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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2022年03月27日
今日は、京都から青土さんが来られて一つの企画案件のほかに中国の手績みの糸の話など。この2年ほどは中国に行っておられないというお話。いけないことはないのだけども、行くと隔離期間がある可能性も高く、その隔離がはっきりと見えないと出発前に往復の飛行機もホテルも取ることすらも難しいだろう。

中国の手機の様子を見せてもらったけども、シャトル織機の半分くらいのスピードで織っている熟練の女性の方は何センチも安定した動きでおられているのだけども、現地での昔ながらの生産としてはそれで良いのかもしれないけども、日本的な品質レベルに高めるようなやりとりをされておられるのが青土さんだということ。

あと、おいしい中国の郷土料理と織物のこだわりとの関係なども、現地でもうけ感覚とは違う探究心的なものをもった人が一人おられることでその世界が成り立っているようなお話。私も中国の展示会いったときに、一般の商売ベースの方のほかに、とことんなモノづくりを求めたいと思っておられるような方が企業経営者としてまたアーティストやクリエーターとしておられたりするのを感じた。

私も普段は料理をつくらないけども、すき焼きとか料理をつくるときにはお店の商売レベルとは違う、昔ながらの地元の人が愛したようなすき焼きの世界が林与の中にあったりして、それは普通のお店では食べることのできないレベル。林与の家でも昔は鳥すきなんかをつくるときには、もう廃業された鳥信さんの出汁をつかって地鶏でも別途に取り寄せて豪華にして好きなだけ食べてもらうのが流儀だったりした。

本当に家で漬けた鮒ずしの味を知っているが、風邪をひくと、鮒ずしを茶づけのようにしてこれを食べたら風邪が治るといわれても、頭もぼーっとしていても、その鮒ずしを我慢して食べるくらいなら風邪なんてへっちゃらなレベル。今の匂いのしない鮒ずしというのはお手軽鮒ずしで、本当の鮒ずしというのは普通の人からすると絶対に食べるのは無理というか、そういう本物の鮒ずしがおみやげ物で売られたりすると新幹線が止まるような話も普通だと思う。常識を超えたところがある。もうあの臭さの鮒ずしに出会えることはないだろう。当時の家で漬ける鮒ずしというのも相当高価なもので、鮒ずしの業者が春過ぎに林与に回って来て漬けてくれて、途中で魚を洗ってコメを入れ替えして毎年正月前に出来上がっていたのを覚えていて、お客さんに家で漬けた鮒ずしを振舞うのが最高のもてなし。集落でも数軒しかできなかった贅沢だったと思う。40年以上前でも、それなりに大きなヘラブナだけど自分でコメも出して、魚代と仕込み料で、1kgだか1匹だか1万円とかもかかるというのも当時も聞いてすごい贅沢な食べ物なんだなあと漬けるのや途中の洗うのを手伝ったりしていた。一度に一樽に8匹くらいはつけてもらっていただろう。

しかし、子供のころの私からすると床のしたから臭い魚が出てきてそれを食べないといけないのが、漬物とは違って気持ち悪い怖さがあった。すき焼きと並んで鮒ずしは近江の特産で、林与の麻織物もそういう近江の特産の世界の一つというだけのこと。今でもあの最高に臭い鮒ずしをつけてくれる鮒ずし屋が残っているのだろうか、親戚の家で漬けた鮒ずしはおいしかったがあの鮒ずしの臭さはなかった。ああいう古来のなれずし的な臭さをおいしいと思えるのが本当の食通なのだろうなあと思う。君の名は、の口神酒に近い世界。
2022年03月25日
昨日太い糸を織っている織機で、シャトルの管の糸が崩れてシャトルが反対側までうまく抜けきらずちょうど、織機の杼台のすぐ下あたりに落ちた状態で、挟まって木製のシャトルが壊れた。これは1か月ぶりくらいだろうか、やっぱり、1か月に1個くらいはシャトルが壊れる。今、左右合わせると新しいの100丁くらいは持っているだろうけど、よく使う左側だけだと60丁くらい。今回壊れたシャトルは右、あまり使わない右側のシャトルでまだ良かった。

シャトルも細い糸を織っている時にはあまり壊れないけども、太い糸を織っているときというのはどうしても壊れやすい。先月はかなり4色杼替えものをたくさん織ったことも影響していて2個壊れた。色が変わるタイミングで杼箱の上下運動とシャトルの左右の動きが、シャトルが杼箱のなかに長く滞在してシャトルの位置が移動してしまうと、ステッキがシャトルのおしりをたたくときに隙間があったりすると、初速が付かずに、反対方向まで飛ばなかったりする。

逆に色が頻繁に変わる柄のほうが、どのシャトルも常に杼箱のなかの一定の位置にあって安定してステッキに叩かれるので問題は起こりにくい。それを解決するために一休さんして解決したのが先月。この仕事って本当に問題が起こることが多いので、問題が起こらないように対策したりいろんな準備をするから、外の人と物事に関して話をしても外の世界というのはそれほど複雑ではないように思えたりもする。

知らない分からないできないで終わることが多く、ありきたりの答えで終わる、そういうことが多い。耳までリネンの耳の切れて織れない問題に関しても、問題なく織れる解決方法の一つではないかというのにたどり着いてようやくか。調子よく織れているのに途中から耳が切れ始めたりする、その原因にようやくたどり着けたような気がする。10年早く気が付いていればよかったのにとは思う。これで自分の将来の時間をかなり節約が出来そうである。

2022年03月20日
今日は織物体験2日目で、機替えと、経糸を繋ぐ作業。縦繋ぎの修得から、左手で糸の束を持って、右手人指し指がくるっと回って糸が緩みなく繋がれて行く。職人にしかできないと思うような縦繋ぎなのだけども、普通の人でも練習すればだれでもできるようになる。前かがみになるので、腰が痛くなったり、体が疲れるし、指も変に力が入って攣りそうとか、指先がうまく糸を取ることができないもあるので、1本の糸を繋ぐことすらもが苦痛から始まって、なんとか連続して正しくつなげ始めたらシメタもの。私が縦繋ぎしているのを見ているだけではマジックのようだけど、教えて覚えてやってみてできると自信にもつながる。

作業に我流が入っては駄目で、教えられたとおりにやってみる努力をすることが大事で、そういう正しい努力が出来るようになる練習にもなる。正しい努力を積み重ねることで、千里の道も1歩からみたいなのを乗り越えて、ゴールである、すべての糸を繋ぐことを終えられる。何時間も辛い姿勢でがんばっても経糸が何千本かつなげたというだけの作業だけど、織物を織るよりも時間も根気も体力も必要。

繋ぎ終わったあたりで食事休憩。そのあと麻組合に寄って、職員の方による腰機での手績み糸の手織りの実演なども見せてもらう。お二人は大麻に興味がある方たちなので日本の大麻の産地などに関する話も職員の方に熱心に尋ねておられた。麻組合の販売されているものの中には、5cmとか10cmで織られた小幅の織物がたくさんあって、お二人が商品として作りたいアイテムに使うのには十分な巾。

