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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
調子よく
2017年10月29日
織機を調節して調子を上げると、やはり織りやすい。織機というのは上手な人が織っているとどんどんと調子がよくなっていくのだが、下手な人が織ると調子が落ちてゆく。調子の悪い織機を直そうとして、問題のない場所を触ってしまって、織機がボロボロになってしまうこともあり、織機を調整するときは時間のあるときに私自身が織りながら調整を掛けてゆくのがベスト。

この1週間で7台の織機に調整を掛けた。最近、リネンの60番手を織るのに苦戦をしたので、調整をしまくったがためにその調整が仇になっている。織る前の糸や糊付けなどに問題があると問題のない織機に調整を掛けることになって織機の調子が狂うのだ。出来上がった糸を織れないといって織れないままにしておくことも一つの方法だろうけども、それだとあまりに芸がなさ過ぎて、素人に近いのではないかと思うところがある。

現場というのは「織れない」「できない」「分からない」ということを口にするが、問題を乗り越えることに時間を使っていないことが多く、「織れない」「できない」「わからない」の積み重ねが、何十年の経験があっても惰性では続けてゆくことは難しいだろう。新興国で何千人がそれなりに正しい織物を作れるのが当たり前なのに、先進国の日本では正しいものをつくるのが難しいとかでは厳しいのも当たり前だろう。

展示会などで海外の繊維関係の人と話していると仕事に前向きで気持ちよいのだが、日本の繊維関係の経営者の多くが面倒な仕事はしたくなくお金儲けしたいだけみたいな人も多い。結局、海外に仕事が流れてゆくだけで自分たちがよいものをつくろうとする気持ちすらがないことが多い。できることを減らしてシンプルに仕事みたいなスタイルがほとんどで、それだと海外の何千人の工場に分があると思う。