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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2014年07月10日
縦にリネン、横にカシミヤの織物を織る。この織物の問題は、カシミヤの糸が太すぎることで毛番の6番手。通常の織物のようには糸が扱えない。見本のときにその問題に直面して対策を考えた。うまく行って見本はクリアできた。

今、本生産。心配をしていたことが起きる。また、対策を考える。うまくクリアできた。こういうのをノウハウというのだろうけども、仕事を受けたからには出来ないというのは、それがたとえ糸の問題であっても自分で解決をしないと目の前の仕事も進まない。今までの経験というのでは仕事にならず、どんな問題でもつぎつぎに解決していく能力がないとやりかけだらけの仕事ばかりになってしまってどうしようもなくなる。

新しいものを作るときには、ぎりぎりクリアしていることが多いので、少しコンディションが違ったりすると織れなかったりすることも多い。リネンなんかは糸のロット差だけで、十分に糸が違うと思えるほど、ぎりぎりの調整で織る織物というのは微妙。リネンの太い糸の場合はカシミヤ以上に厄介だったりする。

糸が扱いやすいのは、やはり40番手近辺だろう。毛番でいうと26番手。なんで、糸の番手が違うのかというと。たぶん、通常使う糸のレンジを、50番手を普通くらいの糸という風にあらわしたかったという人間の心理が働いているのではないだろうか。100番手くらいで、通常の糸としては太さの上限となろう。林与の想像でしかないけども正しいんじゃあないだろうか。

糸なんて湿度によって水分率が変わるので、昔だとそれほど厳密には番手計算はできなかったろう。紡績してすぐというのは、リネンの場合だと水分率が高い状態のはずだ。基本、リネン糸の場合、公定水分率は12%といわれているが、水分率が0でないと駄目なくらいに、箱に入っている糸の重さというのは計ってみると少な目であることがほとんど。ヨーロッパ、アジアの糸共通の問題である。日本の糸の場合は正しい重さで送られてくる。その辺りも文化の違いそのものだろう。
2014年07月09日
東円堂の田んぼで今年は今の時期に大よそ半分ほど田んぼに稲が植えられていない。草が生えているだけ。たぶん、減反政策がなされているのだろうと思うが、高齢化が進み、米の消費が減ってきているのを感じる。日本の国に余裕があるのかというと余裕すらないのに、こんなことをしているとTPPを加速してしまう。外との戦いの前に、中での正しい努力は必要な気がする。

日本の米というものにも己惚れがあるのは、1990年代後半のコメ不足のときの国の対応。コメがなくて国民が困っているときにも、海外のコメなんて食べられたものじゃないというような定評をつくろうと愚策に走ってしまった。国民が困ったときには、農業行政のプロに任せるよりも素人に任せたほうがおいしいコメを海外から引っ張ってくることが可能だろう。国民が食べるものがないような困った状態でも、力を持つものは保身を考えてしまうものだ。それは食べるものを育む現場の農家の考え方とはまったく違う気がする。

商売なんかしていても怖いのは、やっていれば成り立っているというような安心した感覚に陥ること。成り立たなくなっているという意識が現場にないと、自助努力もなく続けていてもどうしようもない結果が膨らむだけ。仕事がないときに仕事を生み出す力がないとならないのだがそういう努力をできる人というのは少ないもので、突き詰めていけば、本業として食べていく力がないという厳しい現実なのかもしれない。布の世界でも、現場で仕事している人のほうが趣味の人よりも布に対する知識も少なく創造する意欲がないなんてのもよくある話で、そこからなんとかしていかないと仕事も増えるはずがない。

10仕事して、2から3の仕事が成り立つくらいの状態を続けていると、日の目をみない7から8の部分もほかにない底力として生きてくる。最初から仕事としてなりたちそうな2から3だけの仕事をやっているだけでそれに慣れてしまうと、やっていれば成り立っているような感覚から抜けきれず、その2から3の仕事が10の仕事に思えて、成り立つ仕事も成り立たなくなってしまうものだろう。
2014年07月08日
今、近所でもいろいろなところで太陽光発電パネルが設置され、発電が身近に始まっている。太陽光発電の設備はあまりに小奇麗過ぎて、更地の上に設置されているものが多いが、エコを考えると本来下は草が生えているほうがよいのではないだろうかと思ったりする。

愛知川の花火大会が近づいてきたけれども、今年は打ち上げ花火は行われないということ、仕掛け花火などが行われる予定で、その理由が、太陽光パネルに花火の燃えカスが落ちて破損するからということらしい。花火大会もできて、太陽光パネルをお持ちの方も喜んでもらえるなら、太陽光パネルを守るような水に濡らした麻布くらいででよければ地元の思いの詰まった行事のために作って無償提供したいくらいだが、風で飛ばないような一工夫は必要だろう。