後には、結び目を前まで送って織出しの作業があるのだけども、送る途中で糸が抜けたり、切れたりしたのを一本一本直して行く作業が待っている。そういう作業を坦々と前に進めていって、動かそうとしても経糸のゆるみや経糸切れでまともに動かないのを、根気強く一本一本正しくしてゆくことで、何事もなかったかのように織機が突然動き出す春の雪解け。苦労を乗り越えて、みんなが笑顔になる瞬間である。その春の雪解けを経験して頂いて、2日間の織物体験は終了。長いお昼休憩を取ったこともあって予定より1時間くらいは遅れたけど、繋ぎ終わった糸を織出すまでを完了することで、部分的な経験だけでなく、答えまでを必ず出すというあたりを見ていただけたかなあと思う。

次回は整経作業の基本を経験してもらおうと思う。雑談的な話のなかでこんなことがやりたいと思っておられるあたりのものごとをお持ちで、一般的な企画の方なども同じようにやりたいものごとをもっておられてもそれが前に進むことというのは、いろんな事情があると思う。技術的な問題の前に資金的な問題もあったり、資金がない時にはどうやって解決してゆくのか、自分で手で織ればよいのではみたいな提案もさせて頂いたり、プロに仕事を頼むと逆にできることが限られていたり制約もあったりしたりで、自分自身が自分の持っている環境やものづくりする環境を自分のできる範囲で持つことで、その中で自分の夢の実現を考えてゆくというのが現実的で、林与自身も普段の地道な仕事をこなしながら、余力が出来た時にはその余力を使ってやりたかったことをやってみるという姿勢
2022年03月19日
今日は土曜日だけど、大阪から織物の現場体験にお二人、繊維全般に関する知識と織物全般に関する知識と実際の織物の現場の体験してもらうことが目的。

初日の午前中は、糸の番手についての話。綿の番手、麻の番手、ウールやシルクの番手の違い。案外、何番手の糸を使った織物と言っても、その番手の意味を太さのイメージとして持っておられる方は多いかもしれないが、実際にはそれぞれの番手がどうやって決められているのかということを説明。糸の番手の厳密な説明は、絶対に1回や2回きいたところで覚えられるようなことでもないので、最初に1回教えてもらって、あとは、自分で必要に応じてネットで調べてその都度、糸量の計算などに活用すればよいと思う。番手の説明の後は、糸を機結びを練習してきてもらったので、それを確認してコツ的な部分を体得してもらう。

そのあと現場に入ってシャトル織機を動かすところを見てもらう。そして、シャトル織機を自分で動かすのを経験してもらう。30分ほどの練習で、シャトル織機に慣れてもらって、経糸が切れたり、横糸がなくなって止まった織機を、動かす練習。これがうまくできると織機を実際に動かせるので職人気分を味わえる。あとシャトルの管に残った糸を片付ける作業なども経験してもらって、工場の中を織機を停めずに忙しく動き回って手が空いたら糸の片付けみたいな、普段の現場の人と同じような感覚を知ってもらう。

私自身は他の進めないといけない糸を割ったり整経などの作業があるので、その作業をしながら、分からないところや問題が発生したときにヘルプするような形。初めての経験のお二人だったが積極的でかなり呑み込みが速く、頭では作業が理解できて実際に織機を動かすことで織物は織れて行く。初めて織機を触っていきなり織物を織るというようなことは異次元の感覚かもしれないけども、物事をするときに毎回高い壁を平気に乗り越えてゆくような姿勢で取り組んで実際に成果を生み出していくやり方こそが、ものづくりの世界で食べていくには必要な肝の部分ではないかと思う。

現実的な作業を高度なレベルでこなして行く、織物を作っているのだけども、ジャグリングのパフォーマンスあるいは花の蜜を求めて花から花へ飛び回る蝶のように次から次へと織機を動かす。人生観的な違いや仕事観的な違いが、モノの価値を考えるときに違いとなったり、考え方の違いで行動の違いも生まれてくる。行き詰まったときに解決してゆく切り口のようなものを何通りも検討して試して行けるような柔軟性と行動力が大事だろうと思う。まあ、底辺に思われるような工場の現場作業の内容にしても案外レベルが高かったり、一方で職人しかできないと思っているようなことがそれほど難しいことでなかったり、そういうのを知るための体験の機会。
2022年03月16日
林与のドリームネットメールアドレスが現在、メールプロバイダーが2月末でサービスを終了したことにより、本日から送受信が難しい状況になっております。問い合わせたところ、3日程度で別サーバーでのサービスにて復旧するということです、その間、ご用件のある方は、info@hayashiyo.comまでメールお願い致します。
2022年03月15日
※早速、応募者が何人かご応募くださり、調整に入っております。(下記の件の応募は、恐縮ではございますが、キャンセル待ちでよろしければご応募ください。)

ウクライナのためのプロジェクトのために林与がウクライナ国旗のイメージの3つ生地(主に、ストール生地、キチンクロス生地、エプロン&アパレル生地)を作ります。売り上げはすべてウクライナ駐日大使館に寄付いたします。ボランティアということが前提で宿泊場所と食事は提供しますので、交通費自己負担、無償で生地つくりに参加いただける方募集中です(学生の方も春休み限定で参加可能、ただし学業に支障が出る場合は不可)。3月26日から4月10日の間、原則5日以上参加程いただける方。また、利益無償で販売頂ける方やお店も募集をしております。販売期間は予定では4月半ばからウクライナ情勢が落ち着くまでの間です。すみませんが、応募多数の場合には、選考させていただく場合がございます。
問い合わせは、info@hayashiyo.comまで、お願い致します。


2022年03月11日
ロシアに対して経済制裁という手段が取られている。非人道な独裁国家に対して武力を使わない形での抗議である。空港を使わせなかったり港を使わせなかったり、国の上空をロシアの飛行機が飛ぶことを禁止したり、民間企業も武力で他国を攻め入って支配し、ロシア国民に対しても外の情報を遮断するような反民主主義的な独裁ロシア。損得の話ではなく、他国の人の命を武力で奪う、また、ロシアの反対者を国家に反する罪で投獄したり、ロシア兵の逃亡を犯罪者としてみなすような独裁政治。

今回のウクライナ侵略だけでなく、その後のロシアの各国に対する対応で、プーチンロシアという国がどれだけ非道な国なのかというのが露呈した。武力で他国を威すような国でしかない。関係を絶つのがベストである。他国を攻め入り他国の人々を殺しながら、ロシア国内では通常の生活が海外企業の経済活動で満たされるなら反省する余地すらも生まれないだろうし、海外企業はロシアの経済発展の続けてロシア国家に資金援助する形になる。

