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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
チーズアップ
2012年12月15日
かせ糸をチーズに巻き返すチーズ巻工場のおじいさんと話をしていると、ここ数年は専属で弊社のものをお願いしていたのですが、チーズアップする工場もどんどんと消えているようで最近は忙しくされているそうです。

昔は、何人も人を使ってやっていられたということもあって、そういう方で一人になっても仕事を続けておられる方というのは、本当の職人さんだなあと思えるところです。会社にもカセをチーズアップするワインダーはありますが、おじいさんがカセを巻き上げるスピードというのは何倍も高速です。

チーズ工場が廃業されていった背景にはチーズ染が普及したことがあります。カセにするコストも節約できて、また、かせをチーズアップするコストも時間も節約で、品質は若干落ちるといわれるものの似たようなものが作れるのですから、カセで染められるところは消えていきました。

林与のものづくりの中で、基本、カセ染めというのも完成度の高い昔ながらの品質とそれに携わられる職人さんの仕事を守るという部分があります。カセで染めることで糸1キロ数百円の違い、時間のロスというのをマイナスと見るのか。国際的な競争も含めた上で、日本の昔ながらの品質を守り、日本の麻織物産業の特色的なものづくりのスタイルを守り続けることを考えれば、林与がカセ染めに特化したことで、今もおじいさんが産地の技術の一つを保ちながら仕事を続けていてくださることを考えるとプライスレスな世界です。

実際には、麻糸の場合、チーズ染の糸というのは内外差を持つだけでなく、別のいくつかの欠点を持っています。そこにこだわるかこだわらないか。業界でも普通は話にすら出ない問題なのですが、麻に関してはカセで染めてあげるとそれなりに何ランクか上のものづくりになると考えています。