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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2015年06月06日
今日はシャトル織機の移設準備。工場内のスペースの確保のために、奥にあった使っていなかった3台の織機の分解を開始。友達が集まってくれて、夜中から始まって明け方まで、1台半くらいばらすことができた。

織機の部品というのは本当に多いなあと思う。それが組み合わさって、正しく織物を織るという一つの動作をする。織機が動いているというのは奇跡的というか芸術的なことなのだなあと思えたりもする。一旦、動かなくなったり、動かさなくなった織機というのは、再度動かすようにすることは、技術的にというか精神的にも難しいもので、慣れた織機を動かし続けている状態というのは理想的。

明け方になるとみんなお疲れで、続きはまたということになったけども、外にはたくさんの糸の山、それを整理するのがまた一仕事。糸というのもいつ使うかわからなくても捨てられないもので、こういうときに覚えておいて、いつか見本にでも使えるときがくればよいと思う。
2015年06月05日
今日は、内職をお願いしているおばあさんと夕方お話した。商店街も空き家だらけになってしまっているということ。何百年も続いた中山道の宿場町が消えつつある。同級生たちが跡継ぎして経営者世代になっているけども、販売という業種では成り立ち難いだろうと思う。まだ、ものづくりしているお菓子やさんなんかは、販路開拓を考え百貨店向けにお菓子を出荷したりと商品の独自的な要素が生き残りの要。

内職の方に教えてもらったのだが、地元の繊維関連の人の多い工場の中では、工場内内職がほとんどということ。正社員という形ではもはや成り立たないのが繊維産業であるというあたりも、行政の方も現状を解って産業が自然に存続できるような形を目指すべきだろうと思える。

日本で縛って海外のものが入ってくるのは自由というあたり、海外のものが自由に入ってくるのを規制するのは自由競争社会の観点から規制すべきではなかろうが、国内の自由でない要素を開放しなければ、国内では1から10を生み出すような仕事だけしかのこらなくなり社会が廃れて行く。中身のしっかりと詰まったものを国内で生産できなくなると駄目だろう。

技術はあってもそれを使うことが難しくなる。海外では麻100%のものが生産されて、値段が合わないということで国内では価格ががくんとおちる綿麻の混紡のものが作られるというようなギャップがある。海外の無名の企業がつくるものが麻100%で、国内のブランドが監修するものが綿麻の混紡ものでは高付加価値とは別世界。綿麻を謳うときに、麻の混率は10%入っているのが一番価格を抑えることができるのでみたいなものづくりもあろうかとは思うが、お客様からすれば、やはり逆のものづくりが日本製であるべきだと願うのだろうと思う。
2015年06月04日
昨日は、なんとか、クロネコで、加工出しが間に合う感じで生機が織りあがって、車で何時間も掛けて加工出しに必要がなくなって、ありがたい。通常、麻のものは産地での加工なのだが、今回はリネンウールで、秋冬向けで厚いタイプのものなので、ウールの得意な加工工場での加工をお願いした。

ほかと併用して織っているウールの糸が足りないのが判明したのが金曜日で、月曜日に手配した糸の到着が水曜日発送で木曜日の朝にしか届かないと言うぎりぎりのタイミングで、配達のドライバーさんが、新しい担当の方で、弊社へにたどり着くことができず、結局午後3時頃に糸が到着で、もう間に合わないと思ったが、計算でロスを多い目に見ておいたので、足りない量が少なくて、なんとか間に合った。

ブランドさんにも糸が届かない状況を説明して、週末を挟んで数日納期を延ばしてもらえた。申し訳ないことに、加工工場さんにはしわ寄せで急ぎ中の急ぎでの段取りを組んでもらう。地元に出した薄いタイプのリネンウールもそろそろあがってくる。そちらも急ぎで上げていただく予定を組んでもらってありがたい。

