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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2012年03月13日
エコであるということがクローズアップされてきたのは、何年も前からですが、ここに来て本格的になったのを感じます。ブランドがエコであることを理由にセレクトされるケースが次々に見られてきました。リネン自体、昔からある環境に優しいカーボンニュートラルでサステイナブルな素材で土に返ることもでき、一方で、非常に丈夫で、長く愛用することができ、夏場には涼しいということで、夏のエコを考えるときに、昔からの自然の夏の涼を求めるスタイルにはぴったりです。

昔ながらの布つくりのスタイルでは、製造工程も非常にエコではあるのです。高品位なものをつくらないといけない時に色の再現性などの面で、ロット管理は非常に重要ではあるのですが、余った糸はロットごとに残しておき柄物などを作るときに上手に割り振って、できるかぎり使い切ることを常に考えています。

リネンや麻の反物だけでなく、糸も非常に丈夫ですので、保管の管理さえしっかりしていれば捨てることはほとんど無く、非常に長持ちするものです。林与の糸の使い方なども普通とは違って、ファーストインファーストアウトではなく、再現性を重視するためにラストインファーストアウトなことも多かったのが昔の糸がたくさん残る幸運な結果になりました。糸であっても価値を詰め込んだもので、贅沢ながらもその中に大事にする精神があってエコではないでしょうか。
2012年03月12日
今日はほんと寒いです。雪もまた降りました。今日は、新しいマス見本を作ろうとジャガードの紋紙を探していました。ジャガード織機の上はジャガードの機械がついているのですがそこが部屋になっていて、紋紙がたぶん400柄分くらいあります。至るところに平置きにしてある感じで、一応は10番ごとに積み重ねてある感じなのですが、これをなんとかしようと、ビニールの袋に1つ1つ入れてみました。

今までは、紙がばらばらとずれて動かすのなど紋紙を傷めないように気を使っていたのですが、大きなビニール袋に入れたことで番号も識別しやすくなり、紋紙を置いている場所以外のところを整理もしやすくなりました。今までは、棚を作って紋紙を整理したらどうだろうかとか考えていたのですが、ビニール袋に入れる方法が正解のような気がします。

来年の春に向けて新しい紋紙もいくつかは作っていこうと考えています。パリに1週間いたときにも手の開いた時間に柄をいくつか考えてみました。自分で自由に柄組ができる電子ジャガードがほしいなあと思うこともあるのですが、紙の紋紙というのもどうしてこんなのがうまく働くのだろうかと思うところが案外織物らしい味のあってよいものです。

ジャガード織機の利点というのは、大きな柄が作れるだけではありません。ジャガード織機とドビー織機を比較すると、ドビー織機というのは案外癖が出やすいものです。平織りなどでも生機の状態でみますと、4枚ドビーの場合は4本、12枚なら12枚ごとに癖が出るのが普通です。この癖というのは織物加工するとたいてい消えるので問題ないことが多いですが、ドビー織機のもつ開口時に掛かるテンションさによる問題のひとつです。

ジャガード織機というのは、1本1本をコントロールしますので1本1本テンションが違ったりして案外その問題がおきにくいのです。ジャガード織機は、ドビー織機よりもいろいろなことができると思われがちですが、ジャガード織機で平織りを織ることはよろしくありません。原理的には平組織の紋紙を作れば織れないことはありませんが、目飛びなどの問題が起こりやすいので、平織りのものはタペットやドビーに掛けて織るのがよいのです。

ジャガード織機のほかの欠点は、織機の規格を変更しにくいということです。1台の織機の縦の本数を変更することが容易ではありませんので、縦の本数ごとに織機が必要となってきます。吊りを変える作業などは大仕事ですので、通常はひとつの織物を織るために吊りを変えるようなことはしないのが普通です。
2012年03月11日
震災の影響などはほとんど無く幸運な立場ですごしながらも、一年というのが本当に長いなあと思えた一年でした。日本の昔ながらの繊維業界の流れで行くと、この一年の状況というものはより厳しくなっているのではないでしょうか。震災と原発の爆発の影響で、間接的な負担が増えて、日本国内での昔ながらの産業の維持というのは余計に難しくなってしまったと思います。

東北地域には繊維関連の産業が多いので、地震が東北地域の繊維産業を苦しめたと思います。荷物が東北まで届かないとかなると、今の1年の仕事ができないだけでなく、次の1年の仕事が他の地域に振り分けられてしまいます。一度振り分けられた仕事というのは戻りにくいものです。

