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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2012年07月10日
今日は、県から資料が届いて、しが新事業応援ファンドを事業化したものに対する販路開拓のための助成金の案内でした。チャンスそのものなのですが、不確定な要素がひとつでもあると、卵が先か鶏が先かで、迷うことも多いのです。

私の場合、ヨーロッパの展示会に出展をしたいと考えているのでそれに活用できればと思いますが、もし、応募して、展示会への出展がクオリファイされなければ、助成金のほうの計画が倒れてしまうことになります。チャンスがあるときに同じやるなら、安全な軒並みなことをやるよりも、逆にリスクを伴う難しいことに挑戦をしたいなあと思います。

日本の田舎の農村で、おっさんががんばってるのが、世界的に見ても、案外目新しくていい感じだったりするんじゃあないかとうぬぼれてみる。ほんと個性ってそんなもので、オンリーワンな世界というのは他の影響をあまり受けないほうが作り上げやすいもので、風合いがよいとか悪いとかよりも独自のテイストを守っていること自体が高い評価を受けることも多いものです。それって、結局は作っている人の強さみたいなところにつながっていくもので、それを周りが評価してくださるようになるんじゃあないかと思います。

今は田圃はやっていませんが、林与の家にしましても機元として本業化する前は、麻織物を農業のB面の女性の仕事として何百年もしかすると千年を超えて織りつづけていた家で、それって別に珍しいことでもなく、単なる田舎の農家で、お茶の葉を摘むのも梅干を作るのも織物を作るのも同じ農家の仕事だったところから始まっていますので、そのあたりにいつでも戻れる覚悟があるくらいが良いんじゃあなかろうかと思います。昔の人ができて今の人ができないことが多すぎるのは不思議すぎて、それって、案外メンタリティなところが壁になっているんだと思います。
2012年07月09日
今日は、午後から京都の草木染の染工場さんが起こしになられました。今進行中の案件のほかに、新規に何か取り組みができないものかと考えてはおります。自分の頭の中には作りたいもののイメージがあるので、それが技術的に実現が可能なのかどうかというところをいろいろと聞いてみたりしました。

草木染というのは色味が限られてしまうところがあって、私の頭にあるブルーの色を作りたいに関しては藍染を使わないと難しいようで、グリンというのも藍との掛け合わせ出ないと難しいということ、また強い赤を出すためにはコチニールあるいはログウッドが必要ということで、どうやって自分の思うところの色を草木染で表現するべきなのだろうかと迷うところです。

色の強弱そのものが自然の色の強弱であり、自然の中にはすべてがないということ、また、色によってその入手で気安さが異なるのは、天然繊維の種類ごとに価格がまちまちなのと似ています。たとえば、コンピュータの画面ではほぼ無限の色が手に入りますが、逆にその色には価値がないのと似ています。

草木染とは違いますが、インクジェットプリントなども布にプリントする話を検討するときにいつもインクの高さに驚かされるもので、そこまで高くなっても色を忠実に再現したいという欲望というものは、あきらめてはいけないことの一つなのかもしれません。昔はきっと使うことのできるきれいな色を組み合わせることで、数色の色使いながらも感じの良い色柄というものを生み出していったのが染の世界です。それは、色数が限られる先染織物と似ているかも知れませんし、目を広げれば、100手から200手ほどで常に決まる将棋の世界と似ているかもしれません。

夕方には、海外向けの運送業者さんが起こしになられ、海外向けの荷物を輸送することに関していろいろとお話をいたしました。自分の作りたい布を作ったときに、それは国内のブランドさんがピックアップくださるかもしれないし、海外のブランドさんがピックアップくださるチャンスもあるので、サンプルなどでも手元に届いて確認をしてもらいやすい方法が必要だと思います。発送部分なんて別に後から考えればよいんじゃあないかと思われるかもしれませんが、発送自体も不透明な要素が多い海外の取引では発送のことを煮詰めておくことも非常に重要な仕事の要素だったりします。

夜には、バタバタと出荷を行いました。ナチュラルな仕上げのものなので、巻き上げるだけでも一苦労ですが、それがこの布の表情があって良いところなんじゃあないかと思います。海外からメールが届いてリネン150番手が発送されるとのこと、頼んでからも半年以上待って手に入れることができる糸、本当に楽しみです。一生のうちの何十分の1かを待っても手に入れてものづくりしたい、そんな無駄とも思えることがものをつくる側の世界にあっても良いものです。
2012年07月08日
出張中は、良いものを食べ過ぎて普段の仕事のリズムに戻すには、まず、体を動かさないといけない感じで、倉庫で出荷などの手配を行い、仕事をするモードに戻ってまいりました。