10数年ほど前、当時、80過ぎた林与のおばあさんが、花火の音が聞こえ、花火が観たいというので、事務所の三階の窓から見せてあげた。外に出ることもほとんどなくほとんどの時間部屋にいたおばあさんだが、花火が観たいというのですごく遠くからの小さな花火だけど見えたと思う。花火の日の昔の楽しい思い出が心の中には巡っていたのだろうと思う。
2014年07月07日
今日は七夕。数日前、東円堂のある家の軒に五色の短冊が掲げられた。七夕なんだなあと思う。七夕の儀式にしても、古来からのもので、棚機女(タナバタツメ)の信仰からそう呼ばれるとされる。中国の牛郎織姫の伝説も似たような内容なので、日本人の祖先も中国人の祖先も同じ出所ではないのかと思い、私自身が徐福が弥生時代をもたらしたと考え、日本の皇族の始まりにも深く関係していると思うのだ。

織物の仕組を考えたときに、今以上に精密な織物を昔の人が織ることができたことはなぞであったが、製鉄の技術にしてもたらら製鉄の存在をしってしまうと、渡来人の持ってきた技術の高さというものは現在の技術に匹敵するものがあり、鉄筬くらいは簡単に作り上げていたであろう。

織物で思うのが、機の構造ではなく、糸の作り方。シルクの糸にしても、麻の糸にしても、それが日本と中国別々のところで生み出されたとは思え難い。渡来人が、糸を績む技術も日本にもたらしたと考えてよいのではなかろうか。近代以降、紡績の時代が200年ほど続いて糸をつくることも変わり果てたが、それまでは、徐福一行が日本に来てから2000年の間、持ち込まれた技術が日本の中で継承されていたと考えてよいのだろう。

物語は語り継がれるだろうけど、その中に出てくる織物を織るということが継がれなくなってしまっている。七夕の話を聞いて、機織の話が出てくるからかろうじて、機織というものを小さな子供が知ってくれているのだろう。
2014年07月06日
雨が降って蒸し暑い一日、太陽が照らさないのに気温は高い。雨に少し打たれているくらいが暑ぼったくなっている肌の表面を冷却し丁度よい。先日、大手のハンバーガーショップで、100円のハンバーガーを2個とコーヒーを注文。気になったのは環境への取り組みというプレートの上にしかれ紙の中の説明の一つに、夏の店内冷房は28度までということ、店内は非常に涼しく、明らかに25度未満だろうと思うのだが、こういうのも許容範囲なのがその世界。

先進国の食品というものが途上国の規制未満に落ちてしまっているのではないかと思うのが、中国で昨年春頃、鳥インフルが流行して中国国内の売り場から一切鶏肉がなくなったときに、中国から輸入された鶏肉がキャンペーンをうってまで日本国内では流通されたこと。日本国内でも中国鶏肉の残留成長ホルモン問題など話題になって、そのあと、中国産鶏肉を使用しているという表記から、即座に、中国とタイから鶏肉を仕入れているという原産国表記に変わったり。

これは狂牛病問題や日本の原発などへの対応をみてもよくわかる。狂牛病でも国内の畜牛農家には全牛検査を強いて締め付けながら、海外から入ってくる牛肉は行政と業者の癒着もあるのだろう、確立は低いから安全だという程度の根拠で入ってくる。大手牛チェーンも狂牛病問題当初は専用牧場で飼育した牛を使っているので安心というようなポスターを作ってその場を凌いで、数年後には使っているのはアメリカで流通しているものという話しに摩り替わった。国民の安全のためでもなく、締め付ける力だけが弱者である畜牛農家にはかかってしまい、大手には力はかからない。なにが正しいではなく力関係だけの話。

原発もそうだが、福島の所長が甲状腺癌で数年のうちになくなっても、原発の爆発とは無関係という結論も東電の原発被害に対する対応意識そのものだが、所長が炉心融解はなく放射能漏れはないというのを信じていつものような感じで現場確認などして1000倍の影響があるといわれる体内被曝したと考えれば十分ありうる発癌で、放射能の怖さを改めて感じた。小学生などでも甲状腺に悪性の腫瘍が多く見つかり始めている、国が力関係でデータなどを隠し握りつぶすと、水俣病、アスベスト、ミドリ十字といういつものパターンで死んだものが馬鹿という流れ、専門家たちによる取り返しのつかない殺人なのだ。保身や損得で判断せずに、良心をもって専門家たちは判断してほしいが、それが一番難しい問題なのだろう。20年後には正しいとされることの反対が今は正しいとされるということよくあって、欲に満ちた判断が、多くの人を病気や死に追いやったりしているが罪悪感すらもないところが怖い。