林与も少しはお役に立とうと上島佳代子先生が企画されましたチャリティーセールの素材を提供したり、ギャラリーボックスの売り上げを義捐金として日本赤十字に寄付するなど、微力ながらも自主的な支援を行いました。



2012年03月10日
ある商売を経営されている方が話をしておられました。普段から自分のところで買っている人にしか災害時には売らないというようなことをいわれていて、普段から自分のところで買うことを薦めておられるのですが、普段の商売に、非常災害を利用されているあたり世間から見るとどうなんだろうかと。

昔、同じようなことを糸を自分から買ってほしいばかりにある糸商さんがいわれていました。糸が手に入りにくくなったときに普段から買っていれば手配するということを言われていたのです。でも、実際に普段でも糸の在庫が切れることが多く実際に危機を煽って自分のものを買わせる商売で、逆にいざというときにはございませんで終わりです。

今の時代、国内の商売の規模というものが小さくなりすぎて大手数社が独占で非常時に対応する能力がないのです。大手企業なんかをみると危機管理しているというものの一番そのもろさが伝わってきます。効率化されたラインを作ったりジャストインタイムで部品調達したり、日本製だと信じていたのにいつのまにやら海外での調達で、海外の洪水の影響で品物が入ってこないという話だったりと。

昨年のフランドル地方のリネンの草の作柄というものも相当悪いと聞いておりまして、昨年の原材料を使って作られる今年の糸に関してはかなり心配をしているところではありますが、心配をしても始まらないのです。自分で使ってみてどうなのか判断して、駄目なら自分で探すなりの解決をしていかないと。
2012年03月09日
今日は海外から新しい原材料が到着しました。これを使って新しい商品の開発を考えています。来年に向けてのいくつかあるうちの一つの商品開発の柱になりそうで最終的に商品にならなくても、その途中の工程での経験というものは他の商品開発などにも役立つものと思います。

今日は夜L40番手のビーカーが上がってきました。3色を新たに色出ししたのですが、小ロットで生産をするためにコスト面なども考えて逆に先染にして対応を考えました。小ロットであることが一番のネックで小ロットで高品位なものをつくるというのは非常に高コストです。

4月の後半くらいまではいくつもの案件が並行して動いており手一杯な状態が続きそうです。海外からの2013年の企画のお話もいただき始めました。ここ5年くらいで作り上げた特殊な表情のものを中心に興味をいただいており、今の時代トレンドに沿ったところではないかと思います。プルミエールビジョンの素材傾向などにもそれは出ているように思いました。

生地を高品質に仕上げるためには人の手が欠かせないといえます。昔は日本でもそれができていたのですが、今はそういう作業工程を途中で入れることはなかなか難しいと思います。昔のものづくりでは、すべての工程においてそういう気配りみたいなものがあったのですが、今は、そういう気配りをする余裕すらも企画の段階で他との比較で必然的に排除されてしまうものです。
2012年03月08日
今日電話で注文をいただきましたお客様とお話していると、国産の生地を探しておられて、国内で作った生地を見つけるのが難しいといっておられ、林与にたどり着いてくださったとのことでした。このことは、自分でものづくりを続けている林与自身も自分自身でつくることの難しさを感じているところではありますので、他のところが自分で織っておられると聞くと難しい時代にがんばっておられるなあと思ってしまいます。

今日は、織れないということでそのままになっていた織機の問題の解決を手がけました。結局、筬を反対に通していたとか予想外の初歩的なミスで、こういう失敗をしてしまう人というのはなかなか自分一人で仕事ができるようになるまでには遠いものです。マニュアル的にするなら表とか裏の表示をするべきなのでしょうが、そういうのはプロのものづくりとは遠い世界です。筬なんていうものは裏と表の区別だけでなく、筬羽に問題がないかなど使えるかどうかを判断できないと付けて作業してもやり直しです。

また、筬羽がゆがんでいれば自分自身で直せるなら直してみたりするのも仕事のうちで、筬を傷つけないような丁寧な扱いが原則ですが、筬羽が傷ついたら新しいものをというような考え方では筬を大事に扱うことすらも身につきません。
2012年03月07日
今日は夕方の出荷に向けて反物の検査など行う工程がありました。最後に巻き上げた段階で反物の裏表表示をつけます。通常、平織の反物というのは、両面ほとんど同じ加工工程を通るので見極めをつけることができず、最終の検反面をもって表とすることが、裏表の判断基準だったりします。