物事を淡々と前に進めていると、時間の経つのもすごく早いのです。時間と競いながら仕事を進めていくのですが、いつも夜中ということも多いものです。出荷といっても、反物を巻いたりするだけでも何時間も掛かるケースも多いものです。

時には、1反の反物を巻くときに何時間も掛けることもあります。それは、糸の斑などが多いと、1本の糸を修正したり差し替えたり、織るよりも時間の掛かることも多いものです。

リネンの場合は、最近はフシが多いのが前提になってきましたので比較的問題がすくないですが、以前は、リネンでも糸がきれいなことが当たり前でしたので逆にそのことが問題を増やしていました。ラミーの糸というのは一般的に糸が均一なので余計に、数箇所のムラが目立ってしまうことも多いものです。
2012年07月07日
昨日は、中国のシャトル織機の動く工場を見学しました。100台以上の同じタイプのシャトル織機が全力で動いている感じです。織っているものもすべてが同じタイプのストライプの柄の綿の平の織物で、横は1色のものです。工場の社長に聞くと、糸がほとんど切れない綿の織物ですので、1台が一日40m織れるということです。回転数も、弊社の2倍くらいはあるかと思います。林与と同じようなヒガエのあるタイプの織機があるのかと探しましたがどれもがヒガエのないタイプの織機でシンプルです。

横糸がなくなるまでほとんどとまることがないので、働いている人も余裕があって暇そうです。分業が進んでいて自分はこれをする人と決まっているようで、古い工場ながらも仕事の流れは日本の大きな工場を連想させるシステムです。

日本国内でも、綿の世界でのヒガエのないシャトル織機はデニムや高密度織物に使われるなど、麻織の世界とはまったく違う世界。中国の工場も徹底的に生産性を追及するので、無地に近いものづくりがほとんどなのだろうなあと思います。聞くところによると、この工場もレピア織機の導入を始めていて、この100台以上稼動しているシャトル織機も数年のうちにはレピア織機に変わっていく計画だそうです。

夜は上海浦東国際空港近くのホテルに泊まって快適に帰国の予定で空港に無事チェックイン、あまり時間がないのでなるべく早く帰国できる朝の早い便にしたところ空港のゲートに着いたらチェックインカウンターも長蛇の列。何とかぎりぎりに搭乗時刻に搭乗口に着いたと思いきや、強烈なディスターバンス。中国東方航空の対応も悪く搭乗口が喧騒な感じ。

飛行機もどちらかといえば、自然の影響を大きく受けるものなので、1日遅れることもあるし、気長に待つしかないと思う。飛行機なんてバスに羽が生えたようなものが飛んでいると考えれば、あまり、せって乗る必要もない。締め付けて縮むほうばかりに行ってしまう、最初からやることすらもが無理であきらめないといけないことも多いもので、多様性のためには、いろいろなレベルのサービスが存在してもよいのかと思う。

日本に帰ってきてからも関西方面では大雨が続いていたようで、線路の土砂が漏れ出して、はるかが運休になっていました。別ルートで帰ることになりまして、結局家に帰ったのは午後7時半です。スケジュールで管理される世界というものは、狂い始めると建て直しが難しいものだなあとつくづく思います。
2012年07月06日
昨日は、上海のヤオハンのレディースフロアで、今の上海の百貨店の動向をウィンドウショッピングしました。6年ほど前にも上海の南京路の百貨店を見学したことがあったのですが、日本の高級有名ブランドさんが非常にベーシックな高級ラインのお店を構えておられそれが他と比べ非常に地味な感じがし、中国で地味なものは売るのは難しいのだなあと感じていたのですが、この6年で中国の店頭のテイストというものは相当変わったようで、原色ではなく、ベージュなどのナチュラルカラーを取り入れたテイストというものが大半をしめ、派手なプリント柄なんかもありますが、指し色的に見える程度です。

お店自体も活気付いており、どのお店もお客さんが二人三人はいる感じで、地価の駐車場なんかも止める場所を見つけるのが難しいほどです。平日のお昼すぎにこれだけ活気があるのですから、週末なんかはいっぱいだろうなあと思います。

お取引のあるブランドさんの店頭で、ブランドさんのつくられるアイテムの形やカラーイメージなんかをしっかりと確認できましたので、それは次の提案に生かせると思っています。レディースのフロアにあるブランドさんの販売価格なども全体的にみると日本の百貨店の店頭よりもかなり高いのではないかと思います。カジュアルな感じのシャツが2万円を超えているのが当たり前など昔の日本の百貨店のイメージです。
2012年07月05日
今日から、また海外出張で7月7日に日本に帰国します。出荷など27日以降になりますが、よろしくお願いいたします。

