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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2010年01月06日
今日は、加工屋さんのひとつが仕事始めでした。加工の指図帳というのを最後のページまで使い切ってしまっていて、朝、新しい指図帳をもらって加工に出しました。この日記をごらんの皆さんは「加工」という言葉に馴染のない方が居られるかと思います。

普段、生地を生地屋さんや問屋さんに売っていても担当の方は、生地を「加工」しなければならないということをご存じないことがあったりします。たとえば、洋服向けの細番手の麻糸というのは、弱いので、縦糸には糊を付けて織ったりします。織るときに、横の糸には織りやすいように水で分解する油を塗ります。

加工においては、糊抜きをして、洗って油分を落とすのです。それだけではありません。加工に投入する前に、麻の場合は毛羽が多いので、その毛羽を焼きます。そうすることで、表面がきれいな織物になるのです。

加工は、成分を落とすだけではありません。やわらかくするために柔軟材や選択したときの物性をよくするために熱でセットされるような樹脂を添加したりもします。また、表面に変化をつけるのも加工と呼ばれます。ワッシャー加工、タンブラー加工、そのほかいろいろ。

水につけたキバタが乾くと縮んでいますので、幅だしという工程を経て、表面が一様な織物が仕上がります。加工だけでもたくさんの人の手がかかり、通常は加工に出してから1週間くらいは待たないと織物が加工からあがってきません。単なる洗濯ではありません。
加工方法により、ひとつのキバタが何種類もの風合いや表情の織物に化けるのです。

織りあがったキバタをお店にそのまま並べてあるようなケースはほとんどなく、なんらかの加工を施して織物は、お店に並ぶのです。キバタというのは経糸がアップアンドダウン、横糸は比較的まっすぐな状態ですので、加工をすると、横糸がアップアンドダウンするため、横方向にリネンの場合、15%ほど縮むのが普通です。加工前に、127cm幅くらいのキバタが110cmくらいに仕上がります。

加工方法を決めるのは加工屋さんの仕事ではなく、織物を企画するものが、加工屋さんに加工方法を指定して加工してもらうのです。林与の場合、実績のある定番の加工が多いです。定番以外の加工は、10年とか着ることを想定した高級な麻ものには品質的な実績の面でも心配なのと、あと、流行に流されないようなベーシックな加工方法のほうが何年も着続けることを考えるとよいのです。

服の形も、ベーシックな形のものを選ばれるほうが、麻というのは丈夫なので、流行に左右されず何年も着続けることが可能です。
2010年01月05日
今日は、午前中に金融関係にご挨拶に回り、組合のほうで休み中に私が進めていました件を事務局のほうに伝達しました。会社に戻ってからは、初出荷を3社にいたしました。

染工場のほうが今日が仕事始めだったので、新年のご挨拶と年末にお願いしていた数件の染の進行状況を確認いたしました。今日は、あわただしい一日で、今年の仕事が本当に始まったんだなあという実感です。

でも、この忙しさというのが、作ることがタイトになってしまったがための忙しさではないのかと思います。無駄をなくすために、サンプル、着見本、本番という流れでのものづくりとなり、究極のエコではあるかもしれませんが、単純に考えても、製造工程自体が、物価の差を抜きにしても、コストと時間が3倍くらい掛かるものの作り方になっていて、国内でのものづくりの手法というのは忙しいだけで終わることも多いのです。

彦根周辺の国道沿いなども、常に新しいお店がオープンし、3年~5年しかもたないのが当たり前の時代で、もう、代々やっていくような商売というのは、もう日本では生まれてこないのかなあと思います。
2010年01月04日
今日は、仕事始めでしたが組合のほうのことで動いていました。明日から縫製組合のほうの事務局も動き出すので少し準備的なことができたかと思います。

会社のほうはマフラーの縫製とか、検反や加工出しの準備とか、内部的には本当に静かなスタートです。それでも、お電話や年末に書いたメールに対してのお返事などいただいたりして、外の世界も今日が仕事始めのところが多いんだなあと、新年の実感です。






