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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2010年06月10日
国内紡績のカシミヤの細い番手が届きました。毛番で80番手です。このクラスが多分通常流れているうちではかなり上位のクラスのカシミヤだと思いますが、カシミヤはあまり使わないので、自分自身が使って良し悪しを判断していこうと考えます。

林与は、超細番手の麻を織っておりますので、通常の糸だとほとんどの糸を織りこなすことが可能です。たぶん、この糸も織れるんじゃあないだろうかということで、試しにどんな感じなのか見てみたい感じで、他と違うものができるなら商品化していけるかと思います。

細番手の魅力と言うのは、リネン100番手のストールとリネン66番手のストールでは、原材料はもとより紡績工程からして難度が異なりますので、ほぼ同じ目付けで織り上げて同じ加工を施しても、その生地はまったく別物に感じます。

通常リネンの66番手でも繊細な織物に感じるのですが、リネンの100番を超える世界と言うのは、別世界で、海外のアパレル向けの素材の展示会などでは見たことがないといわれる方が多いです。そんなリネンの100番とカシミヤとのコラボなんかも秋もの向けにはよいんじゃあないかと思うところです。
2010年06月09日
社内では、リネンワンピースの販売に向けて動きがあります。ベーシックながらも素材の良さを楽しめるようなリネンのワンピースが作れないかと思っています。市販されているクラスのリネンだと面白くないので、リネンの100番手くらいのオフ白をベースにしたクオリティでエレガントなものにできないかと思います。

同時に、ひこねの縫製の力を生かしたものができないかと、林与独自のプロジェクトも進行しております。2年前までは、不可能だったリネンの世界が、素材の開発をできたことで広がり始めようとしています。

数年前にチャレンジした、リネンの浴衣も再度新素材を活用してどうなるのだろうか、楽しみです。綿のマットな感じとは違って、リネンの太くても光沢感や繊細で透明な感じが、女性の美しさを引き出せるのではないかと考えています。

浴衣って、涼しそうに見えても熱いというのが実際だったりするところです。たぶん、綿の浴衣だと寸胴にしないときれいじゃあないのだと思うのですが、簡単に羽織ってエレガントなものが作れないだろうかと思うところです。

リネン日記をご覧で、自社柄をお持ちでコラボしてくださるような捺染屋さんおられましたらご連絡くださいませ。林与では、リネンにプリントを考え、100番手クラスのP下素材などをどう料理しようかと思考中です。午後からは彦根の組合で事務的な作業などを行いました。
2010年06月08日
今日は、午後からコラボしがの方がお二人お越しになられ、今、滋賀県のファンド事業として動いています。ビンテージアイリッシュリネンハンカチのプロジェクトに関して中間の進捗状況の確認に来られました。現在、40プロジェクトが動いていると言うことで、継続の審査は厳しくなっているとのことですが、もともと自分でやろうと考えていたことですので、全力で突っ走るのみです。

このハンカチ用の生地を展示会などでご覧いただき、いろいろなご意見をいただきまして、2年目の物づくりの参考になりました。今年は、単なる白いハンカチではないので、ハンカチの規格を決めたりして、ハンカチのなかの簡単な柄をいくつか試してみました。

今年の次のステップは縦横の先染です。ある程度しっかりした密度で織るので、糊付けの問題が生じてきます。きれいなハンカチが織れるでしょうか。並行しまして、社内での縫製のテストなども行っております。

素敵だなあと思えるハンカチと言うのは、見ているだけで、触りたくなるようなハンカチではないかと思います。真っ白なハンカチよりもアイボリー掛かったオフのハンカチのほうが何倍も人気が高いことも展示会で分かった成果の一つです。
2010年06月07日
同じものでも使う人が違うと長持ちしたり、素敵なものに変わるというのも感じる出来事がありました。先日、お越しくださいましたお客様が、早速、リネンの布にハンドヘムを入れてくださった写真をお送りくださいました。わー、っと思ってしまうような出来事です。