その薄いタイプも、ドビーの使っていない13枚目の引っ掛けの部分が磨耗して、ドビーを修理交換する時間も無く、13枚目を使わないように変えて織ってなんとか織れたり、この厚いタイプも織ろうとしたら2重織りなので、縦糸が緩んで織れないので、縦糸を張って織るのだが、端のほうがどうしても落ちてくる。いくつかこういうときのための細工をして、なんとか織れるようにするまで、半日ほど掛かった。

その修理の際に、レンチが入りにくい状況で斜めに入れて締めるときに、レンチが外れて、右手の薬指と小指がギアの角に当たり皮が剥けてしまって出血。この傷はかなり深い。傷口を水でよく洗って、布のガムテープ両方の指に巻いて止血する。不思議にこの方法は直りが早いだけでなく、痛みを感じなくなるので仕事が続けられる。かさぶたもできないし、ばい菌も繁殖しないので、キズが綺麗に治りやすい。痛い話ですみません。
2015年06月03日
今日は、倉庫の屋根の修理。瓦店で経験のある散髪屋さんが屋根に上ってくださった。最初は自分で修理しようとしたのだが、問題の側と言うのは、落ちると5mほどの高さなので、上手な人に頼んだほうがよいだろうと思っていつつも、頼める人が見つからずだったが、たまたま散髪屋さんとの会話で瓦屋さんで働いていたと言う話を聞いて頼んだら快く受けてもらったのだ。

一昨日に下見してもらって、雨が明日から降りそうだということで、心配して今日来てくださり、私は下から眺めるだけだが、かなり急な勾配のある屋根の上を命綱もなしに当たり前に歩いておられるのはさすが経験者。色瓦はよくすべると言いながら、まず落ちることはない、と割れた瓦の交換とコーキングでの修理と問題のありそうな瓦のチェック、瓦の隙間が出来ているところの修理を、簡単そうにやってくださった。

問題のあった箇所の反対側の屋根のほうは良く手入れが昔されていたようで、やはり、安全な側だったから、昔は従業員さんが屋根に上って瓦の交換をしてくれてたのをなんとなく子供のころに見た覚えがある。瓦がなんで割れるのだろうと疑問に思い聞くと、熱のためではなく、昔の屋根というのは瓦の下が不安定で、瓦がずれた隙間などに突風が吹きつけたりすると持ち上がって叩きつけられて割れるという感じのようだ。

屋根になんで小さな瓦をしくのだろうと考えると、たぶん、壊れると言うことを想定して、補修もしやすいように瓦なのだろう。屋根に重いものを置くというのはあまりよくないことだと思うのだが、風で飛ばないように瓦は重さが必要なのだろう。と考えてみたりした。
2015年06月01日
今日は朝から大阪の専門学校の学生さんが見学にこられ、最近は時間に追われすぎていて、具体的な案件を検討以外のお客様に対しては見学をお断りさせていただいていることが多いのだが、海外でのイベントに向けての素材探しという具体的な案件ということもあって、私自身も興味があって、学生さんたちが10数名来てくださった。

20歳くらいの学生さんたちが集落の中にいること自体が違和感。こういう田舎というのは、20歳くらいの人たちが一番自分たちを表現し難い場所なのだろうと思える。私自身20歳の頃にもっと自分の意思で動いていたらよかっただろうと思える。デザイナーを目指すという道を20歳前にして決断できるというのも、普通以上に強い意思と決断力を持っている証なのだろう。若かりし頃の20歳の頃の自分よりも彼女たちのほうが何倍も大人に思える。

たぶん、毎日にしても案外学生のほうがおっさんおばさんたちよりも厳しく生きているものだからだろう。こういう学生さんたちに話をさせていただいても、吸収できるような準備があるので、説明も本当に楽にさせてもらえる。
2015年05月31日
今日、近くの道の駅にたまたま立ち寄ったところ。野菜がおいてあるのだが、九州産の表示のものが多い??? 半年くらい前にみたときは地元のものばかりだったのに、道の駅で野菜を取り扱う目的が地元の地産地消のはずだろうけど。

