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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2012年08月07日
ここ数日、織機の調整に毎晩ほど時間を費やしています。シャトル織機というものは、シャトルを挟んでしまうとバランスが崩れるので、シャトルを挟まないように織れるか織れないかが大事です。シャトルを挟むことは車で接触事故を起こすようなことで、熟練した人だとほとんどありません。シャトルを挟んだときにたくさんの糸切れなんかが起こると、それは、車を板金修理にするかのように手間と時間が掛かってしまうこともあります。

私自身は、北アイルランドでリネンの細番手が紡績されなくなった背景に、シャトル織機がレピア織機に置き換わったことがあると考えています。レピア織機で、25番、40番クラスの製織が非常に簡単になって、リネン全体の生地相場が崩れたことと、細番手をシャトルで織ることは何倍もの時間を要するために、高く売れたとしてもその手間隙を吸収することは難しいものです。

生産性が高くなるということは基本的には良いことですので、日本の場合も、1970年代中ごろから和装が衰退し低迷をした繊維業界を生き返らしたのが、広幅で織れるレピア織機の普及でした。その後、ウォータージェットやエアジェットなど織機の高速化は進みますが、麻織物の場合は、糸の切れやすさなどからレピア織機どまりのところが多いようです。

林与でも、130インチの織機が動いていた時代30年ほど前です。広い幅の生地を求められるのが今の時代ではありますが、広い幅の織物というのは品質の面でトラブルというのが多すぎたのが昔の日本のアパレル基準で、広く織れば織るほど別の問題も多く、働く人の高齢化や女性がメインの織場では、110cmくらいの仕上がり幅くらいの織物のほうが無理がないものです。

実際、手織りの世界というのは人に優しい時代なのですが、それも労働集約すぎ生産性がないもので、手織りを謳うものほど産地が怪しいので消費者も注意しないとなりません。一人の職人が高品位の密度の高い手織りのものだと一年に10反から20反を織れるかどうか、国産の着物の流れを汲む手織りの特徴はしっかりした打ち込みの高密度で、高級なものというのは細い糸をしっかりと打ち込んで織ったものです。

わたしも、麻の産地の地元で悲しいほどの手織ものを見かけることがあります。織りムラがひどすぎて、海外の子供の手仕事で織ったのだろうと思うのですが、国産のものと海外産のものとの大きな差を感じ安堵をする一方で、使われる方というのはその差が分からずに麻の良いものとして基準になると本業でやっているこだわりすらも危ういなあと思います。

別の話では、業界の皆さんがおられる席で聞いた話に、ある麻関連の会合に、近江産の麻ジャケットを着てきてくださった皆さんのお知り合いの方がおられてその気持ちには感謝するものの、毛むくじゃらのラミーで産地の麻布のイメージとは違いすぎて、もう少し産地らしいものを経験していただかないと本当の麻の良さも伝わらないのではないのかという話になってしまい、本人のご好意とは裏腹に気の毒な話もあり、その方にもそれが産地のイメージのものとかなり違う世界であるのを言いにくかったということで、私はその場にいなかったものの良くありがちな話です。

といいつつも、私自身も、工場に出入りすることが多く、汚れてしまうのを気にして市販の服で済ませてしまうことが多いです。特に外に出るときなどには自分自身が手がけたものを身に着けるようにしていかないとならないなあと思います。自分で作ったものというのは自分で育てた野菜を食べるかのようで、別の意味合いが多いのを感じます。地元産にこだわる原点に、農業なんかでも同じですが、自分自身ができることがすべてですので作っている人というのは正直なことが多いものです。

地元の自治会でも、カルガモの自然農法をやっていますが、それがどこまで通用するのかというと、やせ細った実の成らない稲が出来上がってしまいます。そういう方と実際に話をすると、カルガモに餌を上げているだけでは難しく、肥料をあげないと実すらもが取れないのが現実です。案外、本当に支えている人というのは正直に物事を話して、それに気がつかないとならないことを諭してさえくれます。
2012年08月06日
超高密度の織物を織っていますが、この織物というのは簡単に織れるものじゃあないなあとつくづく思います。これは糸に水溶性ビニロンを巻いて織る林与では珍しいタイプなのですが糸からしても細番手のリネンを使い、総本数からすると一時間に300本程度つなげるとすれば縦糸をつなぐだけでも普通の人の3日分の仕事。つないでから織り出すまでに数日使ってしまって、織り出せたと思ったら縦糸の送り具合の調整、最後にまた夜中、調整を数箇所掛けて結局織機に乗ってから2週間ほど掛かって安定させました。

どこをどう調節すると織れるのかということは本当に感覚的なものに近いです。調整も、目、耳、手、脚、体を妥協なくどこまで動かすか。シャトルを挟むとバランスが壊れてしまうので、シャトルを挟まないでどこまで調子よく織り進めることができるかが大事で、器用な人でないと綺麗に織ることは難しいものです。

この織物もなぜここまで織るのが難しいのかというと、無理やり難しいところまで密度を上げたためで、実用的に織れるかなあと思うぎりぎりのところで規格を定めたので、織るのが難しいのは当たり前といえば当たり前。織機の具合が悪くなったときも、一番困るのがなぜ悪くなったのかを織っている人が、その状況を説明できないと完璧に調整したつもりでいるだけに、どこを触って調子を元に戻してよいのかも分からないのです。