一日掛けて、丁寧に一つのラインを完成して、これって、ほんと昔の手仕事の世界ですよね。今の時代にそのような作業に没頭できる方にお会いできることは、プライスレスな価値観の世界だと思います。林与も一つの布を作るときに糸探しから初めてそれを織れるまで何度もトライアルすることがあります。特に新しい糸とであったときには、半年、一年考えて形にしていきます。途中、満足できずに一からやり直したり、織ったものを加工に出して、自分の中での合格点まで近づけて行きます。

そういう布という完成品にたどり着くまでにいろいろな苦労があるからこそ、たとえ、無地の布を見たとしてもいろいろな思い出がよみがえってくるのだと思います。ロットが違うだけで同じ加工をしても風合いがまったく違うように思えることも多いのです。朝触ったときちょっと違和感を感じる布でも、心配で、夕方触ると程よいとか、ほんと、天然を感じるのが本来のリネンや麻布です。

近江米を産する田園に囲まれた湿潤な気候の中で、加工をあがってから、だんだんとリネン布の味が増していくのも感じることができます。寄せ集めではない昔ながらの価値観を守ることで、本場の近江湖東産地の麻織というものを守っていければよいと考えております。
2010年06月06日
今日は、自治会のもち米の田植えが11時から行われました。もち米を植えて、それを収穫してお餅を最後に食べようということです。自治会の外部団体の青少年育成会が主催になってする行事で、その情報を聞きつけた、5歳から小学校3年生くらいまでかなあと思う子供たちが20人ほど集まってきて、田植えを行いました。

ほんの30分で植え終わってしまって、後は泥んこな手脚を水洗いです。毎年はアイガモのヒナを入れて、有機栽培するもち米になるはずなのですが、近年の鳥インフルエンザなどの流行もあったため、今年は、野生のアイガモも放鳥はありません。

去年は、オーガニックにこだわり、もち米があまり取れなかったということでした。自然を求めると、人間のコントロールができないところにたどり着くものだと思います。

オーガニックな要素というのは環境に優しくても、人間には優しくないことが多いもので、自然対化学の対立だと思います。今の時代でも天然素材があってもより安く量産できるように似たようなものを化学的に生み出すという手法がとられます。良い風合いを生み出すために素材そのものを良くするよりも後の加工の薬品で風合い自体を化学的に生み出すという手法が取られます。

今日、手作りの体験農園の看板が立てられました。私自身は看板づくりには携わっておりませんが、温もりのある手作りな感じの看板であるところが絵になりすばらしいなあと思うのです。自分で作ったものが一番みたいな感覚を養うためにも、社会がその手本を見せていかないとだめかなあと思います。

今朝、会員様向けにメールでご案内しましたキッチンタオルとキバタは、この下のほうに並んでおります。見つけにくかったという感想をいただき、次回からは、メールのほうにリンクを貼るよう改善いたします。
2010年06月05日
今日は土曜日でしたが、朝から奈良からのお客様がお越しになられました。弊社が最近お作りした生地などを見ていただいたほか、倉庫に行きまして、弊社の昔の近江の絣文様の見本などをご覧いただきました。

今作るものというのがどれほど無力なものなのかを私自身が実感する世界です。一本一本手織りするだけでなく、年間百を超えるような絣柄を生み出した先人の力には感服するところです。毎日ご飯を食べるように当たり前に、新しい絣柄が生み出されていたのです。イースター島のモアイをなぜ、昔につくることができたのかという以上に不思議な世界です。数十人の仕事とは思えません。

今、そのひとつでも作ろうとすると、数人掛かりのプロジェクトで、1ヶ月仕事ではないでしょうか。これは、単なるプリントではないことを考えると、世界では相当手の込んだ部類の織物に位置します。日本の昔の織物がどれだけ、手間隙を費やして作られたものなのかということを物語ります。