私自身政治的な裏の世界は本当に嫌いな人間で、裏で汚いことをやってばかりの嫌いな人間たちとは付き合わないのがベストだと思っている。日本国内でもいろんな政治家が正体を現し始めて、ロシアの呪縛から抜け出せない政治家が多いが、おいおい、今ウクライナで起こっているロシアによる殺戮を肯定してしまうのかという話。しかも、それを止めようとする国際社会に対して、ロシア派後悔するぞと核兵器の使用をほのめかし脅しをかけて来た。それでもロシアを支持する日本の政治家もいる。

脅しに屈して隷従させようとするような姿勢に対しては、絶対に負けてはならないと思う。全世界が一致してそういう他国を武力で滅亡させるぞみたいな独裁国家を孤立させる必要がある。国際社会は武力を使わなくても自分たちの権利と意志で独裁国家を孤立させることが非常に大事で、独裁国家の人々にも、自分たちのリーダーが、他国を脅し、国内においても富と権力を独り占めしているような独裁者であることを分からせることが必要。

そういうのになびく国際的な大企業というのは独裁者と同じ様な考え方に陥っていて、非人道な殺戮行為すらも自分たちの経済的な独裁のためには黙認だったりするもので、そこまでして金儲けしたいのかな話になってくる。日本政府も、ロシアとは早めに手を着るべきだる。日本の商社の多くがロシアの行為を黙認してロシアとともに歩もうとしているけども、国益と言いながら、人を殺してまでも黙認して金儲けしたいのかなあたりでふらふらしているのが日本政府や日本の大手企業。人間として地道にはたらくとか考えないで、武力や殺戮で奪い取ろうとしている力と手を結ぶようなことをしていては恥そのものである。そういうのに当たり前に気が付かないで力関係に溺れてしまうと、弱いものから生きてゆくのに大事なものを奪い取って金儲けに溺れるだけの非人道な企業でしかない。いくら富と力を手にしても満足することのない独裁者と同じ様な感覚。脅しに屈することなく、脅すような連中からとは手を切らないと同じ穴の狢。
2022年02月26日
私は地理は苦手で国名や歴史などがあまりよく理解できていない。今回のロシアのウクライナ侵攻で、チェルノブイリがウクライナにあることを知った。同時に、ウクライナというのは強い人たちが住んでいるのを、チェルノブイリ原発事故の時に5000人の消防士たちが石棺化の過程で死んでいった。命を投げ出しても国の人々を守ろうという地域性が今も残っていると思う。軍隊と同じような覚悟を消防士も持っている。

ロシアが簡単に制圧するだろうと思われていたが、ウクライナの人々も戦う覚悟を決めている。びっくりしたのが今まで軍隊をいつも送り込んでいたアメリカが派兵しないということ。NATOも派兵しないということで、軍事大国ロシア相手にウクライナは丸裸の戦いを強いられている。

今まで普通にメディアにも出ていたプーチンが、もう国際社会の中で居場所がなくなりつつある。核兵器を使うような脅しも見せてしまうとそれはもう受け入れることは難しい。本当に核兵器を使う可能性もあるかもしれない、でもそれに怖れてしまっては、すべての人類の平和とか共存とかの概念すらも空しい。引き下がることも難しいような状況が今既にあり、もう前の状態に戻ることは難しいだろう。

同時にロシアという国も軍事面ではアメリカと並ぶ大国であるというのもソ連時代のイメージが強いからか、今のロシアの現状は軍事力を維持していくにしても窮するような経済状況。資源を打って経済を成り立たせている。GDPでみるとロシアは66位で中国の64位と並ぶくらい、一人当たり1万ドル程度。日本は24位4万ドル。ロシアと中国の違いは経済も衰退気味か成長中なのか。今回の経済制裁でロシアの経済規模はまた小さくなってしまうだろう。ウクライナという国は120位でひとりあたりGDPは4000ドル弱で世界の中でも一番低い層に位置する。

日本も国際的にはもはや経済大国と呼べるほどでもなくなりつつあって、経済的には豊かでなくても豊かな暮らしを目指さないといけないのではないかと思うような流れ。経済的に豊かを目指せば貧富の差に乗じた取り合いに終わるだけで、たとえば海外生産においても途上国の多くの人が大学に行くようになれば、日本と同じくらいの賃金は必要になってくる、その時に日本人は何をして食べていくんだろうの一つの国の結論みたいなものが、観光立国であったんだろうけども、海外の人にとって、東京なんかでも浅草あたりを除いては、情緒があまりなく、大阪の下町情緒的なものや、京都の歴史的なものがスポット的に観光資源として生きているだけで、一般的に古い建物などはつぶしてしまえという今の価値観で観光立国すらも難しいような流れではある。

人々の考え方においても全体をステレオタイプに時世に合わせて誘導することも必要ではあるかとは思う部分もあるけども、観光立国にも共通する魅力的な要素である人々の個性というものが大事であって、日本人というのは特別な考え方を持っているなあと思うところもあるけども、行政なんかはそういうのを否定しがちで、地域社会や企業文化として育んで残しているようなところもある。日本なんて100年もさかのぼれば、生きてゆくのも難しいような状況が普通だった状況で、政治や行政は別として、一般の人々はお互いに支えあいながら生きてきたところがある。



2022年02月25日
先日1台の放置してあった台をようやく立ち上げることが出来て、6台が綺麗に動く形に。1台でも一番追われている仕事がうまく進まないときには、動かせる台も全部止めてしまうので、仕事というのは怖い。7台目も立ち上げ中だがそちらは試作なので検証が必要なのでこれもまた他の台を全部止めて慎重な作業が必要。

6台目の立ち上げの時も着れた糸をすべて直して機替えして機を繋ぎ変えるだけで数日の作業。整経も含むと1週間掛かり。織り始めても左耳の糸が切れ易く、切れた糸が経糸切れを起こして耳の部分がうまく織れず崩れ最初の10mほど織ったものはそれが頻繁に起きてしまっていて使えない。原因が何なのか、アゼ棒を入れてみたり、コマにしたりと試す。織っても数メートルで大きな傷、加工に出すと加工工場が迷惑するので、本格的な対策が必要で、そこで1日ロスして耳糸切れの問題を解消。

ようやく今朝から6台がスムーズに織れるようになって、一人で6台を動かす。気持ちよく6台が何事もなかったように動く、シャトル5台と1台はレピア。糸を巻いたりもしながらもまだ余裕があるので、7台目の立ち上げ作業をぼちぼちと。織るだけの仕事というのは本当は織物の織の中では一番の単純な作業で、織れるまでの準備作業や織機の調整などが大変な部分。一台一台の織機で、問題のない布をどれだけ綺麗にたくさんおるか、織ってもキズが多ければ仕事としてはゼロでもなく、マイナスでやらないほうがましというのもこの仕事の厳しさ。後でなるべく修理する必要が無いように織る。

