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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2009年08月18日
織物を設計するときに困ることの一つに、単位の問題があります。機械の設定などはすべてインチで統一されているのです。たとえば、打ち込みのギアは1インチ当たり何本、整経の筬や織筬も一インチ当たり何目です。(ただし、産地によって、鯨寸を使うところや、実際に通す糸の本数で計算するところもあります。)

通常使う定規やメジャーは、センチです。1インチは、2.54cmなので、一般的な織物の巾である仕上44インチの織物というのは、112cm巾の織物ということになります。

糸の量を計算するときには、ポンドやヤードを使います。実際のハカリはグラムなので、織りたい長さなどはメーターなので、単位換算して、必要な糸量を計算するのです。

麻番で100番手の織物で、縦の本数が3080本で、通し巾が1.3Mで、横の打ち込みが60本だと、計算をすると、ロスを見ないで、縦がおよそ51グラム、横が52グラム必要となってきます。通常は、整経が短いと2割から2割5分程度、横は1割程度のロスを見て糸を準備しています。

また、糸もラミーの場合には、NET表示の重さがあるのですが、リネンの場合には、大体4%~5%少ないというのが経験上の値です。乾燥しただけで、糸長は正しくあるといわれていますが、実際に計算してみると、輸入糸は実際少なめにしか入っていないということが多いのです。この辺り、海外の商品の品質表示の問題と共通するところであきらめざるおえないのかなあと思っております。
2009年08月17日
旅行で訪れた市場で買ってきたものは、貝ボタン、大きな木のボタン、黒いボタン、ビーズ、鈴、です。

貝ボタンをご存知でしょうか?貝殻をくりぬいて作るので、一つ一つのボタンが、ちょっと曲がっているタイプのボタンです。厚さも一部薄いものがあったり品質が安定していません。自分でより分けて良い物を使います。大きな木のボタンは見つけたときに面白いなあと思って買いました。コートのアクセントになるのではと考えています。黒いボタンは、黒ベースのシャツ用です。ビーズは銀色のもの、鈴はマルチカラーでたくさん入っているものを買いました。

ボタンは服を作るのに使うのですが、ビーズと鈴は楽しいことができないかなあと思っています。実用性は低いかもしれませんが、いろいろとアイデアが広がっていきます。
2009年08月16日
お盆の間は海外で過ごしておりました。いつもよりゆったりと時間が流れ、リフレッシュして日本に帰ってきました。今日から仕事を再開しています。

お盆の前から取り掛かっている織の問題に再度チャレンジしています。ストライプ柄状に平織のところと組織の甘いところが混在する織物で糸の緩みという問題が発生しています。組織的な問題で予想していたとおりの結果だったので、機を作り直して、ギシャという組織に切り替えて織ってみましたが、それでも、同様に緩む問題が発生しています。これも予想はしていたことなので、別の方法に移ります。

通常は、2重ビームという方法にすると良いのですが、今回の場合は、織物の柄を考えると、それが適切ではないという判断をしました。そこで、緩む糸をすべてコマで入れるというかなり手間の掛かる方法に切り替え織り進むことにしました。

これをやろうとすると、通常の1本2本のコマではなく、100本近くのコマとなります。安定して織れるように、100本のコマの機械自体を作るという作業から行って、一つの柄の織物を織れるようにしていきます。

麻を2重ビームでも織るのは大変なのですが、100本ものコマを入れて織ること自体、非常にリスクが伴うことなので、常に見守って織り進んでいかないとなりません。手織りだとコントロールが可能なことでも、機械を使って工業製品として織るからには、100mとか200m問題なく再現できるような見本つくりを考えないといけないのです。
2009年08月11日
本日から、お盆休みを利用して15日まで、海外出張いたします。海外はお盆がないので、国内の電話が掛かってくることなども少なく、ちょうど出張には一番良い時期なのです。今回は、市場をみたり、紡績工場を訪ねたりする予定です。観光はほとんどできませんが、いろいろなものを眺めて、ものづくりに生かしたいなあと考えております。
2009年08月10日
異組織使いで、ストライプ柄を作っています。平の部分と組織が甘い部分の違いを活用して、ストライプ柄を組織で出すという織物です。織機についているドビーという装置を使えば、柄表現は難しくはないのですが、こういう組織では、糸の緩みという問題がつきまといます。

