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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2009年07月10日
今日は、朝早くに起きて、車で東京まで行きちょっと遅れてしまいましたが、無事午前中のブランドさんにたどり着きました。ブランドさんで、面白い布のお店があるということで、紹介していただいたので、お昼の空き時間を利用してお店のほうを拝見しました。

雑貨や小物を中心としたおしゃれなお店ばかりが集まったビルの地下に、布のお店がありました。いろいろな布が置いてあり、色柄も豊富に手を掛けて作ってあります。織物を作られる方の意気込みが伝わってきました。

店員さんも非常に優しく、丁寧に布の説明をしてくださいました。ブランドさんでお聞きしたそのお店の一番看板商品の布でつくったストールを記念に購入しました。

看板商品というのは完成度が高いので、見ていても味が伝わってきます。
2009年07月08日
今日は、オーガニックリネンを洗いました。滋賀県の産地がなぜ麻の織物の産地なのかというと、湿潤な気候で織りやすいというのがあるほかに、麻は染色や加工という作業が必要で、水が良いということが非常に大事なのです。

リネンを柔らかく仕上げるにはいろいろな方法があるのですが、オーガニックリネンなので柔軟剤などの薬剤は使ってはいません。林与独自の方法で、やわらかくなるように仕上げるのですが、やわらかく仕上がる糸とやわらかく仕上げることができない糸とがあります。

今回のオーガニックリネンのロットは、やわらかいです。水だけで仕上げて、ここまでやわらかいのには満足で、よいロットにめぐり合えて幸運でした。殺虫剤も化学肥料も使わずによいリネンをつくるのは大変だろうに、リネン農家の方に感謝です。
2009年07月07日
今日は七夕で、ヒロインは織姫です。七夕はもともと中国の話だったようで、中国でも昔から機を織るというのは大事な仕事の一つでした。夕鶴のような話でも織物を織る話で、美しい織物を織ることのできる女性は美しいというイメージだったんでしょうね。

昔の織物というと小幅と呼ばれる幅の狭い織機なのですが、見ていると本当にかわいいんです。昔話で宝物の中に、反物が入っていたというのもうなづける話で、昔の人たちは今の人たち以上に布に憧れをもっていたんだと思います。

先日も、京都の百貨店さんで、小幅の布が売られているのを拝見しました。見ているだけでスローライフな感じで和みます。着物というのは今の時代着る機会がないのですが、流行に流されず、そういうものを評価できる人柄には憧れを感じます。

私もだんだんと年を取ってきて、自分自身が、商売云々以上に、こういうものを作っておきたいなあと思うようになってきました。今後、作られることのないような小幅の本麻の先染の織物も残しておきたいなあと思っています。


2009年07月06日
今朝は、朝6時前に起きて、加工出しの準備に取り掛かりました。オーガニックリネンを縦7パターンで、合計14柄と、リネンガーゼを加工出ししました。アパレル向けなので、綺麗な仕上がりを狙っています。

一方、アパレル向けでないオーガニック派向けに、ナチュラルなワッシャー仕上げを同じ柄で展開しようと考えています。こちらは、やわらかな風合いの仕上がりです。ほかに、色耳を使った白の無地と生成の無地も何色か展開いたします。

通常は、リネンの細番手を織るときには糊をつけたり、ワックスをつけたり、水溶性ビニロンを巻いたりするのですが、環境保護の観点からそういった薬剤を一切使わずに、オーガニックリネン糸を低速のシャトル織機で織り上げています。オーガニック認証を得たオーガニックリネン原糸を使用したというだけでなく、製織法までもナチュラルな仕上げにこだわりました。また、加工方法もナチュラルワッシャー仕上げは、天然の地下水で丁寧に洗い上げ、天日で干して、麻機屋の倉庫で寝かせることで湿度を適度に戻し仕上げます。