一ヶ月を織り上げるものなのに、コンピュータシュミレーションもせずに、どれもが今の時代にも新鮮に見えるような色柄で作り上げられているというのが軌跡だといえます。日本の着物の世界が世界に誇れる文化であるというのは、同じものを作ろうとしても大変だという再現性の難しさにあるのではないでしょうか。
2010年06月04日
今日は、朝、リネンの生成が届きました。箱を開けると思ったよりも明るい色の生成りが入っており、前回のものとは紡績メーカーが違うのかなあと思ったりですが、たまたま、お客様のほしい色が明るい色の生成りだったので良かったです。でも、こういうのはたまたまの出来事ですので、こういうラッキーなことが続くわけではありません。後の問題を少なくするためにも仕事をするときには糸の確保というのは非常に大事です。

リネンの生成にはさまざまな色味があって、産地によってフラックス原料の色の違いがあるだけでなく、レッティングと呼ばれるフラックス原料の作り方によっても変わってきますし、気候によっても変わってきます。他にも、フラックス原料の産地の問題ではなく、紡績工場の技術水準や作業基準によって、生成の色味が大きく変わってくるのです。

生成の色というのは付けるのではなく、色を抜いて調整していきます。生成の色にその紡績工場のセンスが良く表れてきます。林与が好きだなあと思うのは、昔のアイリッシュリネンのゴールデンアイリッシュと呼ばれるカラーですが、今はもう手に入らないと思います。カラーの安定性の面からも、良質のリネンの産地としては最大の、フランスやベルギー産のグレーっぽい生成を基調にしています。

いつも同じような色味を使っているので、少し色が違うだけで、黄色いなあとか、濃いなあと感じることができます。リネンの布を触っていると、朝と夜では感触がちがうことが多いですし、加工してから時間が経つと湿気を吸って良い感じになってくることが多いものです。

生成というのは、色の安定性がないので、アパレル向けには生成の代わりに生成りに似た色で染めた染め糸を使うこともあります。生成というのは、生の草っぽい性質が残っているので、気をつけないといけないことも多いものです。
2010年06月03日
今日は、東京からお客様がお越しになられました。1ヶ月前のジャパンクリエーションの3日間の一番最後のお客様としてお出会いさせていただいた方で、プロダクトデザイン事務所を運営されておられます。海外の美術館などでも個展を開かれ、日本の伝統的なものづくりに目を向けられ日本らしさを世界に発信されておられます。

9月にご予定の個展に向けて進めていきたいというお話をいただきました。私自身は、通常に流れる良いものと特別に作る珍しいものとの差というのは大きいことをお話させていただいたりいたしました。

心が和んだのが、その後、京都に行かれるご予定があったのですが、その前にお寺めぐりをされているということで、石馬寺に行きたいとおっしゃられました。時間も遅かったがために拝観はできなかったのですが、外から拝ませていただきました。

ご住職さまには、座敷の縁側から庭を眺めながらお茶とお菓子をいただき、地元の人間ながらも立ち寄ることがなく、近くにありながらも小学校の遠足以来という特別なチャンスをいただけたことをありがたく思います。記憶していた井戸の中の馬という昔のイメージが、だいぶ違ったのには驚きました。

気さくにお話させていただき感じたのですが、ものつくるというより、その前に、心を大事にすることを感じました。
2010年06月02日
今日は、合繊関連の糸メーカーのほうに問い合わせをさせていただきましたところ、快いい対応をいただきまして、日本にも熱く動いておられる方がまだまだおられるのだなあと言う実感をいたしました。

お話をさせていただいていて、やるやらないの物事の判断というのが私の物事の判断方法とかぶっており、まさにものをつくるメーカーさんだなあと意気込みを感じました。そのような方と出会いがものづくりの大きな助けになります。でなければ、自分自身で他分野のことを一つ一つ解決していかないといけないのです。