厳密には、織物を織っているときの表面が表ということで表示して加工に投入されるので、それを信用すれば巻き上がりというものは常に一定になっているはずなのですが、作業員の勘違いなどで裏と表が混同してしまったときなどには、最終の検反面を表表示するのです。

裏表がよく議論されるのですが、裏表だけでなく、生地には上下左右というものがあります。ハンドメイド皆様ですと、通常のリネンに関しては裏表上下左右を気にしていただく必要がほとんどない場合が多いものです。林与の生地に関しましては両面毛焼など裏と表の差が少ないのできれいに見えるほうを表に使っていただければよろしいかと思います。

生地一般の話になると、片面起毛などの処理が施されている場合、裏表が重要になってきますが、基本、再現性に縛られないハンドメイドですと起毛面を表に使っても裏に使っても自由は自由です。起毛などの場合は、毛羽方向が生じますので上下の問題が出てきますので、統一した方向で生地を使うことは重要だと思います。

実は生地だけでなく、糸にも紡績の方向というものがあるのです。紡績の順方向と逆方向です。特にモールの意図などではそれが顕著だったりして、巻き返しの際に注意をしたりいたします。リネンやラミーの糸の場合も順方向で織機に掛かるとスムーズに織れるという想定ができますが、糸自体が不規則なもので、そこまで厳密にする必要はないというのが経験上の結論です。途中の工程で工夫が必要かとは思います。

強撚の糸を使う際には、糸の順方向、逆方向だけでなく、チーズを扱うときの右巻、左巻も撚り回数を左右するので甘撚のものを扱うときには特に重要です。チーズの巻きも大きいときと小さいときでは、チーズから出てくるときに解撚や追撚が掛かってしまう回数が同じ1mでも違ってきます。そういうのもセンシティブなものづくりをするときには注意しておかないと整経の最初と最後で布のイメージが変わることもありえます。ほとんど気づかないケースが多いですが、布の右側と左側では厳密には糸の撚り回数が違っているのです。縦糸に扁平糸などを使うときには注意しないといけない点かもしれません。

木管なども片側にカラーのペイントが施してあったりして、木管の左右が区別できることで、取り扱うときに同じ方向で糸を扱ってあげることができるようになっています。途中の人がそれを意識できていないと後工程の人が一生懸命やっても駄目で、一貫生産というものは重要だなあと思います。ひとつの工場の中でも作業工程が増え、ものづくりに多くの人が介在すると一貫生産が成り立ちえなくなります。
2012年03月06日
ここ数日、冬の底冷えするような寒さを感じなくなり、ようやく、春のぬくもりに包まれているような毎日に変わってきているのを感じます。本格的な春らしさです。

本当はすずめなんかが飛んでいてもよいはずなのですが、もう、その気配を感じることがないのが日本の自然破壊が進んでいる証拠ではないでしょうか。同じ農業に見えても昔とはまったく違う部分が多くなりすぎて、虫もつかない環境で作り上げられるきれいな野菜。

最近は空中防除というものも行われなくなりましたが、昔は、空から防虫剤をまいていた時代というのもあったので、害虫とされる以外のすべての虫などが絶滅してしまい、食物連鎖も成り立たない環境を作り出してしまいます。

自然の力というのは偉大だなあと思うことがあります。小さな樹脂製の部品を外に1年置いておくとぼろぼろになってしまっているのです。これが自然の力で、生命を育む一方で、生命の宿っていないものを朽ちさせ自然に戻す力を持っているのです。
2012年03月04日
今日は、朝から仕事をしていたのですが隣組の宿(宿といっても寝泊りするわけではなく懇談と食事会の場です)というのが当たっていて、3時半からは懇談会、5時から出荷に動いて6時半からは食事でした。食事の時にも村らしい話が出ていました。昔からの講と呼ばれる社もある活動の話がでるのですが、昔の人というのは何か事業をするためにみんなで集まって土地を買ったりしたようで、村の中にもいろいろな名前の講が存在していますが、今は年に一度食事をするような会になっています。

もともとどういういきさつで始まったのかというのもわからない部分もあったりするのですが、今の人はみんな逆に抜けたい人も多いとは思うものの、話を聞いていると昔はそういうのに所属することが村の中のつながりを広げる上でも大事だったようです。昔は、頼んで入れてもらったような組織が今は人集めに苦労しているというのは良く聞く話です。