この辺りが、テキスタイルデザインというのが柄だけでなく織物であるという部分です。縦糸のアップアンドダウンがすべての糸に関して似ていないと、アップアンドダウンの少ない糸は緩んでくるのです。緩んでくると、ドロッパーが落ちてきて織れなくなります。ドロッパーが機能しないと経切れしたときに、機械が止まらず、キズが発生します。

対処方法としては、2重ビームにする、緩む糸をコマにする、すべての緩む糸に重りを掛けるなど考えられると思うのですが、織れればそれでよいというものではないので、それぞれに問題が潜んでいます。

芸術品としてものをつくるのと、工業製品としてものをつくるのでは、観点が大きく異なってまいります。複雑なものを作る場合、芸術品としてものを作るほうが自由で簡単なことが多いのです。1週間も掛ければ一人の人間が作り上げてしまえるものが多かったりします。変わったもので、工業製品として量産するものを作る場合、後の生産や品質を考え、そのシステムを作り上げるのに、手作業の何倍もの時間を掛けないといけないという必要があります。
2009年08月09日
リネンジーンズのプロトタイプが完成しました、デニムのような厚織ながらソフト感を持たせ、しわになりにくい仕上がりです。作り上げた私としては大満足な状態なのですが、若干の改良を加えて、そのあと、弊社のインホワテクノロジーとの融合で、色表現もインディゴライクなジーンズを仕上げていこうと思います。

何十年もなかなかできなかった、しわになりにくいリネンボトムの完成です。今の質感だとジーンズライクで、カジュアルっぽい感じなので、もう少し糸の番手を上げて、ブランドカジュアル向けに提案も考えております。

リネンの糸の選択に始まり、織を突き詰め、加工、縫製をこなし、何度も何度も織の改良を積み重ね、これだと言える形に仕上がりました。綿とは違うリネンらしさを感じてもらえる通年素材です。
2009年08月08日
今日は、東円堂の盆踊がありました。毎年、お天気のほうが微妙なことが多いのですが、今年に関しては安心して行われることがわかっていたので、従業員たちにも参加を呼びかけておきました。夜7時半に集合して会場に向かいました。

最初、30分ほどフランクフルト、やきそばなどを食べて、あとの2時間ほどは、踊り続けてました。夏の風物詩である盆踊りもやっているところというのはほんと少ないと思います。東円堂という字は、この盆踊大会を楽しみにしている人が多く、続けられているのです。

盆踊りが10時で終わって、抽選会が行われている間、テントの片隅で、同年代のものが集まって話を交わしました。字の中でなかなか会う機会がないのが、私たちの世代なのです。子供の頃からの顔なじみばかりで、小さな村の中でもほとんど会うこともないのですが、こんなとき話をするだけで、支えあいの気持ちというのが伝わってきます。自分が、みんなのために何ができるのか考えてみる良い機会になりました。

盆踊に参加し踊って楽しむことが、小さな村を活気付けるのではないかと思っています。都会の大きな祭とは違う自分たちの村の祭の良さというのが実感できた一晩でした。
2009年08月07日
先日、ハンカチプロジェクトのプリントを相談しに、近くの捺染工場にご挨拶に行きました。昔は、林与は自社内で染をやっていたので、他の捺染工場とは縁が薄かったのです。そして、先染やジャガード主体の織物を作っていたので、プリントものはほとんど実績がありません。今回は、ハンカチということで、レディースの一部にどうしても花柄のものがほしいと思いました。

捺染工場にお邪魔すると、いろいろと教えていただき、ハンカチプロジェクトのほうも応援してくださるとのことでした。手捺染の細かなやり方まで説明いただいて、頭の中で、プロジェクトの企画のほうが格段に進みました。

一つ感心したのが、色だしです。一つの柄で10色程度の配色をする必要があるのだといわれ、そこが、先染織物と共通するところだと思ったのです。同じ苦労をされている方がおられることがありがたかったです。言われたままに色付けをするのではなく、自分で提案しなければならない部分をもち当たり前に、それをこなすというのは大変なことです。