実際に分業体制というのが進みすぎて、工程データ管理はできていても、会社の中の人がものを見ていないケースは増えてきています。流れ作業になりがちなのです。同じデータで動いているつもりでも、出来上がったものの風合いは異なってしまっていることが多いのですが、その出来上がったものの風合いというのを判断する職人的な人というのはいないのです。

最終に仕上がったときの技術的な問題は当たり前ですが、風合いなどの話までもを、糸商さん、染工場、加工工場をはじめとする関連企業さんに伝えることがあったりするのですが、それを大事だと思われる方に話をしないとお話をしても無駄に終わります。

不思議なもので、同じ原糸を使用して、同じ工程で織った布というのが、同じ風に上がらないというのが、合成繊維の世界とは違う麻の世界なのです。特にリネンではその傾向は強いかと思います。原糸の製造ロットが違うと、フラックス原料の畑からして異なってくるので風合いの違いというのは生じてきて当たり前かもしれません。この問題が再現性に影響してくるので、紡績メーカーの品質の安定性に対する意識というのは非常に大事なのです。

前にも書きましたが、ヨーロッパで長雨の続いた年のロットはどこのメーカーのものも、通常のそのメーカーの色よりわずかに濃く硬かったのです。このことはヨーロッパの原料を正直に使用しているということであり、その年の品質が落ちることは仕方のないことなのです。逆に不作の年の糸は高いです。お米の不作と似ています。また、フラックス原料というのは、毎年毎年新しい原料が使用されていることが伝わってきますし、糸商さんというのも在庫として寝かせることをせずに新しいものに置き換えられていることが理解できます。
2010年06月01日
今日は、社員の検定試験があって、石山というところに朝早くから行きました。お昼前に終了で後は結果を待つだけです。終わって社員たちはほっとしたようです。労いの為、お昼ごはんを思いっきり食べてもらいました。

国道が混んでいたこともあって琵琶湖岸の道路を帰りました。夏の日を感じさせるお天気の良さで、車のエアコンを使うよりも、窓を開けて風に当たるのを楽しみました。琵琶湖の周りでは平日ながらも、ボート、魚釣り、写真撮影と車で数十分のところに自分とは違う世界もあるものだなあと気が付きました。

帰り隣町の能登川の水車で途中休憩をしました。大きな鯉が水路で泳いでいます。手をたたくと餌がもらえると思って寄ってきます。琵琶湖や川には鯉がほとんどいないのに小さな池には100匹以上の巨大な鯉がうごめいています。人間の力というのは自然の形を変えるだけでなく、自然であるはずの動物の性質までもを操ってしまっているのです。

会社に戻ってからは昨日夜遅くあまり寝ていなかったので社員よりも私のほうが疲れていて少し休憩いたしました。夜には出荷など行いました。
2010年05月31日
今日は、工業技術センターで、細番手のリネンの件を職員の方とお話しました。先週末に電話で少し打ち合わせさせていただきてから行かせてもらったのですが、繊維分野の私と同世代くらい馴染みの3人の方が出迎えてくださり織物のことをお話しました。

工業センターというのは、県の施設で県の職員の方が研究や分析などをされています。繊維以外の分野もあるのですが、織物分野では、滋賀県には、麻織物、絹織物、綿織物があるので、主にその県内の3産地の素材の相談を受けられていることになります。

今日は、綿の麻の混率の分析依頼を出しましたが、単に依頼を出すだけでなく、ポイントをしっかりとお尋ねしまして困られるのかなあと思いきやしっかりとお答えいただき、分析依頼を出す以上の意味のあることを得らた感じです。その検査用の資料に対する感想も、私と同じイメージを持っておられ、自分自身が感じたイメージがどうなのかというところもしっかり確認できました。