原発なんかも人が死ぬということを正面からとらえて安全なんて謳う馬鹿は止めて、危険を謳いながら推進するのが本来はバランスのとれた推進なのだが、国が欲に満ちた専門家を抱えてやっちゃうと子供騙しな口からでまかせでも話は進む。放射能漏れなんかも地下から漏れ出したからよかったものの漏れ出さなかったらチェルノブイリと同様石棺化が必要となったであろう。専門家というのは利害関係が絡んで保身に走るという定理を前提に議論しないと駄目なくらい、素人ほうが正しい判断をすることのほうが多い。誰が見てもメルトダウンに感じる爆発も専門家には水素爆発という、国民の命に関わる一番のときにですら、保身が出るものだ。政府が爆発後の放射能拡散データを半年以上も隠匿してしまった事実も多くの国民が死ぬことよりも自分たちの保身が優先されるという怖さそのものである。

JR西脱線でも鉄道の専門家は一応に、130kmでも脱線することはないということばかり言って本質的な問題から逃げてしまっていた。実際に問題が起こったときにでも、真実を見据えられないのが専門家だったりするものだ。いつまで専門家委員会なんてもの立ち上げて政治家も責任逃ればかりするのだろう。そこが最初から気持ちの悪いところで、まともに考えている国民なんかの期待を最初から裏切っているのに気が付かないと。

一番電力を使う東京や大阪に原発をつくればよいということを考えもせず誰も言わないのは、原発の危険性や、嘘で塗り固められているということを本能的に感じているからだろう。田舎に持っていくのはどこのだれかもわからない人たちのことは気にしていないものだったりする。日本中が自分の町に原発がくるのを容認できるかできないかという判断をもって、原発推進するかどうかという気持ちにならなければ、便利さは自分のこと、危険はほかの人のことという意識での安全性や推進でしかない。

ごちゃごちゃと書いてしまっていてお前は何が言いたいのだということをおっしゃられると思うが、私自身も麻や織物の専門家の一人、いろんな問題を他山の石とし自分のものづくりには生かしたい。
2014年07月05日
今日は、午前中奈良からミルツルさんが起こしで、ご主人がフォトグラファーとして立会ってもらって、ミルツルさんもデザインと縫製のお仕事ながらも、商売として成り立たせていくには、PRしていくセンスもお持ちなので成り立っているのだろうと思う。

絵を描かれるセンスも抜群で、クリエイティビティが布の世界と自由に結びついているところがほかの人以上の空間作りに役立っているのだろうと思うが、一発勝負でやっているようにみせることを成り立たせるには、裏では緻密な苦労をされているのが伝わってきます。

おかげさまで、麻というのは今はブームなので、夏場で通常なら閑散期ながら、いろいろなところが声をかけて下さいます。今の予定もかなりつまり始めていてあまり急いでの対応は難しいのですが最近も地元の業者さんがタオル関連で打診下さり、形にしてみようということで動く話になりました。

別件でもタオル関連のお話あってそちらは記念品目的ということで枚数も多いので本格的に下準備が必要である話で、少しでも早く具体的な形に近づけていくことがあろうかと思っております。自分の良いと思う形とお客様の良いと思う形が異なることも多いので、お客様の意向を汲みながら技術的なことも含めて対応が必要になってきます。

機屋で、生地の提供だけだと簡単なのでしょうが、最終的にデザインを載せてタオルとして作り上げるところまでをとなると、使い勝手とか思われているタオルのイメージに近づけるとか、普通のものでよいのか特別なものなのかというところも含めていろんな選択があり、一つ一つ判断していくところに時間をとってしまうものです。
2014年07月04日
アメリカの独立記念日、ずいぶんと昔のことでもこの日を大事に思うアメリカ人というのは、人が個人としてでも独立していることを尊ぶ気持ちがある。最近は日本でも起業関連の補助金など多いのだが、起業するのは簡単でも継続が難しいという問題もあろうかと思う。アイデア起業というのは受けるけども、一番長持ちし難いタイプだろうなあと思うのだ。

私自身は、自分の夢なんかがあるなら、それで仕事が十分満たされなければ、空いた時間というのは別の仕事をしてでも、自分の仕事を叶えるための原資をつくるほうがよいだろうと思う。暇だ、暇だ、仕事がない、と口にするよりは、自分で経験を積んで、仕事を生み出していくことを考えていくべきだろうと思う。