地元で野菜が揃わないタイミングなのだろうか。大根なんかがかなり弱っている。みるものがないより、みるものが有った方がよいということも言えてるから九州から仕入れたものをおいてあるのだろう。生鮮食料品にあたる野菜には、原産地表示が義務付けられている。そして正直に原産地を表記しているのだ。正直なの立派。たとえば、他の地域のある地場産業のお店にいっても値札のついている見本は実際自分で作っているので売らないが、実際に売るものは海外産のものだったりというのが当たり前の時代。職人を束ねる親方がなにをやっているやらみたいな話で、海外産や他産地産でよい話になってくる。

けども、道の駅にとっては、原産地表示というのはやはり致命的といえば致命的な部分もあろう、私が感じたような、何で滋賀県の道の駅に九州の野菜がならんでいるのみたいな、いたしかたのない状態。でも、全国のおみやげ物やにならぶお土産の8割とか9割は海外産であったりするものだろうから、これはこの道の駅に限ったことではない。

産地産を求めると、それは自分で働いて作らないといけないということで、他で買うほうが安くて簡単であろう。道の駅が地元の実際の生産業者にとってありがたいだろうは、通常に流す過程で出来上がる余剰のものを流通させることができるチャンスが生まれるというところだろう。

セレクトされ、置くものを絞られ生産者の自由なマーケティングができなければ、生産者にとっては道の駅は重荷になったりするだろう。案外、売り場というのはバッティングを嫌
うものなので、置くものをセレクトしたがるものだが、そこが作るものと売るものとの立場の違いで、道の駅においても、売り場を立てれば生産者にメリットがなくなるということも起こりえるだろう。
2015年05月28日
今日はプレミアムテキスタイル2日目。全国からテキスタイル企業が集まる展示会では、自社のお客様との出会いのほかに、出展されている経営陣の皆さんとのお話の機会をいただけることが、大変参考になる。

直面している問題というのはみんな同じなんだなあと感じることができたり、また、やはりこういう場所に立っておられる企業さんというのは自分自身で前向きに動いておられるところばかり。
2015年05月27日
今日はプレミアムテキスタイルジャパン初日。朝から午後4時半くらいまではお客様が続いて、最後の2時間はお客様は少な目でした。午後6時半までやるという新しい試みらしく、私自身はいいなあと思えました。

今回気がついたのは、中国からのバイヤーさんの数の多さで、10組くらいは弊社のブースにもお越しです。滋賀県から工業技術センターの方が視察に来て下さり話をお聞きしているとセンターの中のレピア織機で麻を織っておられるそうで、何か面白いものを作ろうとされているのだろうかと。

別件では、あるお客様とのお話の中で技術的な問題で同じ印象をもたれていて参考になることなどもあったりして、こういう問題を改善していかないといい感じのものは作れないという気持ちは同じだなあと思えます。
2015年05月23日
今朝は、朝、浅草寺参り。林与としては、観光するにしても情緒のある場所が好きで、浅草というのは好きな場所の一つなのだが、5年ぶりくらいだろうか。変わっていないようで、スカイツリーが見えたり、浅草寺周辺も綺麗に整備されたりと、変わってしまったところ感じる。小綺麗でないと観光客はなかなか寄り付けないものだろうけども、改築されたり新しく作り変えられたりすると本物らしさがなくなり残念なあ。

10時に会場入りして、キッチンクロスなどの小物の準備。今日は、11時から4時までの短いオープン。お昼過ぎから2時くらいがピークで、3日間、天気にもお客さまに恵まれ、良い感じに東京テキスタイルマルシェは終わった。

テキスタイルマルシェを通じて感じるのは、次の世代の方が活躍されているということで、ばくっと40から50くらいの世代が私の世代だとすると、20代から30代の世代の人の活躍の場があるということがいい感じ。もちろん、年をとっていても良いのだが、ハングリーな精神がないと布には価値を詰め込むことはできないなあと思える。