今回は中国で上海のヤオハン百貨店で、お取引のあるブランドさんのショップなどを見学し、この夏に扱われたものなどのイメージを吸収するなどの予定も入っております。今回、徐福村にも行きたかったのですが、かなり遠いということで断念です。

次回行く予定が、インターテキスタイル上海になっています。インターテキスタイル上海は、10月22日から25日まで、初日はVIPバイヤーのみの入場可能日になっております。

空港に行く途中で、インターテキスタイル上海の航空券も予約をしました。CAやMUなど中国向けの機内持込手荷物が5kgなどとなっているようで、これって、ノートパソコンも持ち込むのがぎりぎりくらいの重さです。展示会なので今回もスーツケースを二つ持ち込むことになりそうで、軽いスーツケースを探そうかなあと考えています。

ハンガーサンプルって結構重いもので、いつも大体200点くらいかと思いますが、いつも何十キロにもなってしまいます。林与のリネンストールはお披露目してからもう4年目になりますが、デザイナーさんやバイヤーの皆さんから常に注目をいただいており、インターテキスタイル上海に向けて新しい柄なんかを作れればよいかなあと思っております。
2012年07月04日
ファッションとアートとは同じような視覚や感性に訴える部分が多いものですが、かなり違う概念だといえます。ファッションは買うことを考えますが、アートは買うことは別問題です。アートは値段がついていなくてもかまわないのです。

昔、映画館で映画をみることが非常に贅沢に思えた時代がありました。ビデオなら何回もみられるのです。でも、それって映画館で映画を見るのとビデオでみるのとでは別物だったりすると思います。

本物の花火を見るのには価値があっても、テレビで花火大会をみたほうがくつろげるのにと思うこともありますが、人というのは頭で吸収したら駄目で体を動かしてこそ、本物の価値を評価できるのだと思います。

今の時代というのは生活が楽になっているので、洋服にしても破れたりするのは稀です。昔は洋服が、居と食の部分を兼ねていたものです。寒ければ暖かい服を着る、でも、今は寒ければ、エアコンとか暖かいものを食べようなり、服をもっと着ようという流れにはなりにくいものです。

本来の服のもつ根本的な価値が見直されるようになったのも原発というものの本性があらわになったからではありますが、家というものは本来通気性が重視されたものですが、今の時代の家というものすら断熱性が高すぎてエアコンなしでは生きていけない構造です。
2012年07月03日
今日は雨がしとしとと降っています。フェイスブックでアメリカの大学院時代の台湾の友達が私を見つけて友達リクエストくれました。カリフォルニアにいたときは、雨が一年に3回ほどしか降らず、降るとなえればスコールです。夏は毎日天気が良いのが当たり前で、雲ひとつない空の下、週末ともなればテニスしていました。

みんなが素人だったので、暑い暑いキャンパスのテニスコートで球拾い運動をしているというイメージが適切かもしれませんが、そういうのもどこどこでおいしいものを食べたとかよりもよい思い出です。カリフォルニアの場合は、蒸し暑さというよりもドライな暑さで、みんながペットボトルを持ち歩いていてあれも文化だなあと思います。

もし、ペットボトルを持ち歩くのを禁止したなら禁止したで、それはカリフォルニアの文化を大きく変えることにつながるかもしれません。ペットボトルを持ち歩くことで外で過ごすことが多くなる。また、授業中でも自由に飲み物を口にする権利があるのもカリフォルニアの特徴でした。飲み物ひとつに対する捕らえ方ですらもが、異なるのが文化の違いです。

日本も昔は梅雨らしい梅雨があったのに最近は梅雨明けすらもいつなのか分からない年が多くなり、こういうのも日本らしさが少しづつなくなっていくことにつながるのかもしれません。今年は原発がとまっているということで節電対策についてアンケートなどが回ってまいりました。

普段から、エアコンを使わない生活をしているので、これ以上頼まれても困るところもあります。電気が止まるというのをインドでは何回か経験をしましたが、それも、考えた対策を個々が考えていくのもひとつの方法ではないかと思います。インドの企業にはジェネレーターが備わっていて、いざというときには自立できることも本当の危機管理ではないかと思うのです。