よく言われるのが、仕事ができるようになりたかったら上手な人のやっているのをみて自分が出来るように努力しないといけないということ。自分が仕事するときに誰かが親切に教えてくれたり助けてくれたりしても毎回それでは働いていることにはならないものだ。自分がしっかりと独立して仕事をできるような人が理想だろうと思う。
2014年07月03日
今日は午後からJETRO大阪本部でのミラノウニカの提出素材に関する説明会。雨が降っていて歩いていても暑くなくてよいのだが、普段傘の用意をしていない林与は、地下鉄を降りてビニール傘を買うことに。

傘を差すと梅雨の気分、梅雨が終わると夏が来るのだが、もうすでに夏物のクリアランスセールも始まった。昔だと、5月頃によく売れているから7月店頭目指して追加生産しようというような話もあったが、今は、そういうのはほとんど聞かない。

一方で、アパレル向けではなく、リネンでも雑貨小物関連のお話は春すぎから多い。季節性が比較的ないのとサイズがないのとで通年で企画が進行してもらいやすいのだろう。リネン関連では、キッチンクロスがブームといわれる。林与のリネンをシャトルで厚織したキッチンクロスは自分らしいキッチンクロスで嬉しい。テキスタイルマルシェでも、使っているみなさんが使ってますよと声かけて下さり、柔らかくなって愛着を感じて下さってます。

ビルの29階から外を眺めると、雨の中10階くらいのビルがベースとなって、ときおり、30階建てのビルがニョキニョキとたっている。一つも傾いていない、どれも真っ直ぐだ。感心する。建築の世界は、一回勝負で失敗が許されない。練習なんてない大人の世界。
2014年07月02日
ジャガードの紋紙が破れかけているので同じのを彫りなおそうとすると。紋紙屋さんが、昔のデータというのが古いコンピュータシステムの中にあって取り外してしまっていて、取り出せないというような話。紋紙の紙のメーカーがなくなったという報告も受けて、それもやや薄いもので敗れやすいとか四苦八苦してしまう。

そういうのにも準備しておかないとならないのだろうけども、紋紙の不要な電子ジャガードへの移行のタイミングなのかとも思う。このことを考えると産業用の資材というのは需要が少なくなると供給が難しくなるという一例で、機械はまだ動いてもその消耗品的なものや部品が供給されなくなると蓄積した柄ですらもが再現が難しくなる。

これからはジャガードの注文を受けるたびに紋紙が破れると新しく彫りなおすというような作業になる。紋紙なんて紙のタイプは針を傷めないように無理と破れる程度の強さ。強い紙だと掘るときのこともあって掘り難いなどともいわれる。

林与のドビーにしても同じくプラスチックで出来た紋紙のようなフィルムドビーといわれるタイプ。こちらにしてもブラックボックス化してしまうと横糸が頻繁に切れる麻糸の場合は、後退する作業を頭を使いながらになるので量産には向かないだろう。見本は作りやすいが、本生産の安定性が落ちる心配はある。慣れた作業環境が一番仕事がしやすいもので、どの織機も基本同じ動作で統一して正しく織物が織れるようにしておくと、織る人が専門的にその織機につく必要もなく柔軟性の確保になる。
2014年07月01日

FUBAKO

今日から、阪急うめだ本店1Fギフトコーナー「FUBAKO」さんで、林与近江上布プリント柄ストールならびにアイリッシュリネンハンカチの期間限定にてのお取り扱いが始まりました。大阪にお立ち寄りの際には、ぜひ売り場のほうに脚をお運び下さいね。ストールは18柄全柄ご覧いただけます。


近江上布プリント柄
リネンストール

「林与」の家は、明治以前は何十代も「ヨジヨモン(與次右衛門)」を襲名してきた旧家の農家で、農業の傍ら女性の手仕事として麻織物を織り続けてきました。明治30年に林與次右衛門が、近江上布の機元として創業以来も、四代に渡り110余年、麻織物を織り続けております。

 戦時中は近江上布は贅沢品として生産は禁止され、戦後近江上布の生産を復興しましたが、「林与」では、昭和40年頃には着物を着る人も少なくなったことや、琵琶湖の水質を守ることもあり、近江上布の生産を断念いたしました。

 「林与」の近江上布は、麻が素材ゆえそのほとんどが草木をモチーフにしており、麻の上布では珍しい色柄の華やかさが特徴です。端切れの箱には「外に出すべからず」の文字があり、半世紀の間、「林与」の近江上布は倉庫の奥にしまわれ封印をされてきました。

 「林与」の近江上布アーカイブというのは千種類を超え、世界の織物の歴史の中でも、質、量ともに超一級の資料で、その柄や色使いには、日本人のものづくりの美意識や感性が詰まっているのではないかと思います。