そういう部分で、この捺染工場は本物だなあと実感させていただきました。
2009年08月02日
先週は、リネンハンカチのプロジェクトの企画提出があって忙しく動いていました。世界最高峰のリネンハンカチシリーズをつくるというプロジェクトなので、織の技術的だけでなく、ハンカチのデザイン、糸、染色、加工、縫製、パッケージング、製本化へのこだわりを散りば3年がかりで行います。超高価なため非売扱いで、展示会や百貨店のイベントなどでの活用を計画しています。

最高の糸を使うということで、30年前のアイルランドで紡績さた本物の超細番手アイリッシュリネン糸を使用いたします。織の要素、先染の要素、プリントなど要素を散りばめて、日本の麻織物技術の最高をハンカチというキャンバスを使って表現いたします。90種類くらいのハンカチができあがる予定です。

使う織機は、50年ほど昔のシャトル織機です。一つのモーターの動きが伝わり、複雑なからくり人形が動くようにして、織物が織り上げられていくさまは圧巻です。現在の最新式の織機が世界最高のものを織り上げるのではなく、今の日本の自動車機械技術の全身である戦前、戦後の日本の織機技術が、このプロジェクトを支えるのです。

麻の品質にこだわる「林与」だけに染や加工にも日本の麻業界を代表できるメンバーたちのもつ伝統で立証された技術で臨みたいと考えております。永く使えるものを作るためには見えるところだけでなく見えないところの要素もプロのものづくりでは大事なのです。日本でもこのようなリネンの最高峰を目指すリネンプロジェクトは企画されたことがなく、超細番手織物のメッカであったアイルランドでは、紡績が行われていないだけでなく現在は織職人は少なくなり、織物産業自体が様変わりし過去の技術が消え去ろうとしています。

世界を代表するリネンハンカチのコレクションをつくりあげるプロジェクトがまもなくスタートです。世界の麻織の最高峰の技術を蘇らせ、麻織を織りつづけるということの価値に気づいていただければなあと思います。安価なリネンが大量に生産されるようになる一方で、ハイグレードな細番手の麻を織るという技術は、世界的にも失われつつある技術なのです。
2009年07月24日
以前、人気の布の生地屋の社長さんと話をしていたときに、織るということの場所にこだわっておられるのに驚きました。布の原産地というのが、その布を織った場所であるということを理解されておられ、そのことにこだわることのできる、すごい人だなあと思ったのです。消費者を騙さないという姿勢が伝わってきました。

一部のこういう方を除いては、インターネットでリネンを販売されている方のほとんどがそのことをよく理解されておられず、外国で作っても西陣織みたいのと同じ感覚で売られています。アイリッシュリネン糸を使ったという布が大量に出回っていても、実際にアイルランドで紡績された糸ではないのです。1万円未満の近江上布があったりするのも、中国で作ったものを近江の業者から買ったというだけで、産地も由来もしっかり確認せずに近江上布として不当表示で販売しているケースです。お客さんというのはその言葉を信じて買って、それを使って物をつくりまたみんなに自慢するだろうに本当に気の毒な話です。当たり前のことですが、偽のブランドを騙して売って騙されるほうが悪いというのがまかり通っては駄目だと思うのです。

リネンの業者の間では、ヨーロッパのものはいい加減なものが多く、リネン100%を謳っていても実際はコットンリネンの糸を使っていてやわらかかったり、どう見てもリネンじゃないなあと思う糸が使われていたりすることが多かったりします。日本でそれを売る人に基本的な知識がないので、コットンリネンの安い糸を使用したものを、よいリネン糸だからやわらかいとか言って売ってたりします。ブランドの方が、ヨーロッパでリネン100%ですごいものがあると見せてくれても、綿かレーヨンじゃあないのかという結論がほとんどで、特にイタリア近辺のものが怪しくなっています。

残念ながら、近江産の麻布に関しても、この産地で本当に織られる近江湖東産の織物というのはほんとうに少なく、他産地で織られたものに「近江」という言葉をつかって販売されているケースがほとんどです。産地で織を守るのが難しいのもそのあたりです。湖東産地で麻を織っているところはほとんどなくなっているので、本物の近江産麻布といえるものはほとんどなく9割以上が他産地産というのが現状かといえます。
2009年07月20日
シャドウチェックってご存知ですか?普通のチェック柄は、同じ太さの糸を使って、色でチェックを作るのですが、同じ色の糸を使って、糸の密度を変えることでチェック柄を作るのがシャドウチェックです。無地っぽいながらもチェックに見えるだけでなく、凹凸間ができるので、肌との接触面積が小さくなり、春や夏の涼しい織物や服ができあがるのです。