今日は久しぶりに6台が綺麗に動いて、それでも、林与の中にある織機は30台くらいはあるのでほんの一部。それぞれの織機の機の規格が異なっているシャトル織機の場合に、個体差が激しいのでこの台は、厚織専用とか決めて割り当ててあるものもある。同じものをずーっと織り続ける仕事だと大量に生産もできるけども、いろいろなものを織らないといけないとその準備作業の時間が織るよりも掛かる場合も多い、準備作業は並行してはできず、ほかの織機も動かせる場合には動かすが、その仕事が急ぎの場合には動かせない。
2022年02月23日
私がまだ織物に向いているのは視力的なこと、眼鏡を掛けずに糸が通せたりする。同じ年代の人たちが難しくなっているあたりのことを20代の人と同じ以上に普通にできるからまだ仕事をスムーズに動かせる。視力が落ちた時には織物を作ることは難しくなるだろう、今は1本の糸を筬に通すのも10秒もかからないけども、いずれ何度通しても正しく通せないときが来るだろう。糸もいろいろと持っているので今のうちに難しそうな織物は織っておこうと思う。

麻の細番手の高度な織物というのは将来作るのは難しくなるだろう。温暖化が進めばフラックスにとっては天候不順ということで育ちにくくなるだろう。2006年かはヨーロッパが長雨で最悪の年があって、そのあと、2008年ころに1年だけ、フラックスの作柄がむちゃくちゃ良い年があった、あれからもう14年にもなるが、あのとき以上には良いなあと思う年はない。そういう年は、糸も素晴らしく価格も少し安く、麻機屋にとっては最高の年。

今は、他産地でもリネンはいろんなところで織られるようになった、綿の産地もウールの産地もレーヨンの産地もリネンを織るというのが普通になって来た。特に横糸にリネンを織るのは良く効く話。まだ、縦横リネンを織ることに関しては林与は強みがあると思う。あとラミーに関しても、細番手を織るのが難しくはなってきているが、なんとか残していきたいとは思っている。

麻織物には繊細さと根気強さと、体力も必要だったりで、なかなか大変だなあと思う。それほど高度な計算ではないけども四則演算使って、糸量を計算したり、分割する糸のカウントを計算したりできないと駄目だし、寒さ暑さにも耐えられないと駄目だし、誰がこういう仕事を進んでやりたいと思うのかというとなかなか難しいだろうなあと思う。

私も、高校の体育の授業で、宝が池1.5kmを1週したら、1番でゴールしたけど、私は脈拍が1分218回とかで、他の人たちは1分130回もないのにびっくりした。他の人って私よりも体の性能がよいんだなあと。脈拍が高すぎて、1番だったのに評価が低かった。脈拍の一番低い人が、評価が高いという競技だったようである。普通の人の2倍くらいまでマックスの脈拍が上がるというのも不思議な体質で、長生きはできないだろう。
2022年02月21日
この週末は一日中工場でエンドレスな作業。外は雪。夜7時からは30分ほど集落の体育委員の引継ぎ。一昨年、昨年と運動会はコロナの営業でなかったので実質体育委員は活動なし、私は2年の任期を終えて再度体育委員。話を聞いていると集落での行事で若年層の数が危機状態で、コロナでこの2年神輿担ぎなどもなかったそう。若い世代に負担が大きく続いて来た行事などもこのコロナで空白の数年ができることで見直しにつながる可能性は出てくるだろう。

今のコロナの情勢だと今年来年も行事は微妙な状況だろう。ワクチンも効かないウィルスがブースト接種を必要とし、オミクロンで弱毒化したものの死者数は過去最高レベルの勢いで、大阪では手が回らなくなり始めているようである。東京は検査の4割が感染者ということ。もう日本中に広まってしまっているような状況。

オミクロンは感染力は高いが重症化率は低いと言われつつも過去最高の死者数。ここで、BA.2が国内でも市内感染の広まりが警戒されているが、感染力もオミクロンよりも高く、重症化率はデルタ株より高いと言われていて、非常に警戒は必要な状況である。コロナの流れもあまり良い方向には進んでいないような気もして、日常の最優先での対応はまだ続くだろう。

滋賀県も彦根の工場で大規模なクラスターが起こったそうで、田舎だからといって感染は避けられそうにもない状況になってきている。林与の場合は一人で出来る作業がいっぱいあるので、作業レベルではそれほどコロナの影響は少ないのだけど。高級アパレル業界というのは、行事もないし、外出の機会も少ないし、リモートで会社にも行かないし、旅行もできない、ましてや海外旅行もいかない。背広やジャケットやシャツがあまり必要ではない状況で、レジャー向けのおしゃれ需要も少ないまま低迷はまだ続くであろう。

東京や大阪が心配なのは、オリンピックでたくさん作られたホテルなど、オリンピックも終わって普通だと需要が落ちてうんうんの話どころか、コロナでオリンピック需要も崩れて観光立国構想も崩れ、ホテルなどは悲惨な状況。コロナ前は大阪でもゲストハウスなどが大ブームだったのに、コロナで大変困っておられるような状況。なんの問題もないホテルやゲストハウスが廃業とかもったいなさすぎるような話ではある。東京大坂はインフルエンザのような状況で市中にコロナが存在をし始めている。まだ日本はましな方だが、世界中でもうコロナは普通のことになりはじめていて防ぎようのない状態。
2022年02月19日
アメリカザリガニを放出してはいけないような流れのようだ。もう、50年以上前からアメリカザリガニは田舎の水路にも普通にいて、日本ザリガニと共存をしていたが、もう近所の水路ではアメリカザリガニになってしまったようだ。まだ、アメリカザリガニがいるだけでもマシかなあと思ったりもする。近くの川はジャンボタニシにやられてしまっていて悲惨な状況である。カワニナやミナミヌマエビなんかも水路にはいるけども、ミナミヌマエビにしても外来種だと言われていて子供のころには見なかったものが、水路で結構繁殖していて、まだいるだけマシかなあと思う。

昔は普通にいたドジョウやタニシなんかは絶滅状態で、まだめだかは水路にちらほらいる感じ。鮎にしてもモロコにしても養殖したのを放流しているようだし、もう在来種といわれるものが普通に生きてゆけるような環境を取り戻すことは難しいであろう。外来種のせいとかではないような気もする。ウンカとか昔は害虫としてたくさんいたけども、ウンカもいなくなり、赤とんぼもほとんどみることがなくなった。その影響で鳥とかもカラス以外はめったに見ない。コウモリが飛んでいるというのを最近知ってコウモリはそこらじゅうを夕刻には飛んでいるようである。

アメリカザリガニくらい、小学生につかませてあげたいものだと思うけど、そういうなのも禁止というのも、子供たちも楽しみすらなくなってきて、もう、今の子供たちというのはミミズを餌に魚釣りとかは経験もしないので、ミミズを手で触るとかは絶対無理だろう。火も使わなくなって、虫もペットショップで買うということになってくる。