隣組も7件が集まっても私が一番若いくらいなのですが、次の世代の人がこういうのに馴染んで行けるのかということは、自然に考えると難しいことだろうなあというのは、15年ほど昔でもというより、30年ほど昔の中学生のころから感じていたことです。神社の祭り行事なども人を集めるのが難しいというのも、全国的な問題ではあるかと思いますが、そのときに必要があってできた行事がどこかで引き継げなくなっていくというのは普通のことなのではないかと思います。

やる気がないならやらなければ良いだけで、それを無理やり続けようとすると本来の良い精神すらもがゆがんでしまうことも多いものです。そういうのを楽にできる時代もあって、一方でそういうのを楽にできない時代が来るのもその反動であったりするところで、状況を見極めて小さく長く続けていくような形を模索するのが大事ではないかと感じます。
2012年03月03日
今日は午前中に染色の打ち合わせを2回行って4月の生産に備えます。予定をしているご注文を予定通りに入れていただいた形で、全体的な4月末くらいまでの生産のスケジュールはほとんど埋まってしまった感じです。4月の中過ぎからは、来年の春夏に向けての見本つくりを本格的に行います。

今年どんなものを作るかというのは、半分くらいは頭の中にありますが、まだ未定なものも多いのですが、リネン100%で、10くらいの新しい取り組みをベースに色柄を含めて何十かの新しいハンガー見本を生み出すことになります。トータルな見た目の仕上がりの違いやエレガントさみたいなものがでればと思っています。

ものづくりというのは技術や技法的な部分が大事に思われるかもしれませんが、その部分というのは基本といえば基本で、大事なのは感性やテイストをしっかりもっているかだと思います。感性やテイストがあるから技術や技法的なものが必要になってくるのだと思います。

たとえば、織機を触りながらのさじ加減が必要だとは思います。色を打ってみて良い感じ悪い感じ、キバタを触ってもうちょっと厚くしようとか薄くしようとか、糸を触っても今回の糸は良いなあとか悪いなあとか、自分が一番良いなあと思うスタイルを積み重ねていくこと大事で、そうやって作り上げたものは、後から見ても他にはない自分らしい良いものに見えることが多いものです。

林与の場合は、オリジナルな生地をつくるという要素を持っていますので珍しいケースではあります。賃機屋さんと呼ばれるところは規格や材料を与えられてそれを織るのが仕事で、同じ機屋であってもものづくりのスタイルというものはまったく違います。ジャストインタイムな時代になり賃端屋さんや下請けか工業の方が廃業されていくケースが増え、インスタントでできるものづくりだけが生き残る時代ではあります。

先日も、全国チェーンの飲食店に行きますと、レトルトパックを電子レンジで加熱して器にもるという調理方法、生温いチゲ鍋だったので、もっと熱くしてほしいというと、電子レンジで再加熱、お熱いので注意してくださいといわれるものの、鍋すら30度もないほどまだまだ生ぬるい。迷うのは再度加熱してほしいと頼むかどうか。大手らしい素人でも電子レンジ一つで同じ味を作れる世界なのが空しいところです。
2012年03月02日
今日は、レピア織機の調整を新しい方に教えました。会社が人を増やすということは働く人が必要だからなのですが、人が増えると教える負担が増えるので余計に思い通りに物事が進まなくなるものです。でも、会社もそれを乗り越えることが大事で、その意味を教えてもらっている新しい人も理解しながら前向きに物事を吸収して早く一人前にならないと、というところです。

今、繊維業界では新たな人を育てることが難しくなっているのを感じます。新しい人を位置から育てることを考える以上に、世界で一番安く作れる場所を探したほうが手っ取り早いのです。日本の繊維産業の本質的な衰退の原因はそこにあるのだろうと思います。

新しい人を育てるためには失敗という要素が必要です。今の時代は失敗を嫌いますので、人が育たないといえるのです。一回の失敗というのは10回の仕事で取り返さないとならないことが多いもので、これは、完全に失敗といえなくても、ものづくりのセンスがなく売れないものを作ってしまった場合には、いくら仕事を正しくしていても基本失敗と同じ扱いで、10倍の仕事をしてその失敗をカバーする気持ちがないと駄目なのです。

私が仕事を始めたときに、サンプルをつくると「糸がもったいない」といわれました。がんばっていても挫かれるものですが、結果が伴わなければ当たり前のことです。今見ても結構面白いものが多いのですが、自分はそれなりに売れるものをつくるつもりが、なかなか簡単には売れるものがつくれません。そこで甘くされていても、負けていても駄目で、その失敗分をカバーするだけの通常の仕事を何倍もこなすことで取り戻せばよいのです。