昔、コンピュータの製造現場で働いていたときには、雷が鳴って瞬間的に電圧が落ちるとそれだけでスクラップが発生するというシビアな対応、そういう業種というのは非常に限られているとは思いますので、個個の対応にゆだね、すべてがそれに対応をしないとならないわけではなかろうかと思います。完璧を求めるがゆえに、逆に大きなリスクを背負うのはインフラのような生活に密着したものではよろしくないと思うのです。
2012年07月02日
生地の収縮率で10%ほども縮むという連絡があって、これはいつもの問題が起こっているのだろうなあと想像を立てました。実際に残っている反物を検査すると収縮はほぼゼロ。はじめから物性重視であることなども考慮にいれて開発しているものなので、やはりいつものテストの問題だと考えています。

生地の検査数値というのは信用できないことが多いものなのです。そのことを知っている人がどれだけアパレル業界の中にいるのかというと、生地を仕上げる加工工場の方ですらも、反物の部位における物性の違いというのをご存じないことが多いのです。

林与ではキッチンクロスなど正方形にしようと、ギアの組み合わせを変えたり、また、横糸の本数の1本2本を調整したりするのですが、加工のやり方で、正方形に仕上がったり長方形に仕上がったり、それも同じ反物の中で、数値にすると10%以上のズレガ生じるようなことが当たり前にあるのです。加工工場の中の人でもそういうことに気がついている人が機械を動かしていると問題ないですが、それに気がついていない人が動かしていると同じ機械でもできあがる布というものは不安定です。

このことは検査機関の方でもご存知がないことが多く、物性が悪いときのアドバイスは、再加工するのではなく、検査を反物の別の場所で取り直すことです。通常、反物の一番数値が悪い始まりの場所を検査に出すので検査の数値に信憑性がないことは当たり前なので、検査に出すときには2mとか3m反物の中の部位から試料を抽出すべきです。わざわざ検査をするのにそういう事実ですらも誰もが知らないで数値に振り回されることが多いものです。

すべての工程を理解していると、どこに問題があるのか分かるのが当たり前のことなのですが、分業の進んだ今日では、そういう当たり前のことも見えなくなってしまうものです。素材や工程をいくら洗いなおしたとしても実際の問題の解決には結びつかないことも多いものです。実際、日本の繊維業界が衰退したのにも、このような基準値をクリアしないといけない問題で、新しいものをつくってもクリアできないことが多いことが原因ではないかと思います。特に、何メートルも余分に作って、その何メートルも中の部分でテストするというようなことをするようなものづくりの余裕がないと全滅してしまうような結果です。

今回の問題でも、余分に反物を作っておいたので、後から手元の反物で実験ができるのですが、ぎりぎりなものづくりだとそういうことすらも難しく。原因の究明すらもが難しいところです。
2012年07月01日
昨晩と今朝、琵琶湖放送の県政週刊プラスワンのの番組の中で、しが応援ファンドの案内が行われ、林与もその中のファンド活用事例のひとつとして取り上げていただきました。林与自身をテレビのなかでみると楽しそうな感じでいいんじゃあないかと…。

しが応援ファンドのよいところは、自分のやりたいことを実現するために小さくも大きくもプロジェクトを組めるところ、林与にとっても林与で見つかったアイリッシュリネンの糸を形にしたいと思っていたときにファンドに出会って、やれたことというのは何倍もに広がりました。

ファンドを3年いただくケースというのも少ないケースだそうですが、3年間という長いスパンで取り組めたことで、プロジェクトの波及効果などもみながらプロジェクトを進行でき、一過性のものに終わらない成果をあげることができ、ファンド終了後もつねにリネンのものづくりでハイエンドなものづくりを目指していけるような形を考えています。

自分自身の力だけではできなかったのか?といわれると、ファンドという事業としてやっていなかったら、ほとんど市場の形成されていないリネンの超細番手の生地を開発することを、林与の取り組む一番のプロジェクトとして前に進むことはできなかったと思います。ファンドを通じて作り上げたものの出来上がりをみて、「やった」といえるようなものであって、今までとは違うリネンの世界が目の前に存在しだしたことは、日ごろのものづくりにも生きてきています。

また、それを県立大学を通じてプロモートしていただき、国内最大規模、また、世界最大規模のテキスタイル展などで発表できる場までもあったことが、単なるものづくりに終わらず。展示会などで来場いただいた方に見ていただいて、林与のものづくりに共感くださった方が非常に多く、そのことで、たくさんのよいお出会いをいただきました。