 本来、近江上布は絣織物で硬くざらざらとした生地なのですが着物用にオリジナルを再現するのではなく、プリントで色柄をソフトなリネンのストールの上に再現いたしました。半世紀以上昔のシャトル織機を使って、切れ易い細番手のリネン糸を一時間に2メートルほどのスピードでゆっくりと丁寧に織り上げております。見て楽しんでいただけるだけでなく、本場近江湖東の麻機屋「林与」の麻織へこだわりや、リネンストールとしての格別の心地良さもお楽しみいただければと思います。
2014年06月30日
戦後は丁稚制度が禁止され、その代わりに作り上げられたのが日本的雇用制度と呼ばれる終身雇用制度、年功序列型賃金制度、企業内組合といわれる制度で、国の制度としても、国民健康保険、社会保険、や公的年金制度です。でも、すべてが破綻しかけており、今の世代や後の世代が後片付けをしないとならない負担の大きさを考えると、無責任に良い時代の名残をいつまで続けていていると、さらに後片付けしないとならない次の世代は気の毒です。

典型的な過疎化を感じるのがもともと賑わっていた集落で空家が目立ち、外に新興住宅が建ち始めていることで、昔からの集落というのは考え方も変わることは難しく、一つの世代とともに廃れてしまう流れにあるのではないかと思うのです。これは集落に住んでいる人の問題ばかりではないところもあって行政もそういう誘導をしてしまっているところもあり、気がついたときにはやはり田舎に人が残ることは難しいという問題に繋がりがちです。

私自身、織物というような古い仕事に携わっているものの、よほど新しい取り組みもしていないと昔ながらのことも続けることすらも難しいのを感じています。鎖国していた時代の日本なら日本の中の縛りだけで安定を保てたのでしょうが、経済だけでなく、文化というものは世界画一化の時代で、自分自身の文化発信が魅力的に思われなければ、ほかの文化に飲み込まれてしまうというのは、世界中にいきわたる商品がアップルのアイポッド、サムソンのギャラクシーであったりと、ものというのは世界中に流れていくので、ものづくりというのは世界を巻き込むほどのチャンスをつかまなければ生き残れない時代です。

日本の商品開発の理想はプロジェクトX的なものかもしれませんが、実際に日本では多くの壁があり、本来、人間関係があると協力的に働いて中で解決できて新しいものができるのが理想なのだが、行き詰まって、一つなにか新しいことをしようとすると人の関係も絶っていかないと新しいことができないというのもおかしな話なのだが現実的には多い。

難しいですね。小学生にパソコンや携帯を禁止する国が正しいのか、小学生にパソコンや携帯を推奨する国が正しいのか。林与のネットはするけど、テレビは一切に近いくらい見ない生活、正しいのか正しくないのかも似たようなものだと思います。正しい正しくないなんてのは力関係だけのことも多いので、自分自身の判断が大事だろうと思いますし、他と同じであることよりも、他と違う要素を積み重ねることこそが強みであるというの仕事でも実感します。
2014年06月29日
今日は近江上布プリント柄ストールの出荷の日。今は秋冬のストールのピークの時期に突入し、ぎりぎりながらも間に合って7月から百貨店でも販売開始です。今日も検針は地元の会社の友人が休みにも関わらず検針機を持って検針に来てくれました。初めてのこともあって、たとえば一つの記入方法でも、この書き方が正しいのかどうかとか迷うところもありますがとりあえずはじめてのときというのはそんなものだろうと思うのです。

夕方ぎりぎりに出荷が終わって、戻った後は、そのあと地元の着物関連の会社が夜お越し下さいました。社長が夜遅くまで動いて居られる会社というのは強いなあと思え、仕事を仕事とは思っていないあたりも強いものです。ご依頼いただいた内容なども普通だと本格的な話なのですが、頼まれごとということで自分のためというよりもほかの人のために精一杯動かれておられます。普段の仕事も、お話を聞いていても私と似たような仕事感もっておられます。仕事なんていくらでもあるというあたりも同じ考え方で、すべてを立ち回っておられ仕事を生み出す力とそれをこなされる力を持っておられるのが伝わってきます。

私自身、仕事の取り合いというのは好きではなくて新規にお話があるときにもすでにほかに麻の生地を扱っておられるところとお付き合いがあるなら、そことの仕事を大事にされたほうがよいのではないでしょうか、というようなお話からさせていただくことが多いのです。商売というのは、一回の仕事の勝った負けたじゃなくて、人との関係のほうが大事だろうと思うことも多く、考え方の合わない人と仕事をすると考え方の違いから問題ばかりが増えてくるもので、本来の仕事をするということ自体が難しくなってしまいます。