春と夏の有名な織物に四国で生産が盛んな綿織物の「しじら」という織物があります。この織物は、基本的には12枚のドビーというので織られ、6枚は平織、残りの6本は2本をセットにして平に織ることで、織密度の変化が生まれ、凹凸間のあるストライプ調の織物です。

「林与」が手がけようとするのは、最近夏素材によく使われるようになった、凹凸間のあるポリエステル調の織物です。それをリネン100%や本麻で実現できないだろうかと取り組んでいます。こういった取り組みは、30年くらい前にもやっており、再度、10年くらい前からも本格的にやっているのですが、技術的に実現が難しい状況です。イタリアの布などそいうものをやっているケースは多いのですが、日本の品質基準だとブランド向けの商品としては通用しないレベルの布だったりします。

日本のシルク織物の産地である山形県の米沢というところでは、シルク100%で見事なサッカー調の織物を生産されています。伝統文化で作り上げられた日本の織物が誇ることのできる一品で、単純な平織り物が主体のシルクの世界でも別格の商品として取り扱われています。ほんの数件の機屋さんがその技術を開発ならびに継承されているだけで、他国が真似することのできない日本の絹織物文化が守られていることは感服いたします。

どうやって安く物をつくるかに力点を置けば、品質は落ちてゆきます。糸を落として、織を落として、染を落として、加工を落とす。最悪の場合、産地偽装すらされ、手を抜いたものが最高級のリネンや麻としてインターネットやファストブランド店で売買されてしまっている今、本当によいものは消え去っていく傾向にあります。
2009年07月18日
今日は、愛知川の河原で、夜、花火大会がありました。お天気のほうもそれほど暑くもなく、河原の土手に座って、次々と打ち上げられる花火を眺めると、今の花火のことよりも小さなころに花火を見に来たことの思い出がいろいろと蘇ってきます。

今回の花火大会は1時間ほどのものでしたが、愛知川という小さな町で、128回を数えるような花火大会が続けられていることはすごいことだと思います。主催者側が持ち出して地元を盛り上げるためにイベントを続けておられる姿勢には、テレビなどでの商ビジネス化したボランティアを超えたものがあります。

子供のころには、年末には中仙道の商店街の大売出しがあったり、地元のお祭り行事というのは、子供のころの特別な思い出となって残っていくものです。大人になってからの自由な気分で見物するより大きなお祭りよりも、子供の頃の地元のお祭りというのは大事なものです。

今は花火を見るだけで十分で、子供時代に夜店で売られているカブトムシやくじ引きに熱くなれたのが過去のこととなり、花火大会への胸躍る気持ちも小さくなってしまったことを自分自身に対して寂しく思います。一方、夜店で買ったおもちゃを自慢げにしている子供たちをみると、まだまだ、日本の活力はまだまだあるぞと感じます。

熱中時代というテレビ番組が昔ありましたが、熱中できることがあることは本当に幸せなことで、熱中できない人たちばかりになってしまえば、職人さんというのがいなくなってしまい、良いものは作れなくなってしまうだろうと考えます。
2009年07月17日
今日は、夕方から地元企業の経営者が集まって懇親会がありました。地元には、藤居本家という酒蔵があるのですが、その藤居さんとお話しする機会があり、弊社の麻布の話が出てまいりました。

藤居本家は、天皇陛下もご出席の皇室行事であります新嘗祭に献上される「旭日」というお酒を製造されています。全国の何千という地域の神社で行われる新嘗祭もすべて「旭日」が使用されています。

藤居さんが、皇室に「旭日」を献上される際に、お酒を包む布が麻布で、「林与」の麻布を使っていただいております。先代からその話はなんどかお聞きしていたのですが、藤居さんからそのお話を直接聞かせていただく機会にめぐり合い、ありがたさを実感しながらも、妥協したものをつくってはならないという自戒の念に駆られます。

時代に流されることなく変わることのない価値観を持ち続けることが、最高の品質を守り続ける一つの秘訣であろうかと思っております。本物の近江産麻布というのを残していくためには、「林与」は本物の麻機屋でありつづけ、この場所で織り続けなければならないと考えております。
2009年07月15日
今日は、リネン日和です。外でリネンを干しました。すごく、暑い日だったのでいくつもいくつも干すことができました。夜に反物に巻き上げてあげると、スペシャルなリネンのできあがりです。

