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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
「林与」ベーシックリネンシリーズ
2009年07月11日
東京から戻って考えました。リネンをはじめて使われる方が、使いやすいベーシックなリネンのシリーズを作ってみようかと… ブラウスに使う超薄手、ワンピースに使う薄手、メンズシャツなどに使う中肉、パンツなどに使える厚手です。

林与では、糸の番手に応じた規格が基本的に決まっているのですが、サンプルなどを織ったときの感触で、若干の調整を加えることが多いです。メンズ用とかレディース用とか、シャツ用とかジャケット用とかニーズに合わせて、基本の数値から上下10本程度範囲での調整を行います。

新しいブランドさんなど、町の生地屋さんから買われているようなケースもあるようで、そいうブランドさんが本格的なアパレル向けの生地を使ってもらえるような位置づけにしたいと考えています。一般の方からプロまで使っていただけるよう家庭洗濯を想定したシリーズにしたいと考えています。

リネンで洗濯物性を抑えるのはほんとに難しいことなのです。リネンは水を良く吸い、反対に、乾燥も速いので、そのことが、糸が水を吸って膨らんで縦横方向に布が縮むという物性が悪い原因を作り出しています。

加工のロットだけでなく、糸の銘柄はもちろん、原料のロット、紡績のロットによって、収縮物性は変わってくるということが過去の経験上の結論です。そのために、縮みやすい銘柄の糸の場合には、縦の本数を増やしたりして、仕上がり幅を調整するようなことも行っています。

糸屋さんは、一般に資材を多く扱っておられますので、洗濯しないものが多いのと、糸屋さんのように右から左へものを流すスタイルでは、糸のことを聞いても十分な答えが返ってこないことが多くなっています。糸に関する知識も使い方のノウハウも機屋で蓄積しないといけないことになってきます。

このあたりが、紡績工場の技術力の差になってきます。一流の紡績メーカーは値段も高く、かつ、量もたくさんやっておられるので、実績値が高いのです。安く出回るリネンもあったりするのですが、そういったものは、製品にしてからの品質面での危険が付きまといますので、弊社ではスポットで出回る糸は使わないことにしています。新しい織物を次から次へと作り出すためには、織物の織りの規格も多様になるので、品質の良い糸の選択が非常に大事なのです。