次のステップとしましては、世界認証の取れたオーガニックリネン糸を100%草木染で染め上げて、世界基準よりも厳しい基準のオーガニックリネンを作り上げようと考えています。リネンのものとしては高級ゾーンとなりますが、語れる一品にしたいと考えています。
2009年07月05日
今日は、お昼に3時間ほど京都の四条の高島屋をぶらっとしてきました。目新しいものがあるわけでもありませんが、暑さもそこそこ、夏休み前の行事を控えた日曜日とあって、洋服の売り場もそこそこの賑わいをみせていました。

林与の麻の素材も何点か服になってブランドの売り場のボディやショウウィンドウを飾っていました。夏のリネンのマフラーとかどんな感じなのだろうかと見て回ったのですが、もう店頭にはあまりありませんで、売切れてしまったのか、あるいは、夏になりすぎて使われなくなっちゃったのかと思っています。

注目して探したのが、リネンの素材を作った製品です。太い番手を使った素材は、パジャマやシャツなどとなって先染で売り場を賑わしていました。細い番手を使ったものは、無地ライクなものがほとんどですが、やはり、素材のよさが引き立ち、店頭のボディによく使われていました。

リネンで先染を展開できるところは日本でも数少ないです。ブランドさんでも日本的な彩で華やかなものを求めてくださってるところが多いので、素材にデザインをオンして目立つような素材を展開していきたいと思っています。
2009年07月04日
今日は、一台の織機に細い番手のガーゼを掛けました、マフラー素材を服地にしたような素材です。やわらかく仕上げると軽い羽衣のような素材が出来上がるのではないかと思っています。この前は薄くしすぎて、ズルズルなものができてしまいました。

来週、東京にでかけますので、デザイナーさんに提案できるよう急ピッチでの仕上げです。2010AWのジャパンクリエーションの出展も決まりましたので、進行中の究極のリネンがメインテーマとはなると思うのですが、ほかのブースとの調和もありますので、秋冬っぽい素材や通年素材もブースには展示できるように準備しようと考えています。

展示会というのは、基調となるテーマがあって色や素材のテイストの統一が求められています。ものづくりをする側からすれば、自社の素材をベースに、ブランドさんに色柄を合わせるのと同じことで、それほど難しいことではありません。

できる限り多くの素材を送り込んで今年のトレンドを作り上げたいと考えています。リネンに関しては流通量は益々増えてきていますが、生成りっぽい資材からの流れで売られていたゾーンが飽きられはじめ、生成りっぽいカジュアルさを残しながらも、かわいい色使いで提案したようなものに人気が集まってきています。
2009年07月03日
今日は、朝一番に、染工場に糸のビーカーをお願いに行きました。ビーカーというのは、糸を30g程度試験染して色出しすることです。今日は、こげ茶の色だったのですが、着見本というのが入ってきて、糸のほうは在庫があるのですが、昔の糸なので在庫の糸で足りるかどうかわからないため、念のために、着分を作るために1kgだけ染めて着分を作ります。

着分3Mは本番を生産するのと同じくらい手間が掛かりますので、高級な布を扱っておられる機屋さんでは、着分対応ができないところが多くなっています。安い布の場合、大量に生産して、その原反から着分を切って送ればよいのですが、ブランドオリジナルの高い布の場合、前もってたくさん作ることはできないので、着見本は着見本としてだけ作ります。

糸から染めたりするような着見本ですと本番と同じくらいの拘束が掛かります。普通のペースですと1ヶ月から2ヶ月ほどかけて3Mを作るわけですから、1M当たりに何万円ものコストが注ぎ込まれます。「林与」の場合、10日程度で見本を仕上げ、服にして2~3週間程度が多いです。そうして作られた服は展示会デビューするのです。