耳のところが、デコボコしていて、ナチュラル感たっぷりなのがとても素敵です。加工屋さんで仕上げるリネンというのは、耳がピシッと決まっているので、他の素材の織物と一見して区別がつきにくく、触ってみないとわからないのですが、「林与」のナチュラルシリーズは、見るからにリネンしています。

今日は、薄手の生成と白のリネンシャツを1枚、ワンピースもそれぞれ1枚づつ作ってみました。柳流感があって、光沢感もある、素敵なシャツの出来上がりです。

多少、ざらざら感があったりするのですが、着込んでいくうちにだんだんと味がでてきて、柔らかくなっていくところが、リネンのよいところです。綿のものだと買ったときが一番よくて、だんだんと弱っていくのですが、良いリネンの場合は、十年以上も着ることができるというのがすごいところです。
2009年07月14日
今日は、彦根の市役所の方を交えて、彦根で開催中の井伊直弼と150年祭への協力ができないかというのを模索するミーティングに夕方から出席しました。

明治から大正に掛けての衣装がつくれないかというのがテーマだったのですが、甚平や着物なら、素材にしても簡単に手に入り縫製も「林与」で簡単に出来るのですが、開国を象徴するような西洋チックな衣装となると、写真や画像をみて、型紙から起こし、また、モデルさんに合わせてサイズを決めないといけないので、試作するのに、うまくいって一回一着に一週間くらいは掛かるだろうなあというのが私のイメージです。

彦根という地域を盛り上げるために、400年祭があり、大盛況に終わったのですが、その後も、ボランティアの皆さんが中心となって、彦根の文化をPRしておられます。彦根には仏壇、バルブ、縫製という地場産業があり、地域の消費を支えるだけでなく、全国的な産地として名高いもので、そういう彦根の産業家たちがこと前向きに彦根の活性化に協力しようという意気込みでおります。

ひこにゃんが有名ですが、そのほかのゆるキャラも彦根周辺で開発が進んで次々と生まれていき、彦根でゆるキャラサミットが開催されるまでになったのも、彦根が縫製技術があったということが要因しています。
2009年07月11日
東京から戻って考えました。リネンをはじめて使われる方が、使いやすいベーシックなリネンのシリーズを作ってみようかと… ブラウスに使う超薄手、ワンピースに使う薄手、メンズシャツなどに使う中肉、パンツなどに使える厚手です。

林与では、糸の番手に応じた規格が基本的に決まっているのですが、サンプルなどを織ったときの感触で、若干の調整を加えることが多いです。メンズ用とかレディース用とか、シャツ用とかジャケット用とかニーズに合わせて、基本の数値から上下10本程度範囲での調整を行います。

新しいブランドさんなど、町の生地屋さんから買われているようなケースもあるようで、そいうブランドさんが本格的なアパレル向けの生地を使ってもらえるような位置づけにしたいと考えています。一般の方からプロまで使っていただけるよう家庭洗濯を想定したシリーズにしたいと考えています。

リネンで洗濯物性を抑えるのはほんとに難しいことなのです。リネンは水を良く吸い、反対に、乾燥も速いので、そのことが、糸が水を吸って膨らんで縦横方向に布が縮むという物性が悪い原因を作り出しています。

加工のロットだけでなく、糸の銘柄はもちろん、原料のロット、紡績のロットによって、収縮物性は変わってくるということが過去の経験上の結論です。そのために、縮みやすい銘柄の糸の場合には、縦の本数を増やしたりして、仕上がり幅を調整するようなことも行っています。

糸屋さんは、一般に資材を多く扱っておられますので、洗濯しないものが多いのと、糸屋さんのように右から左へものを流すスタイルでは、糸のことを聞いても十分な答えが返ってこないことが多くなっています。糸に関する知識も使い方のノウハウも機屋で蓄積しないといけないことになってきます。