毎日何倍かの仕事をこなせば一つの失敗分くらいは1週間で取り戻せますし、毎日何倍かの経験をすれば、たとえ数年であったとしても一生仕事を普通にした人以上のものが見えてきます。
2012年03月01日
今日は朝、出機さんから電話をいただいて、織機の修理で手を挟んでということでした。織機というのは本当に気をつけて動かさないと一回の失敗が取り返しのつかないことになります。

これは別のケースになりますが、特に危ないのが通常の仕事で1台の機械を二人で動かすことで、一人が糸切れを直して一人が動かすといのが一番危ないのです。初心者の人がやりがちなミスでそうやって仕事をすると楽しいのですが、一番危ないので、機械というのは一人で動かすのが原則です。

昔ながらの機織が危険かというと、今の織物は織機が大型化、高速化してより危険だったりします。不織布などの場合機械が爆発したなくなられたとかというような怖い話も聞くので、大手の工場さんの事故は原発もそうですが人が何人か亡くなっていても行政すらも普通に立ち入れないことも多いものです。

全自動化された工場ほど人の亡くなる確立は高くなってしまうのは当然のことです。JR西の脱線事故でも、技術者が130kmで安全に曲がれると言い切っていたのには驚きのことで、130kmであのカーブに突入したら脱線することすら考えないトップ、しかもATSがあれば大丈夫ということ自体、責任逃れで、大惨事は原発のように起こります。人の命をなくしておいて置石のせいにしたりと雪印以上のいい加減さ、国も絡んだ話なので命が軽んじられるのは解決法にしてもATSの設置に逃げて一般の国民からすれば心外なことだと思います。

原発の事故現場の収拾にしても安全だといわれて多くの日雇いの労働者が投入されていますが、国の絡んだ人命に関わる問題ですので、危ないなら危ないとしっかりと告知して人を集めていただきたいと思います。メルトダウンにしても、国、東電、さらには保安院で隠していたといわれて当然の失態、原発爆発直後の数値の異常なども隠され、メルトダウンしていないといっていたこと、人命すらも責任逃れのために軽んじられるのでは、チェルノブイリ以下の悪質な情報隠しだといわれても当然のことかと思います。

国が人の命の責任逃れの手本を出してしまっては駄目なのは、国や行政の絡んだ1企業のために国の人の命や健康に関する安全基準が10倍以上も変更されるというような恥ずかしいことで、普段きびしく指導している担当の責任逃れのために世界で一番安全基準のゆるい国であることを証明してしまったようなものです。

東電に勤めておられる方の身内の方からの又聞きではありますが、今回の東電の事故で、一流企業に勤めたはずの自分の人生が台無しになったというような信じられない言葉も飛び出していて、自分の会社が、たくさんの方に迷惑を掛けている被災者を思う気持ちすらないのも感じます。
2012年02月29日
4年に1回の2月29日、納期に追われているので本当に一日長いだけで助かります。よく言われるのが、唯一、人間に与えられた時間というのが誰に対しても不平等がないといわれますが、時間すらも平等には与えられていないのです。人の時間を使ってしまうタイプの人と、人に自分の時間を割いてあげることのできる人とでは大きいです。それは力の差なのかもしれませんがその差は大きいなあと思います。

世代間でも同じことが言えると思います。戦前の日本の人は自分の時間を国に使うことが多かったですが、戦争が終わった後のすぐの世代というのは法律の縛りも少なくかなり自由な発想が社会的にも許された世代です。ものづくり企業が伸びたのもその影響は大きいと思います。

特に時間の面で、競争力のあるものを作ろうとすれば、今の時代の人はよほど能力と才能がなければ、他の国と比較したときに良いものを作れるということはありません。このことはすごく大事な要素です。競争が国内にあるのは、サービス産業や半貿易自由財です。貿易自由財に関しては競争は国際的ですので、国内での生産をやめて、海外に出てものづくりをされるところが多いのもうなずけるところです。国内や産地に残るからには国内や産地で残ってものを作っていることを差別化の要素としてしっかりと謳うようにしていかないと単なる価格競争に直面して負けてしまいます。