2010年01月03日
正月三が日も今日で終わり、今年は1月4日からスタートのところも多いようで、林与も明日から仕事始めです。加工工場などは6日からということで、まだ、少し時間があるので、その間に加工出しの準備をいたします。

今日は、新年のご挨拶も兼ねて、電話、メール、FAXでいろいろな方との連絡を取りながら、明日から始まる仕事のほうの段取りもいたしました。私自身の仕事とは別ですが、頭の中で整理しておかないといけない案件が3つくらいありまして、うまく進むかどうかわかりませんが、うまくいけばと思っています。

麻織物をやっていると、冬場というのはピークの時期で、一年のスタートという印象はありません。学校とおんなじで3月末というのが一年の終わりという感じで、4月くらいから翌年ものの企画に入ります。

今年なんかは、今から今年の春夏向けの素材開発に取り組もうと思っています。リネンのチェック柄なんかが人気ですので、新柄を組んで展示会などを通じてたくさんの皆さんに見ていただきたいなあと思っています。
2010年01月02日
今日は、冬の伊吹山の山頂を目指したのですが、雪のため途中で断念して、新しいジャンパーを買おうとお店を回りました。私のポイントはどれだけ軽い感じで暖かいかということです。たくさん試しに着てみて、一番、暖かいものを探して買いました。

昔、8年間ほど、冬には毎日ほど着ていたバックにアイスホッケーのチームのロゴの入ったメイドインUSAのダウンのパーカーがあって、それを着ていると毎日幸せだったのですが、残念ながらあれを凌ぐようなものはいまだ見つかりません。それは、ブランドのものという訳でもなく、特別高い訳でもなかったのですが、不思議なダウンパーカーでした。

今回のジャンパーも、結局は帽子のついたパーカータイプにして、仕事がしやすいように、サイズは大きめのLLを買いました。私の仕事のポリシーに、問題があれば、一番に機械の下にもぐりこんで直すという姿勢を貫いています。仕事をするときに着る服は良い服である必要はなく働きやすさ重視です。

タイトルにあります、「静かなお正月」というのは、昔、子供のころに感じたお正月の賑わいや楽しさというのが今はないなあと思うのです。1月2日から開店しているお店とかもそれほど混雑している雰囲気ではありません。大きな神社の初詣よりも、地元のほとんど人手のない神社への初詣に意味を感じるようになりました。

卓球をしようと卓球台のあるボーリング場を探したのですがなく、インターネットカフェみたいなところで卓球を見つけたながらも一緒にいった社員たちが身分証明ををもっていないということで利用できず、代わりに、賑わいを求めて、ショッピングセンターのゲームセンターに行きました。子供のころあれほど好きだったコインゲームに自分自身が熱くはなれず、大人になってしまったんだなあと感じましたが、エアホッケーは熱く楽しめましたのでまだまだ子供の部分が残ってて安心しました。
2010年01月01日
あけましておめでとうございます。お正月ということで、午後から家で姉夫婦と妹夫婦が焼肉の準備をしてくれ食べました。焼肉は正月料理ではありませんが、とにかく、お腹いっぱいでした。

ビールもお歳暮にいただいた「DOPPO」という岡山の地ビールを飲んでみました。飲みやすいながらも深みのある味でした。甥っ子たちが、カードバトルのようなものをやっていたのですが、聞いても意味が分からない世界です。この前生まれた姪っ子は、ちょっと大きくなっていました。

今年は、新規のリネンのものにさらにチャレンジして林与のオリジナルな世界を深めたいなあと思っています。この一年皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
2009年12月31日
今日は、大晦日皆さん一年ご苦労様でした。会社の仕事のほうは、昨日までで仕事納めだったのですが、サンプルの依頼を受けていた件がありまして、夕方郵便局に行きました。年賀状を出す人の行列なんかも心配したのですが、二人しかお客さんはおらずスムーズに出せました。