2015年05月22日
今日は東京テキスタイルマルシェ2日目、昨日の夜はようやくゆっくりとホテルで眠ることが出来て、すがすがしい気分で会場入り、昨日の準備では、十分に準備し切れなかったところがあったので、ようやく、用意した「リネン」「本麻」とかの文字も今朝ダンボールに貼り付けた。

朝からお客様が続いてご紹介をいただくケースも多く、お話を十分にさせていただけなかった感じもする。たくさんのお客さんに来ていただけ多い目に生地をもってきた甲斐もあったというもの、ネットのお客様も何人もお越しいただいて、ネットではなかなか生地の質感というものは伝わらないもので、お伝えし難いものなのと、林与の作っている麻の全体的なイメージを感じていただけたのではないだろうかと思ったりする。

デザイナーさんや業界の方なども会いに来て下さり、お話できる時間があまりなかって、また、PTJも27日、28日と東京国際フォーラムなので、そちらのほうが落ち着いているかもと思いますので、生地の企画などに関しては、27日、28日東京国際フォーラムでのPTJにお越しいただけたらと思います。

PTJも2日間ブースに常駐している予定はしておりますが、お客様が重なるケースが多いので、じっくりとお話を考えておられるお客様がおられましたら、27日、28日とも、閉会後の午後の6時半以降8時半くらいまでの間でしたら開場近辺の場所を見つけてお話も可能ですので、お問い合わせのほうからご連絡いただくか会場でご予約ください(各日各1件から2件だけになってしまうと思います。)。
2015年05月21日
今日はテキスタイルマルシェの準備日+プレオープン。朝10時前に会場について、荷物の到着を待つ。予定通りにチャーター便で荷物が到着して、会場に荷物を運び入れてから、キッチンクロス用の小箱を捜しに外に出る。

外苑前まで歩いて昼食をとりながら、その近くのクロネコの集配センターで小箱を買う。戻ると生地を立てるダンボールがまだ会場に届いておらないということで、作業が中断。3時のプレオープンに間に合うのか。まあ、いろんなことがあるのがイベント。

1時半に段ボール箱が到着して、急いでみんなが準備再開。どこもが1時間ほどで準備が終了して、3時のプレオープンスタート、準備だけでも達成感。プレオープンがスタートして、本当にたくさんのお客様。あっという間に6時になって、レセプションの交流会。食べ物と飲み物があったので、食べようと気合が入ったけど、交流者同士のご紹介などで食べる時間もほとんどなく、2時間が過ぎて帰路。

主催の方からすると4年ぶりの東京でのテキスタイルマルシェで期待と不安の両方ということでしたが、初日のプレオープンの盛況ぶりからすると、残り2日もたくさんの方に生地をご覧いただけそう。林与としても、ネットのお客様に東京方面で生地をみられるお店がありますか、というご質問をよくいただいてきたが、今回のテキスタイルマルシェがよいきっかけとなる。

夜は、スカイツリーを近くから眺めてみたり、明日の朝は浅草寺にちょこっとお参りして、テキスタイルマルシェ以外にも、何か東京に来て東京を味わうみたいなところを楽しむ。
2015年05月21日
2015年5月21日(木)から5月23日(土)までの3日間、産地直送の生地販売会「テキスタイル・マルシェ」が、東京・青山のふくい南青山291で開催されます。林与も出展します。

東京では4年ぶりの開催となる「テキスタイル・マルシェ」。今回も、プリント生地やコットン、麻、シルク、ウール、カシミヤ、プリーツ加工生地、ガーゼといった多種多様の生地を、一般消費者向けに販売いたします。

出展企業は、全12社。国内の帆布の7割を生産しているという岡山の「バイストン」と、綿を主体としたガーゼ素材やワッフル素材などを得意とする大阪の「藤原織布」の2社が初出展となります。