夜は、彦根で繊維組合の総会があり、その後に懇親会ということで、晩御飯を皆さんと食べて、日本酒を飲んだので体がお疲れです。ピーマンのわさびの利いた握り寿司を食べました。これは、おいしかったですよ。野菜のお寿司というものいいものですね。
2010年05月30日
今日は、朝7時半から自治会の外を走る農業道路のごみ拾いを自治会全体で行いました。それほどはたくさんのゴミはなく、30分ほどでゴミ拾いは終わってしまったのですが、集めたゴミを分別するのにはかなり頭を使いました。

燃えるゴミ、燃えないゴミの区別が難しく、短時間でどちらかを判断するのは、その後そのゴミを処理する工程のことを考えるのですが、考えても仕方ないといえば仕方ないことです。判断するのが難しすぎるのです。最後まで片付けるのは仕事並みに一苦労です。

午後からは、会社は休みなので、パープルとブルーのビックチェックとストライプの撮影を行いました。キバタの件で、買われた方が大丈夫かなあと心配をしていたのですが、すでにストールにされてプレゼントされたというお話もメールで伝わってきたりと、ハンドメイドな気持ちや精神というのが大事だなあと感じるところです。

シャトル織機でリネンのチェック柄を織れるところは日本でも数少ないので希少な織物の部類には入ります。普通に販売しているリネンとは違う顔を作り出していただければ、ありがたいなあと思います。私自身も20回くらい生成の生地を洗濯機で洗っては干して目ズレのテストなどをしています。10回も洗うと生成りが段々と自然に漂白されて白くなってきます。

今回はキバタの状態の生成とオフ白の色をご覧いただけたかと思いますが、これが、ベルギーやフランスのフラックス原料を使用した糸の色です。市販のリネンと比べるとしっかりしたダークな生成に思われるかも知れません。林与が通常使うリネンの標準的な生成色です。細番手と呼ばれるる66番手クラスの糸を使用しています。

リネンの生成というのは、耐光堅牢度が弱いので、天日で干すと薄くなっていきます。昔リネンや麻を漂白するのに、水で洗って芝生の上で天日に干してオゾン漂白したということを聞いておりますが、お天気の良い日には、そんな天然の力を十分吸ったリネンストールを作るのも、天の恵みではないかと思います。

水通しのようにして作るのと、洗濯機で洗って作るのでは、出来上がりのボリューム感に違いが出てきます。ハンドメイドストール用キバタの第2弾は、ブルーX生成バージョンとパープルX生成バージョンです。特別な価格ですので、お買いいただける数量のほう限定にはなってしまいますがシャトル織の世界をお楽しみいただければと思います。
2010年05月29日
今ですね、自家製ストール用のキバタの第2段をお作りしております。週明けにはこちらのサイトで販売を開始予定です。パープルとブルーをビッグチェックとストライプにしましたので、ナチュラルな生成バージョンとは違う、華やかなイメージです。

ストールのキバタご購入いただいた皆様、水洗いのほういかがでしたでしょうか?はじめてキバタと向かわれた方にとっては、取り組み甲斐があるんではないでしょうか。

たとえば、生成のキバタは何回か洗っていただくと、色が段々と薄くなってくることが観察できたり、毛羽が出てきたりとリネンが生ものであることを感じていただけるかと思います。

洗いあがったキバタも干して乾燥したてはパサパサですが、しばらく置いておくのがミソです。自分で作ったストールというのは、独自の工夫で風合いが変わってきますし、味があってよいものではないでしょうか。
2010年05月27日
最近は、県内の地域資源活用ということで、商品開発に地場の材料を使おうとする動きが多いようです。たとえば、滋賀県の業者さんが洋服を企画するのに、滋賀県の地場産品をしようするような提案ができないだろうかと考えられております。現在、「林与」の布に関してはお取り組みいただき、実際に、運用いただき10年以上の実績を積んでくださっている布工房さんなどもあります。