年越の食べ放題のレストランでの食事会に呼んでいただいておりまして、そこに参加させていただいて、肉をたくさんいただきました。おいしかったです。会社のほうの寮でも年越の食事会があり、1年の最後の4時間ほどはコタツに入ってテレビを見ながら年越をしました。メインは、鍋の中に野菜とか肉とかいろいろなものが入ってもちを一パック分2kg入れたすごくお腹いっぱいになる料理でほかにも変わった料理を食べました。

外は雪がちらほろで、空を眺めると頭の真上くらいに月が浮かんでいました。雲が流れるように動いていているのですが、月が走っているかのように見えて、時がめまぐるしく流れているような気がしました。
2009年12月30日
今日は、仕事納めの皆さんが多い中、彦根の縫製工場の事務所で、繊維組合の来年度事業に関する打ち合わせがあり、たくさんの案件に関する情報交換ならびに議論させていただきました。

今日、特に感じたことは、不透明で前向きに進めない要素があると前に進めにくいので、とりあえず、できる限り情報を集めて、前向きに動かなければできないなあと思うのです。外の情報、内の情報の両方です。

先日は大阪の会社に訪問させていただいて、資金力以上に大事なことが回転ということで、それこそが、実力かもしれないと感じたわけで、伝統的な産業が技術はあっても新しいものを生み出せていけない背景もそのあたりかと思うフシが多いのです。そのためには人材の最大活用ならびに人員の刷新という要素が基本的な前提であるということを感じました。

昔、ソフトウェアの開発に携わったときに思ったことですが、能力の違いで、一ヶ月かかる人もいれば、一日でできる人もいる。それは能力や経験の差であってほんとに能力のある二人が同僚にいたのですが人を超えた神様の世界でした(高校時代にも神様クラスが一人いました)。競っても能力でそういう人に勝つのは無理ですから、一生懸命やるしかないなあと悟りました。でも、単純な作業においても、似たようなことがいえる時代です。でも、少しちがって、やることが分かっていてもいてもやらないから前に進まないという話です。
2009年12月29日
もう、今日辺りが仕事納の企業が多いようで、今日、加工工場に仕事を持って行きましたが、お休みに入っておられました。染色工場も同じようです。

午後からは、お客様が2件ありまして、1件は不動産関係、もう1件は出機さんでした。出機さんも仕事の方をやってはもらいたいのですが、新しいものなどつくるときに企画しているものがすんなりと作れないので、だんだんと難しくなってきています。

夕方には、出荷の方をやりまして、今日は非常に冷え込んでおりますので、仕事を早めに終えました。
2009年12月28日
今日は、県のほうから、ご紹介をいただいた本町の繊維関連の会社にお伺いして、海外との取引に関する体験談などを聞かせていただきました。滋賀県にゆかりのあるということで初めてお伺いさせていただいたのですが、貿易に関すること以外にもいろいろなご経験を聞かせていただき、人生経験をもたれているかたの強みというのを切に感じました。今のものが流れにくいといわれる時代に、新しい商品を開発して開発するだけでなく確実に流通させていくような企画を生み出していかれる話を聞いて、ものを企画される側でありながら流通も下支えされているところに、何か答えがあるのではないかという思いがしました。

私自身も深く考えつづけているのが内部での人材の育成の必要やどうやって仕事をまかせていくかという問題です。仕事を自分で生み出していくことのできる人材を育てるためには、自分のやっていることを手伝わせるのではなく、意欲をもって自分で動ける人材を中に外に見つけ譲っていくという形がベストなんではないかという気がしました。やる気のない人をどうモーティベーションするかということに無駄な力を使っているようでは前に進めないのは当たり前で、モーティベーションをもった人とどれだけ動くかこそが、物事をやる上での鉄則ではないかと思いました。