糸から服まで眺めていると、いろいろな改善点が浮かんできます。もう少し、布が柔らかいほうがよいとか、透け感を抑えたほうがよいだろうとか、そういうフィードバックを本番に入れ込むこともよくあります。
2009年07月02日
昨日、お昼ごろ、地元の織物関係の会社にシャトル織機で織った布を納品に行きました。そのとき、社長が居られ、縦糸に特殊な方法で捺染をした織物をみせてくださいました。柄が、ぼやーっとしていて、絣調で良い感じでした。

綿の織物だったので、素材自体がくすんだ感じで昔調の感じがしたのですが、リネンに同様の捺染を施せば、光沢感と透明感が出るので、良いものができるんじゃあないかと頭の中でシミュレーションしています。

本麻(ラミー)でやるとリネン以上の高級感がでると思うのですが、より加工工程が複雑になるので、値段が合わないだろうなあと思ったりします。一般的には、リネンのほうがラミーよりも安いと思われているようですが、国産ラミーの細番手は非常に高いので、通常出回っているリネンの2倍から4倍くらいの値段です。

糸が高いだけでなく、ラミーの場合、縦糸には糊をつけなければ織れないので、安い方の糊付でもリネン糸くらいの値段を払って糊をつけます。コンニャク糊となると糊をつけるだけで、通常出回っているリネンの何倍もの糊付代を払うことになります。

今日の画像は、横糸の打ち込み本数を決めるギアです。
2009年07月01日
今日は夕方、夏過ぎに開催するバーベキュー大会の打ち合わせに行きました。縫製の社長さんたちと合流して、バーベキュー大会の5Wを決め、その後、夕食に行きました。

新しくできたお店で、内装も綺麗で、静かな時間が流れているのに、わいわいとバーベキューのことなど話しながら、おいしいものを食べて、あっというまに夜11時の閉店時間になりおいとましました。

なかに飾ってあった暖簾とかも、特注でつくられたそうで、お店の雰囲気に調和していました。林与のリネン、本麻でも、暖簾をつくったりしてもらっているケースがあります。簡単な縫製をして、プリントなどを載せて暖簾として使っていただきます。

お店の看板としてお使いいただく暖簾に弊社の生地を使っていただけることは光栄です。麻の暖簾のよいところは、見た目の雰囲気だけでなく、非常に長持ちするところです。
2009年06月30日
梅雨の合間に、昔に織って倉庫で寝かせてあったアイリッシュリネン糸で織り上げたキバタを洗いました。本物のアイリッシュリネン糸なので、水洗いだけで柔らかな仕上がりです。

不思議に思うのが、「アイリッシュリネン」と謳って、「アイリッシュリネン」が大量に販売されていることです。たぶん、アイリッシュリネンと謳えばよく売れると思われてでしょうが、買った人からすれば騙された後悔するに違いありません。残念ながら、アイルランドで紡績されたリネン糸というのはもう手に入りません。今販売されているアイリッシュリネンは、アイルランドで織られた布という意味か、イタリアもアイルランドもEUだと考えてアイリッシュリネンとよんだり、ある紡績会社の糸ならアイリッシュリネンだと思い込みだけで、アイリッシュリネンとして売っているケースがほとんどです。

昔のアイリッシュリネンといえば、北アイルランドで紡績された糸を使用したもので、機屋の憧れだったのですが、今では、北アイルランドでの紡績自体がなくなってしまったので、今の本国アイルランドでの定義はリネンテキスタイル・メイド・イン・アイルランドに変わりつつあり、糸の産地はどこでもよいということになって、アイルランドで織ったリネン織物というのが今の定義です。海外で売っているアイリッシュリネンは、偽装でないとすれば、糸はアイルランド以外で紡績され、輸入した糸をアイルランドで織ったリネン織物というものがほとんどということです。アイルランド産のリネン糸のほうは希少価値が増したのですが、アイルランド産の織物のほうは昔のような職人気質のものは少なくなり、量産タイプのものが大量にアイリッシュリネンとして出回る時代になり、もし希少価値を感じて買われていたらがっくりされると思います。