織機を調整するときの一番大事な調整方法のコツというものを知っているか知っていないかが大事で、シャトルの場合、調整箇所なんていうのはたくさんあるのですが、そのそれぞれを緩めてよいのか締めるほうがよいのか、的確に判断できないと調整も収束しないばかりか、バランスが壊れたときにどう立て直すかすら分からないと本生産の途中で座礁してしまいます。

怖いなあと思うほどのリスクの高さで、林与でも10回受けたとしてそのうち何回うまく仕事がこなせるかという自信がないのです。これは、おかしな話ですが同じタイプの織機でも微妙な織機の状態で織れる台と織れない台があったりするものですし、シャトルの調子ひとつでも調子の良いシャトルを挟んで壊してしまうと、次の調子の良いシャトルを見つけ、調子よく糸がでるようにゴムの調節など。今回もなんとか調子よく織れるところまで持って行けました。仕事というのは一つ出来ないとその仕事に追われて他のすべてが止まってしまいますので、一般的には安全な範囲でどう仕事をするのかが仕事をスムーズに流すかのコツではありますが、こういうリスクの高すぎるステートオブアート的な織物も惑星直列的な偶然の成果物的な天の恵みで、作れなくなるときがくることも当然あると感じるので、今挑戦しておくことは大事だろうなあと思います。
2012年08月05日
先日もLEDの業者さんから電話がありました。工場の電気をLEDに変えませんかというセールスです。コンビニなんかもLEDに変えたところが多いのでLEDのほうが明るくてよいのかなあと思ったりしますが、色のみえ方というのが大事です。

私は、色を織りながら自分で良い悪いを決めていきます。織って駄目なら、より良い色味に調整を掛けるのです。着物の時代の近江の機元というのは、着物というものが同じ形なだけにデザイナーそのものでした。織物をつくるものがデザイナー的でなくなった今日の日本というのは似たものばかりがあふれて弱いなあと思います。

色というのは、一つの色は一つの色じゃないのです。光源によって色というのは、色味が違って見えます。まったく違って見えることもあるのです。光の反射が結局、目というセンサーに波長として伝わるので、波長の違う光の下で見ると、色というものはまったく違って見えるケースもあるというより、多いもので、それがLEDともなればまた違う風に見えてしまい、機場で色糸を組み合わせることが難しくなってきます。

慣れればたぶん大丈夫でしょうが、先染めの織物を扱っていると、色の再現性の問題でのクレームは非常に多いもので、納期に追われてすべて作り上げた後に色の問題が出てきてしまうと、それが没にしてやり直したとしても求められるものを作れるのか?という極限のプレッシャーに追い込まれます。

残り時間ゼロの状態で、次に成功するかどうかも分からないものを手探りに作り直すというのは、中の仕事がすべて止まるだけでなく、外の協力工場にも他の仕事を止めて協力をしてもらうがために非常に大きな迷惑がかかります。、

一休さんの話で、川に落ちた1文を探すために20文の松明を使う話がありますが、それに似たことを常に覚悟して仕事していないとならないのが、次から次に新しいものを求められ、正しく納めないといけない今の時代、LED一つで、今までの色の勘にぶれが来るのが怖いです。慣れると大丈夫だとは思いますが…。ローテクな工場で、ハイテクの否定、時代遅れそのものですね。
2012年08月04日
キッチンクロスのHDタイプが最近ようやく織りあがりました。これも半年ぶりくらいの在庫の拡充で、ストール関係もパープルX生成とブルーX生成、リネン150番手ストール生成、L60番手リネンガーゼストールのカラーバージョンなどをつくったりして、在庫を増やしました。

定番のソフト仕上げなんかにしましても、いったん在庫がなくなると半年とかときには1年とか生産に掛かってしまうというのはいかがなものだろうかと私自身思うのですが、特にシャトル織機で織るリネンというのは通常の織機に比べると3倍くらい時間が掛かってしまいます。ストール用の生地や切り売りでお買い上げいただく生地の場合には、耳まで大事なことが多いので急いで作ることは良くないのです。シャトル織機で織ること自体が技術を要するのでどうせなら綺麗に織り上げたいものです。

この数日、リネンの高密をを織るために最初の打ち込みをあげるのに時間と頭を費やしています。レピアとシャトル織機の織りあがりの風合いの違いに関しても、林与の持論だった話も織物業界の中でも定着をしてきたようです。シャトルの織物がふっくらとしているのは、シャトルから出るノーテンションに近い糸が斜辺的に打ち込まれることにより、織った時点ですでにゆったりと織られているからです。シャトル織機で厚いものが織れるのもそれが大きな理由です。

織れない糸を織れないとわかりながら、同じ糸を、レピア、ジャガード、シャトルの順番で織機に乗せてそれぞれに1週間以上の織機の調整を掛けたことが昔ありました。レピアというのは、素人の人でも織れるように壊れるまでの調整ができないように歯止めがしてあるのを強く感じました。ジャガード織機というのは柄が織れるだけでなく、縦糸のコントロールという面では優秀で、北アイルランドのダマスク織りなども今は最新のジャガード織機で織られていますので、複雑なものを手がけるときに一本一本に掛かる負荷をジャガードの機構があるていど調整する力を持っています。