ザリガニにしても養殖すれば食べられるのだろうけど、自然界にいるものというのは寄生虫の問題を抱えていて今は魚にしても近くの水路の自然界の動物を取って食べるのは非常に危険である。生食用というのは、一度マイナス40度に凍らせて寄生虫を殺しているから生食ができるという理由だったり。ジャンボタニシにしても食べることに挑戦している人たちがいるけども、その手間というのがすごくって、素手で触ってはいけないとか、危険物扱いである。

木々に囲まれたおしゃれなレストランとかも、その木々というのは自然の木ではなくて植樹されたものだったりが普通で、人間はもはや人間に都合の良い人造の自然を愛するだけになって、本当の自然の中で生きてゆくのは耐性もなく難しいだろう。昔はあまり見なかったタヌキやキツネが結構うろうろとしていたりは、野良犬が少なくなったせいだろうか。もう燕も家には来なくなって久しい。燕がくると巣立ち前くらいに蛇が燕を狙ってきたりするので、どこの家ももう燕を迎え入れることはしなくなったことも影響しているだろう。古い家にいるとしたらネズミくらいかなあ。

法律ができても、子供がアメリカザリガニを取って川に戻すことくらいは許すべきだろうと思う。そういうのにも目くじらを立て始めると、一切、自然界に子供たちは関わりたくなくなってくる。たまに、集落の中で網をもった子供たちがいるとまだ素朴に川で何か捕まえようとしていることをうれしく思う。がんばれよと応援をしたくなる。

日本の国鳥はトキなのである。トキの学名は、Nipponia nippon、もう日本の固有種は絶滅してしまったけども、自然環境が人間の都合で自然に見える人造的な自然では、野生動物は生きて行けないという現実がある。人々というのは砂漠のオアシスを求めているのが普通なんだろうと思う。カリフォルニアに住んでみて、ゴキブリすらもいないのがびっくりで、外の水はスプリンクラーで供給して管理された綺麗な緑はいっぱいで、ポップコーンも1週間ほっておいてもまったく湿らずに食べることができる。そういうのが南カリフォルニアの環境で、そういうのに憧れて、結局地球温暖化が砂漠化を促し、いやだいやだと言いながらも、理想的な砂漠環境を全世界中がエンジョイし始めてはいる。

今も日本の製造業に求められているのが、設備投資してより生産性を上げるとかで、たとえば世界中の多くの人が使うヒット商品のアイフォーンとかでもアップルという1社が供給している。他のスマフォも似たようなもので、大手数社が寡占状態。アメリカザリガニよりもたくさん新しく作られるスマフォのほうが自然環境を破壊していないだろうか。
2022年02月18日
また、寒くなって雪が積もった。15cmくらいだからそれほどでもないけども今年は雪の当たり年である。今日は、整経をいくつか準備して織機を動かしながら繋ぐ準備、この週末も作業の予定はてんこ盛り、でも、坦々と正しく前に進めていけばそれほど大変でもない。納期もいろいろで追われているけども、失敗なく順番にこなしているときというのは楽しい気分である。

辛い時というのはいくら織機を調整してもうまく織れない時で布に問題が見えてしまうとき。正しい原因にたどり着かないと織機の正しい部分に調整を掛けてしまうと収拾がつかなくなり織機がガタガタになる。正しい原因にたどり着くことが一番大事で、その問題の箇所だけに調整を掛けてあげることが大事。調子よく織れていた織機が突然織れなくなることもあったりして、それは気温や湿度の問題だったりすることもある。

織機というのはベストの調整ならどんな糸でも織れるというわけでもなく、糸に合わせて調整を掛けてあげる必要がある。太い糸には太い糸用の調整、細い糸には細い糸用の調整、強い糸には強い糸用の調整、弱い糸には弱い糸用の調整。昔は、普通のアパレル向けの密度のものばっかりだったので、それほど調整が必要ではなかったけども、今は織れるいっぱいの高密度のものや、ガーゼの薄いものまで同じ織機で織るので、織機も気の毒ではある。
2022年02月17日
今日は朝から会社の謄本を取りに行ったりして、支援金の申請手続きを地元の商工会が認定機関になっているので、必要なデータなどを集めて確認してもらいながら申請をしてもらう。概要は分かっていてもなんか説明だけでも100ページほどある中小企業パージョン、どの説明が自分に当てはまるのか、また、どの書類が必要なのかということをピンポイントで分かっていないとウェブ申請なので書類不備で通らない。

多くの企業を対象の支援金なのに、よくもこれだけ難しい申請手続きになってしまっているのだなあと、スキャナもあって、コンピュータが得意な林与でも、本当に正しいのかどうかが分からない部分の多い申請手続き、該当企業にしてもこの申請のややこしさ乗り越えられずに申請しないということもあるだろう。ウェブ申請するにしても、スマフォで証拠書類の写真撮っても良いとあるけど、スマフォで決算書とか証拠書類の写真撮って確認するほうが大変だろう。

こういうときにあってよかったA3カラー複合機、3年前に3万円で手に入れた複合機が本当に調子よく、この3年スキャナとしてどれほど活躍したか。名古屋まで引き取りに行って会社に戻って来て会社の階段をどう運び上げるかが一番の難関だったのが思い出される。コロナで、リモートとか、ペーパーレスとかで、郵送するでなく、スキャナーでPDF化してメールに添付して送るみたいのが必要なことが多くなってきた。手に入れたA3複合機はスキャンするとPDFデータ保存になるのでこれは本当に便利である。リースしていた複合機は白黒でコピーとファックスで堅牢な感じで好きではあった。やっぱりA3のカラーレーザー複合機というのはそれなりにあると便利である。普通だと維持費が高いのだけど、リサイクルインクは何回か交換して数千枚は印刷したがそれでも維持費が3年で3万円くらいしか掛かっていない、維持することが負担にならないのが一番のメリット。

パーソナルなインクジェットプリンタも写真などには向いていて、レーザープリンタというのは写真には向いておらず、ビジネス文書などに向いているというのは文字などのくっきりさなどからしても思うところ。レーザープリンタは、長期保存しても色あせしないのと、水にも強いのが利点。本来は、自分一人が使っているよりも地域のみんなが使えこういう利点を共有できるような運用のほうが良いんだろうと思う。コンビニに行けば、カラーコピーも30円払えばできるから、そういうのを活用する方法もあるけど、それとの違いは用紙を自由に選んだりできることと、何回もサイズを変更したり色味を調整したりできることだろうと思う。こういうのをおもちゃのように使えるといろんなクリエーションが広がるし、実使用にも耐えるような印刷物が出来る。
2022年02月17日
ドラッグストアーで、たまにしかいかないので、いろんなものを大人買いするとアルバイトの店員さんだとやはり打ち間違え等あったりして、そういう時には、自分が得しているときでも、これなあもう一回確認してみ、と突っ込む。けっこうレジの仕事にしても間違いというのは多いもので、お客さんでも気が付かないことが多いだろうけど、6個かったのに5個しか通っていないとか、割引商品の値段を打ち間違えているとか、1個、2個買う場合に比べて、いろんなものを10個以上買う場合には、アルバイトの店員さんだと打ち間違え等も多い。