語りの面においては、品質よりも本物性や希少性のほうが大事であると思います。工業品と工芸品の差のように、工業品は一つ一つが同じでないといけないとされます。工芸品は一つ一つが微妙に違ってそこに味があるのです。実は、品質の良いものをたくさん作れば儲かるかというと、取れすぎた年のお米や秋刀魚のようでおいしくても価値はなくなります。同じ顔をしたものがたくさんあるというのはそのものの価値すらも消してしまうことになります。たとえばテンセルなんかがそうで、今は昔の価値の10分の1です。同じ1日でありながらも2月29日は、語れる希少な一日で、価値が何倍もある気がいたします。
2012年02月28日
今日は、昔の得意先の方が先代の仏前にご供養にお越しくださいました。先代と同じくらいのお年の方で、若いときから一緒に日本のアパレルの麻の世界でプロモートされてきた方です。たぶん、私がまだ小学生か中学生くらいのころでしょうね、島田順子さんが弊社にリネンの企画に来てくださり、地元では有名なとり信の鳥料理を食べ喜んでくださった話なども出て、昔の繊維業界の良い時代の話に花が咲きます。

そのほかいろいろと人生経験から導かれた経営哲学的なお話もいただきまして、引退された後もその方にはたくさんのご友人がおられ、お仕事のお付き合いが終わっても林与の先代や、林与のことを大事に思ってくださっていることに感謝をいたします。

今もその当時のブランドのサンプルなど残っているのですが、今みても再現が難しいほどの良いものを扱っておられ、そういうものを世界に向けて発信しておられたのが、また、再現できれば良いのになあと思うところです。

ものづくりの壁を越えていかないとよいものは作れないとおもいながらも、なかなか良い材料というのはお話があっても手に入ることが難しいことも多いのです。今もリネンの細番手の糸は何ヶ月も待った状態だったり、そういう、ほしくても使いたくても手に入りにくいようなものがあるということが、ものづくりを大事にしたり、ものづくりのなかで人間関係を大事にしたりするようなつながりになっていくのだと思います。
2012年02月26日
今日は日曜日なので静かです。日曜日は休むというよりも、静かなので仕事に集中できるのです。作業に集中でき、ゆったりとした気持ちで仕事ができるのがありがたいです。遅れている仕事だけをすることができるのも日曜日の特徴です。

お昼ごはんは、3時頃に、全国チェーン展開している感じの大衆食堂に食べに行きまして秋刀魚とご飯の大を食べました。冷凍ものだとは思いますが、おばちゃんが、新たに秋刀魚を焼いてくれて暖かな作りたての状態で食べられたのが満足でした。私にとって秋刀魚の味の良いところは、少し苦味のある白身を食べるときにそこにしょうゆが絡むと絶妙な味でご飯が進みます。なぜか、この秋刀魚だけが自分の中でヒットで、もう2度、3度食べに行きたくなる味でした。

チェーン展開しているレストランなんかは、大体がレトルトものを電子レンジで暖めるだけという、わざわざ食べに行かなくても、レトルト食品を家で食べればよいようなものですが、秋刀魚という魚の形そのままが焼かれているというのは、なにも引かない何も足さないような本物に近い味ですし、あの苦味があることが味にファジーさを感じさせ、次に食べに行ってもきっと飽きないだろうなあと思うのです。

機械とにらめっこしすぎていると答えが見つからないときがあります。これは数学の証明問題の解法が見つからないのと同じ感じで、粘る必要があるのです。一つの問題で、1回あきらめると、次に同じ問題に遭遇してもあきらめてしまうので、最初の1回目に徹底的に取り組み、できる限りあらゆる可能性を考えてみることが大事で、そこから自分の知らなかった新たな発見が生まれてきたりもいたします。学生がテストで問題を解くのと違って、1時間でも2時間でも考えられる余裕があるのは社会人の仕事の良いところです。
2012年02月25日
今朝、荷物が届きました。今日は、テキスタイルツリーのテキスタイル用語辞典の発売日。素材好きの成田典子編集長が何年もの歳月を掛けてできあがった、業界としては久々の充実した内容の辞典の登場です。実は、15年ほど前に私が繊維業界に入ったときに一番頼りにしていた厚手の用語辞典も若かりし頃の成田さんが編集されていて、ジャパンクリエーションでのお出会いではその辞典を編集された方だということでびっくりをしたものです。