しかしながらも、一番織るのに適しているのはシャトル織機で、織機だけの問題ではなく、一度馬鹿な調整をして織ってしまうと織機が修復不能になってしまうシャトル織機というのは、調整しだいで同じ織機でも別の座標で織物を織ることにつながります。

織物を考えるときに織物というのは普通に織れるものだという感覚があるかもしれませんが、それは普通の織物の世界で海外のように量をたくさん流していくことを考えると普通に織れるものなのです。そういうものというのは物性なども当たり前に安全で、糸の良さで物性をカバーするとか、染めの良さで物性をカバーするとかまで行く必要がないものです。

ほんとうはそこまで張り詰めて考えて織物を作る必要がないのかもしれませんが、世の中にないものを求められるときに、そのリスクが理解できていて全体で共有しながら良いものを作ろうとしていくと簡単なのですが、アパレルメーカーさんというのもOEM生産が多くなり縫製の技術がないと、素材の特殊性を生かして、特別なものを世の中に出すというのも出来なくなってきています。

検査がすべてであるという素材の判断は、逆に素人でも素材が扱える世界につながり、先日も検査に精通されている方と話をしていても、数値依存で素人なものしか作れなくなったなあという話になってしまっています。数値に依存することなく、自分の目や手で職人的にトータルなものづくりができることこそが、神の領域に達するような差別化したものづくりにつながるのですが、紙の領域に縛られ大手ブランドさんほど素人なものしか扱えないということも多いものです。百貨店店頭と路面店ブランドとでは、路面店ブランドのほうがものづくりに精通しておられるケースが多くなってきています。

繊維で品質偽装や産地偽装問題が頻繁におこるのも、本質的なものづくりが欠如して、謳うべきがただ単に組成や産地に依存してしまっていて、どうゼロのものを10倍にして売るかを考えているばかりな最終的には消費者を騙す結果になってしまい。ふぐや牛肉じゃあありませんが、着物の時代から繊維業界というのは似たような体質が常にありますので、確かなものづくりというのは大事だなあと思っています。産地のイメージを守るのは常にそれとの戦いです。

プロの目が欠如して。麻の業界においても誰もが糸も手に入らないといわれたアイリッシュリネンがその希少性を売りながら大量に出回りましたが、中国紡績の糸がアイリッシュリネンの糸を使用していると謳われながら、日本での大手の糸商さんや百貨店ブランドさんが生き残るためのありえない差別化で素人的な偽装。百貨店さんも騙されすぎてはおられるのですが、そういう業者さんは商売の体質ですので懲りないといけないと思います。

数箇所から南アフリカで紡績されたリネンがイギリスの船積み証明をとって、アイリッシュリネンとして販売されたという話が業界では流れています。超高級ブランドさんが騙されたのか、嘘話にのってしまったのかは分かりませんが、リネン業界でも高級ブランドさんが謳いにされた部分がデマとして流れいます。高級ブランドさんも気の毒な話ですが、ブランドの名前を背負っておられるだけに、業界では当たり前に担当された方の資質というものが問われますというか、偽物をつかまされてブランドとしての存在が自体危ういところ。

麻業界でも近江湖東で織られる麻布というのは本当に希少になりつつある中で、百貨店さんもアイリッシュリネンの二の舞ではありませんが、しっかりと、機屋で本生産をしているのかなど確かめてその希少性をしっかりと謳ってもらうことが、素人の世界と違うプロの対応ではないかと思います。海外や他産地ものが増える流れの中で、消費者は本物を探しておられるのに百貨店やブランドさんが偽物をつかまされたり、消費者を騙すことになってしまっていたり、京都の西陣織などでもそのほとんどが海外で生産をされてしまって、消費者は本物の産地産にたどり着くのも何十分の一、何百分の一の確立であったりでとういのが普通になってしまっています。産地に来て、産地産だと信じても、京都の呉服商さんが扱われるものは海外産の手織りの麻布だったりします。産地では手織りは何十年も昔から、ごく一部を除いては、海外産がほとんどというのは有名な話ですが、産地の実情も知られないで産地産だと信じておられたのが逆に不思議でした。

本物を求められる消費者の方には、本物志向で本物にたどり着いていただきたいというのが思いです。産地でつくり続けることは安い多産地産や海外産が同じ看板を背負ってしまうと難しいものです。産地フェアーなんかでも、一番大事な謳いの部分がごまかしというのも買われる方にとっては厳しい話じゃないですか。
2012年08月03日
今日は、午後から東京のお客様がお見えになられ、夕方、出荷などを少し済ませて、そのあと、長浜でお客様とDENさんのスタッフの皆さんと一緒に食事をさせていただきました。縄という古い町家を改造した居酒屋さんで創作的な料理がおいしかったです。

会社に戻ってから夜中に織機の調整を掛けていますが、縦糸切れが収まらず、明日の朝、部品を細工するなど本格的な調整を行わないとならないなあと。織れないと思っていても最後には織れることが多いので、織物というのは面白かったりいたします。