商売している人間なので自分自身も急いでいると間違え等あることもあるので、打ち間違えも当然あるだろう、でもそれで私が得するということは駄目なこと、かならず間違いと思ったときには確認してと伝える。アルバイトの人ならそういうの指摘されても迷惑なだけかもしれないけども、そういうのを指摘するお客さんがいるだけで、その方自身が正しく仕事できていないのにも気が付くだろうし打ち間違えの処理なども正しくできるようになる。

1年ほど前に、60サイズ用に作った箱の大きさが外の3辺58.5cmの段ボール箱があって、それをクロネコに持ち込むと、80サイズということで処理された。スタッフの女の子に間違いだから、もう一度測らせて60サイズに訂正してもらってと再度お店に入って測り直してもらうがやっぱり80サイズだということで帰って来た、しかたないので、私が行って正しく測り直すと60cmに収まっている。仕事で毎日やってる人もそんなもので、人間なんだから間違いはあるだろうけども、間違いをしてきしてもまだ正しく測れないのは意図的なものがあるだろうと思う。そういうのはクロネコにとっても、林与の従業員の教育にとっても仕事として良くないので仕事なんだから正しいが大事。その営業所は、受付が測りもせずに80サイズと書いてしまう人もいるから、そういう場合も60ですから測ってくださいと指摘する。

林与の仕事のときは、足りないことがないように少し多い目にカットしたりするようには心掛けていて、検反機は反物を引っ張りながら計測してゆくんで、その出た数値を長さとして書いて問題はないのだけども、ぴったりだとどうしても布を放反すれば足りないとなるケースもあって、すこし気持ちで長めにカットしておけば通常よりは反物が縮んで足りない場合があったとしてもすごく足りないということはない。

仕事するときにすごく難しい問題が、反物がショートが許されるのかオーバーが許されるのかのあたり、想定として最後ちょうどくらいに仕上がる量を投入すれば何か問題があればショートしてしまう、ショートが駄目なら多い目に材料を投入するしかない。織の失敗だけでなく、加工ロスなんかもあったりして、10反とかの仕事なら1反駄目とかも普通にあったりするので、ロスの想定は本当に難しい。上がっただけ納めてくれみたいな仕事だと安心して効率よく材料も使えるけども、ぴったりを想定しているブランドさんとかに対しては、キズがあった場合キズ引きはしますが、そこをうまく避けた場合に、用尺が足りるようなロス計算をしておられるのかどうかという問題があって、中にはロス計算をしておられないアパレルさんもあって、そういうアパレルさんが一番困ったりする。

無地とチェック柄があるときに、慣れたアパレルさんなら、無地は要尺2mなら余裕みて2.2m用意しましょうとか、チェック柄だったら柄合わせするなら、2.4mなら余裕見て2.6m必要とか考えてくださる。それでようやく1反のキズ5か所とかのロスを吸収できることになる。そういう想定があるともめごとも少なく、そういう想定がないなら、チェック柄のほうが生地が足りないとかいう話になったりもする。上がって来た洋服が少ないから、同じ長さの生地を注文したのに、投入した生地が実際足りないで損したみたいな話を言われたりすることもある。柄合わせすると柄が大きければ大きいほど用尺は必要になってきますよ、みたいな説明をアパレルの方にすることもある。コスト重視で柄合わせしなければ同じ用尺でもかまわないだろうけど、チェック柄なんかは柄合わせしたほうが手間はかかるが洋服として違和感は少ない。

数量の縛りが緩く、柔軟に対応してもらえるアパレルさんなら仕事は無駄も少なくなるけども、柔軟な対応が無ければ無駄の分を吸収しないといけないことになってくる。糸にしても問題はいろいろと抱えていることも多く、特にリネン糸のフシとかは整経や織るときに目立ったものは取ってたりするのが当り前で、問題のある材料というのも許容して手を加えながら織物になっていて、それを鬼の首をとったように騒いでも仕方のない話にもなる。

綺麗な糸ほどフシは目だったりして綺麗な糸がなかなか通用しなくなったのが2000年ころで、特に先染めでは使いにくくなってしまって、そのあたりから韓国や中国の糸にシフトしたりもした。フシがそこそこあるのが普通の糸のほうが、フシがあるのが目立たないから問題が少ないのである。本末転倒的なところもあるけども、綺麗な糸ほど問題は目立ちやすいというパラドックス。特にアパレル向けは基準が厳しいのでフシ糸の問題ではリネンにしてもラミーにしても良い糸を使えば使うほど苦しんだ時があった。

高い材料をあえてお客さんのために使っていてもそのあたりをお客さんが理解してもらえないと結局問題の目立ちにくい糸のほうが良いという話になってくる。そういう流れもあって均一な良い糸というのはどんどんと使われなくなり必要がなくなってきたように思う。均一な綺麗な布の1m四方に数か所フシが目立つはよくあること。それが許容できないのが今の基準、逆にフシだらけの糸のほうが安定していてフシは目立ちにくい。

マッハという機械でフシを取り除くことも可能だけども結び目ができるので一長一短。麻の世界では、遠い昔の高級な紡績糸というのは紡績前の原料レベルで下から光を当てて、ピンセットで、異原子やフシを取り除いていたから均一できれいな糸が存在したが今はそこまでして糸をつくるようなことはどこも行っていない遠い昔の話。
2022年02月16日
5年10年というのは仕事をしている間にいつのまにか過ぎてしまい、5年10年前のことでもこの前みたいな感覚が普通だったり。今、5年先のことを考えると今の延長を貫いてゆくような形しかないだろうと思う。5年10年あとにできることが増えているのかというとできることは逆に減ってしまって、繊維の世界では今やっていることもできなくなっているだろう。

私自身は変わらないで作業をし続ける方向で産地の織物文化を残したいなあと思う。それは普通に思えるけども、本当に難しいことになってしまっていて、それなのに、サステイナブルとかいってても新しいもので置き換えてサステイナブルではどうしようもない。続いていることを儲からないからといって駄目なことのようにとらえることは大きなものを見失ってしまって、後になってそういうのを失ってから復活しようみたいなことが、たとえば近江上布の歴史の中にもあった。

林与の近江上布の染料のことなども資料には残っていて、昭和に復興した絵絣の近江上布がどうやって作られていたのかなども伺いしれる。与一爺さんが京都の染料メーカーとやり取りしながら、堅牢な染を研究して色の深い絵絣の近江上布を作り上げた。60年以上前の織物が今つくった織物以上にしっかりとしていて60年前のものだとはまったく思えないだろう。