でも、リネンのよしあしは自分で決めるものですから、自分の目や手触りでよしあしを判断されることが大事だと思います。林与が、昔、アイリッシュリネンからイタリアンリネンへ移行したのも自分たちの情報と目と感覚で糸を判断し、イタリアンリネンの品質の高さを認めたからでした。そして、今、イタリアンリネンも本国生産が減少をはじめ、中国トップブランドのリネンとの有意な差がなくなり始めてきました。働き手が年を取ってくると解雇しない限り品質を守るのが難しいラインあるのです。

ちなみに、アイリッシュリネンの糸の昔の生成は金色っぽく柔らかかったです。元来の北アイルランド産のフラックスを使用して紡績していたんでしょうね。今のベルギーのコルトレイク産やフランスのフランダース地方の糸はグレーっぽいです。アイルランドでフラックスの生産が減少し、紡績が終了するまえにはベルギーやフランスから輸入するようになってしまっていたようです。イタリア紡績、中国紡績の生成の糸も良質なものの場合ベルギーやフランダース地方の糸を使用しているので、アイリッシュリネンと比較するとグレーっぽいです。

今日の画像は、シャトル織機に使う織筬です。
2009年06月29日
今日は、朝一番に一年前に引退してもらった私の叔父さんが来てくれました。叔父さんも仕事のほうは心配していてくれるようですが、中国やベルギーなどからのベーシックな輸入リネンテキスタイルやそれを使った製品が国内でも飽和状態で、人気のリネンでも良いものしか通用しなくなって、ブランドオリジナルのリネンを求める動きはより強くなってきています。

オーガニックリネンのシリーズも、ギンガムを中心に5柄目に突入で、もう一つ織ったら加工出しです。シャツやブラウスに使えるオーガニックリネンのシリーズがまもなく完成で、私自身がオーガニックリネンのシャツを作ろうと一番楽しみにしています。

「林与」の布のほとんどはプロの用途なので、デザイナーさんへの提案や製品企画会社にベースとなる「林与」の新企画を提案します。そして、その企画にブランドの要素を加えて、それぞれのブランドのアイテムが新しいものとして出来上がって行くのです。

日本国内においては先染めを展開できるデザイナーさんが少ないのが現状です。先染というのは、一配色だけを作ればよいのではなく、最終的に3配色必要なら、同じ柄で、10配色くらいデザインできるデザイナーの力と見本を実際に作れる能力の両方が要求されます。

今日の画像は、縦糸を巻くビームです。
2009年06月28日
「林与」には、日本でも珍しい特殊なシャトル織機が動いています。服地の幅で織られたリネンのシャトル織物ということ自体めずらしいのですが、あったとしても、それはストライプ柄だったりします。シャトル織の織物の横は無地ということです。

世界的にも日本的にも、シャトルで織られるリネン織物の99%以上が横は無地だと思っています。これは、シャトル織機と呼ばれる織機のほとんどが無地しか織れないタイプで、コップチェンジと呼ばれる量産向けのタイプなのです。

今の自動車、バイク産業や造船産業の前身が戦前や戦後の織機産業であったので、日本の昔の織機というのは世界でも最高水準にあって、良い材料を使っていたので昔の何十年も使えるというだけでなく、当時の機械産業の最先端をつぎつぎと取り入れ、出来上がる織物も今のレピア織機と同じ色柄のものが織れるほどの最先端だったのです。

「林与」には、服地幅でヒガエのできる織機が10台動いています。4色をフルで実生産に結びつけることができるところは、高度な織技術と保守整備能力が要求されるため少ないです。昔は、ヒガエのできる織機も高価ながらももっと沢山あったと思うのですが、高度な織技術と保守整備の難しさ、生産性の低さから、断念され廃棄されていったと考えます。シャトル織機を維持できる職人さん自体が少なくなってしまったのですが、より高度なヒガエシャトル織機を維持できる職人さんは産地でも数人ではないでしょうか。「林与」が、シャトル織リネンでは技術的に世界的にトップクラスであることを自負できるのもそういう事情からです。