今日はしとしとと雨の降り続く、梅雨空の一日、日曜日ながらもひとつの納期の仕事のためシャトル織機を動かします。シャトル織機でもヒガエがあるのとヒガエのない無地とでは織るのに要する注意力は雲泥の差、今織っているのは、長さ190cmの大柄、横糸が切れると神経をすり減らします。

目分量で段ができないように織るのは慣れていないと駄目なだけでなく、同じ織機でも台ごとに、段のできやすさなどはまちまちで、人が微調整を掛けてあげる必要があります。シャトル織機の弱点は織り段のできやすさ、シャトルに巻かれた糸の不均一さから起こる段もあれば、織機が止まったことで開口状態で叩いた横糸が少し戻ってしまうために起こる薄段厚段もあります。

今の織機というのはすべてバックすることが可能な機構がついていますので、段はできにくくなっています。簡単な織物なら今の織機で織ったほうが安全に織物が出来上がるのです。同じものを作るのにシャトル織機をわざわざ動かすなんて、無意味に思われるかも知れませんが、ものづくりしているものが職人技に対する評価をなくしてしまえば、終わりじゃあないかと思います。テレビを見ていて、様になっているのも昔のシャトル織機と向かい合っているからじゃあないでしょうか。
2012年06月30日
クロネコメール便の規定が変わりまして、今までメール便でB4サイズまでお送りできたのですが、7月1日からA4サイズまでしかお送りできないことになりました。商品を大洲利するのにA4サイズというのはあまりに小さすぎお送りすることが難しいので、7月1日発送分からは宅配便に統一をいたします。(メール便限定の商品を設けることはあるかと思いますので、それに関しましては別途記載をさせていただきます。)

クロネコメール便のB4サイズが取りやめになった背景というのは、B4サイズのポスト投函が難しくということがあるようです。折れ曲がったりしないようにいけないということで、再配送するなど負担が大きいということで大変だろうなあと思うことも多いのです。

物事がスムーズに行くと予定通りでよいですが、想定外のことが起こるとその対応というのはコスト的には未知数で、たぶん、歩合制で配達されている委託の方のお手間が相当、増えてしまっているのだろうなあと思うところです。

私の地域でもメール便を配達されているのは75歳を超えられた知り合いの方で、黙々と毎日自転車で動かれています。昔だとお年寄りが手間仕事や農業をされていたのが当たり前でしたが、今の時代ではそういう年配の方は非常に珍しく輝いて見えます。

その方の家が昔、お昼時に、火事に見舞われたことがあったのですが、自分が家をなくされたことに放心するよりも、火事が収まったあとに周囲の皆様にご迷惑を掛けたことを鎮火に協力くださった皆さんに、土下座してお詫びされていたことが美談のひとつとして語り継がれています。

また、配達されているときも、村の区長もされていた方なので知り合いの方は多いですが、影のように存在を消して黙々と業務をこなしておられるところが立派で、一番下の振り出しにもどっても強い方というのは強いものです。上りつめた人というのは、原点に戻ることが難しいものですが、常に原点をしっかりとわきまえて動かれているところに人格を感じます。
2012年06月29日
今日は遠方より寝装関連のお客様がお越しくださいました。今は全般的に不況といわれていますが、ベッドというのは売り上げが伸びているそうで、短い時間でより深い眠りにつきたいというニーズがあるとのことです。

お客様が何気においてあったビンテージアイリッシュリネンハンカチ素材に興味を示してくださっておられ、寝装に使える使えないは別にしまして、共通の目をもっていてくださるところがうれしいです。布ではありますが、皆さんがあこがれてくださるようなものを生み出せるような環境があることはうれしいことです。

他に、今日は、海外ブランド提案用のプリントベースにする国産の綿の生地などが届きました。エレガントな風格を感じるものですので一級なところにまで到達できる気がします。

リネンの超細番手に関しましても、ようやく紡績が完了して届くのを待つ状態で、半年以上待って糸が手に入ったというのも感無量です。林与が無理を言って今回糸を作ってもらいました。林与では、今年は、超細番手でアパレル向けの生地開発を考えています。もし、この細番手が順調に行けるなら、さらに先の世界というのを目指したいと考えています。

織りの技術といっても人がすべて、時代おくれのものづくりこそが、世界のトップに立ちうるパラドックス。結局はものづくりは人、完璧を積み重ねることで、他ではできないものが生まれてくるのです。同じ糸で同じ機械があっても同じようにものが作れないのが人という要素の面白さ。細い糸が織れるのは、最新の機械技術手カバーするのではなく、昔ながらの人の感覚を研ぎ澄ませて作り上げていきます。