人というのはいろんな考え方があると思うので、考え方の似たもの同士が集まってものづくりをして、そういうグループがいくつも存在し、共栄共存というものが成り立つのがよいんじゃないかと思うのです。それを作り出すのが人の考えの違いだろうと思うのです。また、全体が一つで共栄共存というのは難しく、全体が一つのことをやろうとして考え方すらひとつにまとめることも難しく失敗するようなケースがほとんどだろうと思います。
2014年06月27日
昨日は、午後から彦根でシャツをつくられている方が麻の生地を見に来て下さいました。私自身、9月末くらいまですでに時間がなくなり一杯になり始めていて、在庫のものや通常に流れているもので対応させていただく流れとなりそうです。

昨日の夕方は、地元のある会社の経営者の方とお話をしていて、やはりやる気をもっておられるので会社があるということおっしゃっておられ同感です。私自身できる人に頼まないと時間の無駄だと思っているので、気があってすることのできる権限と能力をもっている人に頼むしか仕事がスムーズにいくことはないだろうと考えています。

会社の経営者だと外と中の意味の違いは判っていて、経営者だと仕事を持っていくと大事に扱われるものですが現場の人だと面倒そうに扱われていたりで、そういうのも経営の問題じゃないのかと私の気のついたところも冗談交じりに突っ込ませてもらっておきましたが、アイロニーもわかってくださるようで人数が多いので大変なのですと笑いながらおっしゃっておられました。

一回り以上若い私にも常に丁寧に対応され、今まで一度でもいい加減な対応をされていないあたりも、人と人、会社と会社との付き合いというものを仕事以前に大事にされているなあと思えるところです。現場も遅くまで見守っておられるので、そういう気持ちがあるのとないのとでは大違いだろうといえます。
2014年06月26日
以前、ある業者さんに好きだからこの仕事をやっているんでしょう、といわれたことがあるけれど、仕事なんて好き嫌いでするものじゃないというのが、私の仕事に対する考え方。趣味が仕事になればそれほどよいことはないけれど、趣味というのは趣味で終わることのほうが多い。ほかの人がやりたくないと思うことをやってこそプロの世界だろうといえる。

この仕事をしていて、デザインや作業とかではなくて、一番困るのが、一緒に仕事をするときの仕事に対する意識の差。布の世界では、単純な仕事だけども布を形に出来る人が少ない。アパレルの世界にデザイナーさんは多いのだが、織物工場が次々と廃業していく流れの中で、その原因は実際に現場で作業ができる人が少ないということがある。

昨日は東京JETRO本部でミラノウニカの説明会。初めての経験なのでブースの設営などの案件で疑問点も多く、大事な説明会。朝一軒寄ってから午後2時丁度に説明会場に到着。ブースの設営の疑問点も解けて説明会に出席してよかった。山梨富士吉田の前田源商店のお兄さんとも出会えた。カゲヤマさん、福田織物さん、古橋織物さんも一緒にミラノウニカ。海外に向けて元気に動いておられる馴染みのテキスタイルメーカーさんたちも一緒で楽しい旅になりそう。イタリアで日本が好印象に思ってもらえ一つのチームとして成功させたい気持ちはみんな同じ。

私自身はイタリアの展示会は始めての経験でそれだけでも楽しみなのだ。展示会のレイアウトの問題など大きな問題ではなく、わかる人が見れば感動もあるだろう。初対面の人でも興味のあられる人がいれば30分でも話すれば、日本の織物に関してわかってくれる人も多いだろう。ヨーロッパというのは置き引きなども多くセキュリティの面でほかのどこよりも注意が必要ということらしい。パリのシャルルドゴール空港行きの列車も危険な感じだった。荷物は3個は厳しい、スーツケース2個にしよう。

その後夜は出荷の案件があって、急いで滋賀に戻るも家に着くと夜10時前、出荷はプリント工場の方が滋賀県まで上がった生地を持ち込んでくださり間に合った。自分が大阪まで仕上がりを待って取りに行こうとしていただけに同じ気持ちで動いて下さる外部の方がいてくださり、ありがたい。
2014年06月25日
東哲平氏より、楽しそうなイベントのご紹介がありました。ブランドとアーティストのタッグでの取り組み、25日は東京なのでオープニングセレモニーには参加できませんが、会場はすごい盛り上がっていそうで新幹線の中から応援しています。

以下は紹介文です==========================

6月25日(水)から7月1日(火)まで阪急百貨店うめだ本店10FうめだSOUQ中央街区にてRBTを中心とするブランドや作家さんのポップアップショップを開催します!

