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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
織機のスピード
2011年01月19日
織機のスピードは早ければ早いほど良いかというと、綿やウールなど糸が切れにくい場合には生産性が上がってよいのですが、糸がよく切れる縦糸が麻織物の場合には、織機のスピードは一定以上に上げると生産性が逆に落ちてしまいます。

私が心配するのは、糸に掛かる負荷です。ゆっくりと織ってあげると糸が引っ張れずに織れるので、生地が引っ張れることなく織りあがります。高速で織り上げるとどうしても糸を引っ張りながら織り上げてしまうので余裕のない織物に織りあがるのです。

私が織物の構造を皆さんに説明するときに、縦糸は縮まずに横糸は加工で縮む話をいたします。織物を始めたときからの疑問だったのですが、たぶん正解だろうという答えにはたどり着きました。縦糸というのはアップアンドダウンしながら横糸を包みながら織れるのです。横糸というのはキバタの状態でまっすぐに走っています。加工すると、すでにアップアンドダウンしている縦糸はそのままに近く、まっすぐな横糸がアップアンドダウンすることで巾が入るのです。織物の経と横を見分けるのは、引っ張ってみて10%ほど伸びるほうが通常は横方向です。縦方向はほとんど延びません。

ストライプを作るのとボーダー柄を作るのでは、ボーダー柄を作るほうが簡単なので、ボーダー柄を縦横使いしてストライプ柄として使えばよいじゃないかという考え方ができるかもしれませんが、物性の面を考えると、安定している縦方向は縦に使い、ストレッチ性のある横方向は伸びを吸収できる横に使うのが良いのです。

私自身が、シャトル織機で織った織物を良い織物だとお勧めするのは、布に無理がないからです。開口が広く、横糸をしっかりと包み込みながら織るだけでなく、横糸も、ほぼノーテンションで出てきて、筬が叩かれるときには糸が緩みながら叩き込まれます。横糸も余裕がある状態で織り込まれるのです。シャトルの織物というのは横糸も余裕がある状態で織られているのです。

シャトル織機は捨て耳が出ませんので糸を最大限に使うことができエコです。シャトル織機の問題は、生産性の低さと織り段という問題ですが、それを十分にカバーするだけの意味合いがあると作り手としては考えます。シャトル織機自体も、半世紀以上にわたり使えるのですから本当にエコです。