そのように長期に渡ってしまうと当たり前のように思えてしまえ、地場産品を使っている感覚ではなくなってきてしまうと思います。林与がものづくりをするときに、産地の染を使用したり、加工を産地で行ったりするのも、普通すぎて意識しないことが多かったりします。

一方で、それをトータルに行うことは自分自身の中に制約を設けるということになり、非常に難しいことではありますが、非常に長い時間を掛けて、それを乗り越える覚悟でつくると、産地で一貫したものづくりができたりもいたします。「林与」が、ものをつくるときに徹底した麻へのこだわりが流れていないともったいない気がするのです。「林与」が今も産地で織り続けるというだけでなく、産地のものとして間違いのない本物でありたいと考えています。(産地偽装などの問題でも明らかですが、このことが実際には難しい時代です。)

このようなものづくりのコンセプトは麻織物の本場といわれる近江においても難しいことで、それを通常のものづくりの中で実践しているのが「林与」なのです。メイドインジャパンという広い範囲を考えたときにも、本場のもので世界に通用するような商品だけでなく、ものづくりの一貫したスタイルが大事ではないかと、ものを作る側としましてもしっかりとした姿勢を貫いております。
2010年05月26日
昨日は、夜には会議がありました。

朝、お客様がお越しになられまして駅までお迎えにあがりました。小雨のふる肌寒い一日でしたが、半袖1枚でへっちゃらな「林与」は、寒そうに見えたのでしょうが、年中そんなものです。でもでも、リネンコートが売れるというのが良く分かります。

お客様には良いものをみせていただきました。ビンテージなリネン服です。すごく古いものなのですが、なんともいえないタッチです。悩むことの多い素材でしたが、課題をいただきまして前に進めていきます。夜倉庫で、昔のリネンを眺めました。同じようなタッチのものがいくつかあり、それを考えると結論にたどり着くのかも知れないのかとも思います。

進行状況のお問い合わせ、進行のご報告、函館のほうからのご質問、店舗さまからの依頼、店舗さまからの指図書、加工出し、糸の染色など各方面との調整を行いました。出荷なども行いました。

リネンに関するお問い合わせがいろいろな方面から増えてきて肌寒いながらも夏本番を感じます。

タイトルの「ふなずし」は、滋賀県の名物の一つです。私自身もフナずしは年に1回食べるか食べないか、あの味が理解できるようになると昔には後戻りできない年代になってしまったことを感じます。あの噛んでも噛んでも噛み切れない筋っぽいねちっこさは飲み込んでしまって開放されたい気分に追いやられます。結局、今日は食べることはできませんでしたが、滋賀県に来られた方はぜひご賞味くださいませ。
2010年05月25日
本日は、「林与」定番のリネン素材をお試し品としまして、メール便速達送料無料で販売を開始いたしました。プロがお使いいただけるという意味がご理解いただけるかどうかは分かりにくいかと思いますが、プロ仕様としての長年の実績をもち、色や風合いなんかは市販のものとは似たように見えても中身が違うと感じております。

糸は、ベルギーフランスフラックス原料を使用し、エコテックス基準100に準拠した安全面を考えたリネン糸で、その糸を、シャトル織機で糊も付けずにゆっくりと丁寧に織り上げてある、量産リネンとは違う世界を当たり前にもっているのが「林与」の定番シリーズです。一度お試しくださいませ。

地球環境を考えるときにエコな製法が最近になってもてはやされるのですが、林与の布の場合、ベーシックなものほど、製造工程において捨て耳が出ないとか、糊、水溶性ビニロン、糸道油などの使用をなるべく控えるような試みを昔から製造工程においても行っております。

