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リネンや麻を織る日々をつづっています。
リネン日記
2023年06月09日
仕事で突然わいたような良い話に協力してほしいとかいうことがあって、新規にお店を出店するとか、新しい商品があと1か月で必要みたいな、そういうのに関わるとダメージが大きいことが多い。まったく準備ができていないのを生地だけでなく、オリジナル商品開発まで林与がするみたいな。関わるとコスト的に無理納期的に無理な話が独り歩きし始める。

これと似たようなのがこれからブランドを立ち上げたい人が、事業をはじめようとするとき、ブランドを立ち上げようとするとイメージだけであとは頼めばものができあがると思っておられる方が多く、開発する商品それぞれに対するものづくりの基本や知識みたいなことをデザイナーの人が持って、資金も用意しておかないとならないのだけども、こんなことをしたいという夢だけでいろんなところを回られていても頼み込んで一つのものをつくることができたとしても、それを小ロットで生産するのはマイナスでしかないし、ブランドの一番大変なところを縫製工場や素材メーカーに代わりに持ってもらおうと思っておられるあたりが、仕事感覚が全然違ったりする。

ブランドを立ち上げる方々にしても素材に対する知識というものは必要で、お客さんに商品説明をするときや洗濯方法など、縫製工場や織物工場が責任を持つ話でもないのである。商品開発の商品企画という部分に含まれる企画要素で、商品開発の際には十分な商品テストも必要で、いろんなテストをやっていないと大きな問題が起こることになりかねない。あまりにも、製品に関しての知識がないと思う時には、普通の市販生地を使われた方が無難ですよと助言することもある。

間に問屋さんのような業者が入られるともっとややこしいことになりがちで、そんなの当たり前のことやんと思うことを、クレームとして解決してほしいと連絡があったりする。たとえば、手もみの生地をクリーニング屋さんがアイロンがけでシワを伸ばしてしまったとか、洗えば少しはもとにしわが戻るだろうけども、一旦蒸気できれいにシボを伸ばしてしまうと、水洗いして干しても手もみのシボが元と同じくらいに回復することはない。そういうのを情けででも引き受けたりすると、今度は鬼の首を取ったかのように、何度ももうちょっと直してほしいとか、となる。

商品開発をする人には、自分で作ってみて使ってみて、よく自分のつくったものを理解してから販売してもらうことが大事で、それをやっていないと大きな見落としが普通にあったりすることも多い。自分自身で縫製などをされているデザイナーの方というのは、いろんな問題を理解されていることも多く、そういう問題を商品開発の時に検討の上でものごとが進む。

問題がありそうになるとドライ指定にして解決されようとするところがある。ドライ指定にしてもクリーニング業者が失敗しない様な誘導をしないと、クリーニング業者で働いている人にしてもアルバイトやパートの人が多く、クリーニングの投入前の状態を知らない人たちが仕上げするのである。問題が起きないことのほうがおかしい想定だけども、それだと保険や補償が降りたりして、お客さんとクリーニング屋さんとの間の問題として解決してくださいみたいなことになるのだろう。いわゆるデメリット表示でどこまで逃げるのかみたいな、そういうのからしても、3cm角もないラベルに、読むこともできないような小さな文字で何行にもわたる注意書き。ISO式の絵表示の変更で余計にトラブルは多くなっただろうと思われる。

そういう想定からして、タンブラー乾燥するのかしないのかで大きく絵表示を付けている意味すらも変わって来る。家に洗濯機がなくとか干す想定が無い人は、タンブラー乾燥不可の洋服を買うことが難しくなるのである。平成28年の改定で、タンブラー乾燥が加わって、そういう洗い方を普通にコインランドリーでするのは分かるけども、水洗いで釣り干し想定の製品はどうするんだろうと思う。あまりにも、ケアが異なりすぎて一つの家の家庭洗濯が二通りに分かれて難しい話。