お話を聞いて思ったのが非常にたくさんの経験をもたれているのに、世代交代的な必要性を常に頭においておられ、若い者を立てるということをされているので、全力で仕事に打ち込みたい意欲をもった若者が勤めるなら、力強いアドバイザーがおられる会社でうらやましいなあと思いました。
2009年12月27日
昨日は、午後から長浜の布工房さんにいきました。リネンの細番手のプロジェクトで、商品化するシャツなどに関しての打ち合わせです。通常では服にすることがほとんどないリネンの100番手超クラスの織物を、シャツやブラウスにするというびっくりな企画です。ショップだけでなく、縫製工場を持っておられ日本の5大アパレルの製品を請け負っておられたわけですが、技術のある職人さんというのがだんだんといなくなっていかれて、仕事の依頼があってもものをつくるのが難しくなっているそうです。

通販や百貨店の話などもしたのですが、手一杯で、なかなかボリュームをこなすような仕事は難しいそうで、とりあえず、今回の県のほうのプロジェクトの詳細をお願いいたしました。メンズ、レディース各10枚くらい、いろいろな柄のシャツ、ブラウス、ワンピースを試作してもらい、生地としてだけでなくジャパンクリエーションなどの場で製品の形でPRさせていただけると思っています。

技術的には、量産の面では今のところ110番くらいが限界なのですが、数年後には、120番手超クラスでのシャツやブラウスが出来上がることになります。高いものが売れないといわれる時代に、リネンや麻の最高級ラインをつくり続けていこうというのが林与の独自のスタイルです。

私自身は、日本の伝統的な産地でものをつくりつづけていると国際的な展示会や市場においては値段は10倍高くても10倍の価値があるものとしてみてもらえることを非常にありがたいなあと思っています。逆に、本当の中国ブランド企業が日本国内に進出してきたときに、今、勝ち組といわれるファストブランドや量販店ですら10年後には高いから厳しいといわれる時代がくるのではないでしょうか。

昨日は夜、ひこねの組合の忘年会があり。今日は、その忘年会で出た新しい話題などを前向きに検討、また、講演会の準備のために動いておりました。2次会で、久しぶりにひこねの袋町に飲みにいきましたが、どこのお店も以前と比べるとお客さんの数も少なくほんと寂しくなったものだなあと思いました。
2009年12月26日
「フェアトレード」という概念が、ありますが、それが本当にフェアトレードなのかというと、日本国内ですら、フェアトレードな概念が成り立っていない現状がありますので…。ファストブランドといわれる中国ベースの量販系が一人勝ちのスタイルが続いていますので、その中で、フェアトレードを謳うことにどこまでの正当性があるのかというレベルに来ているかと思います。フェアトレードという概念を活用されたい方ですら、そのコストを自分で負担できるかというと駄目なのが現状です。ビジネスありきのフェアトレードというのが日本のフェアトレードの現状です。

私自身は、ものづくりをしている人間ですから、フェアトレードの概念には大いに賛成をしているのですが、フェアトレードの概念を振りかざしておられる方が、ものづくりと関係のない方だったり、ものづくりの現場をしらないことが多いのです。果たして1割、2割のコストアップでその概念が貫けると思っておられると、結局はプロジェクトとしての永続性が保たれません。

話は変わってしまうかもしれませんが、USA for Africa みたいなブーム的な弱者の活用に終わってしまう危険性があります。今の日本メーカーを中心とした紡績業界が本当に、途上国の生産に携わられる外国人を支えられるかというと不可能だと思います。日本の国内ですら、工場の閉鎖、リストラで産業を閉鎖しているのが本当のところです。