5年10年後というのも何代にもわたってやっている仕事ならなるべくは変わらないほうが良いのである。それほどに地道な作業を積み重ねてなりたつような本質的な仕事だから、続けてゆくためには基本の部分は変わらないほうが良いのである。話をしていても繊維の世界に向いている人と向いていない人というのは歴然としていて、向いている人というのは同じようなことを考えていて実践もされている。

林与も先代から私に変わったときに180度の方向転換したことがいくつかある。問屋さんや糸商さんだけを窓口に商売していた先代、私自身はそういうお付き合いも残しながら直接メーカーやブランドと話をして自分自身のモノづくりとしてPRして行く形を取った。優雅に見える商売スタイルよりも、地道な仕事スタイルのほうが大事だとは仕事を始めた日から思っていたので、優雅な話にあこがれて仕事している人たちというのは覚悟がないのでなかなか難しい。

昨日の夜からは書類のこと普通の経営者ならそれが仕事なのだろうけども、私自身は一番大事なのは作業の部分だと思っていたりするので、そういう作業に使える時間は数時間は限られている。今の状況というものを数字に落とし込んで、それをもとに1年後、2年後、3年後、4年後の数字を予測してゆく。繊維業界において、このコロナ禍で数字を落とさなかったのはなかなか大変だったのではあるけども、コロナが日常化してきた今後、繊維業界全般が回復に向かうのかは微妙なところではある。

本質的なお金を使った素材よりも、ロゴが付いているだけで十分見たいな企画が増えてくるだろう。高級ブランドがコンビニや100円ショップのアイテムにならんでも不思議じゃない時代に突入はしていて、コンビニや100円ショップの店頭こそが一番華やかな舞台みたいなイメージが若い世代を中心にあったりもして馬鹿にされがちだった世界がいつのまにか流通も牛耳ってしまっている。

昔ながらのタバコ屋やお酒屋ですら店の前にタバコや酒の自動販売機を置いて手抜こうとしたのに、コンビニでは自動販売機なども置かずに対面販売で、人間が自動販売機のように会計を器用にこなす。まあ、タバコの自販機やお酒の自販機の規制も裏では、巨大資本が牛耳るコンビニに有利なような動きがあったんだろうけどもと思う。

なんか、そういうありきたりな流れに飲まれずに昔ながらの駄菓子屋がのこるとか、スーパーが残るとかあったほうがよいだろうと思うけども、田舎ですらもが東京と変わらないような商売ばかりになってしまうのは、田舎が追従することが生き残れる道的な国策の一つなんだろうと思う。田舎の食堂すらももはや経営者が変わると継承は難しいので、田舎も全国的なフランチャイズばっかりになってしまう。

コンビニやフランチャイズが多くの人々の生活を満たすもよしだろうけど、昔ながらの何かが残っているというのも大事なことだろうと思えるところ。それは普通とは違う、特別の価値。
2022年02月15日
将棋で、19歳の藤井聡太氏が5冠となった。将棋の世界というのは年齢とか経験とかじゃなく実力主義だなあと思う。歴史と文化があるのに、ITの世界のような常に進化している怖さがあったりする。将棋自体がプログラミングと似ているのであろうと思える。プロ棋士全員の中で下から2番目の若さで、周りも将棋界の宝のように称えているあたりも将棋界というのはドロドロとしていないなあと思う。

将棋界というのも一つタイトルを取るにしても、差し勝負ではなくって、下に位置づけられたものほどいくつもの壁を乗り越えていかないといけない。竜王戦なんかは一番下から竜王になろうとすると途中何人もなぎ倒していかないと駄目で、下のグループから昇級する形で少しづつシードされていく形。実力的なグループ訳があってその中で上位に入らないと上には上がれない。対等な勝負というよりも、若い者にとっては不利な勝負環境を乗り越えていかないと取れないタイトルなので、年配の経験者とくらべても、鬼のような強さを持っていないと竜王には若くしてなれない。

もうすぐ順位戦もA級昇級で、名人になる可能性も高くなってきた。残るタイトルにしても2年3年の内に取ることになるだろう。近い将来に8冠が見えている。8冠を取ったときに、その一つでも他の棋士が奪回するというのは本当に難しいことだろうと思う。永世8冠も多分可能な実力の差。他の棋士たちがタイトルを取ることが出来ず食べていくことが難しくなってしまいそうではある。

すべての盤上の可能性を支配しているということが、経験のあるプロ棋士たちと比べてもこれほどの差になってしまう。学歴なんかにこだわる余地もなく、中卒のほうが一番すごいというあたりも将棋の怖さで有ったりする。最初のころによくメディアに出てきた母親もプロになってからは完全にメディアからは姿を消して、ものごとをわきまえておられるご家庭だなあと感じる。
2022年02月14日
2月も半ば、2月末納期のものの織を進めないといけない。1月末くらいから仕事が本格的に生産期状態になってフル稼働的な動きで生産をこなして行く、仕事のペースが一気に早くなって1週間ごとくらいに一つの仕事の案件の織が終わっていくようなイメージ。一つ一つの仕事が完璧に近いと問題も少なくて仕事は簡単なのだけども、問題が起こってくるのは問題のある仕事からということが多い。

織物の仕事にしても大事なのは織よりも整経が上手にできているのかできていないのかというあたりで、整経をする人というのは優秀な人をいつも選んでやってもらっていた。計算も必要だし、糸の管理も必要だし、織での失敗は数メートルのロスで済むが、整経においては失敗が全滅につながることが多いので、意味を分かって仕事している人でないと整経の仕事を組み立てて進めてゆくのは難しい。

林与の場合は、整経機を持っているので中で整経作業をするから、糸の問題などもそれなりに対応して整経をすることが多い。外の整経屋さんに出して整形したら、糸の問題で整経ができないということになっているケースも多いであろう。整経時に糸のコンディションを微妙に管理できないと整経で失敗してしまうこともありうる。例えば、同じ番手の同じ銘柄の同じロットの糸でも、白い糸そのままと、その糸を染めて使う場合では、整経の設定を変えないといけないこともある。色が異なると違う糸であるくらいに思っておかないといけないくらいに、糸質は変わってきてしまうのである。

麻の先染めにしても昔以上に難しくなりすぎてきているんじゃあないかと思う。白い糸をそのまま織って後染めくらいが一番予想外の問題が起こりにくい無難な企画に終わる。今、加工工場さんの後染めものというのはすごく混んでいるようで、コロナ禍が落ち着いたというよりも、コロナ禍で、中国など海外でやっていた仕事が予定なども組みにくくまたコストも国産なみに上昇して難しくなって国内生産に戻り始めているという状況もあるのだろうと思う。

安価に海外生産を行ってきたあたりの素材が国内生産に戻り始めているという要素があって、海外での物価上昇が輸入価格の上昇を伴い、国内生産にシフトしつつ、国内の全体的な物価も上昇させているような供給側の背景があるように思う。繊維以外でも、原油関連や食品関連での物価上昇が行われている。円安が背景にはあるだろうし、世界的なコンテナ不足問題、輸送コストの増大など、海外輸送費なんてタダみたいなものだったのに、それが重さに比例して空輸コスト位に掛かるようになってしまうと、安かった基本的なゾーンのものほど物価上昇は著しい。