今回の辞典、素材に関する情報が満載です。しかも、カラー写真がたくさんなので見ていて直感的に用語の意味が分かります。私自身、麻織物に特殊化していますので他の素材に関してはあまり知らないことも多いのですが、辞典をめくると繊維業界って改めて広いなあと思います。おしゃれな感じで、学生やホビーの方に楽しく読んでもらえるような内容になっておりますが、プロの方でも十分に広い知識を得るのに役立つ辞典です。業界の人なら商談をしていて作りたいもののイメージが言葉で伝わりにくいときに、この辞典を使うと商談がスムーズに進むことも多いのではないでしょうか。

林与のサイトでは、特別企画としまして本日の発売日から5月末日まで、1回のご注文で、15000円以上お買い上げの方には、このテキスタイル用語辞典を1冊プレゼントいたします。もちろん、辞典の情報にご興味のあられます方は、テキスタイルツリーのサイトで詳しい情報が載っており、また販売もされておられますので一度チェックしてみてくださいね。
2012年02月24日
今日は、3月中旬から林与で新しく働き始められる方が住むところ探しにこられました。田舎というのは逆にチョイスが少なくて賃貸物件も割高のようで、住むところを探すのも一苦労なのが田舎の生活です。車がないと生活が難しいというのも田舎の生活の特徴です。電車の待ち時間や都市に何時間も掛けて通勤することを考えると一日のロスというものはさほど大きくはないと思います。

夕方頃、この3月に長年勤めていてくださった麻組合の事務員さんがご退職されるということをお聞きしておりましたので組合にご挨拶に伺いました。同時に展示してあるものを見学もさせていただいて、麻組合では、アマチュアのクリエーターの人の力を活用していろいろなものづくりに励まれているということで、地元にハンドメイドのクリエーターの方たちが増えているのだなあと思いました。

夜は、機を載せ変えてしてもらったのですがうまく動かないということで、原因の究明です。レピアの頭同士がぶつかる現象でこれは普通ではなく、レピアの調子云々ではなく根本的に何か大きな間違いがあるので間違い探しです。気がついたのが筬前とレピアのライナーの間が異常に広く思えること。厚さ調節のための筬を押さえる金具を筬の後ろに当てないといけないのに、筬の前に押さえの金具が来ていました。筬を外して金具の位置を調整して問題が解決しました。

不思議なもので織機というのはいつも同じ調子かと思えば、すべてがうまく動かないと正しくは織れないので、なにか調子が悪いときに調節したことが本当の原因でなくそれがまた原因となって本当の良い調子にたどり着くのが難しいことが多いのです。

糸が端から端までしっかりと入っていなかったので、レピアバンドの受け渡しの位置の調整を行い。レピアオープナーという部品の形を三ダーで調節したり、部品があればそれでよいというのではなく、部品の形が気に入らなければ、部品自体を自分で加工して作るという作業が必要になってきます。実際にこういうのはやって自分の作業が通用するのかしないのか確かめて、考えたとおりにうまく織れればそれでよしなのです。また、糸切れが多かったので、糸に負荷が掛かりすぎるということで、筬が叩くときのドビーの開口の度合いも少し少なめに調節しました。誰も触っていないのに開口のタイミングがずれるというのもおかしなことですがそれには考えられる要因というものはあるものです。

今日はまた、以前、機械の修理の際にレピアヘッドがつぶれて壊れたので代わりのレピアヘッドをいただいたのですが、それがねじがつぶれていて調節ができないので、最初の壊れたレピアヘッドの再生を行いました。できないと思っていてもバイアスでしっかりと固定しながら丁寧にハンマーで叩いて形を整えるとそこそこもとの形に戻って、これならいけると思うところまで調整ができたら大抵普通に使えるように戻っています。これも、普通どういう形をしているものなのかというのさえしっかり頭にあると、そのイメージに持っていけばよいだけなのでそれが経験なのだと思います。

それをするための周辺の道具なんかも部品以上に大事です。ドライバーやレンチなんかも、合う大きさのものや厚さのものがなければ、サンダーで削って合う大きさに調節して使います。失敗してもそれはそれで経験、失敗しないようにマニュアルで作業手順を教えるというのもできない人を増やす教育の一つの方法で、失敗を自分の責任で積み重ねていくことがなかなか経験することのできない経験で、面倒でもうまく織れるようになったときの感動やものを作っている実感があって、いいんじゃあないかと思います。
2012年02月23日
今日は、何度か出機さんに行って後何枚織らないといけないかなどの確認と必要な糸の確認を行いました。今の時代のペースと昔のペースでは3倍くらいの開きがあるかと思います。今日も昼から別の案件でお電話をいただきましたが仕事があっても職人さんの技の生きるものづくりをしようとすると今の時代のペースで仕事をこなすということが容易ではないことを実感いたします。