今週はずーっとお客様続きで、宿題なんかは一杯いただいたものの、新たなものづくりが始まります。今の時代というのは仕事がない時代だといわれていますが、やろうとすれば仕事なんて一杯あるものです。そこで一番大事なのが自分で仕事を作れるか作れないのか。昔の人が織物を始めたのも、農業のB面としてでした。自分たちが食べるもの、着るもの、住むところを作ることまでもが、自分たちの仕事でした。

分業化がどんどんと進んで生産性はあがったものの、一人の人間がものを作り上げる力というものがなくなってしまったことは、残念なことです。
2012年08月02日
上海ブランドのデザイナーがお越しくださいました。実際にお会いしてお話をさせていただき、特別なものを作ろうとされていることが強く伝わってきます。来年のAW向けのお話でベースとなるものの試作のアイデアが固まりました。

林与のつくる素材の中でも特殊な風合いの素材を使っていただいておりますので、ヨーロッパのマーケットで非常に反応がよいというお話です。
2012年08月01日
8月になって、すがすがしい一日に恵まれました。今日は、朝から滋賀県の東北部工業技術センターの職員の方がお二人、センターの施設利用の資料などを持って来られて、雑談のあと工場を見学されました。

林与の手元には、昔の糸や生地など分析してもらいたいものがたくさんあるのです。赤苧の話を聞いていますと、青苧と比べると繊維にしにくいということで、やはり、近江上布の特色のひとつである細番手のものというのは赤苧だったのではないのかなあと推測です。大麻というのも裃に使われていた以外に、座布団や資材系などにたくさん使われていたと思います。青苧というのは全国的に一般的な麻織物だったといえます。ヨジヨモンが赤苧大絣で一等賞を取ったのも、素材としても良いものであるという認識があったからだと思っていますが、昔のきぬあさなどの手績の糸を分析してもらうなどすれば、その結論も見えてくるのではないかと思っています。

午後からは、京都のプリント工場さんが弊社に見えられまして綿のベースに近江上布柄をプリントしたものをお持ちくださいました。同じ柄であっても、リネンにプリントするのと綿にプリントするのとでは、色の出具合が異なってきます。綿のほうがきれいにプリントされた感じがあるのですが、絣調にしてありますので、普通のプリントとは違ってみえて良い感じに思います。

私にとっては今年の夏の天候というのは特別の夏に思います。日本の夏らしい夏が久しぶりに返ってきたのではないかと思うところです。私が小学生のころは、エアコンも普及を始めていましたが冷房は28度までみたいな時代でした。同じ国でも時代が変わると電力不足に対しての対応というも変わるものだなあと思います。
2012年07月31日
今日は、朝からアパレルと問屋のお客様が来期SSのリネンの企画に関してお越しくださいました。来春の企画というと時間的にもかなり状況が詰まってきているので、形があるものを選ぶほうが安全なのですが、現在、開発予定のシリーズも入っています。

百貨店に出る商品では産地の偽装や品質の偽装が厳しくなっているということで麻に限らず百貨店ブランドさんというのはより確かなものを求めようとされる傾向が強いというのを強く感じます。産地偽装や品質偽装に関しては、最終的には確かなところから購入をするしかないといえます。

ネットで弊社サイトからお買い上げいただく場合には、1週間の返品保証もお付けしておりまして一番安心いただけるような形を取っております。今の時代というのは繊維に関わらずですがうたい文句がまったくの偽装であるケースも多いので、最終的には使われる消費者の方が確かなものを見極める力がないと、販売をされている業者さんでも完全に騙されているような話もありがちです。

アイリッシュリネンなどのケースでも、リネン業界でも本物のアイリッシュリネン糸が手に入らなくなって99%以上がそんなはずはないと思われるものであっても、一部の業者さんが実態を知らないまま大量に流されていたのが事実で、アイリッシュリネン糸であることを一番に謳われて糸を販売されていたところの一人の社員の方が、展示会で林与のアイリッシュリネンに関するパネルをご覧になられて、展示会で「これは本当ですか?」と驚かれていたほど、消費者以上に素人であられることも多いものです。

ブランドさんや百貨店も騙される側になってしまっていることも多く、先日もベルギーの糸を販売されにこられてた糸商さんにも、もともとエジプトと中国のフラックス工場を持っている会社で、以前はそれを売りにされていました教えてあげると驚かれていましたが、業界では当たり前に知っておられる方が多いことでもリネンに精通された方以外がリネンを動かされる時代にはどこまで本当なのかを消費者に伝えることは難しいものです。

フレンチリネンといわれるものでもフランスあるいはベルギーフラックス表記がなされるようになってきたのも業界のなかでも適正化が進んできたように思いますが、商社の糸を動かされている方にしましても言葉すらもほとんど通じない状況で現状を知らない通訳を介して糸を買われていることが多いですので、仕方がないといえば仕方がないのかなあとも。

