、異なるのが文化の違いです。

日本も昔は梅雨らしい梅雨があったのに最近は梅雨明けすらもいつなのか分からない年が多くなり、こういうのも日本らしさが少しづつなくなっていくことにつながるのかもしれません。今年は原発がとまっているということで節電対策についてアンケートなどが回ってまいりました。

普段から、エアコンを使わない生活をしているので、これ以上頼まれても困るところもあります。電気が止まるというのをインドでは何回か経験をしましたが、それも、考えた対策を個々が考えていくのもひとつの方法ではないかと思います。インドの企業にはジェネレーターが備わっていて、いざというときには自立できることも本当の危機管理ではないかと思うのです。

昔、コンピュータの製造現場で働いていたときには、雷が鳴って瞬間的に電圧が落ちるとそれだけでスクラップが発生するというシビアな対応、そういう業種というのは非常に限られているとは思いますので、個個の対応にゆだね、すべてがそれに対応をしないとならないわけではなかろうかと思います。完璧を求めるがゆえに、逆に大きなリスクを背負うのはインフラのような生活に密着したものではよろしくないと思うのです。
2012年07月02日
生地の収縮率で10%ほども縮むという連絡があって、これはいつもの問題が起こっているのだろうなあと想像を立てました。実際に残っている反物を検査すると収縮はほぼゼロ。はじめから物性重視であることなども考慮にいれて開発しているものなので、やはりいつものテストの問題だと考えています。

生地の検査数値というのは信用できないことが多いものなのです。そのことを知っている人がどれだけアパレル業界の中にいるのかというと、生地を仕上げる加工工場の方ですらも、反物の部位における物性の違いというのをご存じないことが多いのです。

林与ではキッチンクロスなど正方形にしようと、ギアの組み合わせを変えたり、また、横糸の本数の1本2本を調整したりするのですが、加工のやり方で、正方形に仕上がったり長方形に仕上がったり、それも同じ反物の中で、数値にすると10%以上のズレガ生じるようなことが当たり前にあるのです。加工工場の中の人でもそういうことに気がついている人が機械を動かしていると問題ないですが、それに気がついていない人が動かしていると同じ機械でもできあがる布というものは不安定です。

このことは検査機関の方でもご存知がないことが多く、物性が悪いときのアドバイスは、再加工するのではなく、検査を反物の別の場所で取り直すことです。通常、反物の一番数値が悪い始まりの場所を検査に出すので検査の数値に信憑性がないことは当たり前なので、検査に出すときには2mとか3m反物の中の部位から試料を抽出すべきです。わざわざ検査をするのにそういう事実ですらも誰もが知らないで数値に振り回されることが多いものです。

すべての工程を理解していると、どこに問題があるのか分かるのが当たり前のことなのですが、分業の進んだ今日では、そういう当たり前のことも見えなくなってしまうものです。素材や工程をいくら洗いなおしたとしても実際の問題の解決には結びつかないことも多いものです。実際、日本の繊維業界が衰退したのにも、このような基準値をクリアしないといけない問題で、新しいものをつくってもクリアできないことが多いことが原因ではないかと思います。特に、何メートルも余分に作って、その何メートルも中の部分でテストするというようなことをするようなものづくりの余裕がないと全滅してしまうような結果です。

今回の問題でも、余分に反物を作っておいたので、後から手元の反物で実験ができるのですが、ぎりぎりなものづくりだとそういうことすらも難しく。原因の究明すらもが難しいところです。
2012年07月01日
昨晩と今朝、琵琶湖放送の県政週刊プラスワンのの番組の中で、しが応援ファンドの案内が行われ、林与もその中のファンド活用事例のひとつとして取り上げていただきました。林与自身をテレビのなかでみると楽しそうな感じでいいんじゃあないかと…。

しが応援ファンドのよいところは、自分のやりたいことを実現するために小さくも大きくもプロジェクトを組めるところ、林与にとっても林与で見つかったアイリッシュリネンの糸を形にしたいと思っていたときにファンドに出会って、やれたことというのは何倍もに広がりました。

ファンドを3年いただくケースというのも少ないケースだそうですが、3年間という長いスパンで取り組めたことで、プロジェクトの波及効果などもみながらプロジェクトを進行でき、一過性のものに終わらない成果をあげることができ、ファンド終了後もつねにリネンのものづくりでハイエンドなものづくりを目指していけるような形を考えています。

自分自身の力だけではできなかったのか?といわれると、ファンドという事業としてやっていなかったら、ほとんど市場の形成されていないリネンの超細番手の生地を開発することを、林与の取り組む一番のプロジェクトとして前に進むことはできなかったと思います。ファンドを通じて作り上げたものの出来上がりをみて、「やった」といえるようなものであって、今までとは違うリネンの世界が目の前に存在しだしたことは、日ごろのものづくりにも生きてきています。

また、それを県立大学を通じてプロモートしていただき、国内最大規模、また、世界最大規模のテキスタイル展などで発表できる場までもあったことが、単なるものづくりに終わらず。展示会などで来場いただいた方に見ていただいて、林与のものづくりに共感くださった方が非常に多く、そのことで、たくさんのよいお出会いをいただきました。

今日はしとしとと雨の降り続く、梅雨空の一日、日曜日ながらもひとつの納期の仕事のためシャトル織機を動かします。シャトル織機でもヒガエがあるのとヒガエのない無地とでは織るのに要する注意力は雲泥の差、今織っているのは、長さ190cmの大柄、横糸が切れると神経をすり減らします。

目分量で段ができないように織るのは慣れていないと駄目なだけでなく、同じ織機でも台ごとに、段のできやすさなどはまちまちで、人が微調整を掛けてあげる必要があります。シャトル織機の弱点は織り段のできやすさ、シャトルに巻かれた糸の不均一さから起こる段もあれば、織機が止まったことで開口状態で叩いた横糸が少し戻ってしまうために起こる薄段厚段もあります。

今の織機というのはすべてバックすることが可能な機構がついていますので、段はできにくくなっています。簡単な織物なら今の織機で織ったほうが安全に織物が出来上がるのです。同じものを作るのにシャトル織機をわざわざ動かすなんて、無意味に思われるかも知れませんが、ものづくりしているものが職人技に対する評価をなくしてしまえば、終わりじゃあないかと思います。テレビを見ていて、様になっているのも昔のシャトル織機と向かい合っているからじゃあないでしょうか。