完璧に近い状態で工程を進めれば、超細番手を織ることすらも、余力を2割残した状態で進められるのではないかと思っています。量産を想定すると2割程度の余裕残しの状態でないと難しいものです。普通は麻業界でも無理とされることをプロジェクトとして進めて形にしていく、昔のものづくりにはこういうのを当たり前にみんながリスクを分担しながらできていた時代があったといえます。

なんとか作ったとしてもそれを使いこなせるブランドさんにめぐり合えなければ、そう簡単に流れるものではありませんが、しかしながら、そういうエレガンスが日本という国から発信されることは、日本という国の価値観の違いを世界の皆さんに感じてもらえるきっかけになるものと思います。
2012年06月28日
今日は出機さんが糸を取りにこられました。林与オリジナルのHDタイプの素材をお寺の本台につかうとか、HDタイプの素材というのは林与がオリジナルに開発したシリーズで、長年リネンのものを見慣れている方々にとっても特別に見える少し不思議な素材で麻織にこだわる林与の織の技術が生きています。

1時間に1mほどしか織れないようなスピードでの織物が今の時代に生き残れるかはまた別問題ですが、時代を超えるような価値観を持たせたいので、ゆっくりと贅沢に織ってあげることが、自己満足かもしれませんが作り手としては愛着が沸くところです。
2012年06月27日
郵便局にエックスパックを出しにいくときに、ハテ? なにか違和感です。大きなスペースが出来上がっていて、そこに数日前まで何があったのか?全国チェーン展開していた大手のリサイクルショップがあった場所です。

日本がものを大事にしなくなった背景には日本のリサイクル制度が大きく影響しているかと思います。資源の無駄を助長する買い替え制度的なリサイクル制度に何の意味があるのかと思いますが、本質というものは見えにくいものです。

昨日、7年使ったノートパソコンの機種を買い換えました。その前に使っていたのはDELLのINSPIRON6000で使えなくなるまで使って同じ機種にハードディスクを載せ変えて使っていました。今回のレッツノートも同じように末永く使うつもりです。私が買い換えた理由がようやく満足できるような機種が出たかというような感じで、10時間以上バッテリー駆動して、液晶も画素数が多く、重さも1.3kgちょっとで、海外に持っていくのも便利そうです。

今までも出荷のときなど処理速度の遅さとバッテリー切れで泣かされることも多かったですが、使ってみると7年の壁というのは大きく、ほとんど快適に動きます。実際に、日本語変換ですらもが昔のパソコンだとついてこれていなかったので、考えるスピードで思い通りに文章をタイプできるのが心地よいです。一番心配だったのはWINDOWS7の64ビット環境に今の環境がうまく移行できるかどうかでしたが、問題なくすべてが動いています。

本来ならこういうノートパソコンが100万台規模の大ヒットするはずなのでしょうが、無料で携帯電話にネットブックと呼ばれるパソコンがついてくる時代ですので、今の時代、良いものを作っても数も流れにくいので良いものをつくるのはメーカーも意地みたいなところがあるかと思います。流れてもひとつのモデルが数万台とかの規模ではないでしょうか。

パナソニックが独自に技術を保っていられるのも、外で生産するために技術を探しに歩かなかったからではないかと思います。光って見える部分ですが、同じことをシャープもしていて最終的に亀山モデルを中国に渡したことからも、このモデルというのは理想系で脚光は浴びながらもビジネスとしてはコスト面では茨の道ではあると思います。

40過ぎたおっさんが、パソコンひとつで薀蓄をたれて馬鹿ですね。でも、欲しいものがあって、我慢して手に入れるって大事だとおもうんです。子供のころは、何十万円もするのが当たり前で、欲しくても手に入らなかった思い、なんか我慢して手に入れることも大事なことだろうなあと、手に入りにくい糸を手に入れようとするのと共通して思います。
2012年06月26日
昨日、全国展開のリサイクルショップが跡形もなく消えてしまったことを書きました。土地というのはそこで活動する人々のバイタリティではないかと思うことがあります。人がいなくなれば土地なんて価値がないのです。よく使う駅は能登川という駅なのですが、昔ながらの商店街に向いて駅の出口がありましたが、反対側にも出口を作ってショッピングセンターがいくつか出来上がったら、かつての商店街にあったコンビニすらもが撤退し人の流れは消えました。

コンビニというのはさすがだなあと思います。損益分岐点というのがはっきりしていて、人情的なものが介在する余地はありません。コンビニというのは場所がすべてなビジネスの典型的な例で、中においてある商品は売れ筋のものばかり、それで売れないなら場所が悪いということでよりよい場所を開拓します。