アイリッシュリネンの産元として業界では有名だった中国の紡績工場の方に展示会でお会いしたときに、その工場の方たちがはっきりと「アイリッシュリネンなんてもうどこにもないよ」、と業界での当たり前の共通認識をいわれ、林与のアイリッシュリネン糸が存在することに非常に驚かれていたのに、一方で、その工場で紡績された糸が日本ではアイリッシュリネンとして大量に出回ってしまっていたというのも悲しい日本のリネン業界の真実です。中国紡績のリネン糸が品質が悪くないのは、そういう大手のものを買われた、みなさんが最高峰のアイリッシュリネンとして満足されていたことからも品質としては悪くはないものなのです。

しかしながら、昔のリネンと今のリネンとは違うという感覚的なことから不思議に思われ、林与のサイトをご覧になられてその理由が分かったということでお電話やメールをいただくことも多いものです。私自身は、一部ではありますが消費者の方たちが感覚的にそれに気がついておられるのが流石だなあと思います。大手のアパレルのリネン企画担当の年配の方でも、フレンチリネンに関しての大きな事実誤認があったりするので、どこからその間違った情報が入ってしまっているのですが、ありがちなのはよく分かるのです。販売されている方も本当のあたりをご存じないのが現実で、百貨店にですらも本当のあたりが伝わることはありません。

リネン業界の常識と百貨店店頭の認識に今も大きなズレがあるので、消費者の方に真実が伝わるかどうかすらも危ういところで、百貨店の店員さんが謳いにしていることに関しても産地偽装などの根源になってしまうのも怖い話ではあります。安いことを売りにする量販SPAは別としても、百貨店で販売されているものですらもが産地や品質ですらもが事実誤認で総崩れになりつつかある中で、消費者の皆さんに対して確かなものを売りたい買いたいと林与にたどり着いてくださる業者かたも多く、それを励みにしないとならないなあと思います。店頭でもどこで作られた生地ですかと聞いていただいたときに、弊社に限らず織工場の名前までもがしっかりと聞こえてくるようならものづくりに関しては安心していただけるかと思います。

近江の業者さんが扱われている麻布でもしっかりしたところは、浜松で織っているとか、西脇で織っているとか、高島まで織っているとか、中国で織っているとか、正直に話されており、そういう情報も業界は小さいので伝わってきます。そういうのに驚かれて私に言ってくださる方もあるのですが、私が言うのはそれはがっかりとされることではなく、正直に話されているので当たり前の真実として受け取ってもらいたいと思うのです。

日本の麻織物の本場といわれながらも近江湖東産の麻布というのがほとんどなくなっている状態ではありますので、それが特別なことと思われずに、産地に関してもそういうことが当たり前である状況を業者の方も消費者の方も受け入れてもらう必要はあるかと思うのです。たとえば、海外や他産地で織ったものといわれてそれは偽装でもなんでもなく真実なので、そのあたりはがっかりされることなく今の産地の現状であることを受け入れて販売や購入の際の判断に加味していけばよいことだと思います。
2012年07月30日
ある工場の社長さんと話をしておりまして、お話を聞いていますと驚くようなお話が多く、その工場で働いておられる方というのは繊維業界の中でも、今の厳しい時代では一番くらいに恵まれておられるなあと思います。

それを続けておられるということ自体すごいなあと思いますが、続けていくのは難しいという当たり前の問題にもぶつかっておられ、新しいことにチャレンジをあまりしてもらわないほうが、仕事を頼んでも迷惑にはならないのかなあと思ったりします。

その工場と同業であっても、まったく反対に、どんどんと新しいことを提案して動かれている工場さんもあり、両極を見ているとやはり新しいことに取り組まれているところのほうが、職人的なところを感じてしまいます。これは矛盾しているようですが、多くの場合において真実ではないでしょうか。基本をしっかりと持って応用が利くというのが仕事の出来る人の理想で、基本がしっかりとしていて何か普通じゃないしゃれたところがあるようなものが求められているものではないでしょうか。
2012年07月29日
今日は、早朝から150番手ストールの織を進めました。耳を綺麗に織るのが難しく、耳の具合の細かな調整に時間を掛けます。日本のシャトル織は着物の手織の世界のシャトル織なので、耳まで綺麗に使えることが大事だと思ってはおります。

今日は、特別に10時半に休憩を入れて、琵琶湖松原湖畔で行われています鳥人間コンテストを見に行きました。お昼前までに終わるイベントですので、最後のチームが飛んでいるのを見るだけですが、そのがんばる姿勢というのは、今の実社会でも見ることができないほどで多くの人に感動を与えます。

14キロの工程をプロペラ機で自転車をこぐような形で50分。琵琶湖を舞台に人の力でどこまでがんばれるのかという究極の世界、お金を払って見に行くどんなイベントよりも演技じゃない真剣な姿勢には感動を受けます。

50分見て応援するだけで自分自身がすごいことをしたような錯覚に陥るのは危なくて、自分自身が何ができるのかをしっかりと見つめると、そんな元気をもらって工場に戻って自分の作業に打ち込むのがすべてではないかと思います。
2012年07月28日
今日も、外の温度が夕方5時ころで35度を記録していました。一日一日暑くなる毎日のようです。厚手の綺麗な表情の布にウォッシュを掛けてユーズド感を出したものをいかがなものなのか検討していました。藍染にした本麻は草木染にありがちな物性の安定をさせるための段階です。