リネン糸の価格も上昇しているけども、ここ数年で2倍くらいに上昇したのは、太番手で、イメージ、太い糸も細い糸も値段そんなに変わらんやんみたいな、不思議な状況になりつつある。太い糸を主体に使っておられた資材系のところは悲鳴を上げておられるだろうと思う。太番手の糸というのは使う重さも多いので成り立つんだろうかと思うくらいに太い糸は高くなった。リネンだけでなく、綿も、シルクも太番手の価格上昇は顕著である。
2022年02月13日
あさりが取れなくなった問題をどう解決するのかで、30年以上続いたのが、今回の国の産地基準。一番長く育った場所が産地という基準。産地を二つ股くこと自体が産地の定義自体をあやふやにしかねないのだけども、結局、海外産の輸入アサリを1週間とか短ければ3日とか、それ以外にも熊本県に入りもせずに業者が福岡経由で輸入アサリが熊本産と名乗り全国の8割のシェアを占めてしまっていたという、日本の国産あさりの30年に渡る偽装問題。

アサリというのは、消費者の中にはやっぱり国産のものというか安全なものを選びたいという心理があって価格だけではなく、輸入物か国産ものなのかを大事に考えて輸入物が半分の値段でも2倍の国産ものを選択する消費者が多いのが食べ物の世界。アサリ食べると分かるけども身だけを食べていても口の中で砂っぽいもんのがとかもジャリっと来ることもある。消費者からすれば熊本産の謳いに海外産2倍の対価を払ったのだから国産でないと困るのだけども、それが単なる輸入アサリに2倍の対価を払い続けさせられていたような、日本の産地問題。

繊維関係でも、例えば、綿麻というと、5%でも10%でも入っていれば綿麻なので安く作れるならそういうのが欲しいと言われる問屋さんも多く、林与の場合には使っている綿糸にしても、コーマーの細番手で麻糸と同じくらいの値段のするものだから、綿麻といっても安いわけでもなかったりする。ものづくりに敢えてお金を掛ける意味というのも、それは自分自身が作っているからの話で、アサリ業者のように取れないアサリを取ることを放棄して安直な方法に逃げてしまうと謳いだけが独り歩きしてありえない世界だけども希少な国産のアサリを謳えば売れて売れて仕方ない話、仕入れて売るだけで7割8割の粗利の世界。

繊維の世界でも、生きてゆくのに困っている問屋さんの方々もおられ、安く仕入れて高く売れるものが良いものというような定義で商売に携わっておられる方のほうが多かったりもする。私自身は例えばエシカルなことを考えるときに、本当のプロの究極の世界としては最近もそうだけども、良いものを求められている最終の消費者のためにできる限りの自分の良いものを作っているという意地みたいなものは通そうとするけども、それがやっていない人からするとありえないブラックな世界に思われたりもする。

でも、日本の職人と呼ばれる人が週に40時間働いて海外の素人レベルの人たちが家族を支え生きるために本気で働いたときに残れるのかというと全然無理な話で、それが日本の大手SPAが海外生産をする大きな理由。楽をして儲けたいという日本の風潮でやってる感だけでSDGs叫びながらも週40時間だと海外の人々を食い物にして日本の繊維の大企業が吸い上げているだけの話で、やっておられる方も知っているので名前出して申し訳ないけど、無印さんでも自分たちがありえない良いことをやっている謳いがいざ問題が起こると、単に仕入れただけの話で責任はサプライヤーの問題になるのが一番アカン話。素材の厳しさすら分からない人たちが手を出すと、日本の昔からの化かしてなんぼの世界につながってしまって、日本の大手SPAの犠牲者が正直に昔からやっている地場産業を引き継いでいる所だったりもする。

私自身は滋賀県の田舎の小さな織物工場の身分だけども、日本の大手のどこもがもっている後ろめたいような現実の世界を指摘はしているような立場。日本のアベノマスク問題にしても、わらえすぎるほどに、海外からの輸入商社に利益誘導で、国内のまともな業者を排除するのが日本の政治の世界。まともに働いていていろんな問題も知って正しく解決しながら責任背負って生きているものを、騙した連中ほど何百億の日本の政治そのもの。滋賀県出身の大手の総合商社さんも滋賀県企業ならそのあたり営利主義ばかりでなく、近江商人の本質に戻らないと、金儲けばかりでは近江商人を名乗ってほしくもない今の近江出身の日本の総合商社の世界。もうちょっとモラルを持って近江出身企業を名乗るならありきたりの欲に飲まれて汚さないように三方良しの初代のの気概に戻っていただかないと、日本の繊維の世界のものづくりを仕切りながら、地道にまともなのを食いつぶすだけのになってしまう感がある。

国民が苦しむコロナの危機に、1で仕入れたものを10に化かして、責任も国も取らずに何十億円も儲けながら右から左で国民の税金任せでぼろもうけして売るのは死の商人な話。日本の大手の繊維業界も国民の不幸こそが莫大な利益だったりで本当に腐ったなあと本当に思う。一番サステイナブルの反対にいるような企業がサステイナブルを謳ったりと本当に厳しい日本の政治と大手商社が国民を食いつぶすような世界。
2022年02月12日
特注で作った段ボール箱が弱すぎて、梱包も完了した箱にいっぱい詰めた段ボール箱を運送会社に持ちこもうとしたら、破れてしまいそうな大失態で量を半分以下に減らして詰め直し、4個口から11個口に詰め直して再度出荷の準備でお届けが完了。ほんと新しいことというのはいろいろあってうまく行かないけどもいろいろと勉強になって次はもうちょっと高さを低く作ろうと思う。

耳までリネンのキッチンクロス、耳までリネンの耳に泣かされるような話で、耳が切れて織りなおしたりそこで織機の調整を加えたり、耳までリネンにすると織るのに2倍3倍の手間が掛かってしまう。難度が高すぎて私が織っていても綺麗に織るためには織機を熟知している必要がある。糸の投入量からロス率を計算すると3割以上程度になってしまってる。

でも、上等に見える布なので、キッチンクロスという用途以外にもなかなかない雰囲気を持っていて、手伝っている母親や姉なんかも、ええ布やわ、ええ布やわとばかり言っている。ブランドデザイナーさんの力みたいなものも感じることができるのは色柄の素敵さ。チェックの多色ものなどは本当にかわいい。デザイン力で有名なブランドさんだけに良いなあと思える形に仕上がってうれしい。本腰な多色使いの先染めの仕事であった。

キッチンクロスも見た目以外にも大事な要素があったりするので、そういうあたりも今回は注意して糸や染、加工方法なども私自身のリネンキッチンクロスの経験からベストであろう選択をした。



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