この問題は滋賀県が琵琶湖という湖を抱えていることもあります。小学生の頃から無りんの粉石けんを使用するような運動が盛んな地域で、それは、川に住む魚のことを考えるだけでなく、京都、大阪など飲み水を支えているから試みなのです。林与が二人の捺染の伝統工芸士を抱え独自の柄を生み出した近江上布の捺染や糸染を含む染め全般をやめたのも、企業活動を犠牲にしてでも環境問題に取り組んで行かねばならないという背景があったりします。
2010年05月24日
今朝の朝早くにですが、登録会員様向けのメルマガをはじめてお送りさせていただきました。要領が良く分かっておらずにうまくメールが届いたのかと心配をしておりましたが、うまく届いたようで安心いたしております。(会員登録されたときにメールを希望すると選んでくださってたものの、突然なメールで驚かれた方もあるかも知れませんが、配信停止もメールに書いてありますリンクからできます)

たくさんの方が、朝早くから注文をくださいました。ありがとうございます。今後も、「林与」でおつくりいたしました布を手軽に手にとってもらえるような企画も交えていきたいと考えております。今回のものは生機が中心でしたが、今後はアパレルさま向けに加工したものも提案させていただけるかと考えております。

そんな中で、町の切り売りやさんの布と林与の布の違いを感じていただければと思っております。布に対する良し悪しや価値観というのはそれぞれ違うと思うのですが、はっきりと作り手が分かるような布で織元のラベルもお付けしております。

勝手ではございますが、メール便送料無料企画物に関しましては、多くの皆様に試していただきたく思い。ご購入上限をもうけさせていただいております。ご了承くださいませ。
2010年05月23日
私の住んでいる地域というのは、今は、「愛荘町」と呼ばれますが、合併前までは「愛知川町」、その前の合併前は、「豊国村」、明治の初めのころは、「東円堂村」と呼ばれていました。今も、「東円堂」という字は残っております。

平成10年頃に愛知川の町史編纂ということで、弊社の先代が愛知川地区の近代の麻の歴史関係の部分のことをお話させていただきました。麻の組合からのご紹介だったのですが、機を織り続けているということお声が掛かったようです。本が出来上がったのがその10年後ということで先代はなくなってしまったのですが、出来上がったその本をいただきました。

そのときに、昔の手織りをしていた方がおられますか、という話が出て、唯一、私の親戚筋に当たるおばあさんが思い当たり、話をお聞きしに伺いました。毎日、近江上布を織っておられたおばあさんでも、織りだけの担当ということで、自分自身での裁量の幅が少なく、近江上布を支えていたのだというような強いところはありませんでした。近江上布の手織りが当たり前の普通の仕事だった時代です。

私が、織物の世界に入ったとき、近江上布の染を担当しておられた勘一じいさんも73歳で一緒に仕事をさせていただいていたのですが、昔の染料などの話はあんまりでてこずに、戦争の話にしても細かいことは覚えておられませんでした。時代を受け入れられ目の前の仕事を淡々とこなしてこられたということだと思います。

私がなぜこんなことを書くのかというと、林与というのはこだわりでものづくりをしているのに、そのこだわりが作業工程のどこから出てくるのかということを考えることがあるのです。部分的な作業をしているものというのは、新しい商品をつくるときにも、同じ作業の繰り返しでしかないのかもしれません。

新しい色柄を生み出したりするのは、「林與次右衛門」「林與一」「林與志郎」「林与志雄」と引き継がれています。そのことが、一番の特色ではないかと思います。それは本来産地の特色でもあり、経営者というのは経営者というだけでなく、すべての作業を理解して職人を指導する立場でもあったのです。今の織物という工程においても、分業ということが進み、本来の織るという部分が他産地や海外に置き換えられていく中でそれを産地に残していることは大きな意味があるといえます。

「林与」の代々というのは、単なる経営者ではなく、デザイナーである部分を代々守り続けている麻屋で、ヨーロッパで言うところのハウスリネン的な物づくりと共通しており、海外でものづくりを語るときに日本のものとしての本質的な意味を感じていただけるところです。「林与」の麻布が、単なるメイドインジャパンに終わらないのは、そのスタイルではないかと思うところです。
2010年05月22日
リネンの話とは別ですが、今日は朝から、おじいさんおばあさん世代のグランドゴルフクラブの方と子供会の子供たちが参加して、グランドゴルフ大会が行われました。私の仕事は、その大会をコーディネイトする立場なのですが、実際には、皆さんに配るお菓子とジュースの手配ほどのことしか出来ませんでした。