国を含めて強者が利益を得るための、その場凌ぎに終わらないような、真の意味でのエコやフェアトレードが謳われないと意味がないのではないかと考えます。弱者保護を謳い文句に利用するレベルでのフェアトレードならやらないほうがましかもしれません。弱者保護を謳い文句にするからには、長期的な永続性のある計画が必要であると思います。
2009年12月25日
今日は、ひこねの組合の理事長が中央会のほうに出向いていかれたのですが、午後3時ころ電話をいただいて、中央会のほうから北川陽子さんのやっておられるファブリカ村をご紹介されたということで、私も昔から業界で顔なじみであったので、一緒に北川さんのところに向かわせていただきました。

一年ほど前にも、ファブリカ村が改装になる織物工場だった工場のなかの二十年ほど眠っていた2台のシャトル機械を林与に移したような経緯もあり、つい先日、半田付けの野瀬精機さんご夫妻とお話したときにもファブリカ村に行かれた話をおっしゃってたので、気にはなっていたのですが、今日、オープン後初めてお邪魔することになりました。

ファブリカ村の活動は、北川さん自身が長年取り組んでこられました、染のほうだけでなく、県内の現代アート作家さんたちの作品を皆さんに見てもらえるような場所を提供するようなコンセプトで、店内には、焼き物やステンドグラスなどの作品が並んでいます。店内は広々としており、昭和初期のベルト式のシャトル織機2台が中央にあり、そこがかつて織物工場であったことを偲ばせます。

陽子さん、お母さん、妹さんのご家族で運営されており、一人で尋ねられても近江の織物の歴史の一片を感じていただけるかと思いますし、また、グループで行かれましてもテーブルのほうでワイワイと時間をすごしていただけるかと思います。ミーティングなどの会場としても貸りることができるそうです。

ファブリカ村ホームページ http://www.fabricamura.com/about/index.html
2009年12月24日
今日は、クリスマスイブですね。朝、車に乗ったときに案内口調で「メリークリスマス」とカーナビに言われて、複雑な気分でスタートでした。

今日は午前中、顕微鏡半田付けをされている工場にお伺いして、目視が不可能なレベルの糸入れ修正などを試してみました。半田付けの技術では国内でもトップクラスで、半田付け入門のDVDなども販売され、大手電機メーカーや学校の教育教材に使われるほどのその道を極められた社長の居られる会社です。実際に工場のなかでも、社員の方が、顕微鏡を覘きながら手作業で、半田付けを坦々とされているところが日本の技だなあと思ったりします。お土産にお菓子をいただきまして、大変気に入った拡大鏡をお借りしまして会社に戻りました。

午後からは糸商さんが来られまして、久しぶりに起しくださったのでどうされていたのかという話をお聞きしていますと、手術をされたということで、元気そうに動いておられる皆さんでも60歳を超えておられることを実感しました。20代、30代がないというのは、業界を取り巻く宿命なのかなあという気もしますが、その背景には、繊維業界の人情味みたいなものがあるのを感じるのは私だけでしょうか?

夜には、クリスマスカードも友人などからメールでいただきまして、来年もよいことがある気がしました。
2009年12月22日
今日は、アパレルさんから修正のため洋服が帰ってきていましたので、それをどう修正するか検討しておりました。今回はラミー糸で、織りキズなど対応は比較的簡単なのですが、やっかいなのは、糸のフシの問題です。

糸のフシというのは、糸商さんから聞くところによると、スプライサーヤーンとよばれるノットレスヤーンでは、スライバー同士を繋ぐときにどうしてもできてしまうということだそうです。そのフシの部分が目立つのも他の部分が奇麗過ぎるからということもあり、困った話です。

糸の問題を少なくするためにフシ取りに掛けるということも一つの方法ではあるのですが、それはそれで、機械的な継ぎ目が多くなるので、どうだろうかなあと思います。人間が手で繋いでも、目立たないほどまでの小さな結び目にするのは難しいので、機械での結び目というのはどうかなあと思うのです。