このあたりが、紡績工場の技術力の差になってきます。一流の紡績メーカーは値段も高く、かつ、量もたくさんやっておられるので、実績値が高いのです。安く出回るリネンもあったりするのですが、そういったものは、製品にしてからの品質面での危険が付きまといますので、弊社ではスポットで出回る糸は使わないことにしています。新しい織物を次から次へと作り出すためには、織物の織りの規格も多様になるので、品質の良い糸の選択が非常に大事なのです。
2009年07月10日
今日は、朝早くに起きて、車で東京まで行きちょっと遅れてしまいましたが、無事午前中のブランドさんにたどり着きました。ブランドさんで、面白い布のお店があるということで、紹介していただいたので、お昼の空き時間を利用してお店のほうを拝見しました。

雑貨や小物を中心としたおしゃれなお店ばかりが集まったビルの地下に、布のお店がありました。いろいろな布が置いてあり、色柄も豊富に手を掛けて作ってあります。織物を作られる方の意気込みが伝わってきました。

店員さんも非常に優しく、丁寧に布の説明をしてくださいました。ブランドさんでお聞きしたそのお店の一番看板商品の布でつくったストールを記念に購入しました。

看板商品というのは完成度が高いので、見ていても味が伝わってきます。
2009年07月08日
今日は、オーガニックリネンを洗いました。滋賀県の産地がなぜ麻の織物の産地なのかというと、湿潤な気候で織りやすいというのがあるほかに、麻は染色や加工という作業が必要で、水が良いということが非常に大事なのです。

リネンを柔らかく仕上げるにはいろいろな方法があるのですが、オーガニックリネンなので柔軟剤などの薬剤は使ってはいません。林与独自の方法で、やわらかくなるように仕上げるのですが、やわらかく仕上がる糸とやわらかく仕上げることができない糸とがあります。

今回のオーガニックリネンのロットは、やわらかいです。水だけで仕上げて、ここまでやわらかいのには満足で、よいロットにめぐり合えて幸運でした。殺虫剤も化学肥料も使わずによいリネンをつくるのは大変だろうに、リネン農家の方に感謝です。
2009年07月07日
今日は七夕で、ヒロインは織姫です。七夕はもともと中国の話だったようで、中国でも昔から機を織るというのは大事な仕事の一つでした。夕鶴のような話でも織物を織る話で、美しい織物を織ることのできる女性は美しいというイメージだったんでしょうね。

昔の織物というと小幅と呼ばれる幅の狭い織機なのですが、見ていると本当にかわいいんです。昔話で宝物の中に、反物が入っていたというのもうなづける話で、昔の人たちは今の人たち以上に布に憧れをもっていたんだと思います。

先日も、京都の百貨店さんで、小幅の布が売られているのを拝見しました。見ているだけでスローライフな感じで和みます。着物というのは今の時代着る機会がないのですが、流行に流されず、そういうものを評価できる人柄には憧れを感じます。

私もだんだんと年を取ってきて、自分自身が、商売云々以上に、こういうものを作っておきたいなあと思うようになってきました。今後、作られることのないような小幅の本麻の先染の織物も残しておきたいなあと思っています。


2009年07月06日
今朝は、朝6時前に起きて、加工出しの準備に取り掛かりました。オーガニックリネンを縦7パターンで、合計14柄と、リネンガーゼを加工出ししました。アパレル向けなので、綺麗な仕上がりを狙っています。

一方、アパレル向けでないオーガニック派向けに、ナチュラルなワッシャー仕上げを同じ柄で展開しようと考えています。こちらは、やわらかな風合いの仕上がりです。ほかに、色耳を使った白の無地と生成の無地も何色か展開いたします。

通常は、リネンの細番手を織るときには糊をつけたり、ワックスをつけたり、水溶性ビニロンを巻いたりするのですが、環境保護の観点からそういった薬剤を一切使わずに、オーガニックリネン糸を低速のシャトル織機で織り上げています。オーガニック認証を得たオーガニックリネン原糸を使用したというだけでなく、製織法までもナチュラルな仕上げにこだわりました。また、加工方法もナチュラルワッシャー仕上げは、天然の地下水で丁寧に洗い上げ、天日で干して、麻機屋の倉庫で寝かせることで湿度を適度に戻し仕上げます。

次のステップとしましては、世界認証の取れたオーガニックリネン糸を100%草木染で染め上げて、世界基準よりも厳しい基準のオーガニックリネンを作り上げようと考えています。リネンのものとしては高級ゾーンとなりますが、語れる一品にしたいと考えています。