【開催概要】
テキスタイル・マルシェ
開催期間:2015年5月21日(木)〜5月23日(土)
会場:ふくい南青山291
住所:東京都 港区南青山5-4-41 グラッセリア青山内
入場料:無料
時間:
■21日
プレオープン 15:00〜18:00、交流会 18:00〜20:00
※交流会は招待客のみ。
■22日
11:00〜18:00
■23日
11:00〜16:00

【出展社】
宮眞(丹後)、YS企画(京都)、林与(滋賀)、松尾捺染(大阪)、細川毛織(大阪)、島田製織(兵庫)、宏和産業(大阪)、バイストン(岡山)、藤原織布(大阪)、荒井(福井)、福田織物(静岡)、昇苑くみひも(京都)

【出展物】
プリント生地、コットン、麻、シルク、帆布、ガーゼ、ワッフル、プリーツ加工生地、プリーツ雑貨、各種端切れ、綿薄地、ウール、カシミヤ、丹後ちりめん、ポリエステルちりめん、先染め生地、正絹くみひも、アクセサリ―パーツなど
2015年05月20日
今日はテキスタイルマルシェの前日、会場に発送する荷物の準備、朝から運送会社に行って明日の午前中に到着するのかどうかの確認など。帰ってきて、荷物のパッキングならびに、書類の作成や、シャトル織機移設のための段取りなど、追われるばかりの状態を乗り切って夜出荷しようとすると、出荷する荷物が多すぎて断られる流れに、交渉してなんとか、会場に荷物が朝に届くことになり安心。

明日は会場準備、まだ遣り残した仕事を終えないと出発も出来ない。林与の会社案内を印刷したりもしないとならないが、値札もつけたりしないとならない。
2015年05月17日
東京テキスタイルマルシェまであと4日、まだ、テキスタイルマルシェの準備をできる段階ではなく、今日も納期の生地の補修などで一日が終わる。この仕事も普通の力では無理だなあと思うのは、与えられた仕事を確実に一回で形にする力が求められること。

私の場合、たぶん本生産で10回に1回も失敗はしないだろうけども、他の人がやると10回に2回3回は失敗するだろうという辺りが、私が仕事で食べていけているところじゃないだろうかと思う。外の問題をかぶることも多く、それも覚悟して仕事を受けていかないと難しいものだ。みんなはファッション業界はデザインとか技術とかいうけども、本生産での再現性の難しさみたいなところが基本ではないのかと思える。それを握るも人という要素。

新しいものを作らないといけないときに、再現性というものがネックになることが多い。特に経験豊富な人ほど作業の記録をとらないことが多いので再現できることはほとんどないという厳しい現場の現実もある。普通に仕事をすればお金になった時代というのは幸せな時代で、一回限りの仕事を最初の1回目で正しく仕事しないとお金にならない今の時代は昔の感覚からすれば厳しすぎるだろう。
2015年05月14日
例年は誕生日のこと気にしていられない状況が多いのだけど、今日は案外ゆったりとした気分で朝から、いろんな方からメッセージをいただいて返事もできた。

林与がなぜ普通の織物の会社と違って忙しいのかと考えると、仕事をご依頼いただくときに具体的な仕事が決まっているのではなく、林与の可能性を考えて仕事を依頼しようと思っていただくケースがあるからだろう。そういうのを断ると話は簡単なのだがそういうのをお受けすることが、ものづくりできる機屋の力ではないのかと思う。

が、できるできると思っていても、機から作って仕上げ加工まで施して、イメージと違ったりすることもある。そうすると振り出しに戻るということや、見本倒れしてしまうことを受け入れたり。でも、そうやってダメージというかリスクを受け入れるところに、ものづくりしている本質があろうかとも思える。

たとえば仕事なんかでも、働いている人にいうのが、人というのは完璧ではないし完璧を求めていては安全なことしかできないものだろう。新しいモノづくりに限らず、普通のものづくりでもリスクは伴う。私がやったら10回に9回はでき、1回は失敗することもあろうが、ほかの人がやったら10回に7回くらいの成功率だとすると、その差というのは大きい。