フランチャイズ型のコンビニビジネスというのは将棋と非常に似ているなあと思います。捨て駒の歩となれるオーナーをどうやってみつけるか、歩が金になったとしても、と金はと金、繁盛すれば繁盛したで、そのお店の手前に新たな店舗が生まれます。

私が就職活動をするときに、大手商社の人事部長が大学に説明にこられて、これからは土地というのが価値がなくなりインターネットの時代で土地が不要になるといわれていました、20年前に将来を見据えた判断をもって見切りをつけられているあたりがさすがで、でも、土地も人も消耗品と同じである怖さがあるかと思います。

人がいなくなれば土地なんて価値がないと書きましたが、その土地を大事に思う人がいればそこに土地の価値が生まれるので、これは大きな意味では、日本という国の規模にも共通するような概念だといえます。
2012年06月25日
今日は工場の中で、シャトル織機のヒガエのカードを組みました。蝶番のようなイメージの穴の開いた鉄板を組み合わせて長いカードを作るのですが、これが、柄が大きいと長すぎて上手に回らないので、正転ばかりでなく、逆転させることで、長い柄を短いカードで作り出すようなこともできます。

これって、コンピュータプログラミングとすごく似ていて、頭の中で、カードの動きをシミュレーションして結果ヒガエが正しく出るようにしないとなりません。最近はシャトル織機に難しい動きをさせることは少なかったので、逆転がうまくいくかどうか心配だったのですが、組み上げたテスト用のカードを織機にセットすると想定どおりに動いてくれて、簡単な柄が出来上がりました。後は、長さを調節するだけでOKです。

織機というのは理論的にはうまく動くはずなのですが、織機自体の調整がうまくできていないと、いくら正しくカードを作っても織物はうまく出来上がってきません。織物を織るという仕事は織る仕事よりも織機を調整するという作業のほうが時間が掛かることが多いものです。特に特殊なものを作ろうとすると織る時間よりもそれを準備する時間のほうが何倍も掛かったりすることがあります。

結局、特殊な織物を作ろうとすると織機を調節する能力がなければどうしようもない。万能織機と呼ばれるシャトル織機ですら、調節ができなければ万能でもなんでもなく、普通のものしか織れないのです。

ヒガエの鉄板を組む作業もすごく時間が掛かって何時間もの時間を要しますが、分かる人にはそのあたりの手間も通じるのではないかとレピアだと生産性がたぶん2倍以上あるかと思いますが、普段からそのくらいの大変さが当たり前でないと、楽なものづくりに流れ、本当に違うものの世界を考える実現することも面倒に思えるでしょう。

私自身が思うのは、林与にあるシャトル織機にしても非常に希少な4色のヒガエのできる織機で洋服の幅まで織れる。他から見れば宝物であること自体が幸運、それが使いこなせないようでは駄目だろうなあと思います。普通の人だとできるのはわかってもその煩雑さにあきらめる世界です。似たようなものを作るのにもっと簡単な方法がある、安くできる方法がある、わざわざ、難しい方法を選んで高くなってしまう。業者の方だと嫌うケースが多いですが、最終的な消費者の方だとそれを好んで下さるケースが多いのが、私自身が布を販売させていただいていて感じるところ。
2012年06月24日
20日にFEDEXで輸出した荷物が、途中、台風の影響もあってか、飛行機の機体検査でその日の便に乗らず、急いだことが結果として無駄となりましたが、ベストはベスト、結果よりも途中の過程が大事だと思うことが多いのです。

シッピングサンプルを送るのも納期があるので確実に明日には中国に届くDHL。封筒ひとつで9500円程度かかるので、これは、EMSの10倍の世界ですが、相手もその覚悟を持て生地の試験をされる相手なら、1日の到着を待てるか待てないかでもったいない話ではありますが、それはそれでいいんじゃあないかと。

今回の仕事も余裕を持ってやったはずが、作業の失敗で、その失敗をなんとかカバーしようとぎりぎりまで数日努力したのですがどうしても織れないという判断に至り、最初からのすべてやり直し徹夜でのフォローでカバーをしました。予定が狂ったことで加工工場にも迷惑を掛けながら急いで仕上げてもらう形になってしまいました。

よく、繊維の現場の仕事は好きでないとやっていけないといわれます。昔から人間の忍耐の限界への挑戦が布の表面に表れてくるばかり位であっても副業の領域であった仕事です。本業としてやるからには、仕事が普通にできると思われている人とですら相当の差がないと、その普通に仕事をできると思われている人を支えていくことすらできません。