参加いただいた皆さんは、楽しんでいただけたようです。久しぶりに、字の子供たちを眺めて、今の子供たちというのも案外しっかりしているなあと感じました。とくに、大会が終わってから、自分のキティちゃんの書いたかばんを子ども会の役員さんに預けてそのままになってしまって、取りに来た女の子がいました。その子は、私の知っているご夫婦のお子さんで生まれて間もない頃を知っている女の子で、わたしがバタバタしている間に、もう小学生なのかと驚いた次第です。

寝具関係のお問い合わせなどもあり、そのサンプルをソートしておりました。こだわりの物づくりに使っていただけるということで、「林与」のアイテムというのは、単なる商品というだけでなく、その物づくりのコンセプトからして語っていただけるのでちょうど良いのではないかと思います。皇室行事の皇室への新嘗祭の御酒献上の際に包む布として使っていただけるなども、こだわりをもっておられる方のこだわりに応えられるような他とは違う頑固なものづくりを貫いているからだとおもいます。

地元の麻関係の方などが、お祝いのプレゼントなど特別なケースに、産地で織った麻のものを探されるときに来ていただくのも弊社であるケースが多かったりします。それは、「林与」の麻ということで、産地で織っていることの証であるところに意味を求めてくださっているのではないかと思います。

工房さんなどにとっては、市販のクラスものとくらべると何倍も高いということで、お値段の面ではご負担を掛けるのですが、それでもお付き合いいただけるところが多いのは、「林与」の麻に関してのこだわり的なところにあるのではないかと思ったりいたし、その意味を大事に思ってくださる気持ちにこたえる意味でも、自分自身の麻織物へのこだわりを貫いていかないといけないのかと考えております。
2010年05月21日
今日は、この数年にやった資料というのをまとめる作業を行いました。私自身では、10数年にわたり麻織物では、たぶん日本で一番浸かっておるかなあとおもうのですが、この2年というものはドラマでした。

林与の日本の麻織物の定番スタイルである本麻手もみを守っていくこととは別に、世界的に通用するリネン織物をつくりたいと、数年前から糸探しを始めたことなどあって、それが実り、さまざまなプロジェクトを立ち上げることが出来ました。

織を極めることを考えていく中で、織だけでなく新しく出来上がった布をどのような最終的な製品にできるかを考えることで、リネンの用途というのが更に広がったのではないかと考えております。

麻織の本場近江湖東産地において過去から引き継ぐ麻に関する経験、知識、チームワーク、ネットワークなど、世界的な展示会に行ってもリネンの本場であるはずのヨーロッパの方ですらもが林与のリネンの話に耳を傾けてくださるような形で不思議な気持ちでもあります。

世界中から日本のものづくりに注目をいただいているということは実感しておりますが、どうしても、求められるのが中国での生産で価格を落としたものを出してほしいという要望です。麻業界のメイドインジャパンテキスタイルの象徴的な存在として残すためにも、「林与」ブランドである限りは、海外での生産は行わないという決意もあります。

そこには、自社機を守り続けた林与の存在の根本的な意味があり、それをなくしては存在する意味がないのではないかと思ったりするところです。国の外部団体の方のお話など聞いていると、安く作れる海外生産という道を進められるのですが、それは別の方向性であり、作られるものの意味は大きく違ってきますが、その視点しかお持ちでないのが不思議だったりするところです。

こちらのサイトでも、いろいろな商品がハンドメイドラバーの皆さんのお手元に届くような企画も考えておりますので、楽しみにしてくださいね。
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