今回の企画は「ART meets FASHION」と銘打ってファッションブランドがアートと結びつく事で更新される新しいカタチと、アーティストがファッションブランドと結びつくことで更新される新しいカタチを模索する実験的なイベントです。

イベントの中では5組のブランドとアーティストがタッグを組み、その両者でこのイベントの為のアイテムを制作します。
「普通の毎日」にどこか疑問を持っている人や、少しでも普段の日常を楽しいモノにしていきたい人には何らしかのヒントになるイベントです。
ぜひ、大切なヒトをお誘い合わせの上お越しください〜

*イベントをみなさんにも盛り上げて頂きたいです!沢山のシェア拡散ご協力ください。よろしくお願いします。

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阪急百貨店うめだ本店10階SOUQ
6月25日(水)>7月1日(火)
10時〜20時(金・土21時閉店)
最終日は17時閉店となります。
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RBT x WallRAG*
Knittingbird x 多分絶対
YAGA x KITAMURAKANA
nigatsu x cicci
monolisu+++ x 虹の心


RBT_http://www.rbtxco.com/
WallRAG*_http://rbt-co.ocnk.net/product-list/26
Knittingbird_http://knittingbird.com/
多分絶対_http://tabunzettai.web.fc2.com/
YAGA_http://www.yagamade.jp/home
KITAMURAKANA_http://kanakitamura-cancan.blogspot.jp/
nigatsu_www.nigatsu.jp
cicci_http://www.digmeout.net/members/artist3.html
monolisu+++_http://rbt-co.ocnk.net/product-group/26
山ぐるみ_http://www.ac.auone-net.jp/~asahiko/works/
2014年06月24日
夜、工場の外に出ると、涼しくて気持ちがよい。日本の夏というのは蒸し暑くって不快指数が高いけども、こういう夜露の気持ちよさというものを特別に感じ、体の暑さを冷ますことができるのは、充実感そのもの。

日本の服飾文化が高度なのは、やはり四季があるから。日本の着物の世界なんてものは、世界的に見ても一番くらいの豪華な世界なのである。なぜ、日本でこれほどまでに着物にお金をつぎ込むような文化が出来上がったのかというと、農家だと、どの家でも織物が織られていて織物というものに基本的に興味を示していたということがあろうかといえることと、また、農家が作る織物というのは一般的には素朴だったので特別の織物に対して憧れをもっていたということがあろうと思う。

朝3時、外があまりに気持ちがいいので、5分ほど散歩。源氏蛍だろうか、昔は地元では見かけなかったくらい縦横それぞれ2倍ほどの巨大な蛍が一匹だけ、水路の縁で、歩きにくそうに歩いている。たぶん、サナギから孵ったばかりの蛍なのだろう。お尻は強烈にイエローグリンの明るい光りを放っている。

それほど蛍も見かけないのは、やはり農薬の影響があるのだろうと思う。よく聞くのが農協が農薬を買わないと米を買取しないとか、小さな虫がいなくなることは、次には、スズメやツバメなどの鳥類などがいなくなることに繋がる。4月5月にはモンシロチョウやアゲハチョウが待っていたのだが今は田んぼに囲まれた田舎でも見かけることはほとんどない。そういえば蚊もかなり少なくなった。春に花は咲くが、訪問者のない春というのも春らしくない。ツバメもほとんど見かけない。
2014年06月23日
今朝から状況が一転して、余裕があったはずが月末までぎりぎりのぎりぎりのスケジュールとなって、今週は仕事の合間に2度のとんぼ返りで東京の予定。ものづくりが成功してものが流れる状況が生まれても生産というのは別の大きな要素で、それが成り立たないとすべてが水の泡。やれるだけのことをやってみないと悔いが残るものですし、次も同じこと。月末までの一週間が完全に埋まって厳しい状況ながらできるかぎりの取り組み。

昨晩は、2台縦糸3080本をそれぞれタイングマシンでつなぎました。最初の一台は、ラミーの100番にリネンの100番を繋ぐのですが、これが難しい。ラミーは切れやすく、繋いでいる途中で何度も確認作業。緊張の続く5時間コース。そのあと、綿のビームを巻取りし、綿どうしを繋ぐ作業非常に簡単で2時間で終える。もう一本繋ぐ仕事が残っている。

織り出しを確認してひと休みして朝には別件の加工出しの準備、織物作業のすべてが仕事。糸をタイイングマシンで繋ぐも私にとっては単純作業ながらも、なかなかそういう仕事も出来る人というのは少ない。繋いで繋ぎ違いが多くボロボロで織れないということも多いので、急ぐときほど私自身が作業をしたほうが確実ということもある。