糸のフシの問題に関しては、糸メーカーも糸商も対応がどこもできないという感じで、機屋自身が糸をしっかりと見極めるというのが大事になってきています。オフ白や生成のままとかなら大丈夫でも先染にすると糸の品質のいろいろな問題が見えてきます。この10年ほどは、ラミーもリネンも品質の低下を感じている中で、ラミーやリネンの高級なゾーンが残せるのかと心配をしております。
2009年12月21日
今日は、お昼前に加工工場の社長さんが、麻のほうの組合でハンカチなど小物にできるような生地がないかということで起しになられました。私のほうは私のほうで、加工に関することをたくさん尋ねました。

家庭洗濯するときのリネンの問題に関しては一定の認識があるのですが、加工工場のほうでも液アンによる形態安定なども取り組んでおられるそうですが、堅牢度の問題などから色を限定しないといけないか、あるいはスレンなどで染めて超高級なものに持っていくかで、どちらにしても、リネンの形態安定をそこまで完璧にされるところはほとんどないとのことでした。

私の思うのは、リネンをなるべく自然な形で家庭洗濯できるようなあり方がよいと思っています。リネンというのは、脱水したらパンパンと叩いて伸ばしてあげて、完全に乾く前にアイロンを掛けてあげるとしっとりとシワも少なく良い感じで仕上がるのですが、今のコインランドリーの時代を想定すると家庭洗濯表示は本当に大丈夫なのかなあと思います。経験された方もあるかと思うのですが、リネンは乾燥機で乾かしちゃうとパサパサのリネンになってしまいます。

他にも柔軟剤などの話も聞かせていただきました。今の市販のリネンというのはやわらかいものが多いですが、シリコン系の柔軟剤をしようしているので、ヌメリ感があり、ナチュラル感が少ないとのことです。でも、シリコン系の柔軟剤を使うと案外洗濯での風合いの変化もすくないという話を聞きました。ある意味、市販のリネンがやわらかくてもリネンっぽくないのもその辺りだろうと思います。

麻の加工では全国的に定評のある加工工場の社長さんだけに、私が取り組んでいるリネンの問題に関しても仕方ないという答えではなく、原因の究明を大事にされ、いろいろな解決方法を探す手伝いをしてくださる姿勢には感謝いたします。
2009年12月20日
今日は、ゴルフ場の支配人さんがお越しくださいました。女子プロゴルフツアーなども行われます名門のゴルフ場で、7年ほど前まで「林与」もゴルフコンペを毎年7月7日に開催させていただいておりました。

「林与」の応接室に、女子プロゴルファー福島晃子さんのサイン入りの写真があるのですが、スポーツメーカーさんが林与の生地を使って作った先染のシャツを着ていてくださります。先代の與志郎がゴルフが好きだったので、非常に大事にしていたものなので今も応接室においてあります。

支配人さんがお越しになられて、いろいろと昔の話や、この近辺のお話をしておりました。ゴルフ場というのも今は本当に不景気なようで、今までですとゲストは3万円を超えるプレー費だったのが、今は1万円のプレー費になって、それでも来てもらうのが難しい時代であるとのお話です。

あと、プレイヤーの高齢化の話についても触れておられ、会員の平均年齢が70歳くらいにもなっておられるような話で、世代交代を図りたいとのゴルフ場のほうでは考えられているが、若いプレイヤーというのがいないという現状だそうです。私はゴルフは下手ですので、お誘いいただきましたが丁重にお断りいたしました。
2009年12月19日
今日は、レピア織機の調整をしていました。レピア織機というのは、原理はそれほど難しくないのですが、目ではとらえにくいくらいの高速で動くために、タイミングの調整というのが非常に大事なのです。

糸をつかむタイミング、切るタイミング、放すタイミングなど、ズバリのところに合わせてあげないともっていきにくいのです。特に、番手が100番手クラスで細いとそのタイミングが微妙です。

糸を機械が持っていくときにはさんむと切れてしまったり、放すときに引きちぎれてしまったりと、糸自体の弱さもさることながら、一分間に180回程度繰り返される糸の手渡し作業のような機械の動きにうまくシンクロさせないといけないので、テンションの調整なども含めて、うまく織れる様な状態を維持するのは一仕事だったりします。