工場の中では別の件で1台急ぎの分の台を増やして対応することにしたので、朝から22羽の筬の有無の確認を行い、機があったので機の載せ替えを行うことにしました。ラミーの糸が糊付からあがってきたのですが、今回のロットは巻き返しが難しく、糸が抜けるように切れるので前回のロットのように織れるのかどうかが不安なところです。月末納期のものが詰まってきており追われるような状況になってきてはおります。

工場の中も一度生産が落ち着いたら糸などを整理しないとと思っております。生産をしていると糸がどんどんと貯まってきてロットごとの区別が必要となってきます。色をたくさん使えば使うほどその糸の管理は無限に広がってしまうので、必要量しか染めないという手法になっていくのでしょうが、その分、生産面がタイトになるので人員的な要素がよりたくさん必要となってしまいます。

先日はある問屋さんから新規の商品のお話でウールと交織のお話があったのですが、ウールでバリエーションを広げるとその糸の手配というものがその都度になるので、使い切るということをしないと勿体のない話です。ウールでも強い薬が掛けてあったり、防虫加工をほどこしたものは持ちますが、本来のウールというのは虫が食べ糸が弱くなるのが本来の習性で、そのあたりを作るものが分かっていないと後々大きな問題が出てきます。
2012年02月22日
今日は、午前中は新しく会社に来ていただく親戚の方の仕事始めでした。織物の仕事というのは根仕事と言われるので、どれほど根気強く取り組めるかが一つのポイントです。1ヶ月もすると仕事に慣れてそれが当たり前になるのですが、最初の1ヶ月でどこまで自分で自分を磨くかという姿勢を身に着けないと後の成長というものは遅いものです。この最初の1ヶ月を乗り越えてもらいたいなあと思います。

今の時期というのは結構忙しい時期ですので、仕事をスタートするのには悪いときではありません。机の上でじっくりと覚えてよりも、現場で体で覚えるほうが何倍も価値があって、実際の仕事というのも現場での問題の解決がほとんどで知識ではなく経験値がものを言い、答えが分かったとしても実際にその問題を解決するための手段を持っているのか持っていないのかが大事です。

私自身が仕事を始めてした日のことを思い出しました。工場の中で、糸を機結びに結ぶことすらもが苦痛で、それを一日に何百回もしないといけないので、その度に結び目の感じが違ったりするので、自分自身でも気持ちが悪かったのを覚えています。

できるだけ結び目を小さくしようと糸を短くカットすると結び目が解けると文句をいわれたり、縦糸が一本切れていると出てこないと文句をいわれたり、織れない織れないと文句をいわれたりするのですが、何百本もの麻糸をコントロールするのはたやすいことではありません。しかしながら、感覚というものが非常に大事な整経という作業をとことんやっておいたおかげで、織機に依存する度合いの大きい機を織る基本的な作業というのは部分的な簡単な作業に思えました。

綿の整経とリネンの整経とラミーの整経では、難易度がかなり違います。ラミーが一番難しいのですが、特にこんにゃくの糸を整経するのは糸がつるつる滑って後ろに落ちたりして大変です。リネンなんかはそれほど整経は難しくありません。一番整経で、難しいのは、強撚Z撚りの糸と、S撚りの双糸を交互に並べた整経などで、これは、隣の糸がくっつき合って大変なことが多いものです。また、織機で繋いだ後、送るときに撚りが戻るという現象が起こり、送るのが非常に難しいのが普通です。

夕方には、町の方と組合の方がお見えくださりまして一つのご提案をいただきました。それほど難しいことではありませんので、近々実現するような形に向かっていくものと思います。麻の本場近江湖東産地のイメージのPRのお役立てればと思います。いろいろな皆さんが地場産業である麻織物を盛り上げようと動いておられるのも感じます。
2012年02月19日
留守中は、会社は留守番の者たちが動かしていてくれたのですが、1週間ぶりの仕事ですので現状を把握するので精一杯な感じです。糸の番号など行く前はいろいろと覚えていたのですが、1週間違うことばっかりを考えていると細かいことを忘れてしまって再度確認が必要となっています。

パリ滞在中にお受けしましたネットでのご注文分に関しましては、明日にはご発送を完了できるよう、在庫確認など行いました。お待たせしましたが、ネットも再開しますので、よろしくお願いいたします。
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