私自身が、本麻のシャツを着て涼しい体験をしていますが、会社の中の人にも麻のシャツをきて体験をしてもらいましたところ、完全に体感温度は違うのを感じたようで、麻シャツの機能性はより多くの人に分かってもらいたいところです。とくに汗がにじむような蒸し暑い状況において着心地の違いを実感してもらいやすいと思います。しっかりと厚みがあっても清涼感を感じることができるのは本麻の強みです。

今、私が着ている麻のシャツ生地というのは昭和40年ころに36幅で織ったものです。先染の白黒のチェック柄なのですが、着物の和の感じがして今の服にない存在感があります。この反物が自分用の服になった背景も、こういう昔の良いものの価値観をいうのを分かる人が少なくなってもったいないので自分用にシャツを仕立てました。昔の生地と言うのは味があってよいものです。

15年ほど前までに作っていたものというのは、出来る限りの贅沢を布に埋め込むことを考えるのが仕事だったように思います。その後の流れというのは売れない時代に小ロットで生産するときにどう安く早くものを作るのかということが主流になりました。昔のものと比べると日本から良いものが消えたといわれるのは繊維業界だけの話ではないところです。

昼とか、工場の周りで普段聞きなれないコトコトという感じの音がするので、なになのだろうかと?水が水路を勢いよく流れる音で、水が田んぼに引き込まれます。昨日まで干しあがりかけていた田んぼに水が勢いよく流れ込んで行くだけでなく、家の周りに水の流れがあることで涼を感じることが出来ます。昨日まで水溜りにいたドジョウやめだかなんかも流されて今は新しい居場所を見つけたことでしょう。水溜りが乾ききったときにドジョウやめだかがどうなるのかと心配もしていましたが、人のちょっとした行動が何百という今は希少なドジョウのような自然の生物の命を握ってしまっているのは昔とはまったく違う状況だといえます。日本も砂漠化というものが進んで生物というものが生きて行けない状況に陥りつつあるのは、夏なのにイエ蚊などもめっきりすくなくなって過ごしやすくなったのと裏表の関係の事象です。
2012年07月27日
暑い毎日が続いています。夏らしい暑さで、夜7時回っても32度とか。蝉の声も聞こえてきました。毎日、半そでシャツと短パンで仕事をして、冬になれば暑さというのも懐かしくなるものだと思うもの。暑さから逃げようと思えば逃げられるけども、暑さと面倒くささとかは似ていて、どちらも我慢して乗り越えるのが普通でないと、暑いとか面倒とかで単純な仕事ができないのではメンタリティの面でよいものをつくるのは無理。

熱いときにどう集中を高めるのかがひとつの大きなポイントで、2L、3Lとかの冷たい水やお茶を呑むことで体をリフレッシュ、周りからは異常に思えるかもしれませんが,、あとは体の作用でクールダウンです。

頭で分かっているのと自分がそれをいつでも仕事に活用できるのとは別物で、いくら物事が分かっていてもそれを生み出す力がなければ意味がないのが、仕事を始めるスタートライン。自分が経験がないことや出来ないことを主張するのは仕事としてやっているのにどうしようもない話で最初からのその感覚では無理でミスマッチな気がします。

これは働いている人に言えることだけでなく、経営者自身にもいえることで経営者のメンタリティのレベルがいまどきの学生未満のメンタリティでは職人を育てることもできずどうしようもないなあと感じる現場に遭遇することは多いもの。一般論を理想にしていては、規模の大きい海外の企業にどんどんと越されていってしまうのも分かる気がします。

パリの展示会などでお話した他のブースの中国のリネン生地関連企業6社さんの姿勢というものが、どのブースの方も、仕事に関して非常に熱心で紳士的な対応で、すでに日本の仕事に興味のない職人レベルを超えてしまい始めているのは危惧をするところで、日本離れが進むのも仕方がないなあと感じます。
2012年07月26日
今日は、本当に暑い一日でしたが、私は幸せに水を触っていました。涼しい感じの布が出来ないかといろいろと生地を染めたり風合い出しをしたりと試行錯誤ですが、太陽が照っているときに水を触るのは気持ちが良いもので仕事しているのを忘れます。

水というのは、水分補給をするだけでなく、飲むと体の温度を下げることで不快な気持ちも落ち着きます。一日中外に立っている木なんかも暑いだろうなあと思いますが、地面から水分を吸い上げて生き生きとしているのが夏です。逆に過ごしやすいはずの秋に枯れてしまうのは水の循環こそが緑の源なんだと思います。

麻の藍染の作品が2つ出来ました。ひとつはムラっぽく染めてみて、もうひとつは出来るだけ濃く涼しげな感じを出したかったのでディープな紺、両方とも見ていて涼しげなので良いんじゃあないでしょうか。ワンピースなどに仕上げてもらうと素敵だろうなあと思います。

もう一方の風合い出しのほうはうまくいかずに失敗でやり直し。求めている風合いとは違うので、理想の風合いを求め続けてみたいです。
2012年07月25日
昨日は、前に染めのテストをしてからうまく行かずあきらめかけていたのですが今日はもう一回テストをやってみようという気持ちになってうまく濃く染まって問題解決です。今までの何倍もの濃さで染まるようになりました。