繋いだ2台は順調に動き出した、それが幸い。繋いでも糊の加減や糸の良し悪しで、うまく織れないことも多く、それを解決するのが織の現場の仕事だったりすることが多く、そのためには織機を何時間も掛けて調整したり、どうしても、糸切れが納まらないときには横糸切れ縦糸切れを何百回と乗り越えながら織り進まないといけないときもある。

何百回何千回糸切れをしても正しく直せる人というのは強いもので、その基本があって、高度な織物が生まれてくるといえる。案外、そういう丁寧な仕事や根気の部分でほかに真似のできない新しいモノづくりができるものだ。口が長けている人というのは地道な仕事に向かない人が多い。どうしようと決断を迷っているよりは、10仕事して、1つでも答えを出していく方向に向かうべきだろう。よりよい答えや方法が見つかったときには、積み重ねたものをすべて台無しにしてもよいと思うが、何事をするにも積み重ねるという作業が一番大事。
2014年06月22日
昨年1月から本生産をおり始めて、ようやくゴールにたどり着いた仕事があります。くらしものさしプロジェクト③のリネンハニカムキッチンクロスです。林与自身が、360枚を6ヶ月ほど掛かって織り進め、昨日ようやく織り終りました。伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越の3店舗のキッチン雑貨売り場に並んでいますので、ぜひ、売り場で手にとってご覧くださいね。

今月はじめの阪急うめだ本店のテキスタイルマルシェでも、林与の定番のリネンキッチンクロスの残布を縫製したものが人気で、トータルで300枚以上は持っていったのですが最終日になる前にL25タイプは完売でした。さまざまなテキスタイルが集うような場所で、平織のシンプルなキッチンクロスが人気というのもリネン人気の表れだと思います。弊社だけでなく、平山繊維さんの木綿のガーゼふきんも大人気で数日目には完売になっていました。
2014年06月21日
昨日はキッチンクロスを織るのに集中しようとするのですが、途中、お電話をいくつもいただいて、途中中断。途中中断すると、再開するときに失敗が多く、こういう作業は、現場のものがやらないと駄目なのですが、仕事というのはできないと思い込むとできないものでできるものではありません。私自身も、無心の集中そのものの領域に入るのに昔と比べると時間がかかるものです。

これは内も外も同じで、同じ仕事でも気持ちしだいで、2倍3倍スピードも変わってきますし、仕事の質も変わってくるものです。技術云々ではなく、精神面での差というものが力の差となって現れる部分こそ根本的な力の差の部分だろうといえます。

私自身もできないことはまずないという気持ちでできないのは、やろうとしないだけのことという考え方でいますので、いろいろなことに挑戦ができるのだろうと思います。よくいわれるのですが、商売というのが普通に成り立たなくなったときに、実際に気持ちから切り替えていかないと駄目で、それが実際に行動に繋がらないと、現状打破というものは難しいものです。

仕事があるときに、うまくいく流れをつくるのか、うまくいかない流れをつくるのかで同じ仕事でも答えというのは大きく違ってくるもので、麻を今まで扱ったことのない、産地や海外のほうが次々と新しいものを生み出してこられるというのも、従来の仕事がなりたたなくなって彼らにとっては麻という新しい素材と真剣に取り組まれるようになったからだろうといえます。

ある方のご紹介で、ほかの産地の機屋さんが麻を織りたいということで私に麻の織りかたを教えてほしいと相談いただいたことがありますが、自分自身でいろいろな準備をされてやってみられてうまくいかない。従来の仕事プラスアルファで、会社を残そうとがんばられていて、まだ、苦戦をされていると聞いてはいますが、そういう覚悟を決めた気持ちがあれば本業の綿織物にしても高度なものが生まれてくると思います。
2014年06月20日
林与ジャパンプロジェクトですが、今年から順調にさまざまなチャンネル経由で広がりはじめた感じで喜んでいます。リネンのストールも3シーズンをベースにさらに柔らかくしておりますので、春や秋にとくによい感じではなかろうかと思っております。

日本中のいろいろなところで、與一じいさんの頃の色柄の世界をみていただけるというのは本当にうれしいことですね。先日のテキスタイルマルシェでも、潜まった感じでディスプレイしていましたが、見つけてくださって素敵ねえと色柄を褒めて下さる方は多かったです。

今の楽しみはこれを海外の皆さんにみていただくこと、ミラノウニカ、インテキ上海を含め、織物を通じていろいろな人との出会いが生まれる楽しみがあります。織物に感動するという、本来、織物が持っていた特性的な部分、それは織物そのものじゃなく、ものづくりのスタイルであったり、ストーリーの部分も大きいのではないかと思うのです。
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