この厳しさこそが専門家のよく理想とされるニッチェのものづくりです。専門家の方が学生であるかのように軽くニッチェのものづくりを生き残りの手段として推奨されますが、そのものづくりの厳しさというものは正面から向かい合うと普通の仕事のレベルだと成り立ちません。
2012年06月23日
帰国の便は真夜中の便で、早朝に関空につきました。2日間でしたが、本当に長く思える2日間でした。会社で仕事をしていると時間にいつも追われるので一日が短く感じます。ベトナムという国も熱い国ですので、麻のものは売れる気がしますが、麻のものを着ている人というのは皆無のような気がしました。

ベトナムにも富裕層はあるそうですがその割合というのは非常に小さいとのこと、海外のブランド品も出回っているそうですが、外国からコピー商品が入ってきてそれが販売されている可能性もあるので注意しているということでした。

ベトナムではアオザイを着ているひとを普通に見かけることはありませんので、かなり、西洋かは進んでいて、日本の1970年代から80年代を思わせるような状態ではないかと思います。それは決して遅れているという意味ではなく、逆に可能性を秘めた状態であるということです。
2012年06月22日
昨日はゆったりとホテルで休めてよかったです。時差は2時間、日本の8時はベトナムの6時です。朝から、FEDEXのトラッキングの調整を行って落ち着いてから朝食をとりました。今回は、ホテルのビュッフェで食べたので、日本のホテルのブッフェとさほど変わらないメニューです。

ホテルの部屋は9階で、しかも、一番よい方向を向いているエレベーターからもすぐのホテルの真ん中の部屋、個人のお客さんにも相当気を配ってくれており、部屋も広く、バスルームだけでも昨年パリでとまったホテルの部屋くらいの広々さです。

窓から眺める景色というのは、ベトナムの風情を感じます。お店などの建物はすごく古く見えるのですが、それほど古い建物ではないらしく、ほんとうかどうかわかりませんが、10年くらい前に立った建物だといいます。普通の町の建物は建てられる当初から古く見えるのかもしれません。サーカスの建物があるので、本当のサーカスをやっていると思うのですが、それは日本で言うところの昭和を思わせるレトロ感です。

街の通りの1階というのは小さなお店が並んでいて、そういうのも人々が生きる自分の力をまだ残している証拠のようにも思えます。豊かな生活を作り出す力と豊かになることはまったくの別問題で、豊かな生活を作り出す力がなければ、豊かさを求めることはたんなる贅沢かもしれないなあと思います。

ニッコーホテルにしても朝食付きで1万3千円、少しの贅沢かもしれませんが、これは、ベトナムの人の1ヶ月の給料に相当します。国際競争というのは、メンタリティの面で、本当に厳しいなあと感じるのです。
2012年06月21日
今日は、ベトナム行きの便に乗って、ベトナムの工場の見学です。午後についたのですが、曇り気味でもやはり蒸し暑いですね。今回は、林与らしからぬ、プチゴージャスなニッコーホテル。海外もぬるま湯なのは好きじゃないのですが、送迎を依頼するので名前のあるホテルのほうが相手さまに迷惑が掛からずよいだろうと。ニッコーホテルでも初日はLANがつながらないなど、連絡ごとに支障がでてしまいました。

昨日送った中国向けの荷物が航空機検査で一日発送が遅れていて問い合わせがあるなど、住所の一部記載漏れなども分かって、念のため会社から営業所にファックスを送ってもらうように指示をしたりです。

アマゾンにも出展をしているのですが、受注をいただいてIDとログインのパスワードを忘れてしまってて、海外出張で久しぶりにゆっくりと考える時間が持てるのでホテルで冷静に作業をしていると思い出せてというか何回かトライアルして、ようやくログインできました。

繊維工場などを見学して、夕食は縫製工場の社長と通訳の方を交え4人でご一緒しました。女性の社長で中国語が堪能で才覚があり繊維関連会社の社長にお若くしてなられています。中国もそうですが、社会主義の国というのは、世代交代や男女の平等など自由主義的に思える要素が進んでいるといえます。戦後の日本に似ているかもしれません。

夜はホテルの宿泊プログラムに無料の30分マッサージ(頭と肩か、足のマッサージを選択できる)がついていましたので、ホテル4階のマッサージルームで、頭と肩のマッサージを頼んだのですが靴を脱いでといわれ足をマッサージしようとしたので、再度、頭と肩をマッサージしてほしいと頼んだのですが、分かった分かったといわれて、足裏のマッサージを30分受けました。予想どおりです。
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