本生産なんかで、10回に1回の失敗なら、1回の失敗を挽回するのは3回、4回の正しい仕事を余分にすれば費用面なども挽回できることだろう。本生産で、10回に3回だとその失敗を挽回するのは難しい。分業の作業になって誰もが何をやっているのかわからなくなると、何が正しいのかさえわからずに仕事していることになる。そうなると失敗確立は非常に高くなるもので、途中でストップしてやり直すタイミングを逸してしまうことも多い。

現場の職人の目というか判断も大事で、自分が正しい仕事をしているからといって、最終に正しいものが出来なければ自分のやった仕事も失敗品を生み出しているだけで、仕事としては成り立たないということがわかっているとありがたいが、なかなか、その辺りすらもが通用しないのが今の日本で、そこまでのことになると複雑でありすぎるかのようなメカニズムにとられがち。これも、人の関係が希薄になっていることが原因であろうかとも思える。

日本のものづくりは和、すわなち、チームワークがあってこそ高品位なものが成り立ったのだろうと思える。設備依存の品質管理になったりしてくると原発じゃないけど問題が発生したときに、責任逃れに走り、正しいものをつくるというような基本的使命が失われることも多いものだ。機械が悪いということで結論付けてしまって、機械の悪いという予兆にも鈍感になり、同じように問題は頻発し続けるものだ。

機械をメンテするのは他人の仕事なのかといえば、機械をメンテして正しいものをつくるのが自分の仕事という風に捉えられる人というのは、仕事もステップアップしていけるが、その機械メンテや調整というのは実は人の面倒をみることであるなあと思えることも多い。

どこの機屋も大きくやろうとすれば同じ問題にぶつかっているだろうから、人の多い会社がうらやましいとは思えず、人の多い会社ほどできることが限られてくるだろう。人というのは機械と違って、本来、柔軟に対応できることで、機械の上に立てたり、上回れるとおもうのだが、柔軟に対応できないと人が原因で機械もうまく動かないというありがちな窮地に陥るものだろう。
2015年05月13日
急ぎの案件がいくつかあって、徹夜モード。昨日は食べ放題で体力をつけておいたので、5月の少し涼しいくらいの夜というのは作業するのに心地よい。少し寒いくらいが眠気を誘わず、よい感じ。

急ぎの一本を整経して、糸の糊のざらつきに少し違和感。天然の糊ではなく、PVA系の糊っぽさ。化学糊というのは繊細な糸には不向きだと昔から言われていて、細い糸には今も天然系の糊が使われることがある。合成糊の場合には水を吸わないためなのか、糸がぱさぱさした感じになり、結ぼうとすると糸が壊れるように切れることがある。

明け方1時間ほど休憩を取って、あとは一気に一日の始まり。急ぎの案件もどうやら納期どおりに収束しそうな予定でひと安心。一日でも時間だけでも三日分の仕事に相当する。内容もそれなりに追われてやっているので濃い。だからいろんなとこでマイナスを生み出しても、なんとかやっていけてる気がする。



2015年05月12日
私自身は、工具にはそれほどこだわっていないので、工場に転がっている工具を使って織機を調整する。でも、工場の中に一つしかない工具というのもあって、その一例が小さなモンキーレンチで、調整してどこかの織機の上に置いてしまうと、おいた場所を忘れて、次に別の織機の調整が必要なときに、小さなモンキーレンチを捜すだけで体力と精神力が消耗する。

そろそろその小さなモンキーレンチも、ぐらついてシャキッとしなくなってきたので、買い換えてもよいだろうと、少し良いモンキーレンチを購入。常に携帯できるような小さくて軽くて強そうなのを買った。作業効率は上がるだろう。今は、工具も100円ショップでも売っているが、やはり100円ショップの工具に関しては安かろう悪かろうそのもののことが多く、ものを買うときに品質がピンきりで目利きが必要なゾーンが残っていることにほっとする。
2015年05月10日
普通に織っているだけなら手は汚れないものなのだが、シャトル織機の調整などを行うと少し織機を触っただけでも手が真っ黒に汚れ、手を洗ってもなかなか綺麗には油汚れは落ちないもの。