布に柄を印刷することに関しても、昨日はなんとなく出来る気がして思い切ってやってみたところ、きれいにプリントできる方法が見つかりました。テストプリントくらいならこの方法で出来き、柄の応用の範囲が広がりそうです。

麻布の表情を求めるプロジェクトの技術的な壁も、なぜか昨日くらいに頭の中で解決がしました。これは加工に関する問題で、不透明なところが多かったのですが解決をしていきそうです。どの問題も1年以上前からどうやったら出来るのだろうかと考えていたことばかりだったのですが解決方法が同時期に見つかったというのは面白いことです。

今日は、150番手の糊付に出しました。糊を付けも昨年の経験が生きています。今年はアパレル向けに150番手の先染ということで、薄く織るのではなく、通常の方法でアイリッシュリネンハンカチの規格くらいにしっかり目に織ってみようと思っています。素敵だなあとか欲しいなあと思う布を作りたいと思います。

これがうまくいくならリネン150番手の先染ハンカチもかなり手ごろに使ってもらえる世界のものになりそうですが、現行の糸で150番手にふさわしい質感が出るかどうかも評価のポイントではないでしょうか。
2012年07月24日
林与のリネン100番手ストールをお買い上げいただいた方には、リネン66番手と100番手との違いを感じていただけるものと思います。糸番手にすると、この1.5倍の差こそが麻業界でもなかなか超えることのできない世界だったのです。

細番手の糸というのは、手に入れるのが難しいだけでなく、当たり外れが大きく、織れない糸に当たると、それが仕事として進まないだけではなく、すべての時間がその仕事のために取られてしまいますので、ある程度努力して無理なら一からやり直すことになります。そしてそれをやり直したからといって同じことにならない保証すらないのです。

2000年くらいからリネンの糸を探しても良い糸が手に入らなくなりました。先染というのは、柄によっては糸一本がはっきりと見えてきますので、毛羽など糸の形状の問題などベストな糸を手に入れてもクレームなどが多く、糸商さんもその問題を把握されていなかったりで改善するすべもない。そんな中、林与のアイリッシュリネンの糸を探すプロジェクトは始まっています。

紡績関連の方の話を聞いていても、また、北アイルランドの語り部プロジェクトのいきさつからしても、1970年代くらいでアイリッシュリネン紡績というのは終焉を迎えてしまっていたということのようです。オイルショック後に糸がまったく売れなくなった時代に、日本が好景気でそういう名残の糸を買って使い尽くした感すらあります。

アイリッシュリネンの糸が売れなくなった背景には、ポンドショックや合成繊維の台頭のほかに、レピア織機の隆盛があったと思います。高速回転のレピア織機が導入され、織物の精度が高まり、生産性が追及されるようになって、細い糸というのは、織るのも難しいものとなってしまって消えていく運命になったと思うのです。ウォーターレッティングからデゥーレッティングへの移行もアイリッシュリネンがアイリッシュリネンとしてのゴールドな色味を保てなくなってしまい、北アイルランドの紡績工場が紡績を断念せざる終えなくなった大きな理由のひとつではなかったかと思います。

日本でも昭和の中ごろは働く9割の人が繊維産業に携わっているといわれた時代がありましたが、どんどんとその割合は小さくなり、今では繊維製品の9割以上が海外から輸入されその流れは変わらないと思います。多品種小ロット、ニッチェなものづくりが日本企業の生き残る道だといわれますが、それはいうのは簡単で理想ではありますが現実の商売がそれで長持ちするのかというと産業全体としては疲弊して残るところはどんどんと少なくなっていきます。
2012年07月23日
今日は、インターテキスタイル上海の会期中に会場内で行われますチャイナインターナショナルファブリックスデザインコンテストに提出する生地を準備しました。生地サイズが60cmサイズが2枚必要ということで提出する側としてもちょっと生地が大きすぎ覚悟のいるコンテストです。

今の「林与」らしいものづくりのスタイルの素材をピックアップしました。コンテスト向けには地味すぎるかもしれませんが、インターナショナルコンテストということで日本らしいものづくりを象徴するような側面を印象付けることができればと思います。

生地を提出するというのが生地をカットして送るだけで済まないのは、海外向けですのでインボイスなどの作成が必要なこと、プロフォーマインボイスをつくりましたが、今回の場合はコンテスト向けですので無償のサンプルとしての扱いでよいのかどうかも判断が難しいところで、世の中それほど親切に教えてくれ責任をもってくれる人は居てくれません。自分で前に進めて結果を見るしかないことも多いものです。

このことは仕事ができる出来ないと似ています。自分で仕事が出来る人というのはあやふやな部分を自分の判断で前に進めてそれが仕事として実際の成果になっていることです。目の前にあるひとつのことを自分がやらないとほかの人がそれをやってしまうと自分が仕事を経験するチャンスを逃してしまうだけでなく。最初の一回で苦手意識がつくその物事は次にやるときも苦手、全体的に何をやるにも苦手な人間になってしまいます。
2012年07月22日
雨上がりの私にとっては涼しげな1日、過ごしやすい夏の日です。日曜日で仕事していてもったいない気がして夕方出荷が終わってから琵琶湖を眺めに行きました。海水浴シーズンになりまして、海水浴場も混雑しているだろうから愛知川の河口近辺の寂れた漁港を散策しました。

