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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
エゴとエコ
2011年06月10日
L40番手のオーガニックリネンの糸を扱っているときにいつもとは違う現象が起こっています。前回のオーガニックリネンでは起こっていなかったのですが、今回のオーガニックリネンの原材料の問題でしょうか、製造工程の問題でしょうか、チーズに糸が堅く巻けないのです。イメージからするとより藁っぽい巻け具合です。

これが原材料の問題だとすれば糸がしなやかでない、すなわち、畑が荒れ始めているということなのかもしれません。オーガニックリネンの取れる畑というのは限られているのですから、何年かすれば本来の栄養がなくなって取れるものは品質がまばらになってくるはずです。基本、同じ畑ならオーガニックリネン当初のものと今のものでは昔のもののほうが品質が高いのが当たり前だと思います。業界でオーガニックの糸の話をすると、オーガニックリネンの糸というのは、一般的な品質でみると品質が低いのが当たり前なので、これに改善を求めるのは野暮なのだと思います。

基本的なオーガニックのコンセプトとしては、結局、原始的な生産にどこまで近づけるかなので、理想郷としては、先進国的な農業から原始的な農法にもどるということで、突き詰めていけば、管理されていない野生に生息するものを取るのが一番オーガニックなのです。自然というより大きなスコープから考えれば、最終は人間の管理そのものがオーガニックのコンセプトに反するというような結論にすら達してしまいます。

取り扱いに関しましても、実際に塩素系の漂白が行われなければ、結局、毎回洗うときに黄ばみを押さえるために漂白剤を使ってしまっていれば、どちらがエコなのかという問題だったりします。家庭での塩素系の漂白剤や柔軟剤は最終下水や川に流れてしまいます。オーガニックウールなどは、結局、糸にしましても製品にしましても、虫がつきやすいので防虫剤を使用するのかどうか迷うところです。スーパーに並ぶ何日たってもつやつやの野菜よりも、農家から直接いただく野菜に近いという感覚です。

また、オーガニックリネンの糸にしましてもヨーロッパのものなどは飛行機で空輸されますのでジェット燃料でオゾン層すらも破壊するという理論につながります。これは、逆に普通の大量に生産されてもそれほど環境に影響を及ぼさない普通のリネン以上にエコでない側面もあったりするのです。これはジャストタイムな生産が、ひとつあたりに使うエネルギーはより増加し環境にとっては悪いというのと似ています。農作物でも、品質基準を上げていけば捨てる部分が多くなり、結局はトータルとしてエコではなくなるのです。昔は、ものが希少ですべてを使った時代ですが、管理社会になると管理がすべてになり、エコなコンセプトそのものが全体としては成り立たないものになってしまっています。箱が壊れているので返品するという部分も正しかったのかどうかが林与自身迷うところです。

原子力発電をクリーンエネルギーと呼ぶ日本的な体質もあったりするのでそのあたりは気をつけないとと思っています。24時間、日本全体で「海を炊く」ようなことを行っては、CO2の影響以上に北極の氷も解けて、ツバルは沈むでしょうし、北極の氷は解けて自然環境そのものの破壊ではないかと思うのです。原子力発電所の取水口に遠い遠い南のほうのくらげが処理できないほど大量に浮遊してきていることからも当たり前に気がつかないといけないことではあると思うのですが、利害関係が絡みますので難しい問題です。太陽光発電にしましても劣化すると買い換えないといけないようなものなので、太陽光発電のパネルを作るために使われる有毒なものの廃棄の問題が生じてくるので、日本全体がそれひとつに動くことは何十年か後に莫大なごみを残すので危険な気もいたします。エコを考えると、どれがエコとは言いがたいのです、ある物事の価値を感じて長く使うように分散しておくことが非常に大事だと思うのです。