今日の画像は、現場で使っているL60番手クラスの糸帳です。
2009年06月27日
織物には通常耳と呼ばれる部分が左右にできます。これは、レピアでもシャトル織機でも同じです。レピア耳の場合、耳の糸は切れた状態で仕上がり、捨て耳と呼ばれるゴミができます。シャトル耳の場合、捨て耳はできずに耳は綺麗に仕上がります。

レピア耳の場合、綺麗にしようとあまり短く調整しすぎると、加工で耳の最後に2本入れてあるカラミ糸が外れて耳が解れてしまうことが起きるので、多少長めに残しています。長すぎると加工の毛焼きで燃えちゃうこともあるので、適当な長さが大事です。

シャトル耳の場合、捨て耳ができないので、資源を無駄にしないという利点があります。横糸が無駄にならないだけでなく、捨て耳を作るための縦にカラミでつかう三子ミシン糸も必要ないので5%から6%くらいはエコじゃあないかと考えています。使う材料は少なくなるのですが、糸を管に巻く手間や、回転を遅くして生産性は落ちてしまいます。

通常、リネンの織物であっても、耳の糸には綿糸を使用します。なぜかというと、耳は布の最後の部分にあるので緩んでしまうことが多く通し方を多めに通すために、糸が伸びるほうが問題なく織ることが可能なのです。

今日の画像は、カセ染めした糸です。チーズと呼ばれる木管に巻きかえる作業中です。
2009年06月26日
今日は、裁断工場にお伺いしました。中には、大きな裁断の台があって、事務所にはベットくらいの大きさのスキャナがおいてあってびっくりしました。社長一人でやっておらると聞いていたのに、すごい設備だなあと感心です。

裁断台の周りにもいろいろな反物が置いてあり、ニット、プリント、布帛、ジャージ、先染、デニム、不織布、パイル、ボンディング素材、思い出すだけでも、いろいろありました。もちろん、麻っぽいものも何点かありましたが、麻に関しては、ノーマルなものが多かった感じです。

裁断という作業の値段を聞いてまたびっくりです。まとめて裁断をされるのですが、一枚当たの値段は10円とか20円とかが普通らしく、あれだけの場所と設備を維持するだけでも大変だろうなあと想像します。

弊社の場合、社内で一枚づつサンプルを作るのと同様の手順で裁断と縫製をしており、サンプルをつくる過程や本番の過程で、自社規格の商品の場合、仕様変更をたびたびすることがあります。

今日の画像は、シャトルの中に入れる糸を巻く管です。
2009年06月25日
先日、機をつくっていた太番手が今日から織機に載って織出しです。予想通り、織機が違うと打ち込みがしっかりと入って分厚くても大丈夫です。まだ、密度を上げることができ、完全な平のソリッドな織物が織れそうです。再度、密度を上げてより高密度に挑戦したいと考えています。

この素材の用途の開拓が楽しみで、かばん用の布を頼まれているのでこれだけ厚いものが織れるとなると、これ以外にも、もう少し細い糸を使うなどすれば「林与」オリジナルでいろいろな素材が提案できそうです。

白い糸もあるので、柄組すればナチュラル系で広がっていくだけでなく、染めもすれば、通常の細い番手と同様、チェック柄とかかわいくできそうです。超太番手で高密度のチェック柄っていうのも面白いだろうなあと思っています。

自分で織物を織ると、糸屋さん以上に糸と付き合い、染屋さん以上に染めた糸と付き合います。糸屋さんや染屋さんから教えてもらうこともあれば、逆に教えてあげることもあり、その辺りがプロのノウハウの蓄積に繋がると考えています。
2009年06月24日
昨日から、かばん用の布をつくろうと、リネンの5番手という世界でも一番太いクラスのリネンの単糸を整経はじめました。途中で、新しく設置した整経機がレールから落ちてしまって、作業は一時中断しました。半日かかって整経機のほうも元に戻り、夕方には機を作る作業に取り掛かりました。車が脱輪したようなもので人の手ではどうにもならず、機械を使って持ち上げて戻しました。