この手の汚れで思い出すのが、カリフォルニアにいたときにジャガーに乗っていてよく故障したので、自分で直せないときには修理工場に持って行った。正規のディーラーだと非常に修理費用が高いので個人経営のジャガー専門の修理店に持って行くことが多かった。

そこのアメリカ人の店主兼修理の当時50くらいのおっちゃんは、行くといつも修理している最中なので、話を聞くために油だらけの真っ黒な手を洗うところから始まった。受付をしていたたぶんおばちゃんはアルゼンチン人で、ジャップと私のことを呼んだが、悪意はまったくなく、私と話をしようと親しみの気持ちが伝わってきた。年に修理で困ったときだけいくだけなので数回なのだが、クリスマスカードも届いた。

自分が仕事で手を汚して思い出すのがそんな昔の思い出で、手を汚して働くことに嫌な気や悪い気はしない。問題に直面したときに自分自身が修理できる能力がなかったら、たぶん、林与という会社もほかの会社のように織物を織ることを止めていただろうと思う。織機の下にもぐることを率先してやれる人でなければこの仕事は成り立たないだろうと、仕事に関わったときから感じていて、いろいろと覚えたのでなんとかやっていけるのだろうと思うので、手を汚して仕事をすることは大事だと思う。

また、手を汚すだけでなく、仕事のしわ寄せみたいなものの泥を被るのも大事だなあと思える。そういうのを被ろうとしない人が多い中で、だれかが泥を被り片づけをすることで全体が回ることも多い。自分の手を汚すことができなかったら、手を汚すことを出来ない人が増えていったときに、織物の仕事は難しくなるだろう。
2015年05月09日
違う色の糸を2色で柄を織るのは簡単なのだが、糸の色が似た2色を織るのは難しいという問題?があったりします。それは、織物を織っている人というのが一生懸命に柄が正しいかどうかを見極めようとしながら織っているものの見分けがつきにくく、正かどうかわかり難いのですごく不安になります。

織物を織るのには、正誤を判定する判断力は大事で、それは必ずしも視力が良い悪いだけではないのですが、視力が良い若い人は織るのが上手だったりするものです。年をとるとどうしても視力が衰えていくので、キズなど見えなくなるもので、今私も46歳で、同年代以上の人というとなかなか細かいものをみるのは苦手になっておられる人がほとんど。

あと黒い糸を織るのは本当に難しいもので、白い糸を織る場合の5倍くらい神経を使います。麻の場合、縦糸が切れやすいと、糸を筬に通す作業が頻繁に発生し、そのたびにどこの目に糸を通してよいのか難儀します。麻糸が切れやすいことが何倍も麻の黒の先染めを織ることを難しくさせます。
2015年05月08日
東京でのテキスタイルマルシェは22日、23日がメインではあるが、21日午後3時くらいからプレオープンで、夕方6時くらいまで即売があって、夕方6時からはレセプションという形で、主催も出展者もお客さまも一緒に会場で簡単な食べ物、飲み物を手にしながら交流もできるような形式。

テキスタイルマルシェは展示会と違って生地の即売会で、生地の作り手と生地のエンドユーザーが出会えることを一つの売りにしている。普段、ものづくりしている人たちが販売をしているので、各産地の定番的な生地なんかを知ることができるメリットがあるのではないかと思う。

林与も、リネン100%や本麻を中心に、特色のある生地を展示および即売させていただこうと考えておりまして、インターネットでも、関東方面で生地をみることができる場所がありませんかとお尋ねいただくことが多いのですが、林与の生地の実物をご覧いただく一つの機会ではあります。
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