琵琶湖までくると水というのはきれいではないので、海水浴をするのは普通は川の途中ですることが多いものです。永源寺とかまで上るときれいな冷たい水を体験ができたことを思い出します。琵琶湖の水がきれいではないのは本当に残念なことですが、子供のころから水が濁っていたのを覚えており琵琶湖の水というのは昔からそんなもので、それゆえに、濁った水を好むような生物が生息しているものです。
2012年07月21日
自動車で、走っていると赤苧が道にはみ出してきているところがたくさんあります。自生している植物の強さを感じます。私自身は、献上されるような細い近江上布の特徴である繊細な生地というのは、大麻や青苧ではなく、赤苧で作られていたのだろうと結論付けています。

これは、他の産地でも赤苧に関しての織物についてあまり報告がなされていないのが裏付けになるのではないかと思っております。近江では赤苧が特徴のあるものとして織られていたのです。林与の赤苧大絣が品評会で一等賞を得ていることからしても赤苧というのは、特級のものであったという証ではなかろうかと思います。

植物というのは、動物と比較すると存在感が少なく、軽く扱われてしまいがちですが
動物以上に長い命を持つものも多く、神社の桜にしても、子供のころから何十年もそのままの姿であり続けています。雑草として生える赤苧にしても、それはそれで何百年を超える自然が残っているということで、単なる藪や茂みに見える部分も自然として残していくことも大事だろうと思います。
2012年07月20日
今朝は、繊維ニュースをご覧になられた東京の方からお電話をいただいて、まだ、見ていなかったので確認しましたところ、JETROさんのインテキ上海の説明会の記事と同じページに、林与の記事も載っていました。

今年のインテキ上海に向けては、リネン150番手の先染生地、近江上布プリント和柄シリーズ、藍染や草木染などのシリーズも検討をしていきたいと思っております。リネンで150番手を先染で織るというのは簡単なことではないのですが、ビンテージアイリッシュリネン140番手を先染で織る取り組みを行った成果を現行の糸にアプライいたします。

ビンテージアイリッシュリネンの風合いというものは、同じ細さであったとしてもまったく違う世界を感じさせますので、単に糸の細さの問題ではないのです。現行の150番手も手に入れることすら難しいのですが、その糸でどこまでアイリッシュリネンの風合いに迫ることが出来るのかが課題です。

近江湖東の産地でも、もう麻を織っているところはないといわれながらも、林与が麻を織り続けたことが結局、産地に麻織物を残し続けることにつながる。売れるものだけを作ろうとすると海外でもできる普通なバルクの世界、やっているからには日本の麻の味をしっかりと守り続けたり、特別なものづくりに挑戦したりするところに意味があるような気がします。

お客さん以外にもいろいろなテキスタイルメーカーさんもが林与のものづくりに興味を示してくださることがあります。もちろん普通のものづくりもしますが、他の同業の方が見られても特別に見える織物を形にしているところが存在している意味なのかもしれないと感じるところです。
2012年07月19日
昨日はインターテキスタイル上海の出展者説明会が大阪でありました。大阪に着いたのがぎりぎり、会場探しに迷ってしまい少し遅刻で会場入り、運営の皆さんというのは存じ上げている方が多かったのですが、出展者の皆さんというのは会社のお名前は知っていても初めてお会いする皆さんがほとんどでした。トレンドコーナーに出す素材のカラーディクテーションなどがあって、頭の中ではどの素材を提出するか。トレンドの色とかを学ぶでなく、自分の作ったものや作ろうとするイメージにどこまでそれが近いのかが大事というところ。

夕方からは、繊維ニュースさんのインターテキスタイルに向けての取材で、ダイセン本社に出向いての取材でした。夜は、JR大阪駅サウスタワーで、西脇の機元さんで働いておられるデザイナーさんと夕食、もう1年以上ぶりになりますが彼が学生のときにコラボさせていたたいたことがあって、社会人になられて自分の理想の道に就かれてよかったなあと私も思います。

大阪は気温だけをみていると滋賀県よりも暑いと思っていたけど、どこを歩いていてもアーケードの下を歩いているようなコントロールされた風が吹いていてすごしやすい。大阪駅も改装されて洗練されたイメージが漂う、以前はリクルート姿が目立つのが大阪のイメージだったのに、今は、歩いている人のファッションも華やかに思える。電車で帰ってきて疲れていて駐車場で休憩、昨日は大阪に出て一日仕事ができていないので今日は仕事を取り戻そう。

今日は、側溝の水のたまりにドジョウがいた。私の地域では絶滅したかと思っていたけどもどこかにいたのか、どこからかやってきたのか。しかし、今年は蝉の声がまだ家の周辺では聞くことができない。これだけ田んぼに囲まれている農村でも、虫すらもが珍しいというのは砂漠化が相当進んでいるということだろう。
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