かばんはまず「林与」で縫製してみようと考えています。ふだん、服を縫製しているミシンでも、針と糸を太くすれば、問題なく縫えそうです。キバタのままでかばんにしたいなあと考えています。

布はざっくりとしたものより、高密度なタイプにしたいなあと思っていますが、糸がすごく太いので、機械のほうが負けてしまうかと心配しています。糸は、手では引っ張っても切れません。

かばんのほかに何かに使えないか考えてみると、リネンの吸水性と清潔さを活用したお風呂の湯上りマットや、夏のブランケット、カジュアルボトム、カーテン、リネンブランケット、ソファーカバー、壁紙など、ホームファブリックと呼ばれる分野で活躍しそうです。

今日の画像は、職人さんが機を作っているところです。
2009年06月23日
「林与」では、布をカットするときに短いものですと、反物を手で解きながら長さを測ってカットします。6m以上の長いものは、通常、検反機という反物を検反するための機械を使って、長さを測りながら自動的に綺麗に反物に巻き上げます。通常、短い布は畳んでの出荷となり、長い布は紙管巻きでの出荷となります。

布を製造しているものからのアドバイスですが、ご家庭で一般に売られている麻をハンドメイドされる場合においては、裁断の前に水通しをしてください。麻というのは、収縮物性が悪くて、水通ししないで製品をつくって、水洗いすると伸縮してしまいサイズが変わってしまうのです。

特に注意していただきたいのは、布を切売し販売されるお店の人が、キバタと加工上りの布との区別がついていない場合などです。キバタというのは糸を織り上げただけの布ですので、通常横方向にかなり縮みます。リネン100%ものですと10%から15%縮むのが普通です。通常の水通しではこれほどは縮みません。通常の水通しではなく、布をしっかり洗ってしっかりと縮めてから裁断をしてください。キバタに関する以上のような物性について説明して、実際にお客様が自分で洗われて本当に13%とか15%とか縮んで、本当にそうなんだということでびっくりされたということがありました。

織物加工は布の風合いや物性を決める重要な要素なので、布を設計するときには、糸の紡績ブランドの品質も加味しながら加工で何%縮むか、つねに計算しながら布を企画しています。アパレルのプロでも、ヨーロッパやアジアの輸入素材で悩んでいることが多く、百貨店に並ぶ日本製品は、海外のブランドであっても日本製の布が使われることが多いです。

今日の画像は、小型の整経機です。
2009年06月22日
ここ1ヶ月くらい、アイリッシュリネン140番手の試織テストをしています。最初のトライでは、整経は非常に綺麗にできたので、織れるかもという期待はあったのですが、この道、四十年以上の織りの職人を中心に私も他の社員たちも2週間ほど毎日織機の調整を繰り返してくれても、糸が切れて切れて駄目でした。もう一度最初から、糸に手を加えて、別の方法で挑戦してみることにしました。

今回の2回目も、最初、糸が切れて切れて織れません。織っては糸が切れ、糸を直しては織っての繰り返しを3時間くらいやって、ようやく10cmほど織った辺りから、今までの苦労が嘘のように、織段のないきれいな布が織れ出したのです。

織り上がった布を触ると、糊がついているのにすごく柔らかい。さすが、アイリッシュリネン140番手です。30年以上の時を経た糸がついに布に変わったのでした。単なるベージュの布に過ぎませんが、これこそが、最高の糸質といわれたアイリッシュリネンの超細番手の織物なのです。しかも、今回は、テスト目的でかなり密度を高めに織ってみました。薄いですが、自分用にシャツでも作ってみようと考えています。世界で一番高いリネンシャツになりそうですが…