林与のレピア織機は麻を織る専用なので回転を落としているほうです、最近の綿や合繊の織機の世界では1000回転近いというようなところも多いです。一方、林与のシャトル織機は超低速で、90回~100回転くらいで生産性はまったく重視していません。目でシャトルの動きを追うことができたりします。そのたびに1本1本織られていくので、一時間で2mの世界だというのは納得してもらえると思います。

太い糸を織るのと細い糸を織るのとでは、機械のタイミングやテンション、挟む強さなどがかなり違ってくるので、たとえば、25番を織ったあとに100番を織るとなると、スムーズに織れるわけではありません。

同じものを織り続ける機屋さんの場合、番手に応じた、機械の調整などがほとんど必要ないので、生産効率を上げることが可能です。そのため、麻の世界でも、細い番手に特化した機屋と太い番手に特化した機屋とでは、まったく別の世界だったりします。資材系と服飾系の住み分けもその辺りです。
2009年12月16日
この2ヶ月ほど織り続けて織りましたストールのほうが加工から上がってきました。トータルで50種類以上のタイプが出来上がったと思っています。輸出の分も入っているので、加工屋さんには急いで仕上げていただいて感謝、感謝です。

今朝、加工屋さんに納期の件でお電話したところ、担当の女性の方が、「大変でしたよ」といわれたので、問題があったのかなあと心配しましたが、納期も迫っていたので、その女性の方が、林与のストールの加工の現場の手伝いもしてくださったようで、「良い感じになってます」と布の状況までも教えてくださり、仕上がってくるのを楽しみにしていました。

午後に上がってきたので、早速、輸出分の縫製作業などに取り掛かり、明日の出荷予定です。とりあえず、急ぎの分を済ませた後、縫製や房つくり、ネームタグ付けなどして画像のアップなどクリスマスあたりに計画しています。ギンガムチェックストールシリーズですので、来春向けです。

次は、リネン100%タオルやランチョマット素材にチャレンジですが、「林与」がやるからには、「林与」らしいものを作りたいなあと考えています。シャトル織りの多重織タオルなどでも、先染めだったりすると良いのではないでしょうか。JC2011SSに出品できるのではないかと、自分自身での楽しみの一つです。
2009年12月15日
今日は、午後から組合のほうで、今年度の予算の件で税理士の先生と打ち合わせしました。その後、ネームラベル事業がスムーズに機能しているとはいえず、その問題で、先日もメーカーの方に最新版をインストールしてもらうなど組合のほうに来てもらったのですが、XPの中にドライバがあるということで聞いていたのですが、調べてみるとドライバが当たっておらず印刷ができなかったというお粗末な話で、手探りでドライバを探してインストールしましたが、第三者の作った不透明なこのシステムを一般の事務局員たちが運用していくのは厳しいところだなあと感じました。サポートの面なども考えると、いろいろなプログラムの不具合の問題で機能を制限したり、他の画像ソフトを併用したりしながらの状態で使うよりは、様子をみて新しいシステムへの移行も考えていく必要もあるのではないかと思います。当面は事務局の効率化が最大の課題です。

彦根の事務局のほうも体制を整え、150年祭のひこにゃんブラなどの販売も始めており、ニュースを見た方からの全国からの問い合わせもあって、地元の量販店なども販売を検討してくださるなど、ひこにゃん人気に乗りまして縫製の技術をPRしていきたいと前向きに進んでいます。来年度に向けて補助金を活用した事業計画などできないかと考えております。織物は特殊性があって比較的が受けやすいのですが、インナーファッションの縫製の分野というのは戦後栄えた文化です。戦後に、足袋などの縫製技術の応用で、彦根で、日本では始めてのブラジャーやショーツの縫製が行われました。今では、輸入の低価格なアイテムに主役を奪われてしまっているのが残念なところです。
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