現在手に入る一番細い番手がイタリアのリニフィチオ社の148番手の白だと聞いています。この140番手も晒せばもう少し細くなるので糸質だけでなく細さに関しても世界最高レベルにもっていけるのではないかと考えています。普通ならこのベージュの布を晒して白くしてハンカチに使うとかで、大事業として終わるのですが、今回はモノをつくるのが目的ではなく、リネン織物の技術水準の限界に挑戦するのがプロジェクトの目的です。これは、最初の一歩に過ぎないのです。
2009年06月21日
昨日の午前中、倉庫に入ってリネンの25番手と、アイリッシュリネンのオフ生成140番手を3個取りにいきました。アイリッシュリネンの箱の奥には、近江上布を織っていた昔の手機が4台くらい壁側に着けて置いてあります。すこし分解してあるので、すぐに動く状態ではないのですが、ああこんなところに4台もあったんだなあと思い出しました。

この倉庫は昔、織物工場として使っていた倉庫なのですが、織機はずいぶん昔に出してしまって、今は、いろいろなものが保管してあります。仕事に通常使う綿60/2や100/2の糸がそれぞれ100色以上もストックしてあったり、年代モノのリネンのキバタとか、買っただけで、一度も開けたことのないような糸の箱があったり、今は手に入らないカネボウブランドのシルクの糸が何百キロもあったり、モノがつくれなくなる時代を見越してストックしたものがたくさんあります。

このことは、今の時代のジャストインタイムな在庫ゼロを目指す方式のまったく正反対です。品質の高い商品を安定的に供給をするためには、糸屋と問屋の機能を機屋が持たなければならない時代になってまいりました。麻を商材として扱っておられる業者さんから、麻の織はもちろん、麻の糸のことや麻の生地、また麻の裁断、縫製に関する全般的な相談がたびたび寄せられるのもそのためかと考えます。

私自身、春から夏にかけては、自社で作ったリネンや本麻のシャツを愛用しています。同じシャツばかりを着ている訳ではありませんが、10年以上も大事に着ているシャツがあったりするのです。麻は丈夫な布なので長持ちし、それが麻の良いところのひとつだと思うので、布をつくる側としては見えない部分もしっかりとつくっておきたいと考えております。

画像は、ハンドメイドの小鳥です。
2009年06月20日
昨日は、「林与」のリネンハンカチの構想をグレードアップするために、刺繍の大手の技術の方に電話でお話を聞きました。リネンハンカチの周りの刺繍は、リネンに刺繍をしてから布を切り抜くのだということを聞いて、今までの疑問が氷が解けるように解決しました。

別の刺繍屋さんにも電話でお尋ねすると、そこでは手で刺繍を刺すそうで、小ロット対応が可能だそうですが、洗濯とかする想定のものに関しては、ミシン刺繍のほうがよいとのこと。刺繍糸に関しては、高級品に関しては、シルクも使えるとのことでした。

刺繍機を持ってられる縫製工場がありますので、そこの刺繍機をお借りして、自分で刺繍のイメージを作って、それを本職の刺繍屋さんに刺繍してもらうのが一番、仕上がりがよくなり自分のイメージに近いものが出来上がるだろうと考えています。

リネンハンカチに施すデコレーションの刺繍まで考えると織物屋が生地以外の部分に深入りしすぎるような気持ちもありますが、日本でこういったオーダーメイドの刺繍を請け負うことができるところが非常に少ないと大手の刺繍屋さんも言っておられましたので、難題なだけにやり遂げたい気持ちがあります。どこかハンカチの専門店が私の希望を叶えてくれると助かるのですが、つくりたいものがつくりたいものだけに3年掛かっても仕方ないと思っています。

今日の画像は、「林与」で製造しております「林与」ブランドのメンズ向け綿麻シャツです。麻機屋の四代目自身が毎日愛用している10代から80代まで誰にでもよく合う普段着によい一品です。